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あかべぇのあかべぇたる作品。


G線上の魔王
メーカー:あかべぇそふとつぅ


G線上の魔王 通常版G線上の魔王 通常版
販売元:あかべぇそふとつぅ
発売日:2008-05-29
おすすめ度:4.5
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シナリオ
発売当初は多くの人物が騙されたのではなかろうか。
ありふれていながらも、ミスリードすべくそこそこ伏線を張っていたのは、まあ見事。
ただ穿った見方をするあかべぇ作品既プレイ者は、流石に騙されなかったのではなかろうか。
 
ともあれ、主人公が魔王となって、勇者であるヒロイン、宇佐美ハルと頭脳戦を繰り広げる、という作品。
知能戦といいつつ、それほど描写の中に知的描写はない。
むしろ心理戦といった方が語弊は少ないかもしれない。
 
シナリオは各章に分かれており、それぞれメインとなるヒロインが登場する。
その中でヒロインと恋仲になれば、個別ヒロインEDになり、そのまま進めれば次の章に入る。
最終的に、誰とも恋人になれなければハルと恋人になる、というシナリオへと進む。
そういう訳で若干の分岐要素はあるものの、基本は一本道である。
また各ルートにはBAD END扱いもあり、主人公の情婦になったり、主人公刺し殺したりと、結構波乱万丈である。
 
キャラクタ自体は、甘甘の生活を楽しむのではなく、いつ終わるかもしれない束の間の逢瀬を精一杯楽しむ、というもの。
ヒロインは全体的に前向きだが、若干陰の部分を持っている。
椿姫にしても花音にしても、その辺の描写が結構上手いかな、と。
 
美輪 椿姫
クラスメイト。委員長。真面目。
貧乏だけど仲がいい家族、と主人公とは正反対の境遇。
それゆえ、魔王に目をつけられ、弟が誘拐されるのがメインのシナリオ。
弟の身代金を賭けて、魔王と勇者の攻防戦が肝だが、別にそこまで息もつかせぬ駆け引き、というのはない。
むしろハルがただ単に走り回ってそれをぼーっと眺めているだけ、という印象が強い。
どれだけ人の悪意を受けても、最終的には人の善意を信じる姿に、主人公も心打たれて真人間に。
さらには主人公の養父でヤクザ・オブ・ヤクザの権三ですら、椿姫を認めるという展開が、殺伐としたこの作品の唯一の清涼感だったのではなかろうか。
 
浅井 花音
義妹。養父の愛人の娘。フィギュアスケートの国内トップ選手。
フュギュアスケートの大会で魔王から脅迫が入るのがメインのシナリオ。
その中で母親との確執など、家族間の問題がシナリオの主軸となる。
普段はおちゃらけた天然娘だが、実際は全てを理解しながら、フィギュアに不要である為、わざと興味ないフリをしている。
まあ親がヤクザだったり愛人だったりしてたら、そりゃ自分の境遇に興味なんかなくなるのかも。
ネットの悪意だったり、フィギュアだったりと、元ネタが何となく理解できる話だったのが良かったかも。
当初は天才としてもてはやされながらも、失敗からバッシングを受け、それでも最後に自身のスケートを貫いた演技が良かった。
そして、不当評価をインタビューされた時に、自分はただフィギュアが好きだから、と言い切ったのはなかなかに感動した。
まあ最終的にはまったりと終わるんだけど、他のシナリオに比べて個々で完結している感が強いだけあって、非常に良かったかな、と。
 
白鳥 水羽
クラスメイト。
主人公の実態を知っており、彼を毛嫌いしている。
しかし実は主人公に片思いしており、彼女の親友が水羽を仕掛け、主人公にラブアタックを仕掛ける、という話。
メインの話はこの水羽の親友がネゴシエーション(交渉)の天才で云々、というのをやりたかったのだろうけど、まあ地味な事地味な事。
とにかく絵的にも話的にも盛り上がりに欠けるので、その辺が不満。
さらにシナリオも途中でブツ切り。そして三年後、という感じでシナリオも大幅に進む。
後半のやっつけ感さえなければ、もう少し盛り上がったかな、というところ。
 
宇佐美 ハル
メインヒロインにして主人公。勇者。
ちょっとした言葉端から矛盾点を捉え、相手のミスを誘う、刑事コロンボみたいな人。髪型とかもなんとなく似てる?
メインシナリオだけあり、他シナリオに比べるとボリュームもある。そしてるーすぼーい特有の大どんでん返しが終盤には待ち受けている。
まあほとんどのプレイヤーはその頃には大体気付いているだろうけど、まあその辺の謎が明かされる時のカタルシスが、この手のシナリオの見せ場だろう。
終盤の突飛なさは天井知らずで、やや唐突過ぎた感じ。
あらかじめ説明が不足していたようにも思え、その辺が終盤のシナリオの唐突さにつながったのではないだろうか。
EDへの繋げ方はやはり、というか流石るーすぼーい。ちょっと駆け足感が感じられたが、ライターの魅せたかった部分が感じれて良かったと思う。
 
グラフィック
原画は有葉。あかべぇを語る上で外す事の出来ない御大である。
シナリオにそぐわない絵柄と思ったが、終わってみれば、実質的にはかなりマッチしていたのではなかろうか。
サブキャラの個性的な面々のグラも書き分けられていて良かったかな、と。
個人的には水羽とハルが良かった。椿姫の凡庸なグラも、凡庸なキャラ(失礼)らしくて良かった。
 
音楽
OP曲『Answer』はエロゲ曲の中でもトップクラスの出来だと思う。
シナリオの熱さと陰鬱さを両方兼ね備えた曲ではなかろうか。
その他日常のBGMも、音楽を主題としたゲームらしく、良い出来である。
個人的にはハルのヴァイオリン曲をもう少し欲しかったかな、というところ。
 
総評
話:★★★★★
絵:★★★★★
音:★★★★★
93点
 
やや突飛な部分もあるが、よく練られたシナリオだと感じた。
終盤の足早感があるものの、それに至るまでの過程はまあまあ描かれているので、シナリオとしてはまあまあ良かった。
魔王と勇者の設定など、舞台装置以上の展開は見せなかったが、それでも上手く舞台構築できたかな、という印象が強い。
以後重大なネタバレ多数の為、未プレイの方は回避推奨。
 
 
〜ネタバレゾーン〜
結局、主人公の兄が魔王で、主人公がそれまで魘されていた一種の夢遊病的な描写は、単なるミスリードを誘うものでしかなかったが、少し前面に出しすぎたかな。
もう少し臭わす程度でも、ミスリードになったと思うし、出しすぎたせいで、少し穿った見方をしてしまい、兄の登場で結構分かりやすかったと思う。
また作中の、
「君が勇者なら僕は……」
という言葉が何度か登場するが、ここでもミスリードとして、恐らく「魔王になる」と続くと予想出来るのだが、実際は、「勇者の仲間になる」と続く訳である。
語呂も悪いし、意味も分かりにくいので、この部分は結構苦渋の選択だったのではなかろうか。
 
終盤の都市襲撃部分もヤリスギ感も漂うものの、シナリオ上必要だったので、まあよし。
ただそれに到る過程が少なかったかな、と。
魔王がなぜ事件を起こしたかは語られるものの、それに対する動機付けが弱い。
まあ政治ネタになってくるので、この辺は当人感情でなければ理解しにくい部分もあるので仕方ないのかもしれない。
 
話の主軸として、殺人の被害者、加害者の家族に対する焦点だろう。
主人公もハルも、殺人事件の関係者の子供で、その因果のまま、シナリオに繋がっている。
結局、主人公は自信が罪を背負う事で、殺人の肯定から始まり、出所後にハルとの間の子供――自分が殺人者の子供であるように、子供もまた殺人者の子供である事に気付き、殺人の否定へと帰結していく。
〜ネタバレ終了〜
 
とまあ長々と書いてきたが、とりあえずハルのうざ可愛さが良かった。
初詣にジャージで行くとかもグラの関係上仕方ないのかもしれないが、むしろハルならそれでいいや、とも思える。
サブヒロイン、メインヒロインともども、魅力的かつ個性的で、キャラ設定が上手いなぁ、と思わされた。
ただ一つ苦言を呈するなら、ヒロイン間の関わりをもう少し書いてもらいたかったかな。
ハル√終盤で、留置されている主人公の所にヒロインズがやってくるが、この辺のつながりが少し薄いように思える。
キャラクタ間の描写をもう少し描けたなら、傑作と呼んでも差し支えなかったと思う。