佑子シリーズ完結

佑子シリーズ、無事完結しましたが、みなさんいかがでしたでしょうか。
五年以上に渡る長い間、応援していただいて、感謝しています。
連作短編とは言え、全部合わせると、結局長編並みの量(400字で468枚。「麻紗美」より長い)となりました。

そもそも、五年前一作目の「佑子・露出衝動」を始めたのは、2ちゃんねるのスレッド「女の子が自主的に露出する小説」というスレタイを見てのことでした。スレを見ていて、自分ならこうするな、というのを実際に作品にしてみたのです。

幸い、「露出衝動」は好評で、すぐに続編のイメージが湧いてきました。ある時間の空いた日、そのイメージをそもそも発想の発端となった「女の子が自主的に露出する小説」スレに、お礼の意味も込めてそのままリアルタイムで書き込み、後にその部分を元に前後を加えてその後「佑子・露出登校」を仕上げました。この段階で、「衝動」「登校」「遊戯」「デート」「成就」の全五作の構想が出来、「露出登校」にはいろいろと後の作品への伏線を残すこととしました。

「佑子・露出遊戯」は、書きながら自分でもストーリーをどうするか、迷っていた作品です。つまり、最後のバレの相手を誰にするか。当初は山西以外の予定もあり、よくある脅迫露出系へと進む展開も考えたのですが、やはり「女の子が自主的」という最初のテーマを最後まで残すべきと考え、山西があの場面に登場したのです。

その後、また2ちゃんねるの、今度は確かエロパロ板「女の子が露出する小説」だったと思うのですが、そこに次作の一部をまたリアルタイムで書き込み、それを元に「露出デート」を書き始めたのですが、一本の短編で山西と心を通じ合わせ、さらに二人でのプレイまでという展開にはどうにも無理を感じ、そこで、前半に一度構想はあったダークな展開を持ってきて、それで佑子の不安な心理状況を表し、二人のその後へと話を続けることにしました。そうして完成したのが「佑子・露出発覚」となり、ここで、シリーズは全六作に変更となりました。

翌年、前に2ちゃんねるに書き込んだ部分も含めて二人のプレイの様子を描く「佑子・露出逢引(デート)」を完成させ、そのラストにおいて、完結編への展開を示唆しました。露出に関して、私は「見られるかもしれない」というドキドキ感や、スリル、背徳感というのは、おそらく多くの人が多かれ少なかれもっているものだと思っています。さらに屋外で裸になる開放感や爽快感というのも、それを実行するかしないかは別として、共感する人が多いのではないかと思います。しかし、佑子はそうではないというのが私の考えでした。つまり、彼女を真性のM属性を持つ女性とすると、ただそれだけでは足りず、さらに先へとすすんでいかなくてはと。

この時点で、「佑子・露出成就」に関して、それほど確かな筋立てが決まっていたわけではありませんでした。ただ、その中盤で野球部の前で露出するというシーンだけは早くから決まっていましたので、「恵美子」の更新で苦しんでいた時、気分転換にこの部分だけを先行して書き上げ、再び「女の子が露出する小説」スレに投下しました。そして、難産だった「恵美子」の更新を終わらせていよいよ取りかかったのですが、正直その時点で決まっていたのは、信吾と出逢うラストシーンだけ(これだけは連作の構想が出来たときから決まっていました)で、あとはただ流れに沿って、佑子と山西の二人に全てを任せて私自身も物語の展開に身を任せていきました。

結果は、自分では満足しています。多くの方に指示していただき、こうして当初の構想通りに完結できたことは、作者冥利に尽きます。

あいにく現在サイトの方は休止状態となっていますが、こちらも出来るだけ近いうちに再開したいと考えていますし、すでに「七瀬」の続きにかかっています。これが更新できるまでにはサイトを復活させたいのですが、もし間に合わなければまたこのブログでの発表となるかもしれません。

遅筆で応援のコメントにも満足に返事をかえせないこと、申し訳なく思っていますが、皆さんの暖かい声は確実に私の力となっています。これからもよろしくおねがいします。


佑子・露出成就(14)最終回

 片側二車線の道路の真ん中、中央分離帯の部分にたどり着く頃には、肌を嬲る夜気の冷たさにもかかわらず、佑子の裸身はじっとりと汗を滲ませ、街灯の光に浮かび上がった白い肌を美しく輝かせていた。
 あと少し……。佑子は残りの道程に足を踏み出した。
 歩きながら俯いて自分の身体を見下ろす。呼吸に合わせてせわしなく上下する乳房。若々しく張りのあるその膨らみの頂点で震えている乳首は、街灯の光を受けて路面にはっきりと影を残すくらいに、収縮して皺を刻んだ乳暈の中心からそそり立っていた。
 佑子の視線が、さらに下に向かう。緊張のためいつもより引っ込んだお腹。小さなお臍、その先には柔らかな繊毛に覆われた恥丘。そして、周囲を綺麗に剃毛されて剥き出しになったクレヴァス。さっきまで自分の指を潜り込ませていたその秘裂からは、濡れた内側の花弁を覗かせてしまっている。それに、そのクレヴァスの始まりには、ぴょこんとピンクの突起が出ているのまで見えた。クリトリスが、佑子自身見たことの無いほど大きくそして硬く勃起して、包皮からその先端を露出させているのだ。
「ふぅっ……」
 その余りにも淫らな様子に佑子は身震いする。そして、同時にそのクリトリスが、そして胸元で揺れる乳首が、外気に嬲られ、ずくずくと疼く。
 触って……。乳首がクリトリスがそう彼女に求めていた。佑子は歩きながらそっと手を上げていく。片手は乳房へ、そして片手は再び股間へと。
 くちゅっ。
 静寂の中で、濡れた粘膜の立てる音がはっきりと聞き取れた。
「あっ、いぃっ……」
 乳房を摘んだ指先に力がこもる。女花弁に挟まれた指がクレヴァスを上になぞっていく。
細い指が勃起した乳首を摘み上げ、撫でる。その尋常でない硬さが佑子に己の肉体の欲情の深さを自覚させた。乳暈に擦りつけるように押しつけて離すと、ピンと弾かれるように元に戻るその様子が、たまらなく嫌らしかった。
「はぅっ……」
 股間に潜り込んだ指がクレヴァスの合わせ目の上端で包皮からピンク色の頭を覗かせているクリトリスを撫でると、佑子は小さくうめき声を上げてその場に立ち止まってしまった。
 骨が蕩け、筋肉が溶けてしまいそうな程の愉悦。そして、同時に押し寄せてくる強烈な尿意。
 ごくっ……。佑子の喉が鳴る。周囲には人も車の気配も無い。目の前に伸びるまだ十メートルは残っている横断歩道のペイントを見つめる佑子の表情が小さく歪んだ。立ち止まった佑子の両脚がその場で肩幅ほどの広さに開かれた。
「あぁ、だ、だめっ……」
 呟きと同時に、佑子の股間からたらたらとゆばりが滴り落ち始めた。開かれた佑子の両脚の間の路面がみるみる濡れていく。
 一つの音が佑子の耳に届く。それは紛れもない車のエンジン音。弾かれるように顔を上げた佑子だが、どこにもそれらしき光は見えない。いやこの信号のすぐ傍にある狭い脇道の奥が光っている。その光はあっという間に強さを増し、一台の白い乗用車が国道に出てきた。国道の信号は赤。車は左折して国道に出ると同時に横断歩道の手前で停止する。そのヘッドライトの光芒の中心に、横断歩道上で立ち尽くす佑子の姿があった。
「ひっ!」
 小さく悲鳴を上げて佑子は両手で顔を覆った。しゃがみ込む事すら出来ず、股間から溢れるゆばりを止めることも出来なかった。
 見られてる、見られてる、見られてる、見られてる、見られてる、見られてる……。
 佑子の頭の中で白い光が炸裂した。両手で顔を覆ったまま佑子の頭が仰け反り裸身が痙攣する。ピンと伸びた両脚の足下に垂れ落ちていたゆばりが瞬時、勢いを増した。ヘッドライトのスポットライトを浴びて佑子の股間からほぼ真下に滴っていた水流が、一メートル程先まで放物線を描いた。それも、一度、二度、三度と。横断歩道にはっきりと水跡を残しながら、佑子の身体が痙攣するのに合わせて、羞恥の噴水が吹き出していく。
 全身の力が抜けていく。膝がもう身体を支えきれなかった。両手で顔を覆ったままでへなへなとその場に崩れ落ち、アスファルトの路面にお尻をつく。放尿はそれでも収まることはなく、開かれた佑子の両脚の付け根から直に路面へと溢れ出し、小さな水たまりを作り続けていた。
 佑子の胎内から湧き出し続けていたゆばりがその放出を止めた頃、ようやく信号が変わった。車が発進し、ゆっくりと横断歩道にうずくまる佑子の裸身の横を通過していく。何か、嘲るような、叱責するような声がその車の窓から佑子に投げかけられたが、彼女にはその言葉を認識することは出来なかった。
 佑子の傍を離れると、車はスピードを上げて走り去っていった。と同時に駆け寄ってくる足音。佑子の身体が力強い力で抱き締められた。
「さぁ、いこ」
 山西の声をきき、佑子は顔を覆った両手を下ろした。山西は佑子に微笑んでみせると、五十キロ足らずの佑子の身体を軽々と抱き上げ、横断歩道を渡る。
 後部座席に佑子の身体を横たわらせると、山西は車を走らせた。
「びっくりしたな。あんなとこから出てくるなんて思わなかったから」
 山西が呟くように言う。その言葉に佑子からの返事はなかった。代わりに、後部座席から小さな喘ぎが聞こえてくる。
 山西の口元に笑みが浮かんだ。近くの路肩に車を止めると、山西は車の車内灯を点けた。
「あ、だめよっ……」
 佑子が小さな悲鳴を上げた。運転席から振り返った山西が、後部座席で白い肌を紅潮させて横たわる佑子に声をかける。
「いいから、続けて」
 佑子が身体を起こす。剥き出しの乳房と股間を隠して拗ねたような顔をする。
「いやよ、そんなの」
「なんで? 急に車が来たからまだ…なんだろ? 遠慮せずに続けなよ」
「そんな……恥ずかしいよ」
 真っ赤に頬を染めてそう言う佑子を見て、山西は一瞬頬を緩めたが、すぐに真顔になって強い口調で言った。
「いいから。俺に見せるんだ」
 その言葉を聞いて、佑子が喉を鳴らす。身体を隠した両手が一旦下がり、それからもう一度裸身に伸びる。今度は隠すためではなく。
「あぁ、ねぇ、見ないでっ……」
 呟きながら、佑子は自らの身体を弄び始める。車内に、淫靡な蜜の音が響く。
「でさ、さっき何回くらいイッたの?」
 車内灯に浮かび上がる裸身のくねりを見つめながら山西が尋ねる。
「うっ……さ、三回っ……」
「じゃあ、横断歩道でお漏らしするまでに、もう二回イッてたのか。ホント、小松はこの四年で、ますますエッチになったな」
 山西が自慰に耽る佑子の羞恥を煽るように言う。
「まったく。こんなので仕事大丈夫なのか。なぁ、こんなところみんなに見られたら、どうなると思う?」
「いや、言わないで」
「もしあれなら、あの写真何処かに貼っといてみようか。それともメールでばらまくとかさ」
「いやぁ、やめてぇ……」
「それとも、もう誰かにばれちゃってて、もしかして、浮気もしてるんじゃない?」
「そんな……それは、絶対無いから……わたし、わたしは…、山西くん以外、誰にも……」
 佑子の声が途切れる。唇が、運転席から身を乗り出した山西の唇で塞がれていた。
「信じてるよ」
 小さく呟いて、山西は身体を離した。
「さぁ、続けて……。ほら、さっきから何台か横を通った車が、小松のこと気付いてたよ。早くしないと……」
「い、いやぁっ、そ、そんな、あ、うぅ……は、あぁ、いや、いやぁ……あぁ……」
 裸身を嬲る指の動きを速めながら、佑子は小さく首を振る。山西の、そして、傍らを走り抜けていく車からの視線が佑子をたちまち追い詰めていく。
「あぁ、も、もう、だめ……や、山西くん、わたし、もう、あぅ、も、もう……い、イク……い、イッちゃうぅ……」
 深夜の国道沿いの路肩に止められた車の中で、佑子は未曾有の快感に全身を染め抜かれながら痴れ狂う。深い陶酔と幸福感に包まれながら。

 爽やかな春の日差しを受けながら、佑子は颯爽と足を運んでいた。
 昨日のデートのせいで少し寝不足だったけれど、気分は晴れやかだった。
 大学を無事卒業し、就職も決まって、すこし心配だった新生活ももう直一週間経つ。ここまでは実に順調に毎日を過ごしていて、この先の事もそれほど不安はない。
 それも、山西のおかげかもしれない。
 高校を卒業してから、遠距離恋愛となってしまったが、その距離がかえって二人の絆を深めた気がする。だから、大学を出て互いの就職先がやっぱり離れることとなっても、佑子にはなんの憂いもなかった。
 次のデートはまた一ヶ月先。確かに回数は逢う事は出来ないが、その時は山西はまた素敵な一日を彼女にもたらしてくれるだろう。その日を心待ちにして、それまで仕事に頑張ろう。
「おはようございます」
 勤務先に向かう佑子の周りにそろそろ生徒達の姿が多くなってきた。何人かの生徒は元気に彼女に声をかけてくる。それに対して、佑子は笑顔で「おはよう!」と答えていく。
 前方に校舎が見えてきた。佑子の勤務先、公立だが有名大学に高い進学率を誇る地元では評価の高い進学校だ。
「おはようございます」
 またひとりの生徒がそう声をかけて佑子を追い越していった。佑子の足が止まる。
「あっ……」
 つい声が出てしまった。生徒がそれを聞きつけて立ち止まる。振り返ったのは真面目で優しそうな顔の男子生徒。
「なんですか、先生?」
 怪訝そうに尋ねる少年に、佑子は小さく手を振って、
「い、いえ、何でもないの。ちょっと人違いよ。ごめんなさい」
 確かに、何処かで逢った気がする。だが、思い出せず、佑子はそう誤魔化した。
「そうですか。新任の小松先生ですよね」
「ええ、ごめんなさいね」
 高校生にしては少し幼い顔立ち。なかなかの美男子で、もしかしたら女生徒達の人気も高いのかもと思わせた。
「じゃ、失礼します」
 小さくお辞儀する少年に佑子は尋ねた。
「あの、君、名前は?」
「逢川です。二年A組の逢川信吾」
「あぁ、そう。これからよろしくね」
 先に進む少年の背中を見ながら佑子は小さく首を振った。彼の名前にもなんの覚えもない。でも、確かに何処か彼女の記憶に引っかかる物がある。しかし、どうしても思い出せなかった。
 壮快だった佑子の心に小さな点のように不安が浮かんだ。だが、それも一瞬。教師としての生活を踏み出したばかりの彼女には、そんな不安を突き詰めていく余裕など無かった。
 頑張ろう!
 もう一度気を引き締めて、佑子はもう間近に迫った校門へと足を速めていった。



                              2010/12/04

佑子・露出成就(13)




 国道沿いのバス停に止まった車から、佑子は降りた。
「じゃあ、いいね?」
 山西が尋ねる。少し心配そうな顔。佑子はそれに笑顔で答える。少し歪んだ緊張した笑顔。
 ドアを閉める。そっと周りを見回す。
 国道沿いとは言え、この辺は倉庫街になっていて、夜も十二時近いこの時間では人通りはない。歩道の上に立って、佑子は前方を見る。十メートルほど先に、信号と横断歩道があった。
「はぁ……」
 深く息を吐いて、佑子はその信号に向けて歩道を歩き始めた。同時に、山西の乗った車が発進し、前方に走り去っていく。
 もう後戻りは出来なかった。先に進むしかない。佑子はそっと自分の身体を抱き締めた。寒い。四月の夜風は、まだ春とはいえないくらい冷たい。肌に鳥肌が立っていた。佑子は手のひらでその肌を摩る。腕を、肩を、脇腹を、お腹を、胸元を。身体が震えている。
 背後から目映い光が近づいてくるのがわかった。国道を走る車だ。佑子の身体が戦く。だが、もうどうしようもない。服は、すべて走り去った山西の車の中なのだ。今彼女が身に付けているのは、アスファルトの歩道を踏む白いパンプスだけ。手で胸と股間を隠すことしか今の彼女には出来ない。佑子は車道際に並んだ街路樹に寄り添い、その陰に身を隠そうとする。だが、高さ三メートルほどの小さな樹は、彼女の身体を覆うにはあまりにも小さすぎる。
 光は、あっという間に佑子を追い越していった。白い乗用車。全くスピードを落とさなかったその車のドライバーが果たして佑子の事に気付いたのかどうか、それはわからなかった。だが、はっきりしていることはある。あの車が最後の一台というわけではないだろうと言うことだ。
「はぁっ……」
 佑子は大きく息をする。今の一瞬自分が息を止めていたことに気がついた。街路樹の陰から踏み出し、再び歩き出す。
 身体の震えが増す。まだ始まったばかりだというのに、膝が笑ってまっすぐ歩けない。
 目の前に信号が近づいていた。佑子は視線を目的地に向ける。横断歩道で片側二車線の国道を渡った反対側のバス停。Uターンしてそこへやってくるはずの山西の車の姿はまだ見えない。
 夜風が剥き出しの素肌を嬲る。寒かったが、それを意識するだけの余裕が今の佑子には無かった。
 国道を横断する歩行者信号は今赤になっている。横断歩道の前まで進んで、佑子は立ち止まり、前を見る。横断歩道は二十メートルくらいの長さだろうか。ゆっくり渡っても二十秒もかからないだろう。
 また車が来る。今度は反対車線。信号の脇で身を縮めている彼女の姿に気付いた様子もなく、あっという間に走り去っていく。
 はやく!
 赤く輝く歩行者信号を見つめて佑子は願った。車の流れは途切れている。今信号が変われば、すぐに向こうへ渡ることが出来る。
 車道の信号が黄色になる。佑子は大きく息を吐いた。いよいよだ。思った瞬間、近づいてくるライトの光に気がついた。背後から、それも歩道よりの左車線を走ってくる。
 反射的に、佑子は横断歩道の前から、後ろへ逃げていた。何かの会社らしい建物の前、五台ぐらいの駐車スペースと社名の看板があった。その看板の陰に素早く身を隠す。
 赤信号で、車が止まる。二台の乗用車。佑子の位置から、その助手席に乗った若い男の顔がはっきりと見えた。
 佑子は息を呑んで男の顔を見つめた。その男がもし横の歩道の方に目をこらせば、そこに小さな看板の陰で震えている女体を見つけることができたろう。
 こっちを見ないで。
 そう心の中で叫ぶ。緊張の中、胸を隠した右腕、左の乳房を覆った手のひらに力が入る。
「あっ…んっ……」
 佑子の唇から吐息が溢れる。膝が崩れそうになるほどの快感が背筋を走る。発信源はギュッと乳房を抑えた手のひらの中心を押す硬く尖った乳首だった。 
「あっ、あぁ……」
 車の男の顔に目を据えたまま、佑子は喘ぎを漏らしていた。
 お願い、こっちに向かないで。
 そう思いながら、乳房の上の手のひらが動いていた。
 きゅっ、きゅっ、音がしそうな程に、小さな手のひらでは覆いきれないその膨らみを揉みしだくと、快感と共に乳首がさらに硬くなっていき、勃起した乳首はさらに敏感になって更なる快感をもたらしてくる。
 もし、こんなところを見られたら。
 そう考えると、羞恥と恐れが胸を詰まらせる。だが、手の動きは止まらない。それどころかさらに卑猥に膨らみを蹂躙し、指の隙間からは淡い乳暈や乳首がちらちらと覗いていた。
 歩行者信号が点滅していた。もうじき信号が変わる。佑子の喉が鳴った。
 お願い……。
 車の男を見つめる瞳が細く絞られる。指が、手のひらの下から飛び出した乳首をなぞる。
「あぅっ!」
 闇の中で裸身が痙攣した。こんなところで、駄目だ。気付かれてしまう。そう頭の中で考えも、淫らな指は、優しく乳首を撫でる事をやめられなかった。
 信号が変わる。そして、停止していた二台の車は、あっけないほどあっさりとそのまま走り去っていった。
 大きく息を吐きながら、佑子は看板の陰から歩道に歩み出る。その足がふらついている。右手の人差し指と親指が、左の乳首を優しく摘みあげて、上下に撫でさすり続けていた。 こんな、いやらしい……。
 そう思いながらも、佑子は股間を隠した左の手のひらに力を込める。中指がクレヴァスの狭間に潜り込む。柔らかな女花弁に挟まれた指がたちまち湛えられていた蜜にまみれていくのがわかった。
 一歩、横断歩道へと歩み寄る。クレヴァスに挟まれた指が動き、佑子の歩みが止まる。
「い、いぃ……」
 食いしばった唇の間から呻きが溢れる。
「はぁぁっ……」
 緩めた唇の間からは甘い喘ぎが零れる。
 右手が左の乳房から離れていく。それまで右腕に隠されていた右の乳房を撫でて、ぐぃっと絞るようにその膨らみを掴む。そして手のひらの間から飛び出した膨らみの先端で、もう充血して突き出した乳首を、指先で摘み上げる。
「あぁぁぁ……」
 深く息を吐きながら、佑子はまた一歩踏み出す。小さな街路樹にもたれかかる。
 光。また車が近づいてくる。それはわかったが、もう佑子は素早く背後に隠れることは出来なかった。足が動かない。
 怯えた目で近づく光を見る。大型のトラック。かなりのスピードで走りすぎる。
 よかった。
 思った瞬間、静かな街に、クラクションの音が響いた。
 佑子の顔が歪む。今のは、もしかして見られたっていう意味なのか。トラックは減速することもなく去っていった。だが、もしかして、気付かれていたのか。
 一瞬止まっていた指が再び動き始める。全身に撃ち響いていく快感の波は、収まることなく連続で佑子の肉体を震わせていた。
 車道の信号が黄色になる。佑子は喉を鳴らして身構えた。今は車はいない。このままなら、向こうに渡ることが出来る。
 遠くから聞こえてくる街の喧騒以外静寂に満ちた夜の国道に、佑子の荒い息づかいが響く。車道の信号が赤になり、同時に歩行者信号が青になった。
 大丈夫だ。佑子はおそるおそる街路樹から身体を離した。横断歩道の白いペイントの上に、そっと白いパンプスを乗せる。瞬間、その部分から電流が流れたかのように、佑子は全身を痙攣させた。
「はぁぁぁ……」
 深く息を吐き出しながら足を踏み出す。佑子の裸身が、遮る物のない広い道路の上へと姿を現していく。
「あぁ、い、急がないと……」
 紅潮した顔で呟きながら、さすがに胸元と股間で淫らに蠢いていた両手を身体から離して、佑子はさらに足を動かした。もうここまで来たら戸惑っている訳にはいかなかった。佑子の目が反対車線のバス停へ向けられる。安堵の吐息が彼女の口から漏れた。山西の車がもうそこに止まっていた。
 大丈夫だ。あとはあそこまで行くだけ。しかし、小走りで行けばほんの数十秒のバス停までの距離が、今の佑子には気の遠くなるほど長く感じた。



to be continue...(next final episode)
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