たまには古いゲームでも。


大悪司
メーカー:アリスソフト


大悪司 廉価版大悪司 廉価版
アリスソフト(2006-05-26)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
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シナリオ
私はあまりゲーム性の強いゲームはプレイしない。
理由としては、一つのゲームに時間をかける事に興味がないからだ。
若い頃はいざ知らず、歳を取って来るとゲームにかける時間もなくなるし、とりあえず崩さなきゃ、という意思が強くなってくるので、あっさり終わる単純な萌えゲー、ADVに走り、RPGやSLGには興味がなくなってくる。
ただ、そんな中、唯一、完全攻略を果たしたSLGがある。
それが本作、大悪司である。

作品は最早言わずもがな、アリスソフトの代表作と呼んでも過言ではない作品と言える。
鬼畜王ランス以来、国取りSLGに力を入れてきたアリスの、真骨頂と言えるシステム周りはまさに圧巻。
古い作品ではあるが、それでも現状でコレを超えるシステムのゲームは他に知らない。
SLGというのは、どうしても複雑になりがちで、一見さんお断りといった風潮がある。
細かいメーターやフェイズ毎のしなければいけない事など、やる事が膨大で、そのくせ時間は有限で。
無論、大悪司もやる事は多く、時間は有限なのだが、それが上手い具合に調整されている。
初めてクリアした時は、この難易度に感動したほどである。
ゲーム性の強いゲームの一番の難点は、やはりバランス調整だろう。
大抵のゲームの場合、序盤が難しく、しかしある程度進むと一気にゴリ押しゲーになる、というのはよくある話。
しかし本作は序盤からラストまで、一定の難易度で進む。
無論、慣れれば後半はある程度作業感で進める事になるが、そんなのはどのゲームでもすべからく同じ。
それでもプレイスタイルによっては、慣れても難しくなる事もあるし、また周回プレイを前提に考えられた設定はお見事と言うしか他ない。

例えば最近で言うと『戦極姫2』などが似たようなSLGに入ってくるだろうが、大悪司に比べると、とにかく覚える事が多い。
最初からキャラが多く、チュートリアル的要素が少ないので、序盤から色々と考える必要があるし、キャラ毎の配置や能力も理解する必要がある。
その点、本作はほとんど直感でやってても大抵何とかなるし、最悪、悪司とあと一人くらい強いキャラがいればどうにかなってくる。
面倒だったら敵の捕獲を諦めて、とにかくぶっ殺していれば、大体は勝てるし、別段悩む部分もない。もちろん、その場合は後半で面倒だけども。
この辺の簡素化が、SLGに不慣れな私でも最後まで出来た一番の要因だろう。

そういったバランス調整の妙こそ、本作の肝であろう。
で、シナリオはと言うと、これまた絶妙。
まあシナリオなんて正直なところ、スパイス程度でしかないんだけど、世界観や設定など、細かいところもきちんと考えられている。
終盤が少し足早だが、まあそんな部分は気にする必要はない。
序盤の組抗争、中盤の地域抗争、そして終盤の敵国との決戦。
さらにヒロイン毎にシナリオは変化し、周回プレイでも変化し、ラスボスが変わったりと、とにかく毎度毎度飽きさせない展開。
こういうSLGで周回プレイがあると、途中でどうしてもダレてしまうのだが、そういう事がなく、全ヒロイン攻略し、さらに一発まで倒してしまった。
一つのエロゲにここまで時間をかけたのは、コレが多分最初で恐らく最後になるだろう。

グラフィック
原画は複数。
とにかくキャラが多い。
そして実に個性的。個性的というか奇抜。
だがこれだけキャラが用意出来た点こそ、真に評価すべきところ。
キャラが多いだけに、一人ひとりは浅くなってしまってはいるが、まあそれは仕方のない部分。
それでも、十分に濃い部分もあるし、全キャラのCGを集めようとすれば、本当に膨大な時間が必要になるだろう。

音楽
BGMやSE関連は悪くない。
音声はないので、その辺は評価出来ないが、まあなくてもこれだけキャラに個性を出せるんだから、やはりテキストというかライターの腕次第だろう。
基本的にはBGMは空気程度で、ゲーム性を損なうものでもなく、それを高めるような曲でもない。あくまで空気。

総評
話:★★★★★
絵:★★★★☆
音:★★★★☆
90点

今更こんな古いゲームのレビューなんて……と思ったが、まあ書くゲームがないので、とりあえず古いゲームでも、という感じ。
それでも最近のゲームより詳細に覚えている辺り、作品の質を感じるところである。
本作はあくまでSLGなので、シナリオゲーのような評価は不必要。ここではゲーム性のみを論じるものとする。

上記でも散々挙げたように、ゲームバランスは数あるSLGでピカイチである。
同ブランドの『大番長』『戦国ランス』に比べても、完成度としては大悪司の方が上だと私自身は思っている。
シナリオ的には陵辱シチュが少なく、全体的に主人公側に正義が強い大番長の方が好きなのだが、やや大悪司に比べると大味で、薄くなっている印象が強い。
戦国ランスは逆に、色々な点が強められており、ゲーム性も少し複雑になっている点がある。
まあ最後は好みの一言で片付けられるのだが、戦国ランスに比べると、大悪司の方がバランス的には優れていると思う。

ある程度慣れてくるとキャラがパターン化しやすいSLGだが、敵勢力を変更出来たりと、色々と周回プレイを想定して変化をつけている点も素敵。
まあそうは言っても、やっぱり使うキャラは固定化されるんだけども。
それでも弱いキャラでも何かしら使い道があったりするし、ただ戦うだけではなく、使い方ではイベントも多数用意されている。
全てのイベントをこなすのは、それこそ膨大な時間が必要になるだろうが、それでもやりたいと思わせる魅力があるのは見事。

老舗ブランド、アリスの底力といえる、渾身の一作といえる。