新嘗祭・収穫祭の季節です。

農家にとって、一番嬉しい季節です。

いつもありがとうございます。藍色工房店長の坂東未来です。

藍農園を見守ってくださっている神社の秋の例大祭へ行ってまいりました。



< 山の上の小さな神社にある深い歴史>

藍畑を撮影するとき、しょっちゅう後ろに写りこんでいる山が、種穂(たなぼ)山です。

BlogPaint

この山の上に小さな神社があります。

「種穂忌部(たなぼいんべ)神社」と呼ばれているこの神社については、今年の

春の例祭の様子をアップした記事に詳しいので、こちらをご参照ください。

●種穂神社 2015年春の例祭
 http://blog.livedoor.jp/aiiropubinfo/archives/45518165.html



この神社の御祭神「天日鷲命(あめのひわしのみこと)」は、天照大神が岩戸隠れ

なさった折に、岩戸の外でお祭り騒ぎを演出した神々と一緒に弦楽を奏上されました。

だから音楽の神様とされることもあります。

ピアノ演奏を長く学んできた身の上にとって、身の引き締まるような神様です。



また、竹を使って弓矢を作り戦に備えられた功績もおありなので、

「天日鷲翔矢命(あめのひわしかけるやのみこと)」とも呼ばれることがあります。

種穂山には、その時に使われたとされる竹が今も群生しています。 



そう言えば、日本の初代天皇「神武天皇」が倭を平定する戦いの際、天皇の弓に

金色の鵄(トビ)が止まり、その光で恐れおののいて敵軍が戦意を失って勝利した、

と伝えられているのですが、「その金鵄こそが、天日鷲命だ」と

平田篤胤(江戸時代の国学者・神道家・思想家・医者)さんが記しています。



そのような方が拠点として構えられた場所にあるのが、種穂忌部神社です。

種穂神社境内からの眺め

この場所からは、かつて麻や藍、楮などを栽培した旧麻植郡山川町が一望できます。

様々な作物の栽培と素材の加工、そして最終的な物作りまでこの場所から指令を

送りながら周辺地域を統率し、朝廷祭祀を司る忌部一族のお役を果たしておられたと

伝わっています。



毎年10月19日は種穂忌部神社の秋の例祭の日です。

今年も無事に藍を育てられたことに感謝して、席に加わらせていただきました。



<忌部の歴史を今一度見直そうという風潮の中で>

種穂忌部神社


ここ数年、地元の吉野川市(旧麻植郡)周辺で「忌部氏の歴史をもう一度学んで、

見直そう」という動きが、じわじわと浸透してきました。

私自身も、その動きの中で地元に秘められた歴史の面白さに目覚めた一人です。


旧麻植郡で活動していた忌部氏を「阿波忌部」と呼ぶのですが、日本の様々な地域に

拠点を持った忌部氏が散らばっており「讃岐忌部」「紀伊忌部」「伊勢忌部」「出雲忌部」

と、それぞれの地名をつけて呼ばれています。

どの地域の忌部も、専門の素材とアイテムがあり、それを作って朝廷に収めるという

役割がありました。

今考えると、当時としては相当大きなスケール感を持った集団ではないでしょうか。

阿波忌部の勉強をしているうちに、他の地域の忌部の事も気になるようになり、私も

少しずつ四国の外の忌部の様子を辿ることを始めています。


それはそうと、秋の例祭の準備です。
種穂神社秋の例祭準備中

例祭が始まるのは午前10時ですが、その前に氏子みんなで清掃と飾り付けを

行おうという事で、集合は午前8時30分。

青い幕をつけたり…



種穂神社秋の例祭の榊

本殿側の榊の枝を、人数分切ってきて、宮司さんと氏子のおじさんで

御幣をつけたり…


種穂神社清掃

あ、この後ろ姿は父です。

拝殿を掃除機で吸っています。

ちなみに、水道が通っていないので、必要なお水はポリタンクに入れて持って行きます。

電気も通っていないので、自家発電機を使います。

宮司さんが祝詞をあげてくださっている間、自家発電機の「ドドドドドドドドドド」って

いう音とリズム打ちの太鼓の音が同時BGMとなって大変賑やかです。



種穂神社本殿清掃

本殿の埃も掃除機で吸います。



狛犬さんにも御幣を

狛犬さんにも新しい御幣をつけましょう。


私は忙しそうにしている皆さんの後ろから写真ばかり撮って遊んでいた訳でなく、

ちゃんと清掃に参加しましたよ。←念のため。

それから、大事なお役もありました。


一つは、藍色工房のお客様からのお賽銭の寄付をまとめ、総代さんにお渡しすること。

一年間の藍の種のお買い上げ金額の一部を、種穂神社のお賽銭としてお納めする

ということを私たちから総代さんに御提案して、ご了承いただいています。

藍の種


今年も、沢山のお客様に藍の種をお買い上げいただいたこと、本当に感謝の気持ちで

いっぱいです。


もう一つの大事なお役は忌部に関わることです。

先ほどの、各地に拠点を置いて活動していた忌部のうちの、伊勢忌部の

末裔の渡会(わたらい)さんと直接お会いしてお話しする機会を持たせていただいた

のが9月の初めでした。

初めてお会いしましたが、とてもやわらかい物腰とお話しで、ついつい長居してしまい

ました。



伊勢忌部の渡会(わたらい)家は明治時代になるまで代々伊勢神宮外宮の宮司を

務められた一族です。

現在その末裔となる方が、愛知県岡崎市において酒屋さんを営まれております。

お酒は神事に欠かせない物。

むしろ、神と切り離すことのできないもの。

やはり、そういったお仕事をされるのだなぁと、しみじみしつつ、今回の秋の例祭に

お持ちするお酒をぜひお選びいただきたいとお願いし、「阿波忌部発祥の神社の

例祭のお酒。……重いねぇ……」とおっしゃりながら丁寧にお示しいただいた

いくつかのお酒の中に、どうしても気になるお酒がありました。

こちらです。

種穂神社の秋の例祭の御神酒「奥」

このお酒には大切なことがたくさん込められています。

その大切なことは、直接お会いできる機会のある方にお話しするとして…

たくさんあるお酒の中で、よりによって「奥」という名前のお酒がここにある。



このパッケージ作りに渡会さんも携わられたのだそうです。

伊勢忌部の末裔が携わったお酒が、阿波忌部発祥の神社にやってくる。

そのお酒の名前が「奥」。

忌部はまさに、国と歴史の奥に存在し続けた一族ではなかったでしょうか。

いくつかお示しいただいたお酒の中から、迷わず「奥」を選ばせていただき、

今回の例祭にお持ちすることにしました。

「うん…そうね、やっぱり、それなんだろうね。」

渡会さんも静かにそうおっしゃっておられました。


種穂忌部神社秋の例大祭

非常に見えにくいのですが(大汗)祭壇の一番上に、このお酒を据えてくださいました。

特別にお願いしたわけではなかったのですが、出来上がった様子を観るとそうなって

いました(笑)。なんかすごいなぁ。

これで、全ての準備が整いました。

本殿前にうち揃いし氏子16名と宮司さんだけの、小さな、でも大きな例祭です。


2015年秋の例祭の種穂神社

今年も素晴らしい四季の恵みを、ありがとうございました。

次の季節からも、しっかり歩いてまいります。


各地の忌部の歴史や人とも少しずつつながりながら、小さなこの神社の営みを

大切にしていきたいと改めて思った一日でした。



皆さんのお住まいの地域にも、忌部にまつわる神社があるかもしれません。

「鷲」などの鳥っぽい名前の付いている神社の御祭神を良くご覧になって

みると「天日鷲命」がいらっしゃることが多いと思います。

(酉の市で有名な浅草の鷲(おおとり)神社もその一つです)



また、麻の字がつく地名も、忌部に縁のあるところが多いです。



意外と身近な所に転がっている歴史ロマンの代表格が忌部だと思っています。

愉しんで親しまれる方が増えたら、阿波忌部の大事な指針「分かち合う心」を

味わいあいたいなぁと夢見ています。


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