キャッチフレーズ「大山二世」とか「リトル大山」と呼ばれているのは、渡辺明永世竜王です。※でも、リトル大山の異名は、南芳一九段にもついているのですが…。

その渡辺永世竜王は、2007年3月、大和証券杯ネット棋戦スタートを記念する特別対局で、「ボナンザ」と対戦しています。
ブログで当日の様子を振り返っています。


先日、渡辺永世竜王にお時間をいただきました。

渡辺永世竜王、対局前に、序盤から中盤にかけて相当な数のシミュレーションをし、ボナンザの癖を把握して臨んだということですが、実際に対局が始まると、30手ほどで違和感を覚えたそうです。
ボナンザの「思考」が明らかに変わって、進化していて、シミュレーションは役立たたない、そこから、平場の勝負にもつれ込んだと。

この対局の技術的側面については、いろいろなところで解説されています。ので、ここでは、対局の意義について考えたいと思います。

というのも、プロ棋士もしくはトップアマとコンピュータ将棋の対局は、20年ほど前から行われているのですが、いずれも科学実験の性格が濃いように思えます。
一方、渡辺永世竜王対ボナンザ戦は、エキジビションとはいえ、プロ棋士に相応しい対局料が出て、観客も料金を支払って観戦しました。
いわば、プロ棋士とコンピュータ将棋との対局が科学実験から、観客を集め真剣勝負する、「プロの場」になった転換点だった、のではないでしょうか。

それにしても、人間って事前の予想が外れると、それが厳しい場面であればあるほど、相当に慌てるし、そこから気持ちを建て直すということはとても難しいことです。
にもかかわらず、ボナンザの進化に慌てず、じっくりとボナンザをねじ伏せた渡辺永世竜王の、その胆力に敬服したところです。数時間、話をしただけでも、あふれる自信と才気が感じられて、何かが違うと圧倒されました。トップ棋士は技術もさることながら、その胆力、感情のコントロールがとても優れているのですね。

(田中徹)

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