グローバル・エイズ・アップデート

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フランス語圏アフリカ、グローバルファンドからの援助資金の活用が目標に到達できず

【2020年6月3日】援助資金の活用が、グローバルファンドおよびその受領国にとっての最優先課題事項となっている。グローバルファンドの事業の監察を行う独立した内部機構である「総括監察官事務所」OIG(Office of the Inspector General)の報告によると、資金の活用が目標に到達していない地域は、アフリカ西部・中部(WCA)諸国、いわゆるフランス語圏アフリカに集中している。続きを読む

(英国)新型コロナ蔓延によるHIV対策の後退でアフリカのセックスワーカーがHIVに脆弱に

【2020年6月5日、ロンドン発】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の中、アフリカにおけるHIVの取り組みは大きな危機に直面している。独立した世界規模のメディア機関である「オープン・デモクラシー」openDemocracyは、アフリカ5カ国(ウガンダ、ケニア、南アフリカ共和国、ナイジェリア、モザンビーク)における24回のインタビュー調査により、セックスワーカーを含むHIVのリスクが最も高いと考えられている人々の間で新規感染を予防するためのサービスの多くが制限されていることを突き止めた。続きを読む

HIVのスティグマと差別と闘うオンラインゲーム:イラン

【2020年6月16日 テヘラン(イラン)発】UNAIDSイラン・イスラーム共和国事務所と国際医学生連盟のイラン支部は、2013年以来、国内のエイズ対策に影響を与えるための新たな方法について協力してきた。

これまでの協力には、市民への啓発キャンペーン、教育ワークショップ、現地訪問、医学系学生を対象とした1週間のサマースクール等が実施されてきた。

サマースクールと、その成果として設立されたコンサルタント団体である「アヴィケンナ・コンサルタンシー」 Avecene Consultancy (アヴィケンナは中世ペルシアの哲学者イブン・シーナーの意)の創設者の一人であるエイディン・パルニア氏 Aidin Parnia は、「サマースクールはとても刺激的で、次の重点分野であるHIV関連のスティグマや差別に対抗することに自信を持たせてくれた。」と話す。
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ヨーロッパに移住するサハラ以南アフリカ出身者が新たな移動先でHIVに感染するリスク

【2020年6月4日】ヨーロッパに住むサハラ以南アフリカの出身者には、移住国や移住国からの更なる移動先でコンドームを使わない傾向があるため、HIVに感染するリスクが相対的に高いことが、ベルギーとポルトガルでの1,508人を対象とした調査によって明らかになった。ヨーロッパへ移住したサハラ以南アフリカ出身のHIV陽性者は、欧州に移住した移民の中のHIV陽性者の53%を占めている。

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(メキシコ)米国亡命を申請したHIV陽性者の女性、医療を受けることもなくメキシコに送還

【 2020年3月24 日 シウダード・フアレス(メキシコ)発】中米ホンジュラスからメキシコ国境を経て米国に入国し、亡命を申請したフェルナンダさんは、米国カリフォルニア州のとの国境に面したメキシコの都市シウダード・フアレス市の移民シェルターに収容されている。彼女は、米国の移民管理局(The Immigration Agent)に自分がHIV陽性であること、そして米国に亡命したいことを訴えたが、メキシコにある移民のためのシェルターに送還され待機させられてから、薬も支援もないまま1か月が過ぎた。続きを読む

南部アフリカ・エスワティニ王国のコミュニティ・医療施設でのHIV自己検査プロジェクト

【2020年3月27日】HIV検査はHIV感染症の予防・治療・ケアへの入り口として重要な役割を担っている。以前からHIV症例が多く報告されているアフリカ東部・南部においては、HIV検査の利便性が向上しているにもかかわらず、2017年の時点でHIV陽性者のおよそ24%が自らの感染を自覚していなかった。特に15〜24歳の若者や男性が検査を受けられない状況は今なお続いている。状況を打開するために、HIV検査に対する障壁を取り払うための取り組みが進められている。こうした中でWHOが推奨しているのがHIV自己検査である。HIV自己検査は利用者が自宅などプライバシーの保護された環境で、自身の血液や唾液を採取して行う検査方法である。HIV自己検査は利用者の自主性とプライバシーを確保できるため、検査へのアクセスやスティグマといった障壁を克服し、HIV検査の受診率を引き上げることが期待されている。続きを読む

新型コロナウイルス感染拡大でアフリカのHIV死亡者数が二倍に?HIV、結核、マラリア治療への影響は数年に及ぶか

【2020年5月13日】世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、サハラ以南アフリカにおける新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大により、同地域のHIVにどのような影響が及ぶかをモデリングした予測結果を発表した。この調査では、5つの異なった調査モデルに基づいて、今後3〜6カ月間のHIV治療中断による影響について推測したが、これによると、HIVを死因とする死者数は、例年の死亡者数平均と比較して、およそ55万人増加する恐れがある。この予測に基づき、WHOとUNAIDSは、この先5年間について、HIV治療の中断による死者数の増加を懸念している。「恐ろしい見通しです。アフリカでエイズ死者が50万人以上増えるというのは、過去の歴史に逆戻りするようなものだ」とWHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長 Tedros Adhanom Ghebreyesusは述べた。
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「グローバルファンドの総合的な管理環境とリスク管理プロセスは高いレベルに達した」と総合監察官がグローバルファンド理事会に報告

【2020年5月15日ナイロビ(ケニア)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)のムアマドゥ・ディアニュ(Mouhamadou Diagne)総括監察官(Inspector General) は、5月の第43回理事会で、2019年の年次報告書を発表した。総括監察官事務所 (The Office of the Inspector General)は、グローバルファンドへの投資が、エイズ、結核、マラリアの死亡率と感染率の低下に貢献していることを賞賛した。また、グローバルファンドの総合的な管理環境とリスク管理プロセスの改善が、成熟段階とされる「(通常業務に)組み込まれている」レベルに達したと評価した(詳細は後述)。一方これは通過点であり、最終目標は三大感染症の終息であること、そして変化するニーズとリスクに対応するために、ガバナンス、リスク管理、内部統制を継続的に改善させる必要があると勧告した。続きを読む

(GAU+ 2020年6月号海外最新情報4)グローバルファンドのコミュニティ・ライツ・ジェンダー・プログラムは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にどう取り組むか

【2020年5月15日、ナイロビ(ケニア)発】途上国の三大感染症対策に資金を供給する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、HIV、結核、マラリアに対するコミュニティ、権利、ジェンダー(CRG)に基づいた対応促進のための第6回年次報告書を完成させた。この報告書は、完成前の最終確認のために2020年3月に開催された、グローバルファンド理事会が設置する小委員会である「戦略委員会」の第12回会合へ提出されたものであり、時期が若干早かったことから新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応は含まれていない。しかしながら、グローバルファンド事務局の CRG 部門責任者は、報告書が最終化されてから数週間の間にCOVID-19への対応をしており、人権とジェンダーの障壁に対処するための行動や強固で広範なコミュニティの関与と対応がCOVID-19への取り組みを成功させ、最終的にはあらゆる健康への対応に結びついている、と強調している。

報告書の大部分は、CRG に基づくプログラムや支援方法、政策を推進するために2017-2019 年に実施したことを評価している。特に、グローバルファンドが、人権に関連した障壁(バリア)を取り除くために国家レベルでの包括的プログラミングの実施を支援したことや、思春期の少女や若い女性のためのHIV予防サービスへのアクセスを拡大したこと、対策のカギとなる脆弱な人々のための、三大感染症を対象としたサービスの世界的拡大、ハーム・リダクション(健康被害軽減)のための最大の資金提供者としてのリーダーシップを発揮したことを自賛している。一方で、各国が提出するHIV対策の事業案件提案書などに含まれる人権・ジェンダー分析の質の向上の必要性や、ポートフォリオ全体での、対策のカギとなる主要な脆弱な人々(Key Vulnerable Populations)に対するグローバルファンドの支援サービスの範囲と規模が引き続き限定されていることなど、大きな課題が残っていることも指摘している。

また、本報告書は、上記の教訓に加え、CRG関連投資の強化に向けた進捗状況や2020〜2022年の資金調達サイクル実施に向けた事務局の準備状況に関しても言及している。これらの内容は、長期的な視点に基づくケーススタディとして、「事務局全体のキャパシティ強化とより広範なコミュニティ連携」「コミュニティシステムとその対応」「対策のカギとなる、脆弱性のある集団」「人権」「ジェンダー平等の推進と思春期の少女や若い女性への支援」のトピックに分けて要約している。

5月14〜15日に開催された第43回理事会会合では、本報告書の内容をもとにCOVID-19の影響で性と生殖に関する保健サービスへのアクセスが難しくなっている問題が提起され、各国政府が家族計画サービスを必須サービスとして分類する必要性が強調された。また、CRG 関連への投資を効果的に伝えるためにより戦略的にデータを活用することも提案された。

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原題:Community, Rights and Gender report to the Board requests input on COVID-19-related measures
出典:Aidspan
日付:2020/5/15
URL:https://www.aidspan.org/node/5310
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(GAU+ 2020年6月号海外最新情報3)結核・エイズ対策に迫るCOVID-19の脅威:ナイジェリア

【2020年4月8日 イバダン(ナイジェリア)発】3月24日は世界結核デーだったが、ナイジェリアでは、今年はCOVID-19のパンデミックによって盛り上がりに欠けた。

アフリカでは、COVIS-19が公衆衛生上の緊急事態になる前は、結核とHIVの重複感染がHIV/AIDS対策の優先課題であった。COVID-19はすでに結核とHIV対策に影響を与えている。WHOと国連合同エイズ計画(UNAIDS)がHIV-結核感染者がCOVID-19をどう克服していくかデータとエビデンスを収集し対策に乗り出した。

WHOのグローバル結核プログラムの主任であるテレザ・カサエバ氏 Tereza Kasaevaは「航空便がキャンセルされ空港は閉鎖されている。これは医薬品供給にとって大きな問題であり懸念事項である。各国は結核治療薬を切らすべきではない。治療が中断となった場合の最悪の結果は薬物耐性であり、これは結核対策にとっての最大の脅威である」と話した。

ナイジェリアの南西部に位置する主要都市のひとつ、イバダンでは、COVID-19感染の最初の症例が確認されて以降、医療従事者は消毒液などの防護用品が不足していることにより、結核に感染しているかもしれない患者を含めあらゆる患者に対して通常通りの医療サービスが提供できないことに不安を訴えた。

イバダンの北東部を管轄とするイバダン北東地方政府 Ibadan North-East Local Government は庁舎内に結核クリニックを開設しており、新規感染のスクリーニングとは別に結核治療も行っている。通常50人ほどの患者を日々診療しているが、ランセットの記者が訪問した日にはわずか一人だけ薬を受け取りに現れ、これが数週間は続くだろうと明かした。

可能な選択のひとつは数か月治療が維持できるように十分な医薬品を患者に与えることである。しかし、この予期しなかったCOVID-19の発生によって輸送が途絶えて十分な補充が難しくなっている。結核とHIVに感染している患者だけが影響を受けるわけではない。ロックダウンが開始されて脆弱な保健医療システムと悪戦苦闘しているアフリカ諸国において、広範なHIV予防メカニズムもまた危うくなる可能性が高い。

ナイジェリア政府は、COVID-19の感染拡大を食い止めることおよびHIVと結核の治療を継続することが最優先だとしている。一方でUNAIDSは、数か月間の薬剤供給とコミュニティ内での抗レトロウイルス薬の配布、自己検査の指導、医療施設でのCOVID-19への暴露を最小限に抑えること、そして医療施設に頼るヘルスケアシステムの見直しを提案している。UNAIDSはまた政府に対して結核の診断や治療を継続するよう要求している。長引く熱や咳などの結核症状がある人はCOVID-19の診断が遅れないよう早急に受診すべきであるが、COVID-19に対する感染リスクを減らし、重症患者の入院に余裕を持たせるよう受診は最低限にする必要があるともしている。

UNAIDSの事務局次長であるシャノン・ヘイダー氏 Shannon Haderは、「我々はどんな情報が必要とされるかを知り、COVID-19の予防を支援しそしてHIV対策を継続するため、HIV陽性者や鍵となるネットワークとともに働いている。しかし、スラムや収容所といった最もハイリスクな集団に対して集中したCOVID-19の検査、調査、そして予防サービスの強化も必要である。このような対応でHIV陽性者や結核患者のコミュニティを強化することがヘルスシステムの復活にとって重要である」と話す。

原題:Tuberculosis and HIV Responses Threatened by COVID-19
出典:The LANCET
日付:2020/04/08
URL:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/lanhiv/PIIS2352-3018(20)30109-0.pdf
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