共通ルートは神。


シュクレ
メーカー:戯画


シュクレ〜sweet and charming time for you〜 初回版シュクレ〜sweet and charming time for you〜 初回版
販売元:ギガ
(2011-09-22)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る



シナリオ
働いていた飲食店が潰れてしまった主人公が、かつて馴染みだった店に働くことになり、その店を再建させていく、というのが大まかなストーリー。
『ショコラ』『パルフェ』シリーズとは、似たコンセプトではあるが、世界観は繋がっていない模様。
また、旧作がどちらかというとメイド喫茶ぽい作りであったのに対し、本作は飲食の経営の部分に主軸を起き、軽喫茶としての本質的な部分は大きい。

物語の進み的には、軽喫茶である『リバーライト』を再び繁盛させる、というのを目標に頑張っていく。
まあ一朝一夕では中々好転しないものの、試行錯誤を繰り返して経営を続けていく、というのは中々によかったのではないだろうか。
若干、ご都合主義的な面も多いが、まあそれは仕方のない話である。
また、『リバーサイド』の買収問題も加わり、ライバル店(というよりは大型チェーン店)の妨害工作も加熱する!
と思いきや、実のところ、買収工作に関しては、特に何の進展もない。
最終的に、相手がなぜ買収しようとしていたか、というのが明らかになるので、その辺はしゃーないかな、と思わないでもないが、もっと露骨な妨害工作があると思っていたので、若干の肩透かしである。
共通パートは、この買収問題が一区切りとして解決したところまで。
クリスマスイベントを終え、そっから個別に分かれていく感じ。

『パルフェ』の続編であるから、否応無しに高いハードルがあったものの、まあそつなくこなした、という印象。
逆に言えば、及第点でしかなく、合格点には程遠いかもしれない。
基本、共通パートでほとんどの問題は終わってしまっており、個別に入ると、各ヒロインの問題解決に動くのだが、これが結構微妙なところ。
ヒロインによっては、「はぁ?なんでそうなるねん」と、首を傾げるようなシナリオもある。
少なくとも、『パルフェ』において、緻密なプロットを見せつけた丸戸氏とは、流石に雲泥の差、といったところであろう。
私自身、丸戸氏の文章はそれほど好きではないのですが、似たような題材で比べると、一目瞭然だなぁ、という感じ。
まあ厳密に言えば、本作は『パルフェ』とは何ら関わりのない作品らしいのですが、似たようなタイトル、似たような設定をつけている以上、全く別物である、という逃げ口上はいかがなものか。

亜麻川 千鶴(CV:雪村とあ)
『リバーライト』の店長兼オーナー。
父の残した店を健気に続ける孝行娘……のようでいて、諸悪の根源でもある。
天然というよりは無知。
メインヒロインでありながら、本作では一番の意味不明なラストを迎える。
細かい点については後述する。
ロリキャラのようでいて、実は主人公より年上。
しかし芽衣夏との関係性が気になるところ。結構年離れてるが、どういう関係なんだろうか。

茨木 愛(CV:中家志穂)
主人公の後輩。主人公に誘われ、店でバイトすることに。
祖父が喫茶店をやっていた事もあり、コーヒーや酒の知識は強い。
無愛想で基本的には主人公にしかなつかない難儀なヤツ。
個別では、実は大学時代に主人公と……という、過去ネタ。
ヤンデレというか、ウザイ系キャラなので、評価の分かれるところ。
ラストはやたらと綺麗にまとめていく。

綾月 芽衣夏(CV:桜川未央)
近所のケーキ屋の一人娘。千鶴の友人。
突然現れた主人公を最初は警戒していたが、次第に心許していく、いわゆるツンデレ展開に。
いつの間にか店でバイトしてたりする、ケーキ仕入れ担当。
個別では、ケーキの修行で5年ほど行かなければいけない、とか云々をやる話。
こういう、離れる離れないの話は、正解が無いので、どういうオチを迎えるかが中々に悩みどころだが、まあそれなりにサッパリとできたのではないだろうか。

五十鈴 咲夜子(CV:かわしまりの)
主人公の大学時代の先輩。
『リバーライト』の常連らしく、ちょくちょく顔を見せる。
実は買収相手である大手レストランの店長だったり、企業本家の娘だったりと、色々とある。
当初は買収工作の担当者として動いていたものの、なんか知らんがいつの間にか仲間になるという展開に。
個別に入ると、家を継ぎたくないだの何だの、降って湧いたような話になる。
最終的にはサブキャラであるオカマ無双になるので、サブキャラ好きにはたまらないかもしれない。

日下部 みはる(CV:藤森ゆき奈)
主人公の幼馴染。現在ルームシェアしている。ヒモともいう。
幼馴染というより、親にネグレクトされてた主人公を育ててくれた恩人一家の娘であり、姉妹みたいなもの。
基本的には、近くの会社でOLをやっており、たまに店で食事をしていく。
個別√では、全キャラでもトップクラスの意味不明な話になるので要注意。

グラフィック
原画はねこにゃんchoco chip白羽奈尾
戯画らしい、というふんわりとした言葉で濁しておこう。
まあ悪くない。
エロシーンもそれなりにあり、そこそこにボリュームもある。
ただし、みはるのOL制服エッチがなかった、それが残念である。

音楽

OP曲はKOTOKOの歌う『Thyme』
KOTOKOは『パルフェ』から続投か。
これまた戯画らしい曲、という言葉で濁しておこう。
いや、別に悪いとかではないんだけども。
声に関しては、まあフツー。
特に違和感のあるキャラもいなかったのでよかったんじゃなかろうか。
愛の声が、結構好きかも。

総評
話:★★★★☆
絵:★★★★★
音:★★★★☆
73点

無難にまとめてきた、というのが印象。
尖った部分は少なく、まろやかに煮込みました、という料理である。
共通部分はキャラ同士の繋がりも面白く、中々に楽しめた。
正直なところ、共通だけで見れば、かなりの良作と呼べる。
共通部分だけは。

個別に入ると失速するものの、キャラによっては、それなりに楽しめる。
芽衣夏なんて、テンプレ的なシナリオだけど、まあ王道だけに味のある話だったし。
ラストの展開はちょい蛇足というか拙速というか、まあそんな感じだけど。
その他のキャラも大なり小なり、おかしな部分はあるが、まあ良く出来ていたんじゃないかな。
千鶴以外は。

とにかく、千鶴シナリオが歪すぎる。
一度、千鶴シナリオを書いたライターとは、酒を交えながらじっくりと語ってみたいものだ。
一体全体、何をどうなれば、これをハッピーエンドとのたまうのだろうか。
具体的に書くと、千鶴は体が弱いらしい。
そんな設定、最初の方には出て来なかったが、個別に入ると唐突に出てくるので、まあ虚弱なのだろう。
で、話によると、治療すれば治るかもしれないけど、体力が低下して、店には出れなくなる、という話。
それを聞いた千鶴は、「じゃあ店に出ます」という、無茶な暴論引っさげて現れる。
ちょっと待ておまいさん。
なんで働いたら死ぬ、とまで言われて働こうとするかなぁ。
しかもそれを知った主人公、「千鶴さんは頑固だからなぁ」とか言い出して容認する。
待て待て。縄でくくりつけても止めるところちゃうんかい。
最終的には、千鶴の爺さんに、「結婚して二人で生きていくから大丈夫」とか言い出す始末。
いやいや、それもちゃうやろ。
結婚しようがどうしようが、働いたらあかんねん。
そんなん、小学生でも分かる理屈やねん。
しかし千鶴には分からないし、主人公にも分からないのだった。

結果的にEDでは、子供がいるが、千鶴はいない……というミスリードのようで、実は生きてましたーというトリックを使ってくる。
しかし主人公の独白によると、千鶴は今度入院すればダメかもしれない、というレベルに達しているらしい。
「それでも彼女の笑顔を守る為に、店で働くのは仕方ないよな」
完。

というお話。
もうこいつら全員、脳が膿んでいるとしか思えない。
千鶴なんて、同じように母親を早くに亡くしているやん。
なのになんでその悲しみを、自分の娘にも与えようとしているのか、理解出来ない。
そして、自分の妻が死ぬかもしれない、という時にのんびりと待っている主人公の気が知れない。

この主人公の考え方は、実のところ、彼の嫌っている父親と一緒ではないだろうか。
主人公の父親は、会社の為に家族を顧みず、結果的に家庭が崩壊し、主人公の育児放棄を行ったクソ人間である。
にも関わらず、自分が社会の為に働いていると錯覚しちゃうような、本当のクソ野郎である。
そんな父親を毛嫌いしている主人公ではあるが、店の為に千鶴を犠牲にしようとしている行為の、はたしてどこが違うというのか。
「千鶴がそれを望んでいるから」というお題目があるのかもしれないが、人の命ってそんなに軽いものちゃうやん?としか言えない。
千鶴が望んでるから死ぬのも止むなし、ではいかんだろ。

つーか、大将も生きてたら店の存続よりも千鶴の命を優先すると思うんだけど、違うんか?
大将も結局、店の為なら死ぬのも厭わないような、そんなクソ野郎なのだろうか。