『月がきれい』は中学生同士の恋愛模様を描いたものだ。そう、中学生同士なのである。だから、その中には、もどかしさ、気恥ずかしさ、そして得難い純粋さが織り込まれている。このアニメを見ていると、ついつい中学生時代のことを思い出してしまうのは恐らくそのせいだ。楽しかったことや面白かったこと、嫌なことや辛いこともあった。それらを拭って、忘れて私は「大人」になろうとしている。「子供」のままでは生きていけないなどということは誰でもわかっていることだ。そのため、私たちは少しずつ「大人」になっていく。そうして、少しずつ純粋な気持ちを忘れていく。他人に率直な想いを伝えることを恥ずかしいと考えるようになってしまったのは何時からだろうか。たった一言、その一言を紡ぐことができなくなってしまったのは何時からだろうか。
二度とそのような純然たる気持ちを取り戻すことは叶わない。しかし、思い出すことはできる。そんな気持ちをふと思い出したとき、人は心動かされる。きっとそのとき、私たちは何か満たされるように感じる。全13話を見終わったとき、私は確かにそう感じた。忘れてしまった気持ち、捨て置いてきた心を確かに感じ取ることができた。そんな想いを思い出したい人にはぜひともこの作品を視聴してみてほしい。
このアニメの魅力はこれだけではない。もう一つ、とても大きな魅力がある。ヒロインが半端ないくらい可愛いのである。「可愛すぎてヤバない?ヤバあるな」というくらい可愛い。声が可愛いのはもちろんなのだが、演技が自然体でとても良い。変に演技するのではなく、ちょうど女子中学生といった具合なのである。他にも、表情が豊かであることも魅力的だ。初めのほうが消極的な印象を受けたのだが、徐々に表情が豊かになっていき、積極的な面も見られて、本当にかわいい。ここでは書ききることができないが、本編12話、前半の総集編1話のたった13話には収まりきらないほど可愛いので、ぜひ視聴してみてほしい。
『月がきれい』は日頃アニメを見ない人にもオススメできる良作となっている。一気見するほど引き込まれる迫力あるアニメではないが、ゆっくりとしていることがこの作品の魅力でもある。主人公とヒロインの関係が少しずつだが、確かに進んでいくので、中弛みも感じない。上記に紹介したこの作品の二つの魅力は一部でしかないので、視聴しているうちに私が紹介していない、若しくは気づけなかった魅力を発見できると思う。百聞は一見に如かずで、とりあえず3話、4話くらいまで見てもらいたい。そうすればこの作品の魅力を感じ取ることができると思う。視聴したことを後悔することは決してないと断言できるオススメ作品なので、是非視聴してみてください!
by 山本サトシ
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