グローバル・エイズ・アップデート

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国際保健に取り組む日本の市民社会ネットワーク、パンデミック条約についてWHOに意見書を送付

「パンデミック条約」の制定に向けた多国間の交渉が、世界保健機関(WHO)をベースに本格化している。2022年7月には、各国から出た論点を網羅した「ワーキング・ドラフト」が、この交渉をリードしている「多国間交渉主体」(INB)から発表され、同主体の第2回会合で討議された。また、この「ワーキング・ドラフト」に関するステークホルダーからのコメントの募集が9月15日を期限に呼びかけられた。

国際保健に取り組む日本の市民社会ネットワークである「GII/IDI懇談会NGO連絡会」(英語名:Japan CSO Network on Global Health、以下「連絡会」とする)は、同交渉主体の「ステークホルダー」のうち、「付表E」(Annex E)に掲載されている団体の一つとなっている。この「付表E」団体は、INBに対して、直接意見表明が出来る立場である。連絡会は、この「ワーキング・ドラフト」に関して、9月15日にコメントを送付した。


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グローバルファンド増資会合:まずは保健系国際機関で最大の誓約額を達成

資金誓約を延期した英国・イタリアを始め、国際社会は180億ドル目標を実現するため更なる尽力が必要

保健系国際機関で最大の増資目標額

長らく世界中で猛威を振るってきた三大感染症、エイズ・結核・マラリア。途上国の三大感染症対策に資金を供給する国際機関、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の2024-26年の資金を確保するために、今年の2月に開始された「第7次増資」を集約する、「第7次増資誓約会合」が9月21日、米国のバイデン大統領が主催して、米国ニューヨークで開催された。

グローバルファンドの増資プロセスは3年周期で行われる。前回の「第6次増資」は2019年2月、インドが増資準備会議を主催し、140億ドルを目標額として行われ、フランスのリヨンで開催された増資誓約会合で目標を達成して終了した。この資金は、2021-23年の3年間で活用される資金であったが、2020年から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックと重なることになった。COVID-19禍で通常の対策ができなくなり、これまでの成果が大きく後退したこと、COVID-19の下での三大感染症対策は、より多くの資金がかかること、さらには、三大感染症対策を、強くしなやかで持続可能な保健のためのシステムのグローバルな構築に結び付けていく必要があること、等の理由から、「第7次増資」については、目標額が前回から約28.6%増の180億ドルに設定された。これは、保健関係の国際機関の増資プロセスの目標額としては最大のものである。続きを読む

旧来の援助の概念を揺るがす「グローバル公共投資」理論は真の多国間主義に行きつけるか

一方で進む主要国の「一国主義化」や多国間主義を忌避するネット世論に向き合えるかが課題

いま、パンデミック対策・対応をはじめとする国際保健政策、さらに開発協力全体に関連して、一つの考え方が注目されている。「グローバル公共投資」(Global Public Investment: GPI)がそれである。「国際協力が今ほど必要とされている時はない、しかし、現行の『援助』というシステムは時代遅れで非効率的であり、それ自体を21世紀の世界に適合的な新たなモデルに再構築しなければならない」…この考え方は、現在、南米のコロンビアに在住している英国の開発理論家、ジョナサン・グレニー氏(Jonnathan Glennie)が昨年刊行された著書「援助の未来」(The Future of Aid)で詳述されたものである。続きを読む

インドネシアで曝露前予防内服(PrEP)の展開拡大に成功

【2022年9月1日、ジュネーブ(スイス)発】インドネシアのHIV新規陽性者数は2021年に3.6%減少して約27,000人となった。しかしながら、依然としてアジア太平洋地域では新規感染者数が最も多い国の一つである。そこで、同国では、曝露前予防内服(Pre-exposure prophylaxis, PrEP)を導入して、最も脆弱な人々が利用できるようにすることによりHIV感染予防をより一層進めようとしている。PrEPは、パイロットプロジェクトとして、2021年から同国の一部の地域において展開することとなった。PrEPは、HIV感染リスクを抱える人々にとってより便利な新しいHIV予防手段であることから、PrEP導入によりセックス・ワーカーや男性とセックスをする男性(MSM)などの、対策の鍵となる人口グループ(Key Population)における新規感染を減らすことが期待される。2021年は国内の2地区で導入され、2022年には21地区、7000人のPrEP受診を目指す。続きを読む

国際機関評価ネットワーク(MOPAN)、グローバルファンドの取り組みを高く評価する報告書を発表

【2022年8月31日 ジュネーヴ(スイス)発】主要な国際機関の活動の成果について評価する多国間の機関である「国際機関評価ネットワークMultilateral Organisation Performance Assessment Network(MOPAN)」は、途上国のエイズ・結核・マラリア対策に資金を拠出する国際機関「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金、Global Fund)の活動が、主要なパフォーマンス指標において概ね満足できる結果であると評価した。グローバルファンドは、この20年間で約4,400万人の命を救ってきており、今後も可能な限り効果的な活動を継続することが認められたと評価した。続きを読む

南アフリカ共和国の女性セックスワーカーにおけるHIV新規感染率の推定:横断的調査データの複数の手法による分析

【2022年9月05日】南アフリカ共和国の女性セックスワーカーについては、HIVリスク要因に関する調査やHIV陽性率(HIV prevalence)が高いという報告は多数あるが、HIV感染リスクの高い女性セックスワーカーに対する全国横断的なHIV新規感染率(HIV incidence)の推定値は存在しない。本研究では南アフリカのセックスワーカープログラムを通じてプログラムに参加する女性セックスワーカーのHIV新規感染率を推定すること、この分析を可能にする方法について説明することを目的とした。続きを読む

宗教団体がHIV陽性者に対するスティグマの主な要因に

【2022年8月29日 アクラ(ガーナ)発】HIV陽性者に対する偏見と差別を生む要因として、HIVに関する偏見や差別的な認識をもった宗教団体の活動が挙げられる。その事例は増え続けている。西アフリカ・ガーナのNGOである国際HIV陽性宗教指導者ネットワーク International Network of Religious Leaders Living with or personally affected by HIV and AIDS(INERELA+Ghana)は、「国連女性に対する暴力撤廃信託基金」(UN Trust Fund to End Violence against Women)からの資金援助を基に、「性別やジェンダーに基づく暴力(SGBV: Sexual and Gender-based Violence)に関する法律とメディアの報道」に関するジャーナリスト向けの能力開発ワークショップをアクラで開催した。このワークショップでは、HIVの効果的治療と予防的を促進するために、宗教指導者の教育を強化する必要性があることが呼びかけられた。続きを読む

(メキシコ)警察へのハームリダクションの教育は、HIV予防や致命的な過量摂取の防止に役立つ

【2022年7月31日ティファナ(メキシコ)発】米国のサンディエゴと国境を接しているメキシコ北部の都市ティフアナ(メキシコ)の警察官を対象とした教育プログラムは、薬物使用の検挙数を減少させ、HIV感染や薬物の過剰摂取の防止にとって費用対効果の高い介入であることが示された。この研究成果は、国際エイズ学会第24回大会(AIDS 2022)で、ハビエル・セペダ博士 Javier Cepedaによって発表された。
2016年5月、ティフアナの自治体警察官1806名が教育プログラムに参加した。講習では、1)ハームリダクション、2)個人的に使用するための少量の薬物所有を合法化し、再逮捕者の治療を義務化した2009年の法改革、3)HIVとC型肝炎の基礎知識、4)注射針刺し事故防止などの労働安全、について学んだ。プログラムの評価期間は2年間で、対象は講習を受けた警察官、ティフアナ在住の薬物を使用する人びと(プログラム開始前、実施中、プログラム終了後で分けたコホート3群)であった。
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HIV対策の進展が鈍化する中、グローバルファンドはイノベーションへの投資加速をよびかける

【2022年7月29日 モントリオール(カナダ)発】国連合同エイズ計画(UNAIDS)の新しい報告書は、AIDSに対する進歩が停滞していることを示している。これを受け、途上国のエイズ・結核・マラリア対策に資金を拠出する国際機関「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、HIVの流行に対する治療を加速させるための新しいツールやイノベーションの開発を歓迎している。1つは、HIV自己検査のコストを引き下げ、より手頃な価格にするという公表である。新たなパートナーシップは、中国の広州に本社のあるウォンドフォ・バイオテック社(Wondfo Biotech)が開発したHIV自己検査テストキットを1米ドルで提供することに合意し、市場で最も低価格なWHO事前認定HIV自己検査テストキットとなった。WHOは、HIV自己検査は安全で正確かつ効果的な方法であり、他の方法では検査ができないような人々にも実施できる方法として推奨している。手頃な価格のHIV自己検査は、人々が自分のHIVの状態を知る機会と安全な場を作り出し、世界的な検査目標達成を達成するための重要なツールである。続きを読む

(サハラ以南アフリカ)暴力を受けた青少年や女性は、HIVに感染する可能性が高く、それをコントロールできる可能性は低い

【2022年8月2日 モントリオール(カナダ)発】カナダ・ケベック州の最大都市、モントリオールで行われた第24回国際エイズ学会(24th International AIDS Conference:AIDS 2022)において、サハラ以南アフリカにおける暴力とHIV服薬アドヒアランスとの関連などを分析した研究が2本発表された。ケープタウン大学のルーシー・クルーバー教授Prof. Lucie Cluverは、南アフリカ東ケープタウンの10代の男女HIV陽性者1046人を対象とし、2014年から2018年までの縦断研究の結果を発表した。参加者の37%がこれまでにパートナーから暴力を受けた経験がある被害者であり、パートナーからの暴力、性暴力がどちらも服薬アドヒアランスの低さと関連がみられた。服薬アドヒアランスに対する暴力の影響を予測する統計モデルによると、これまで暴力を受けたことのない人のアドヒアランスは72%であったが、暴力および性暴力どちらも受けた人では38%であった。続きを読む
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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