昨年12月のデビュー戦から無敗を続け、
ついに公式戦最多連勝記録の「28」に並んだ

将棋の最年少棋士、藤井聡太四段(14)。
21世紀生まれ初の棋士である藤井四段の
強さの背景には、

人工知能(AI)の活用があるとみられる。
「AI時代の申し子」の快進撃はどこまで続くのか。

 
プロ棋士養成機関「奨励会」時代の強さの源泉は、
その圧倒的な終盤力にあるとみられていた。

難解な詰め将棋を驚異的なスピードで解く
“怪物少年”が愛知県にいるという噂は、
何年も前から羽生善治棋聖らトッププロの間
でも広まっていた。

現にプロも多数参加する詰め将棋の全国大会で
藤井四段は小学6年時から3連覇している。

 
その終盤力に加え、
AIを搭載した将棋ソフトの活用で一段と進化
した序盤力が強さに輪を掛けている。

藤井四段は奨励会三段のときから、
気になる棋譜をAIで分析し、

正確な形勢判断や最善手を探るなどして
対局に生かしているという。

13連勝目で敗れた若手棋士、千田翔太六段(23)も

「藤井四段の指し手にはかなりの程度、AIの
影響がみられる。その強さは、

もともとの棋力の高さに加え、
AIの有効活用にあるのではないか」
と話している。

 
多くの棋士が指摘する最近の藤井四段の特徴は、
その「仕掛けの早さ」にある。

従来の定跡にとらわれず、
桂馬や銀を序盤からどんどん前面に繰り出す
など、先手必勝で自分のペースをつかみ、
そのまま勝ち切る将棋だ。

 最近の将棋事情に詳しい前衆院議員で同志社大学講師、
村上政俊さんは


AIの大きな特徴の一つは、
王将の囲いは最小限にとどめ、
序盤から機先を制して攻め切る
というもの

人間と違い、
王将を取られるという恐怖心のない
AI
ならではの冷徹な戦法だ

が、

藤井四段はこの特徴をうまく自分の中に吸収し、
昇華させている」

と分析。師匠の杉本昌隆七段(48)は
「もともと、序盤・中盤は弱点だったが、

(AIを活用して)
こんなに早く弱点を修正して
強くなるとは思わなかった


と話す。

 
「生まれながらのデジタルネーティブ世代で、
将棋とAIの組み合わせが当たり前の世代
として育った藤井四段だからこそ、

一番巧みにAIを
自分の将棋に生かしている」
と村上さん。

 
今後、強豪との対局が増えていく中で、
「21世紀の将棋」がどこまで輝くか注目される。