”クリスマス前に会うのは、最後になってしまうから。
午後にでも、家に立ち寄ってもいいかしら。”と電話をして

農家の親戚のお友達であるノエミちゃんの家で
コーヒーとチョコレートを食べながら
彼女の家族とのクリスマス前の楽しい時間を過ごしていました。

冬の夕方 牛舎のある農場で
















その時、ノエミちゃんの暮らす町の自治体から

クリスマスプレゼントとして
その地域の歴史の写真集が届けられました。

さっそく、みんなでそのセピア色の写真集を広げてみます。



そこには、春の田んぼで草取り、田植えをする多くの女性たちが

日中、田んぼで働いている様子
そして仕事後の夜に刺繍をしていたり
歌を歌っている数多くの写真が載せられていました。


あぜ道で女優さんのようにポーズを取っている女性の写真もあります。



”思っていたよりも、華やかな写真ばかりだわ。”と言うと

”昔は、約2ヶ月位、遠く、南の地方からも、この短期間の仕事に来て
みんなで宿舎に泊まっていたのよ。

ほら、窓の外にあるあの建物。
今は、農耕用トラクターなどが置いてあるけれど

あの写真は、ちょうどそこよ。
昔は、そうね・・・1960年くらいまでかしら。

Mondine(田植えをする女性たちのこと)の宿泊所だったのよ。”



私が、この女性たちの写真を見たのは
夏にピエモンテ州の事務所


その時に飾られていたパネルの印象が強く

こんなにも快活な若い田植えをする女性たちが想像もつかなかったのです。



今にも、笑い声が聞こえてきそうな写真を見ていると


”みんな、重労働でも、最終日のBARでのパーティを楽しみにしていたのよ。

何といっても、結婚相手を見つけることも遠くの他の州から
仕事をしにやってきたことの目的のひとつだったのだから。”

そう言って、嬉しそうに大きな声で笑うノエミちゃんのお母さんが
続けます。


”ちょっと、こっちの窓に来て。あのBARよ。

最終日のさよならパーティで若い独身男性が
ギターやアコーディオンを
弾いて、そこで相手を見つけるのよ。”


そこまで言うと、ノエミちゃんのおばあちゃんが

”確か・・・○○さんもMondineだったよね・・・。”と
近所の友人や親戚関係の人の名前が次々と出てきます。

”えっ・・・。そんなに・・。”と笑っていると

”そうよ。大変な仕事でも、夜にみんなで集まって刺繍をしたり
最終日には、パーティもあったり、楽しみも多かったのよ。”


”そういえば、お母さんも、Mondineみたいに、夜中まで刺繍してるよね。
朝5時半に起きないといけないのに、いつも深夜1時まで刺繍しているの。”

ノエミちゃんは、そう言って嬉しそうに笑っています。

クリスマスが近く、学校も金曜日までで、休暇に入る前の
嬉しい気持ちが、私にも伝わってくるような明るい笑い声でした。


2階の窓からは、寒く澄んだ空気の中、夕焼けのアルプスと一緒に
田んぼと女性たちの宿泊所だったという、古い農場の敷地が見えていました。




私たちは、キッチンのテーブルに座って話していました。

見ると、綺麗に小さく刺繍がはいったフキンが
置かれているのが目に入りました。


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ノエミちゃんにプレゼントをしたもののひとつは
吉本ばななのイタリア語の本

以前、私がイタリア語で翻訳された”妊娠カレンダー”を読んでいて

”イタリア語だけど、読むと頭の中で浮かぶのは、シーンは、まぎれもなく
日本なのよ。”と言ったのを覚えていたようで

”私も日本の作者が書いた本も読んでみたい。”
と言っていたので、プレゼントしました。


これは、新しいようで、日本で読んだり題名を聞いた覚えもないです。

プレゼントの本
Ricordi di un vicolo cieco

Banana Yoshimoto









"行きづまって、通り抜けることの出来ない小路の想い出?”

本をめくってみると、オリジナルのタイトルが小さく
日本語の活字になっていました。

その袋小路の部分は、英語になって
”デッドエンドの思い出”というタイトルです。



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ブログランキングが、一時、10位にまでなっていてびっくりしました。
読んでいただいて、本当にありがとうございました。