北イタリア ピエモンテの田舎で暮らして

アルトピエモンテ ノヴァーラ県在住ワインインポーター

ピエモンテのバイオマスエネルギーについて

バイオマスエネルギ−用のトウモロコシの収穫

自宅周辺の田園でバイオマスエネルギ−用のトウモロコシの収穫が行われ、隣町にある
バイオマス発電のプラントに向けて次々にトラックが出発していきました。

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私の自宅周辺は、今までは一面が水田でしたが、トウモロコシ畑も多くなりました。
もちろん、この地域はゴルゴンゾ−ラチ−ズで有名で酪農地域、そしてサラミや生ハムのための
養豚も有名(一部、有名なパルマハムのために、認証で許可されたこの地域の豚も送り出されます)なので
飼料用にトウモロコシは多く栽培されてきました。

でも近年、特に私がこの地域で暮らすようになった2005年以降、
次第に再生可能エネルギ−のためのトウモロコシが増えてきました。
2005年当時は、トウモロコシがエネルギ−になることを反対する人も多かったです。

紛争などで困っている地域、アフリカに食料として必要にしている人たちが多いではないか
そこのために栽培するべきだと農場経営者の方たちの食事会で時々、話題になっていました。

2018年2月14日にGSE(Gestore dei servizi energetici GSE S.p.A)から発表されたデータによると
電力部門について再生可能エネルギーである「グリーンエネルギー」は、
イタリアの電力の35%に達しています。

*787,000の再生可能エネルギー発電所が104 TWhの再生可能エネルギーを生成。
総生産の35%をカバーしたとあります。
太陽光発電技術
風力源
油圧源
バイオエネルギー
地熱源


過去のバイオマスエネルギ−の記事はこちら
養豚農家のバイオマスエネルギー 
http://blog.livedoor.jp/airone0219/archives/51952540.html
こちらは、6年前の記事になるので、さらに進んでいることでしょう。
新たに取材しなおさないといけないのですが、こちらもご参考になさってください。

そして下記の写真は、種を販売する会社のカタログの一部です。
この会社は、エミリア・ロマ―ニャ州にあり、毎年9月中旬に、ノヴァ−ラ県の稲作地域で
お米の種籾の紹介の視察を農場経営者に向けて実施しています。

同じ町で暮らす長年の友人で農場経営者のヴィクトリオの農場の一員として登録して
参加させてもらいました。その際に入手した資料の写真です。

こちらでは、昨年の段階で17種類のトウモロコシの品種の種を扱い
そのうちの10品種は、すべてバイオマスエネルギ−用になっています。
最初の紹介ぺージから5品種ともバイオマス用が続き、次に家畜の飼料用の新品種、
バイオマスが続き、ポレンタなどの食用、そしてバイオマス用と構成され、最も力を入れているのが
バイオマスエネルギ−用のトウモロコシであることがわかります。

写真が小さく見にくいですが、品種名の横に緑色のマークがあるものがそうです。
マ−クには、BIO GAS(ENERGIA VERDE :グリ−ンエネルギ−)と記載されています。

mais4

mais3

mais2

mais1


このカタログでそれぞれの品種の高さや日数などの特徴などを読んでいくと、
自宅近くのトウモロコシ畑は2018年の新品種で、湿地帯で水で潤い肥沃な土地、
つまりこの地域の稲作地域の環境に適している
Kilowatt(キロワット:品種名がいかにもエネルギ−ですが)ではないかと推測しています。

収穫後、高さ3m以上のトウモロコシの壁が消えてなくなりました。
トウモロコシ畑に暮らしていた野ウサギたちは、奥に見える自然の森に移っていきました。

ここが水田でなくなってから、気が付いたら、一部、手つかずの自然の森になっていきました。
最初、どうして農地を森にしているか、わからなかったのですが、動物たちが暮らすためと知りました。

収穫後の田園


以前、農山漁村文化協会(農文協)さんが出版する小学校以上が対象の農作物についての本
『トウモロコシの大百科』
でピエモンテ州ノヴァーラ県の平野部に広がるトウモロコシ畑
そしてバイオマス燃料用に収穫されている様子の画像を提供しましたがほんの1文だけなのです。
(農文協さん!今度いろいろと子供たち用に書かせてくださーい。)

さて、そのためには、パソコンのプログラムの更新のように、
私自身が常に新しい情報でアップデートしていかないといけないです。
流行やトレンドで左右されるワインこそ、そうですね。

空いている時間、どうにかブログやfacebookページを更新して皆さんと情報をシェアしながら
日本、イタリアだけでなく世界をいろいろと知っていきたいです。

こちらは、現在、激しい雷雨。
ブドウ畑に行かれないのでこのままパソコンの前で仕事続行中です。ときどきワイン。
それでは、夏の終わりの日々、楽しく素敵にお過ごしください。


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お知らせ(農業書の紹介2)

今日は、画像、情報を提供した小学校高学年以上が対象の農作物についての本の紹介です。
以前、紹介した小学校高学年以上が対象の『ダイズの大百科』『イネの大百科』に引き続き
(過去のブログ  お知らせ(農業書の紹介)http://blog.livedoor.jp/airone0219/archives/52104954.html)
画像・情報提供をした『トウモロコシの大百科』の本が届きました。
この本では、世界三大穀物であるイネ、コムギと並ぶトウモロコシについて世界各地での生産や利用、人間社会とのかかわりについてわかりやすく書かれています。

ヨーロッパのトウモロコシ作では、ピエモンテ州ノヴァーラ県の平野部に広がるトウモロコシ畑
そしてバイオマス燃料用に収穫されている様子、また、ピエモンテ州モンフェラート地方の農場で
収穫されたポレンタ用のトウモロコシを天日で乾燥させているところの画像など提供しています。

*北イタリア、ポー川流域の農業地域は、バイオマスエネルギーのプラントが集中していて
バイオマスエネルギー専用のトウモロコシの品種が多くあります。

とうもろこしの大百科


トウモロコシの大百科2

まるごと探究! 世界の作物
トウモロコシの大百科
濃沼圭一(編集)
発行:農山漁村文化協会


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日本滞在中の写真は、東京の景色、オーセンティックバー、イタリアンレストラン、ワインバーでの
写真が続いているので、今日は、軽井沢のエコの農園さんを訪問した時の写真です。

ここは、長野県、雄大な浅間山の南麓・千ヶ滝西区の農園です。
自然の生態系保全のため化学物質を一切使用せずイタリアなどの西洋野菜の栽培をしている
オルトアサマさん。

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雄大な八ヶ岳連峰を望む。

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東京では、軽井沢のオーガニック野菜のサラダをピエモンテのオリーブオイルで楽しむ日々でした。
ピエモンテの日々に戻ったら、近所の稲作農場のお米でリゾットやお豆やお米を入れた野菜スープの日々に
帰っていきます。

そしてスマートフォンには、まだまだたくさんの春の東京の風景やお料理、ワイン、
知人や日本のスタッフさんと飲む機会が多かった日本酒の写真が残っています。
日本では、素敵な日々がたくさんありました。

今日は、日差しのない東京の空、今にも雨が降りそうなグレーの空が広がっています。
そういえば、雨の夕方の銀座の風景が好きで印象に残っています。
最後、あと少し東京での日々の写真が続きます。

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お知らせ(農業書の紹介)

日本滞在中ですが、東京でパソコンでのデスクワークの日々も多いです。

今回、2ヶ月以上に長期一時帰国に伴い、その間に必要となるだろうと思った
イタリアからイタリアの種子会社のカタログや研究所の資料、
北イタリア、特にノヴァーラ県近郊の様々な農業に関する画像など持って帰っています。

今日は、午前中は、今週のワイン会用のワインの手配と資料の準備、
そして、今からの午後は、問い合わせのあったイタリアのバイオマスエネルギー専用の
トウモロコシについての資料を読みながら、撮影した画像と照らし合わせる作業です。

以前、会社のfacebookページに記載しましたが、
過去に何度か教科書に画像や情報の提供を行っているので、
今日は、画像、情報を提供した小学校高学年以上が対象の農作物についての本の紹介です。

今週、名古屋、広島の出張から実家に戻ってくると
以前、ほんの一部(ヨーロッパ、イタリアのダイズ生産)で協力して今月、完成した
農文協さんの『ダイズの大百科』が届いていました。



ダイズの大百科

こちらの本のシリーズでは、小学生の方から大人まで日本・世界の農業や土地の利用の様子だけでなく
栽培種、生産状況、作物の栽培技術、日本・世界の食品と料理、産業利用などの加工と利用
近代農業、持続的農業に向けた取り組みなど幅広く、それぞれの農作物について
知ることができます。

ダイズの大百科2

下の写真は、以前、facebookページで紹介した写真と同じです。

小学校高学年以上が対象の『イネの大百科』(農文協)こちらは、イネの特性から
栽培、日本・世界の稲作、コメの利用・加工、社会や経済と関わりなどで、
欧米の稲作を紹介するコーナ―の一部分に画像を提供しました。

そして隣に写っているもう一冊は、学校の教科書 みんなのどうとく2年(学研)です。
イタリアの給食についての画像提供をしました。

イネの大百科 みんなのどうとく

ノヴァーラ県の水田地帯が紹介されています。

イネの大百科

本は、専門的な内容で、勉強になる内容が多く、私も何度も繰り返し読んでいて(暗記するくらい・・・)
これを、元にイタリアでの農業に関する研究資料を読んでいます。
すべての漢字にふりがながついているので、難しい内容が多いですが小学生の方も読めることでしょう。
出版社:農文協(農山漁村文化協会)さん

イネの大百科の案内のページはこちらです。
イネの大百科
ダイズの大百科の方は、できたばかりの本なのでリンクはないようです。

私は、現在、取り組んでいる農業資材に関して日本では、どのような専門書があるかなど
本を探しに行く時は、神保町にある大手書店の他に、神保町にあるこの専門書のセンターに行きます。
農業の専門雑誌の他、学会誌など幅広く専門書があります。

農業書センター
〒101-0051東京都千代田区神田神保町2-15-2 第1冨士ビル3階


ブログを書き終えたので、イタリアから持って帰ってきた資料を読む時間にしますが、
次のワイン会の主催者さんから、お客様が待っているとのことで、ワインの資料の準備も夕暮れまでに。

それでは、また。
次回のブログは、再び日本の美味しいお店情報です!

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養豚農家のバイオマスエネルギー

通勤の朝に、ブログをすべて書いて送信できなかったので、帰りのバスで続きを書いて送信です。
ピエモンテの農業家と再生可能エネルギーについて
そして最後に、いつものねこのコーナーです。

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夏の爽やかな朝の風景の中で、車窓から広がる農業地域を眺めていました。
この田舎の町で暮らして感じていたことは、
時間がゆったりと流れる中で自然と美味しいお米、ワインなどを造る農家の人たちの情熱でしたが、

最近になり、強く感じるのは、そこに留まることなく、
常に新しい世界を切り開こうとしている農業経営者の姿です。

先日、農産物だけでなく環境を重視し、そして経営者として、
その事業を拡張させ、環境を重視した方法で発電したエネルギーを電力会社に
買い取ってもらうということまで行われていることを知りました。

日本の震災後、特に太陽光パネルが目立つようになりました。
ゲンメでは、ワイナリーの友達が近くのセージア川を利用した水力発電を行い、
個人用でなく電力を供給するために第2の仕事として起業して、
イタリアの複雑で煩雑な手続きを行っていたことを覚えています。

今回は、新エネルギーであるバイオマスについて。

私の暮らす地域では、このように緑色の大きなドームを見かけます。
ここは、とても美味しいノヴァーラのサラミ Salame della duja(サラメ デッラ ドゥーヤ)と
レバーの入ったFideghina (フィディギーナ)のサラミ工房、養豚農家の敷地内です。

ずっと飼料のためだと思っていた周囲の約100へクタールのとうもろこし畑は、
それだけでなく、エネルギーを生み出すためにも栽培されていました。

2011年12月から稼動しました。
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サイロに貯蔵されたトウモロコシとこの養豚農家1400頭の豚の排出するし尿が養豚場から
管を通ってこの施設に運ばれます。

パソコンの画面にバイオガス(メタンガス)を発生させるタンクであるダイジェスター
そしてエネルギー変換後の残滓分が入るタンクが見えます。
この農家では、この残りかすを有機肥料として使用したことによって
化学肥料を使わないことで、土壌が豊かになり、生産量も多くなりました。

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発酵設備は、3500立方メートル、豚のし尿タンクは、55立方メートル

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オフィスからエネルギーのための技術室に続いています。
現在 出力は637kw

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このBiogas( ビオガス)の装置は、トーマスエジソンによって設立されたJenbacher gas engine社製。
この施設の機械は、ドイツ製とのことです。

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養豚農家内にある豚肉加工をするための工房にある大型冷蔵施設で毎日、莫大なエネルギーが
必要になっていますが、自宅や施設内の電力は、すべてこれでまかない
しかも電力を供給する施設として、買い取ってもらい、この収益が養豚農家にとって大部分にあたります。

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ここで暮らすようになったばかりの頃、稲作農業家であるヴィクトリオから
州の自然保護地域にある水田のため、将来的には、すべてバイオマスにしたいと聞いていましたが
実現までは、遠いと聞いていました。

この養豚農家では、すべて農場内にあるものを使うことができますが、ヴィクトリオなどは
現状では、再生可能エネルギーでなく、化石燃料である石油から作られるエネルギーを使用しています。

同じく稲作農家でも多くの電力を消費します。
特に、大きいのが、秋の収穫後、貯蔵できるようお米の水分を
約12%まで乾燥させるため莫大なエネルギーを使います。

このような施設は、イタリアでも北イタリア、ポー川流域の農業地域に集中しています。

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いつものねこのコーナ―です。
かなり痩せましたが、少しずつ回復。元気になりました。

ねこは、写真のように絶食時に自分自身で食事が食べれなかった日々もありました。

ぴ

肉食動物のねこが水や点滴などだけで食べれないでいたことがかわいそうだったので
私もしばらく肉類を食べないでいましたが、この農場を訪問する日の朝に、
元気になって食べようとしたねこの姿があり
私も帰宅してから、この養豚農家の加工したサラミ、ハムを美味しく食べました。。。

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RIE

北イタリアピエモンテ州ノヴァーラ県在住。
プロフィール画像は、2023年秋、稲作の品種と農業資材視察時でノヴァーラ県の水田の前です!
イタリア、ワイン、郷土料理、海外が好きなすべての皆さんのために。
そして欧州の稲作などの農業研究に関心がある方にも。

株式会社Wine・Art代表
Sommelier(AIS PIEMONTE)
Master di analisi sensoriale del vino(AIS ROMA)
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