2007年06月21日
それはただ天より高く
それはただ天より高く
プロローグ
どこまでも広がっていく草原。
歩く度に草と足が擦れ、少し音がする。
金色の髪の女性が草原を駆け抜けていた。
自らの背丈を軽々と越える長弓と、さらに長い槍を背中に抱えている。
彼女の名前はリリィ。
このフランデル大陸での第3次人魔大戦により一気にその名が知れ渡った彼女の実力はかなりのものだ。
第3次人魔大戦は現在のビガプール辺りを中心に行われた。
なのでビガプールのあたりに住むものならば彼女の名前を知らぬものはいない。なぜならビガプールの開拓を援助したのも彼女だったからだ。
「・・・・手紙 ?」
上空を真っ白な鳩が飛び去っていく。
どうせまたいつものことだ。
果たし状
手紙のタイトルに轟々と書かれたそのインクの色は血にも見えた。
「場所は・・・ブルンネンシュティグ 時間は夕刻か・・・」
リリィはゆっくりとしていた歩みを速め、草原を駆け始めた。
雨が、降り始めていた。
END
ひそかに復活してます。BY AIKO