グローバル・エイズ・アップデート

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第347号(第18巻第22号)2018年(平成30年)8月18日

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グローバル・エイズ・アップデート
GLOBAL AIDS UPDATE
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第347号(第18巻第22号)2018年(平成30年)8月18日
No. 347(Vol.18-No.22) Date:2018/8/18
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★「第347号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・(米国)国連結核ハイレベル会合:「知的財産権vs治療アクセス」の対立が政治宣言をめぐり再燃
・このままでは「2030年にエイズ終息」は達成できない?米国NGOが声明
・「一度も使われていない」グローバルファンドの人権に関する通報制度:改善に向けた努力

●アフリカの地域別記事
・ナミビアのファーストレディ、国際エイズ会議でナミビアにおけるジェンダーに基づく暴力(GBV)問題を強調
・(ケニア)HIVの母子感染をなくすためのリーダーシップとイノベーション
・第22回国際エイズ会議(AIDS2018)に向けた南アフリカ共和国のリーダーシップ

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(米国)国連結核ハイレベル会合:「知的財産権vs治療アクセス」の対立が政治宣言をめぐり再燃

【2018年7月20日 ニューヨーク(米国)発】今年9月26日にニューヨークの国連本部で開催される「第一回国連総会結核ハイレベル会合」に向け、同会合で採択される予定の政治宣言テキストに関する交渉が進められている。この交渉において米国は、国連の交渉のために途上国・新興国が組織する交渉ブロックである「G77」(編集部注)に対して、廉価で入手できる医薬品へのアクセス確保の法的手段をとる国の権利を擁護する趣旨ので世界貿易機関(World Trade Organization:WTO)が2002に採択した「ドーハ閣僚宣言」に関する言及をすべて除外するよう大きな圧力をかけている。

約2ヶ月に渡った交渉は、7月22日にニューヨークで終了することになっている。残る論点の1つは、WTOの「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPs協定)に記載のある公衆保健の保護に関する記述となる。2001年「ドーハ閣僚宣言」では、TRIPs協定と公衆保健の促進の両立が宣言された。この宣言によって、WTO加盟国の政府は、国民の保健上の危機が生じた場合に、知的財産権で保護されている医薬品の製造や輸入が可能になる「強制実施権」compulsory licensing を行使することができる。また、ジェネリック医薬品の製造と輸出が可能となり、より多くの人びとが必要かつ有効な治療を受けることができる。

多くが先進国に本拠を置く新薬開発系製薬企業が製造する医薬品の多くは特許権の保護を受け、製造した企業が価格を決定しているため、高価な医薬品は途上国の人々には届かず、助けられる命が失われている。特に結核の文脈では、一般の結核治療薬に耐性ができた「耐性結核」(DR-TB)に対する治療薬や、結核と関連性の深いHIVの治療に用いる第2選択薬などが高価で、多くの人々が治療にあずかれない状況が存在する。近く開催される国連結核ハイレベル会合は、こうした問題に解決策を見出し、全ての人々に有効な治療アクセスを提供するために重要な会合とされている。

国際的なNGOの一つである国境なき医師団(MSF)は、世界で保健・医療に関わる人道支援や途上国での医療活動などを行うとともに、人々の命を救う医薬品へのアクセスの促進のための政策提言に取り組んでいる。同団体でHIV/結核政策アドバイザーを務めるシャロナン・リンチ氏Sharonann Lynchは、「耐性結核は、公衆保健を脅かしている。無意味な死を出さないためにも、我々はこの問題に最優先で取り組まねばならない。安全なジェネリック医薬品へのアクセスを阻むことはあってはならない」と述べた。
(編集部注)G77 / 77カ国グループ:1964年に開発途上国77カ国で発足した、途上国の共同的な経済利益の促進、国連システムにおける主要な世界経済問題の共同の交渉力の強化を活動目的に掲げている。国連では会議、宣言等に関する「交渉グループ」の一つとして機能している。

原題:Last-minute pressure to drop language on protecting access to affordable medicines from TB Summit declaration negotiations
出典:Medecins Sans Frontieres
日付:2018/07/20
URL:
https://www.msf.org/last-minute-countries-pressured-drop-language-protecting-access-affordable-medicines-tb-summit

このままでは「2030年にエイズ終息」は達成できない?米国NGOが声明

【2018年7月18日】HIV/AIDSに関する政策提言や直接行動を行う米国のNGOである「ヘルス・グローバル・アクセス・プロジェクト」(Health Global Access Project: HealthGAP)のアジア・ラッセル代表理事 Asia Russellは、「グローバル・エイズは、『2030年にエイズを終わらせる』という『持続可能な開発目標』(SDGs)の目標から取り残されている。この厳しい現実は、エイズ対策への資金提供国の消極的な態度を反映したものである。特にアメリカ合衆国の政府は、人の命を救うための資金拠出の拡大を拒否しており、治療や予防の取り組みにおける世界の不均衡な状態を悪化させている。現在、数多くの人々が支援を待っているが、彼・彼女らは置き去りにされている」と述べた。

HealthGAPは、その声明で次のように述べている。「現在開発されている強力なHIVの治療や予防手段によって、HIVは終息が見通せるようになった。しかし、世界全体において、これらの手段が完全に効果を上げる状況には全く至っていない。過去7年間、米国はエイズ対策に十分な資金拠出を行ってこなかった。欧州は援助国としての役割を後退させている。世界各国において、HIVに関する人権侵害や、弱い立場に置かれたコミュニティへの差別・偏見が拡大している。こうしたことにより、世界はエイズという重大な課題について、今後、取り返しのつかない事態に陥るリスクをはらんでいる」

HealthGAPの声明では、国連合同エイズ計画 UNAIDS が、オランダの首都アムステルダムで開催された第22回国際エイズ会議において行った報告に関連して、次のようなことが指摘されている。

 UNAIDSが2020年までの達成を目指すとしている「90-90-90目標」(HIV陽性者の90%が自己の感染を知り、その90%が治療につながり、その90%においてHIV量が検出可能値以下に下がるという目標)は、少なくとも、同年までにHIV治療アクセスが年間2800万人にまで増加しない限り達成できないだろう。
 対策資金の不足により、HIVの危機に最も深刻な形でさらされている人々が、命を救うサービスへのアクセスを拒絶されている。例えば、アフリカ東部・南部のHIV新規感染の16%、エイズ関連死の18%を占めるモザンビークでは、HIV感染率が最も高い地域の半分以下でしか、若い女性や思春期の少女を対象とした重点的なHIV予防介入が行われていない。これは、米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)やグローバルファンドによる資金支援が不十分であることによるものである。
 2020年までに「90-90-90目標」を達成するためには、さらに540億ドルが必要だと試算されている。HealthGAPは2018年4月、米国が何年も十分な資金拠出を行えないままでいることを批判し、また、命を救うためのHIVの治療と予防、エイズを終わらせるための資源の投入において、大きな格差が存在することについて、新たな分析を報告している。
 アフリカ東部・南部の地域ではHIVの治療の規模が大きくなっているように見えるがエイズ関連死の減少に加速はかかっていない。また、サハラ以南アフリカにおいては、男性同士の性行為によって感染した人々の死亡者数は減少していない。
 アフリカ西部・中部の地域では、HIVの治療アクセスに関する大きな格差を埋めることが至急に必要とされているが、グローバルファンドからのこの地域への投資額は減少している。

原題:STATEMENT FROM HEALTH GAP ON THE RELEASE OF NEW DATA ON THE STATE OF THE GLOBAL AIDS EPIDEMIC
出典:HEALTH GAP 
日付:2018/7/18
URL:HTTPS://WWW.HEALTHGAP.ORG/STATEMENT_FROM_HEALTH_GAP_ON_THE_RELEASE_OF_NEW_DATA_ON_THE_STATE_OF_THE_GLOBAL_AIDS_EPIDEMIC

「一度も使われていない」グローバルファンドの人権に関する通報制度:改善に向けた努力

【2018年7月3日 ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の内部監査機関である総合監察官事務所 Office of Inspector General (OIG) は、同ファンドが関わっているプログラムにおいて、誰でも人権侵害に対して通報できる報告制度を2015年より開始した。本制度、および報告手順は簡潔で、職種や国籍などに関係なく誰でも使える。報告基準や方法は開始当時と変わらず、ガイドライン、報告手順、およびオンライン入力フォームなどは公開されている。(http://www.ispeakoutnow.org/report-now-en/ )

しかし、開始から3年経過した現在も、同通報制度に対しては、一例の報告もなされていない。今回、制度開始1年後より、その理由について調査がなされていたことを明らかになった。もし、人権侵害が一切ないのであれば報告は一例もなくて当然であるが、この制度が出来た背景を考えると人権侵害は起こっていると考える方が妥当である。

◆啓発活動
本制度について、グローバルファンド事務局の地域・人権・ジェンダー部門 (the Community, Rights and Gender Department)が、各国でグローバルファンドの資金拠出の案件形成や資金受け入れの窓口となる国別調整メカニズム(Country Coordinating Mechanism:CCM)のメンバーや市民団体などに対して、不正や懸念などを解消するための「今、声をあげよう! I Speak Out Now!」というキャンペーンや、非常に簡単で広範囲に伝えられる方法で地方や国レベルのトレーニング、およびWeb上の講座などを実施した。一方、各フォーラムへどれくらいの参加があったのかなどのデータは報告されていない。

◆本制度の周知不足とグローバルファンドへの不信感
市民団体などに所属する42人へのインタビューでは、実に80%以上の団体が、本制度や報告手順、および、どのように機能するのかについて全く知らないと回答した。回答者の中には、グローバルファンドや国別調整メカニズム側のスタッフも含まれていた。

さらに別の要因として、グローバルファンドの機能、どのような事例が人権侵害に該当するのかなどについての認識不足もうかがえた。また、どのプログラムがグローバルファンドから支援なのか分からないとか、グローバルファンドの資金受け入れのために各国が設置している「国別調整メカニズム」などがグローバルファンドの機構の一部として認識されていたなど、機能や部門に対する混同や混乱などが明らかになった。

また、人権侵害に対する救済方法が不十分であるため報告自体に意味がない、外部からの脅迫など報告すべき事案はあったが、グローバルファンドに報告したところで、ファンドがそれに対して行動を起こす権限がないことなど、グローバルファンド自体の課題に対する意見も表明された。

◆改善に向けた推奨と反応
内部監査機関は、以下3点を推奨した。
・グローバルファンドは、引き続き組織内外への本制度について周知を続けること
・国別調整メカニズムなど、地域でグローバルファンドの資金に関わる機関は、引き続き制度の周知と使用推奨に努めること
・より認識を広めるため、現地の言語を使用したウェブ講座や制度などの作成に努めること

これらの提案後、地域・ジェンダー・人権部門は、それぞれの地域部門へ再度制度の周知を呼びかけ、ウェブ講座も今秋より予定された。「報告制度は小規模なものではあるが、グローバルファンドの人権に対する活動にとって非常に重要である。皆さんの理解を向上し、制度を周知することに努める」と締めくくられている。

原題: Secretariat Releases Report on Slow Uptake of Global Fund’s Human Rights Complaints Mechanism
出典:Aidspan
日付:2018/7/3
URL: http://aidspan.org/gfo_article/secretariat-releases-report-slow-uptake-global-fund’s-human-rights-complaints-mechanism

ナミビア大統領夫人、第22回国際エイズ会議(AIDS2018)で自国のジェンダーに基づく暴力(GBV)問題を強調

【2018年7月27日 ウィントフック(ナミビア)発】オランダの首都アムステルダムで開催された第22回国際エイズ会議(AIDS2018)で、南部アフリカに位置するナミビア共和国のモニカ・ガインゴス大統領夫人Monica Geingosは、女性と子供に関するナミビアの法律が、実際の統計資料の示すものと大幅にかけ離れていると指摘した。

「ナミビアは、女性にとって平等という意味においてもっともすばらしい法律を持つ国の一つでしょう。もしそうであるならば、我が国は、ジェンダーに基づく暴力のほとんどない平等な社会と言い換えることができなければなりません。しかし、実際の統計資料はその理想と異なっていることを示しています。ただ、法律の整備だけでは不十分です。なぜなら、ジェンダー差別とみなされるさまざまな行為をすることに慣れてしまった人の頭の中を法によって変えることはできないからです。」

さらにガインゴス氏は、「この国の選挙は国連によって監視されています。このことは何を意味するのでしょう?私たちは紛争終結後の社会にいるのに、国の発展のための計画を描くときには、そうとは認識していないのです。」と述べた。

ナミビアの国家開発計画は、経済、農業、ツーリズム産業、および鉱物といったセクターをどう成長させていくかに注力しており、国民や国全体のマクロレベルの在り方には焦点があてられていない。紛争後の社会に生じる様々な問題は、開発計画やマクロ経済の予算に組み入れられず、損失とみなされるという。

統計によるとナミビアの男性は、他国の男性よりも習慣的に暴力に触れていることがわかっている。「ジェンダーに基づく暴力は、それだけが単独で起きることはありません。例えば、たまたまバーであった男性が自分の足を踏んでしまい詫びも言わなかったことを理由に、その男性を殺してしまうような男性が、殺したその男性のパートナーも殺すのです。」 
ガインゴス氏は、「暴力というのは、自分がイライラさせられたり怒ったり不安になった時のコミュニケーションとしては受け入れられるかもしれませんが、いわゆる暴力という行為から切り離してジェンダーに基づく暴力のみを問題とすべきではありません。このことについてはもっと話し合っていくべきです。」と述べ、一つの<コミュニケーションの形>としての暴力に取り組む必要があると説いた。
原題:Namibia : First Lady Highlights Namibia's GBV Issues At Aids Conference
出典:New Era
日付:2018/07/27
URL: https://allafrica.com/stories/201807270492.html

(ケニア)HIVの母子感染をなくすためのリーダーシップとイノベーション

【2018年7月26日 ケニア発】オランダのアムステルダムで開催された第22回国際エイズ会議(AIDS2018)(2018年7月23日〜27日)で、ケニアが行っている「HIV母子感染ゼロ」目標に向けた真剣な取り組みについて紹介された。

「非感染で(人生を)スタートし、エイズから自由でいよう」(Start Free, Stay Free, AIDS Free)というスローガンに基づき、ケニアでは子どもと青少年の治療へのアクセスに焦点が当てられている。とりわけ思春期の少女や若年層の女性が治療へアクセスしやすくなるよう留意していく必要がある。

会議の参加者は、確かなデータに基づき、コミュニティのリーダー、両親、宗教的リーダーや関連するステークホルダーを含む役割について、あらゆるレベルでの行動が必要であると強調した。

ケニアでは、子どものHIV新規感染が、2010年の推定13,000件から2017年には8千件に減少するなど、予防において重要な進歩があった。これは、HIVに感染した女性を支援するメンター・マザー・イニシアティブ、保健施設での母子支援、保健施設にアクセス際の障壁を特定するためのプログラムの推進などをずっと積極的に行っていることによるものである。ケニアのマーガレット・ケニヤッタ・大統領夫人Margaret Kenyattaのリーダーシップと彼女の「ビヨンド・ゼロ・キャンペーン(Beyond Zero Campaign)」により、HIV予防を含む母子の健康増進サービスがいかに重要であるかについて認識されるようになってきた。

しかし、同会議では、このような進展が国内で幅広くみられるためには、さらなる努力が必要であることも確認された。例えば、医療従事者によるストライキが、エイズ対策の進展を脅かすという意見がある。これは、妊婦のケアや検査に影響を与え、コミュニティの支援を減退させ、HIVサービスそのものにも影響を与えるようになる。

会議において、HIVプログラムの規模拡大を急ぐ必要性があることが確認された。子どもと青少年をHIV感染から守り、またすべての母子感染をモニタできるような新しいイノベーションによってヘルスシステムを強固なものにする必要もある。

(編集部注)Start Free, Stay Free, AIDS Free:「持続可能な開発目標」(SDGs)のなかで、2030年までにHIV/AIDSの蔓延を終わらせるという世界的な合意の一環として、とりわけ子ども、青少年、若い女性のHIV/AIDS蔓延を2020年までに終わらせるとする目標についてキャッチーに説明するスローガンの一つ。

原題:Kenya: Leadership And Innovation for Results in Eliminating Mother-to-child Transmission of HIV
出典:UNAIDS
日付:2018/07/26
URL:
http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2018/july/kenya-eliminating-mother-to-child-transmission-of-hiv

第22回国際エイズ会議(AIDS2018)に向けた南アフリカ共和国のリーダーシップ

【2018年7月24日 プレトリア(南アフリカ共和国)発】第22回国際エイズ会議(AIDS2018)(7月23日から27日)は、「壁を壊し、橋を造る」Breaking Barriers Building Bridgesをテーマに、オランダのアムステルダムで開催された。AIDS2018は、世界最大のHIV研究のプロフェッショナル集団である国際エイズ学会(International AIDS Society:IAS)が主催し18,000人が参加した。この会議は、HIVとその他の保健分野において問題となっている主要事項を考える機会であるとともに、HIVに関する最新の研究も参加者に提供される。

南アフリカ共和国のデービッド・マブーザ副大統領 David Mabuza は、同時期に同国で開催される第10回BRICS(主要新興国:ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)サミットにシリル・ラマポーザ大統領 Cyril Ramaphosa とともに参加するため、AIDS2018への参加が難しいことから、南アフリカ政府代表団のリーダーとしてアーロン・モツォアレディ保健相 Aaron Motsoaledi を任命した。また、マブーザ副大統領は、エイズ会議の関係者や参加する大臣らに加え、活動家や研究者など500人超で構成される南アフリカ代表団を同会議に派遣した。

代表団は、ブルース・コーラーニー在オランダ南アフリカ共和国大使 Bruce Koloane の歓迎を受けた。大使は、南アフリカが強い印象を残すよう代表団のメンバーを鼓舞した。代表団は、AIDS2018にてアフリカの鍵となる人口やHIV防止に関する話し合いに参加した。南アフリカの研究者たちは、エイズ終焉に向けた同国の活動を新たな発表を通じて発信した。

AIDS2018は、世界の保健に関する国際会議の中で最も規模の大きい会議であり、エイズが流行した1985年に初回が開催されて以来、科学や支援活動、人権の分野において独自のフォーラムを提供し続けてきた。その各会議は、HIVの蔓延に対して効果的に対処するための政策やプログラムを強化する機会となっている。

このAIDS2018では、とりわけ、今年は南アフリカ共和国で人種隔離政策を終わらせることに多大な貢献をしたアルベルティーナ・シスルとネルソン・マンデラの生誕100周年にあたる。24日に開かれる南アフリカの発表では、彼らのHIVと結核への大いなる貢献を伝えると共に称賛を示す。

原題:Deputy President David Mabuza Delegates Minister Aaron Motsoaledi to Lead Team SA to 22nd International Aids Conference
出典:South African Government
日付:2018/07/28
URL:https://www.gov.za/speeches/deputy-president-delegates-minister-health-lead-south-african-delegation-international-aids

第346号(第18巻第21号)2018年(平成30年)8月4日

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第346号(第18巻第21号)2018年(平成30年)8月4日
No. 346(Vol.18-No.21) Date:2018/8/4
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★「第346号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・(米国)医学生はPrEP(暴露前予防内服)を最も必要な人に処方しない傾向がある
・(オランダ)国際エイズ会議が開催されるアムステルダム:エイズ対策の促進者としての歴史
・(インドネシア)インドネシアでのLGBT弾圧はHIV危機を拡大させる=報告書

●アフリカの地域別記事
・(南スーダン)緊急人道支援におけるエイズ対策の重要性についてUNAIDSが意識啓発
(マラウイ) NGOがHIV/AIDSのピア教育者として青少年育成の取り組みを実施

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(米国)暴露前予防内服(PrEP)に関する医療従事者の意識:医療従事者は、HIV感染の可能性がより高い対象者に対してPrEPの処方をためらう傾向がある

【2018年6月22日】 暴露前予防内服Pre-Exposure Prophylaxis (PrEP) はここ数年、有効なHIV感染予防方法の一つとして実用化されてきた。また、これについての医療従事者の理解も深まりつつあるが、一方で、医療従事者が対象者にこれを処方する率はとても低い。PrEP はコンドームと共に使用することでHIV予防方法としてとても効果的であると推奨されているが、医療従事者は、PrEPを処方することで対象者がHIV感染のリスクを顧みなくなり、HIV感染の可能性のある性行動を積極的に行うのではないかと懸念する傾向があり、その結果として、PrEPの処方に消極的となっている。そのため、多くの人々は依然としてHIV感染予防にコンドームのみを使用している。

こうした傾向が実際にどの程度存在するのかについて、米国のジョージ・ワシントン大学などの調査グループにより、医療従事者の意識調査が行われた。調査グループは、医療従事者がPrEP へのアクセスについてどのような懸念を持っているかを理解するため、対象者のコンドーム使用の有無、パートナーとの性行為の経験に関する情報をもとに、PrEP を処方する医学生の意識がどのように変化するのかを調査した。さらに、医療従事者が、どのような理由であれば、コンドームを使用できない対象者に対するPrEP 服用を許容できるかどうかを探った。

(調査の方法)
調査グループは、2015年、米国北東部の854人の医学生を対象にオンラインの調査を実施した。このうち、111人の参加者が6人の男性対象者に対してPrEP 処方を行うことに前向きであった。6人の男性対象者の情報はそれぞれ、コンドームの使用に関する対象者の考え方(常に使用、常に使用しない、PrEP 服用の場合は使用しない)について、また、パートナーとの性行為の経験(治療を開始していない1人のセックス・パートナーがいる、もしくは、HIVかどうか不明の複数のセックス・パートナーがいる)について医学生に伝えられている。また、コンドームの使用を行わないことについて、「快感を得るため」、「性行為を円滑にするため」、「親密さを増すため」、「妊娠するため」の4つの理由の場合はPrEPの処方を許容できると話した。

(研究の結果)
この研究成果から分かったのは、対象者がおこないうる性行動のリスクが高いほど、医療従事者が対象者に対してPrEPを処方するのをためらう傾向が強くなる、という矛盾である。対象者がコンドームを使用し、今後もコンドームの使用を続けようとしている場合、より多くの医学生がPrEPの処方をためらわない傾向がある。対象者のセックス・パートナーが一人だけの場合、医学生の93%がPrEP処方を許容する。一方、対象者が複数のパートナーを持っている場合、PrEP処方を許容する医学生は全体の86%に下がる。対象者がコンドームをこれまでも今後も使用しないという場合、もしくは以前はコンドームを使用していたが、今後は使用しないと考えている場合、こうした対象者にPrEPを処方しようという医学生はほとんどいなかった。

また、対象者が一貫してコンドームを使用しているか、使用していないかについて医学生に伝えたとき、セックス・パートナーが1名の対象者よりも、複数のセックス・パートナーがいる対象者に対してPrEPを処方すべきと考える医学生はほとんどいなかった。また、今後コンドームを使用しないと言う対象者に対して、セックス・パートナーが1名の対象者よりも、複数のパートナーを持つ対象者にPrEPを処方すべきと考える医学生は少なかった。これは重要な発見である。一方、医学生の69%が、「妊娠するためにコンドーム使用を中止する」という対象者にPrEPを処方すべきと考えており、ついで、親密さを増すため(23%)、快感を得るため(14%)、そして性行為を円滑にするため(13%)と続いた。

(結論)
この研究結果から、より多くの医学生が、リスクの高い性行動を行う可能性のある対象者に対してPrEPを処方しないという医療判断を行う傾向があることが確認された。これは、本来のPrEPの趣旨に照らして矛盾している。また、PrEPに対する誤解や、医療従事者個人の価値観が、対象者に対して最適なHIV予防サービスの提供を阻害しているということが、この調査で明らかになった。

原題:Prevention paradox: Medical students are less inclined to prescribe HIV pre‐exposure prophylaxis for patients in highest need
出典:Journal of The International AIDS Society
日付:2018/06/22
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jia2.25147

(オランダ)国際エイズ会議が開催されるアムステルダム:エイズ対策の促進者としての歴史

【2018年7月23日〜27日 アムステルダム(オランダ)発】 2018年7月に第22回国際エイズ会議がオランダの首都アムステルダムで開催される。しかし、なぜアムステルダムでの開催なのだろうか。これには、アムステルダムのエイズとのかかわりの歴史が大きく作用している。

アムステルダムはこれまで常にエイズ終息に向けた闘いを強力に推進してきた。まず、1980年代にHIV/AIDSが初めて公衆衛生上の脅威として出現した時、オランダは大きな試練に正面から立ち向かった。そしてエビデンスに基づいた科学的研究に取組み、他の国では排除されてスティグマの対象となった人々と共に闘ってきたのである。実際に、アムステルダムは1992年に第8回国際エイズ会議の開催都市となった。国際エイズ会議は現在、エイズ対策及び公衆保健上の任務としての人権アプローチの啓発における最大のプラットフォームとなっているが、国際エイズ会議がこのような形で発展する契機となったのがこの第8回国際エイズ会議であった。また、HIV陽性の女性の世界的ネットワークである「国際女性HIV陽性者コミュニティ」The International Community of Women Living with HIV/AIDS, ICWが設立されたのもこの第8回の会議である。

さらに、アムステルダムは、薬物を静脈注射によって使用する人々において、注射針の回し打ちによる血液感染を防止する有効な手段である「注射針交換プログラム」を世界で初めて導入した都市のひとつである。それだけでなく、アムステルダムはこれまでも常にHIVの研究におけるグローバルなハブとして機能してきた。例えば、「アムステルダムHIV感染とエイズにおけるコホート研究」や、予防的に抗レトロウイルス薬を飲む「暴露前予防内服」 Pre-exposure prophylaxis (PrEP) を毎日行うか間欠的に行うかを比較する進行中の臨床試験などが例として挙げられる。後者は、HIV感染ゼロを目指すアムステルダムの研究団体であるH-TEAM(HIV Transmission Elimination Amsterdam)のプロジェクトの一部でもある。

さらに、アムステルダムは、現在、国際的に展開されている「90-90-90目標」(HIV陽性者の90%が感染の有無を自覚し、その90%が治療につながり、その90%においてウイルス量が検出可能値以下に下がるという、国連合同エイズ計画 UNAIDSが提唱している目標)の迅速な実施(Fast Track)を積極的に展開する「ファスト・トラック・シティ」を宣言している。これは、世界が2030年までのエイズ流行の終息という野心的な目標を達成するために行っている取り組みについて、アムステルダムが率先して実施していくということを約束している都市であることを意味する。

国際エイズ会議のアムステルダムでの開催には、2018年、HIV/AIDS流行に繰り返しコミットメントを見せ、実践的に取組んでいる都市であるアムステルダムに、国際社会が戻ってくるという象徴的な意味がある。実際にこれまでのアムステルダムのHIV流行終息のための歴史的な努力は成功してきたことが証明されている。過去5年間で市内のHIV新規感染は半減した。また、アムステルダム市内のHIV陽性者の94%が自分の感染の有無を知っており、そのうち83%以上の人がウイルスの抑制を成し遂げている。

国際エイズ会議を主催する国際エイズ学会 International AIDS Society (IAS) の会長であるクリス・ベイラー氏 Chris Beyrer は、は、「政府が人権尊重への強力なコミットメントと共同し、傑出した科学を支援してエビデンスに基づくHIV対策プログラムに取組むと何が起こるのか。オランダはそれを示す素晴らしい例だろう」とアムステルダムの努力を絶賛した。ベイラー氏は、「私たちは、国際エイズ会議をこのようなエイズ流行との闘いにコミットしてきた都市で開催できることを大変嬉しく思っている」と述べた。

原題:Why Amsterdam for AIDS 2018
出展:c2018 I amsterdam
日付:2018/07/27
URL:https://www.iamsterdam.com/en/business/meetings/aids-2018/why-amsterdam
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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