デジカメ日記



社会福祉法人南高愛隣会では、
子供からお年寄りまで
「最も生きる力の弱い人が地域の中で安心して暮らせる社会」を目指し
いろいろな福祉サービスの支援を行っています。

2010年12月

精神保健実践研修会が開催されました。

12/22(水)、精神保健実践研修会が開催されました。

第6回目となる今回は,NHKの番組の中で福祉ネットワークで放送されたNPO法人「ハートinハートなんぐん市場」の実例見せていただきました。内容として愛南町は人口26,400人で深刻な過疎化高齢化の問題をかかえていましたが、地域住民と力を合わせて「障がいのある、なし、に関わらずみんなが生き生きと共に働ける場をつくろう」と取り組み、町興しという共通の目的に向かって心をひとつにして動いていることに感動しました。また地域の皆さんと協働しながら事業運営を行っていることを学ばさせて頂きました。当初、障がい者さんとの付き合いにとまどいを感じていた住民の方が、あたらずさわらずだったが純粋な利用者さんと接することで自分の子供みたいな関係になったと言われていました。私自身小出憩いの里温泉へ行ってみたいと思いました。

諫早も後10年たったら人が減り、子供の数がどんどん少なくなっていくと統計がでたと言われておりましたが、私自身が住んでいる地域の連携をどんどん広めて生かなければならないことを学びました。

最後に山下所長の『チームワーク・フットワーク・ネットワーク』の合言葉・・・とても元気をいただきました。足並みを軽く以下に早く困っている人を助けて生きたいと思います。本日の研修に参加させていただきましてありがとうございました。(GH・CH県央西 寺側)

101229_精神保健実践研修会_02101229_精神保健実践研修会_01

戦場ジャーナリスト常岡浩介氏による講演会

101223_常岡さん講演会_0112月23日(木・祝)、故郷でもある長崎県島原で、常岡浩介氏による講演会「アフガニスタン誘拐事件の真相:戦場での取材と、死と隣り合わせで過ごした157日間の壮絶な体験とアフガニスタンの今」が開かれました。約600名の聴衆が、平素の生活の中で接することは、恐らくないであろう世界の出来事とその意味に熱心に耳を傾けていました。

101223_常岡さん講演会_02講演会は、島原復興アリーナにて、主催者である田島理事長のご挨拶から始まりました。常岡家とは、長年の家族ぐるみのお付き合いがあると言われた理事長は、常岡氏や彼のお兄さんの幼少時代を回顧しつつ、氏が高校時代に学内での新聞づくりや記事掲載を盛んに行っており、ジャーナリストとしての素質がそのころから既にあったのでは、というエピソードを披露しました。
また、ジャーナリストと医師という職業の違いはあるものの、いかに常岡氏が父譲りの情熱家であるか、そして、世界の報道業界で有名であると同時に、ジャーナリストの間で厚い信頼とサポートを得ている事、日本ではあまり報道されない世界の情勢に精通している事などを、紹介されました。最後に理事長は、このようなたぐいまれな講演を聴いて、世界平和の為に、日本にそして我々に、何ができるか自問してみましょうと喚起されました。

101223_常岡さん講演会_03さて、講演が始まり、常岡氏は最初、地元のみならず、日本の皆さんにご心配をおかけしたことを詫び、誘拐事件の発端や経緯を地図や資料を用いながら、聴衆に説明しました。地理的に言って“向こう三軒両隣”的な日本の新聞報道や、世界の時勢を無視したテレビの過度な芸能人関連の“ニュース”に懸念を示しつつ、日本のメデイアが報道しないアフガニスタンの今を語りました。講演は、内容が盛りだくさんで、普段聞きなれない地名や人名などの固有名詞も多々ありましたが、最後の質疑応答からも感じられたように、聴衆の関心は確かなものだったようです。

ここに講演の内容をできるだけ網羅するとすれば、常岡氏は、アフガニスタンの世界での政治的位置づけや、日本独自のアフガニスタン国内の和平交渉のための外交政策や具体的なアクション、アメリカのアフガニスタン政策と援助、アルカイダとタリバン・イスラム党(ヒズビ・イスラミ)の相互関係、カルザイ大統領と国内反勢力など、現場を知り尽くしたジャーナリストだからこそ伝えられる内容が盛り込まれていました。

さらには、講演は、常岡氏が大学生だった1993年頃、どのようなきっかけを経てアフガニスタン取材を始めるようになったか、ついには、今回の誘拐事件の発端と解放までの経緯や、その後伝えられた事件に関する誤報を含む報道記事についても及びました。そして、常岡氏はこの誘拐事件の真相の究明が、究極的には、日本政府のカルザイ大統領府への支援との関連性や、現在未確認であるところの(反)勢力によって常岡氏の拘束ケースとほぼ同じ地区で今拘束されているオランダ人2名の解放へとつながる可能性など、講演は日常を超える領域へと広がりました。

ここではスペースの制約からすべてを列挙できませんが、まさに、最初に田島理事長が言われた、“私たちに何ができるのか?”を考えさせられる講演会だったと思います。(鯉川)

お歳暮ギフトセール お礼

お歳暮ギフトセールお礼今年も残り少なくなりました。
さて冬のセールにつきましては、皆様のご協力ありがとうございました。
おかげさまで売上目標を達成することが出来ました。
また来年もよろしくお願いいたします。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げお礼申し上げます。

(コロニーエンタープライズ一同)

日本縦断トリエステ精神保健講演会での募金について

11月21日に開催しました日本縦断トリエステ精神保健講演会で、会場の皆様より56,015円の募金をいただきました。心よりお礼を申し上げます。

この募金は、会場使用料、看板代、講師宿泊費、講演会案内の郵送料等に全額を充当させていただきましたので、ご報告いたします。

ありがとうございました。

日本縦断トリエステ精神保健講演会(長崎会場)−4

101121 トリエステ_05○「自由こそ治療だ」マリアグラツィア・ジャンニケッダ氏
フランコ・バザーリア記念財団理事長、サッサリ大学教授、社会学者、WHO精神保健アドバイザー。1970年代を社会学者としてトリエステ県立病院内で働く。イタリア改革の生き字引、あだ名は「バザーリアの娘」。

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トリエステの病院の壁に「自由こそ治療だ」という言葉が描かれています。描いたのは絵画の教習をしていた画家のウーゴ・ガリアーノです。この「自由」そして「人権の尊重」ということが治療の根本条件になければ、病気を完全に治癒することはできず、そしてそれこそがまさに精神病院を閉鎖しなければならない理由であります。
このような視点を私が持てたのは、私が精神病を診る訓練を受けていたわけではなく、法律と社会学を勉強していたからだと思います。

「人権の尊重」ということは、いかなる治療においても、強制収容所や極貧という状況に置かれていても、彼らを私達と同じ一人の人間として認識することです。もしこの自覚を持たなければ、「人権」はこれまでのアメリカやヨーロッパがそうであったように、迫害や不平等を作り出す道具の一つとなってしまいます。
しかし、「権利」を例外のものとして、監視をしながら治療をしているという、病院の皮をかぶった「監獄」がフランコ・バザーリアの見た精神病院の姿でした。

フランコ・バザーリア達が選んだのは精神病院の患者の「人権」を例外とするものではなく、彼らの「人権」と「治療法」を両立する道でした。そして、(1) 精神病院に代わり、地域精神保健サービスというよいものを発案したこと、(2) 専門家を中心にして、当事者や家族を巻き込みながら、患者を対象から主体に変えていくことを行いました。後者は、処置の対象となってしまう人を主体にすることであり、精神保健だけでなく、福祉や医療、障がいという分野においても有効になるのではないかと思います。

イタリアの教訓となるのは大衆を巻き込む重要性です。バザーリアは自分が院長を務める病院に有名な写真家を招いてその現状を撮影させ、自分でもコメントをつけて『階級に貶められて死にゆくこと』という写真集を出版しました。マニコミオ(精神病院)の実態があらわになり、他の精神科医から恨まれる事態になりましたが、40年以上もベストセラーとなっています。

イタリアでは「汚れた衣服は家で洗え」ということわざがあります。やっかいなものは家の中で処理しろという意味です。しかし、汚れたものはみんなで一緒に洗濯し、平和な世界を作りましょう。

日本縦断トリエステ精神保健講演会(長崎会場)−3

101121 トリエステ_04○ 「我々はなぜ精神病院を閉鎖したのか」トッマーゾ・ロザーヴィオ氏
 バザーリアの愛弟子の精神科医。ローマ大学哲学科客員教授。トリエステ県立病院の歴史的閉鎖作業を担う。ローマの巨大マニコミオ閉鎖プロジェクトで最高責任者。

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マニコミオ(精神病院)での収容は、精神障がいを治療できないだけでなく、逆に滞在することで症状の慢性化や悪化を引き起こすことが実証され、経済的にも社会に対して高額の負担となることが明らかになっていました。精神病院の閉鎖のためには、(1)「脱施設化」による施設の変化、(2)患者を放棄しないこと、(3)地域サービス網の構築、(4)新しい社会的政策の確立、(5)新しい「治療」という概念への刺激が必要になります。

(1) 「脱施設化」による施設の変化ということですが、長年収容されていた患者を別の病院に連れていけばよいというのではありません。精神病院という施設の中で、精神科医と患者との間に作られていった、「支配」と「被支配」という制度的なものも変えていく必要があります。

(2) 患者を放棄しないことですが、精神病院の解体した結果、アメリカのカリフォルニア州で見られたように、退院した患者が路上や家族、新しい隔離施設へ放棄されるということであってはいけません。収容と放棄というのは同じメダルの両面と考えます。

(3) 地域サービス網の構築ですが、病気の各段階や患者の異なった要求に正確に答えることのできる、無料のネットワークを構築する必要があります。24時間365日オープンし精神科医や看護婦等が勤務する「地域精神保健サービスセンター」を中心に、緊急の措置が必要な場合等に対応できる短期入院用の「精神医療サービス」、日中にリハビリや職業訓練を行う「デイセンター」、4〜6人が暮らす共同住宅である「居住用レジデンス」、営利を目的としない働く場である「社会協同組合」(社会的に不利な立場の人々のための就職生活協同組合)というネットワークが構築されました。

 (4) 新しい社会政策の確立については、国と地方自治体からの法律や法令、財政面から具体的な推進力をもたせると共に、精神障がい者に対しての新たな文化的教養を助長する必要もあります。

(5) 新しい「治療」という概念についてですが、イタリアでは「治療する」という表現を「人のお世話をする」という表現に置き換えています。単なる言葉の言い換えではありません。「治療」とは病気そのものに焦点をあてていますが、「人のお世話をする」ということは、人間関係や過去の歴史を含めたものの修復が必要になります。つまり精神医学から精神保健への転換がなされるのです。

日本縦断トリエステ精神保健講演会(長崎会場)−2

101121 トリエステ_03○ 「家族の『重荷』をどう乗り越えたのか」 ジゼッラ・トリンカス氏
イタリア家族会連合会長。統合失調症の姉が長年収容されていたマニコミオに代わる地域精神保健福祉サービスの構築に尽力される。サルデーニャ州精神保健改革の立役者。

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私が初めて精神病院に足を踏み入れたのは、姉のアントニエッタが入院した病院を訪ねた22歳の時でした。数年前からうつ状態にあった姉は、特に母親と対立的になり、医師に噛み付いたことから病院に収容されました。そこは惨めな恐怖を感じさせる地獄のような場所でした。姉はここから出してほしいと頼みましたが、助けられる人は誰もおらず、退院しても再び収容されました。
180号法が施行されても、その後の数年が私達家族にとって最もきつい期間でした。病院から退院したものの、それを支えるサービスが地域にはなかったからです。何かをしなければいけないが、何をすればよいか分からなかった私に、ある人がバザーリアのことを話してくれたのを機に、1986年にサルデーニャ州に家族会を作り、他の家族会と連携をとることを決意しました。家族会連合会の構築は長期に渡る事業でしたが、当初は9つだった家族会は170の家族会へとつながってきました。現在その大半は女性によって運営されています。
私達がすべきことは、(1)イタリア全土の「地域精神保健サービスセンター」を365日24時間オープンにすること、(2)すべての人に個別の治療の過程を提供すること、(3)所得と労働の機会が与えられること、(4)小規模な家と支援の可能性を持つこと、(5)社会生活から除外されないこと、(6)家族の自立性が保たれること、(7)司法精神病院の閉鎖に向けて前進すること、(8)ベッドへの拘束、部屋に鍵をかけて閉じ込める等の人権の侵害に立ち向かうことです。
ベッドに縛りつけることを保健サービスと捉え、そのままで人生の最期を迎えることを受け入れることは出来ません。治療と回復のポイントは「住まい」です。姉のアントニエッタは、私達の家族会が15年前にオープンした小規模の住宅に7人の仲間と住んでいます。適切な薬剤と「地域精神保健サービスセンター」からの定期的な訪問によって、他人との関係も改善しました。
美しい国・日本の現実を私は知りません。しかし大切な人のために、最善を尽くしたいと思っていることは確実でしょう。私達は力強く決然として、前に進むことはできます。なぜなら私達は1人ではないからです。

日本縦断トリエステ精神保健講演会(長崎会場)−1

101121 トリエステ_0111月21日(日)、諫早市民センターにて、日本縦断トリエステ精神保健講演会「マニコミオをやめたイタリアから日本へ熱いメッセージ」が、家族会や病院関係者ら約300名が集まり行われました。
イタリアは1978年に発令された「180号法」によって全ての「マニコミオ(精神科病院)」を廃止し、地域精神保健サービスに移行しました。この法律の立役者となったのが、トリエステ県の県立サン・ジョヴァンニ病院の院長フランコ・バザーリアでした。病院の全人材を移行したことが、「180号法」の引き金となりました。そのため「180号法」は別名「バザーリア法」と呼ばれています。
今回は、フランコ・バザーリアにゆかりの深い3名が来日し、全国4会場にて縦断講演が行われました。長崎会場はその締めくくりになります。
ブログでは4回にわたり、講演の模様をお伝えします。
尚、2006年の精神保健福祉法改正で「精神病院」は「精神科病院」と呼ぶことになっていますが、今講演では旧法の呼び方で進められました。

○ 「精神病院に頼りすぎるニッポン!」 大熊一夫氏
大熊氏は朝日新聞記者時代、精神病院に潜入入院した体験を発表した『ルポ・精神病棟』以降、ジャーナリストの立場から、日本の精神保健改革に取り組んできた方です。近著には『ルポ 精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本』(岩波書店)があります。

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101121 トリエステ_02日本人は精神病院に依存しすぎる「精神病院病」にかかっています。私も以前はこの病気にかかっており、塀の中を居心地よくしようと、開放病棟内の取材をしていました。その病気が治ったのは、トリエステでの精神科病院解体について取り上げた『自由こそ治療だ』(ジル・シュミット著)という本を読んでからでした。1968年にツアーを組んで現地を訪問し、かつての病棟が幼稚園になっているという、「精神病院のない風景」を見る中で、それは確信に変わりました。
「180号法」の3本柱は、「精神病院を廃止したこと」「精神病院にかわる地域精神保健サービス網を整備したこと」「治療は本人の自由意思のもとで行われると定めたこと」です。
これによって精神病院を新しく造ることも、新しく入院することも、1980年末以降には再入院も禁止されました。一般総合病院内の精神科ベッドは15床を上限とし、それに代わりイタリア全土を154保健区に分け、地域精神保健サービス機関が設置され、予防、治療、リハビリを担うことになりました。イタリアでも強制治療がなくなったわけではありません。ただ、クライシス(危機的)状況以前のコミュニケーションや、強制治療にあたっては二人の医師の判断を重視する等、「自傷他害のおそれ」で有無を言わさず収容される日本とは違う体制がとられています。
しかし24時間365日のオープンが求められる地域精神保健サービスセンターは、全707か所中50か所にとどまっており、イタリアの地域精神保健に取り組む人の間では「まだ我々は勝利していない」と言われています。


精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本
著者:大熊 一夫
岩波書店(2009-10-07)
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ルポ・精神病棟 (朝日文庫 お 2-1)ルポ・精神病棟 (朝日文庫 お 2-1)
著者:大熊 一夫
朝日新聞出版(1981-08)
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自由こそ治療だ―イタリア精神病院解体のレポート自由こそ治療だ―イタリア精神病院解体のレポート
著者:ジル シュミット
社会評論社(2005-12)
販売元:Amazon.co.jp
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厚生労働科学研究(田島班) 第4回合同会議

101203_第4回合同会議_0212月3日(金)、東京・新橋にて厚生労働科学研究(田島班)「触法・被疑者となった高齢・障害者への支援の研究」の第4回合同会議が開かれました。
本研究の対象となるのは、刑が確定し刑務所に入る前の、警察や裁判という「触法・被疑者」と呼ばれる高齢・障がい者です。現在、その特性に応じた福祉的支援体制が不十分な状況にあります。
まず、法律と保健・医療、福祉職が連携した「良質かつ適切な弁護活動」です。捜査員の言う事に誘導されやすく、自分の意見を主張しにくいというハンディキャップを持つ障がい者の捜査や裁判段階での人権擁護の体制は充分にはとられていません。
そして、適性にあった矯正教育も不足しています。障がい者の中には自分が罪を犯したのか、刑務所がどういうところなのかを分からない人もいます。このような人達一般の受刑者と同じ矯正教育をしても、適切な効果が出ず、結果的に「累犯障害者」を産む要因ともなっていました。
「被疑者国選弁護士のサポート事業」と、矯正施設に代わり福祉で更生教育を実施する「地域社会内訓練事業」の2つのモデル事業を実施し、福祉的支援体制を構築することが本研究の目的となっています。

101203_第4回合同会議_04今回の会議では平成22年度の中間報告が行われました。
藤本研究グループと浜井研究グループからは、諸外国における支援体制が報告されました。
アメリカにおけるメンタル・ヘルス・コート、イギリスにおける「適切な成人」等の制度が紹介される中、特に関心を集めたのはイタリアの「矯正処分監督裁判所(TDS)」です。TDSでは確定された刑の適切な執行形態を検討し、それぞれの特性にあった刑が執行されます。「刑罰」の目的を「更生」とするイタリアならではの制度であり、「刑罰」の目的が「応報」とされている日本にも、その考え方を導入すべきではないかという意見が聞かれました。

101203_第4回合同会議_06昨年の司法改革によって、検察に起訴される前の「被疑者」の段階から、国選弁護人がつくようになりました。弁護士によって構成されている荒研究グループからは、起訴前につく被疑者国選弁護人と起訴後につく被告人国選弁護人が、それぞれ一日約200件になっているという現状と共に、特に被疑者国選弁護においては、検察官が起訴するまでの最大22日という短期間の間に障がいに気づけるかという時間的な制約が問題になっており、「チェックリスト」等を含めた司法関係者に障がい者についての啓蒙の必要が課題点としてあがってきました。

101203_第4回合同会議_05松村研究グループからは、岩手県・栃木県・滋賀県・長崎県で実施している「地域社会内訓練事業」のモデル事業について報告がありました。
同事業には、人権擁護の観点から受け入れの可否を決定する「判定委員会」、事業の効果を検証する「検証委員会」、プログラムを開発する「更生プログラム開発委員会」が設定されています。公判中から「判定委員会」につながった事例は4名あり、その内1名に判定委員会から福祉の支援が必要という意見書を提出しました(対象者は執行猶予になりました)。
ただし、弁護士を含め司法関係者に研究の意図が十分に伝わっていない、初公判・即日結審となりやすい軽微な犯罪の支援体制を確立する必要がある等、新しい制度の構築に向けて格闘している現場からの生生しい問題提起もなされました。

101203_第4回合同会議_01「研究を進めれば進めるほど様々な問題点が見えてくる。しかし、地域生活定着支援センターも現在37都道府県で設置され、一年前と比べると明らかに進歩している。事例を一個一個積み重ねて、北海道から沖縄まですべての国民を支えられる仕組みを作っていきたい」という、田島良昭研究代表者の言葉で、第4回会議は終了しました。(松友)

全国地域生活定着支援センター協議会 第1回 現任者スキルアップ研修

12月7日(火)と8日(水)に、滋賀県大津にて全国地域生活定着支援センター協議会主催による、第1回現任者スキルアップ研修が行われました。
研修には、日本全国の地域生活定着支援センターで仕事に携わる現任者約350名が参加しました。そのうち、約100名は定着支援センターの職員で、残りは、北海道から沖縄までの全国の保護観察所、少年院、刑務所、福祉事務所、社会福祉法人などからの参加でした。

第一日目は、同協議会の田島良昭代表理事(社会福祉法人南高愛隣会理事長)の基調講演に始まりました。代表理事はこれまでの全国地域生活定着支援センターの事業化の経緯と今後の展望について語られ、地域生活定着支援センターの仕事に携わる参加者にとっては、ますます士気を鼓舞されるものでした。

101207_08 第1回スキルアップ研修_03そのあと、二つのシンポジウムが行われました。
一つ目は、更生保護施設「雲仙・虹」の前田所長をはじめ、大阪府立砂川厚生福祉センターの脇田康夫課長、NPO北九州ホームレス支援機構の奥田知志理事長が、「触法・被疑者となる障がい者や高齢者をそれぞれの施設で受け入れてみてわかったこと」について発表しました。
二つ目は、「再犯防止・生活支援をどう考えるか?」というテーマのもと、精神科医の本谷研司氏、辻川圭乃弁護士、リーガル・ソーシャル・ワーカーの水藤昌彦氏が、それぞれの視点から発表を行いました。

第一日目の研修の後、交流の機会が設けられ、全国からの参加者たちは親睦を図りながら、連携・協働の意を確かめ合っていました。

第二日目の研修は、長崎県長崎こども・女性・障害者支援センターの大塚俊弘所長の基調講演に始まり、広汎性発達障がい者の社会不適応、非社会的・反社会的行動の理解と地域支援のあり方について学びました。精神科医でもある所長のお話は、医学的・専門的でありながらも福祉の専門家にもわかりやすく、現場に即した講演でした。

101207_08 第1回スキルアップ研修_01その後、長崎、和歌山、大阪、滋賀の地域生活定着支援センターから、今までの支援の実態と課題についての発表があり、それぞれに共通する課題やまた、ユニークな取り組みなどが提供されました。次に、各都道府県からの実践報告があり、意見交換とこれからの課題について話し合いました。質問も多く出て、活発な意見交換の場になっていました。

101207_08 第1回スキルアップ研修_02最後に、田島代表理事は、地域生活定着支援センターの仕事がいかに、重責を伴うか、そしてそれであるからこそ、熱意あふれるスタッフ自身の健康管理を強調されておられました。信頼できるネットワークを築き、一人で抱え込むことなく、常にフォローとバトンタッチを繰り返しながら、がんばっていきましょうと、励ましのお言葉を頂いて閉会となりました。(鯉川)

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