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2004年10月

第15回国際エイズ会議では何が議論されたのか2

2.国連合同エイズ計画ファクトシート「エイズ対策の資金」

 本特集では、本年7月にバンコクで開催された第15回国際エイズ会議でどのようなことが討議されたのかについて、いくつかの文献を中心に紹介します。全て、(特活)エイズ&ソサエティ研究会議 HAT(HIV/AIDS文献翻訳)プロジェクトにより訳されたものです。
 ぜひともご活用下さい。



1.第15回国際エイズ会議開会式に関するHIV陽性者世界ネットワークの声明
2.国連合同エイズ計画ファクトシート「エイズ対策の資金」
3.エイズとの闘いは、世界が直面する最大の課題の一つ(ネルソン・マンデラ・前南アフリカ共和国大統領のスピーチ)
4.第15回国際エイズ会議 リーダーシッププログラム 声明(グラサ・マシェル氏)
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★国連合同エイズ計画ファクトシート「エイズ対策の資金」
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原文表題:UNAIDS Factsheet "Funding for AIDS"
出典:UNAIDS website
日時:July 6, 2004
ウェブサイト:http://www.unaids.org/
(翻訳:HAT(HIV/AIDS文献翻訳)プロジェクト)

新たな資金需要推計

・UNAIDSが発足した1996年当時、低・中所得国におけるエイズ対策の支出は3億ドルだった。現在は資金源が増え、年間50億ドル前後が途上国のエイズ対策に使えるようになっている。15倍に拡大したことになる。これほどの増額にもかかわらず、いまなお必要な資金の半分しか確保されていない。

・78カ国を対象にした専門家の調査に基づく新たな推計によると、効果的なエイズ対策には世界で2005年までに120億ドル、2007年には200億ドルが必要になる。

・2007年の200億ドルによって、600万人以上(うちサハラ以南のアフリカで400万人以上)に抗レトロウイルス薬を提供し、2200万人のエイズ遺児を支援し、1億人の成人が自発的なHIV検査とカウンセリング(VCT)を受けられるようにし、9億人の児童生徒を対象に学校でエイズ教育を行い、学校に行かない6000万人の若者にピアカウンセリング・サービスを実施する。

・これらの資金の43%はサハラ以南のアフリカ、28%はアジア、17%はラテンアメリカ・カリブ諸国、9%は旧ソ連・東欧、1%は中東・北アフリカで必要になる。

・サハラ以南のアフリカでは資金の38%がHIVケアと治療、35%が予防、22%が遺児支援、5%が政策・アドボカシー・事務経費などのプログラムコストに必要になる。

・その他の地域の内訳は異なっている。アジアでは77%が予防に必要なのに対し、ラテンアメリカでは治療に62%が必要になるとみられている。

・多額の資金が必要なのはHIV陽性率の高い地域大国(南アフリカ、ナイジェリア、エチオピア)、HIV陽性率は低いが大人口を抱えている国(中国、ロシア、インド)、サービスのカバー率が高い国(ブラジル)である。

国レベルにおける手法の改善

・UNAIDSはフューチャースグループ、米州開発銀行、世銀、アジア開発銀行と協力して2002年1月から2004年4月までの間に、資金必要額の推計に使うモデルに関し、各国チームの研修用の地域ワークショップを9回実施した。推計の見直しには78カ国から得られたデータが反映されている。その多くはエイズの流行の最前線にある国である。
 新たな推計には2001年推計にはなかった以下のファクターが考慮されている。

医療用の安全な注射器
医療従事者のためのユニバーサル・プリコーション(手袋、ガウン、マスク)
感染事故直後の予防措置
HIV検査サービスの拡大(途上国の多くで著しく欠けている)
栄養、コミュニティレベルでのカウンセリング、薬をきちんと飲み続けるためのモニタリングなど抗レトロウイルス薬提供を支える包括的なサービス需要
移住者、受刑者、HIVに感染している人を対象に含む予防サービスの拡大
ギャップを埋める

・エイズ資金のギャップを埋めるため、低・中所得国は予算配分を増やさなければならないが、それでも国際資金の支援は必要である(サハラ以南のアフリカ、およびアジアの一部の国では80%を支援に頼ることになる)。

・資金不足は単一の資金源によって埋められるものではない。エイズに脅かされている何百万人もの生命を救うつもりなら、もっと多くの資金が必要である。

・多数の国の政府、資金提供者、民間企業がエイズ対策資金を増やしている。2003年現在、世界エイズ・結核・マラリア対策基金は124 カ国227件のプログラムに総額21億ドルの助成を承認し、うち2億3200万ドルはすでに配分されている。その60%はエイズ対策が対象である。

・多国間のエイズ・プログラムを通し、世銀はサハラ以南のアフリカに10億ドル、カリブ諸国に1億5500万ドルをエイズ対策支援の助成金および無利子ローンとして承認している。

・2003年の初めに発表した米大統領エイズ救済緊急プログラム(PEPFER)で、米国は2008年までの5年間にエイズと闘うための資金150億ドルを提供することを約束した。米国政府は2004年、14カ国に資金提供を開始し、初年度分24億ドルを配分した。ブッシュ大統領は2005年度として28億ドルの拠出を求めている。

・最貧国も含め、多くの国でエイズ対策への国内支出が劇的に増えている。UNAIDSの試算では2002年の低・中所得国58カ国の政府のエイズ対策支出は9億9500万ドルで、1999年の2倍に増えている。

・世界で最もHIV感染者人口が多い南アフリカでは、2003−2004年予算におけるエイズ対策支出は前年度比86%増となっている。

・ただし低所得国や中所得国で、国内支出を必要なレベルまで引き上げることは困難である。このことは、とりわけ治療プログラムにおいて、持続不可能な結果をしばしば招いている。長期的に見れば、始めては途中で止めることは、破壊的な影響をもたらす。

債務救済

・世界のHIV陽性者の3分の1以上(約1400万人)は、世銀により重債務負担国に分類されている国に住んでいる。2002年には最も貧しく債務の大きい42カ国(うちサハラ以南のアフリカ34カ国)で合計2130億ドルの債務を抱えている。

・貧しい国の債務という重荷を軽くすることは、エイズ対策を最も必要とする国の対策を強化することにつながる。だが、現在のレベルの海外援助に加え、純粋な追加的資金が投入されなければ、債務救済も意味ある対策にはならない。

バンコク会議ミニ特集Part1

1.第15回国際エイズ会議開会式に関するHIV陽性者世界ネットワークの声明

2.国連合同エイズ計画ファクトシート「エイズ対策の資金」

3.エイズとの闘いは、世界が直面する最大の課題の一つ(ネルソン・マンデラ・前南アフリカ共和国大統領のスピーチ)

4.第15回国際エイズ会議 リーダーシッププログラム 声明(グラサ・マシェル氏)

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★第15回国際エイズ会議開会式に関する
 HIV陽性者世界ネットワークの声明
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(翻訳:HAT(HIV/AIDS文献翻訳)プロジェクト)

(解説:第15回国際エイズ会議の開会式では、タイの代表的なPLWHA(HIV感染者・AIDS患者)の活動家であり、前タイ・PLWHAネットワーク(TNP+)事務局長、現在タイ・治療アクセスグループ(TTAG)ディレクターのパイサン・スワナウォン Paisan Swannawong がタイのPLWHAの代表として登壇した。しかし、パイサンのスピーチは最後に回されたため、ほとんどの人が彼のスピーチを聴くことなく終わった。これについて、HIV陽性者世界ネットワーク(GNP+: Global Network of PLWHA)は厳しく批判する声明を出した。)

 HIV陽性者世界ネットワーク(GNP+)は、我々の兄弟パイサン・スワナウオングに対し、そして彼を通じすべてのHIV/エイズとともに生きる人々に対して示された余りにもひどい非礼に深い怒りと悲しみを表明する。会議の共催団体としてGNP+は可能な限り強い言葉で開会式当夜のプログラムの変更に抗議する。20年の流行を経て、世界に4000万人ものHIVに感染した人々が暮らしているにもかかわらず、開会式で唯一、HIV陽性のスピーカーが話す場面をテレビで見ることすらできなくなるような変更だった。レセプションが開かれ、ほぼすべてのメディアまでもが開会式でHIV陽性者が話そうとしたときには、会場から去っていた。

 真実はまたも明示されずに終わった。政治指導者と官僚たちが列をなし、HIV感染に関して人気を集めそうな強いカレー風味の演説を次々と行うことには熱心だったが、真の課題は無視された。目を覚まそう。これが現実なのだ。リーダーシップについて話し合うのなら、4000万人のHIV陽性者が抽象的にしか語られず、一本のロウソクに置き換えられたことに留意しなければならない。同情や憐れみはいらない。計画を一緒に立てるふりをして頭をなでてから、あなたたちは自らの見解の中にきれいに収めきれない問題が提起されると、我々を切り捨てる。この感染症を抱えて生きることに関する私たちの声を無視してきたことが、まさしく現在の状態をもたらしたのだ。この惑星では昨年一年間に治療を受けられるようになった人の100倍もの数の人が新たにHIVに感染している。

 この国はHIV/エイズの流行の現実に対し、創造的かつ熱心に、さまざまな分野の人たちが参加して立ち向かうことが可能な活力に満ちた国であるはずだ。会議の準備の過程で、エイズがもたらす課題に対応するために重ねられた議論と、そこで示された創意には強く心を打たれるものがあった。エイズの流行に終止符を打つまで闘うことを約束した政治指導者はHIV陽性者の意見を、そしてセックスワーカー、若者、女性、男性とセックスをする男性、薬物静脈注射使用者の意見を積極的に聞き、学び、対策に反映させていかなければならない。我々はやっかいものではなく、この流行と闘うパートナーなのだ。

 わが友パイサンが昨夜、勇気をもって、心のこもった演説を行ったことを称えるとともに、たった一人のHIV陽性者の言葉すら聞くこともなく、カクテルのために開会式会場を早々に引き上げていくような世界の状況は記録にとどめておきたい。

 これが、第15回国際エイズ会議が開かれている世界の現状なのである。

第15回国際エイズ会議では何が議論されたのか3

3.エイズとの闘いは、世界が直面する最大の課題の一つ(ネルソン・マンデラ・前南アフリカ共和国大統領のスピーチ)

 本特集では、本年7月にバンコクで開催された第15回国際エイズ会議でどのようなことが討議されたのかについて、いくつかの文献を中心に紹介します。全て、(特活)エイズ&ソサエティ研究会議 HAT(HIV/AIDS文献翻訳)プロジェクトにより訳されたものです。
 ぜひともご活用下さい。

1.第15回国際エイズ会議開会式に関するHIV陽性者世界ネットワークの声明

2.国連合同エイズ計画ファクトシート「エイズ対策の資金」

3.エイズとの闘いは、世界が直面する最大の課題の一つ(ネルソン・マンデラ・前南アフリカ共和国大統領のスピーチ)

4.第15回国際エイズ会議 リーダーシッププログラム 声明(グラサ・マシェル氏)

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★エイズとの闘いは、世界が直面する最大の課題の一つ
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〜2004年7月16日 第15回国際エイズ会議 閉会式における
ネルソン・マンデラ前南アフリカ共和国大統領スピーチ〜
(翻訳:HAT(HIV/AIDS文献翻訳)プロジェクト)

 国際エイズ会議の閉会式にお招きいただきありがとうございます。私はすでに年老いた年金生活者であり、権力も影響力もありませんが、この閉会式では年長者であるように思います。ご存知のように、私は公的な仕事からの引退を表明しました。したがって、ここに立つべきではないということになるかもしれません。しかし、エイズとの闘いは21世紀の初頭において世界が直面する最も大きな課題の一つです。地球規模の対策がこの流行の流れを十分に変えうると確信できるようになるまで、私は休むわけにはいきません。

 この問題に取り組むことは非常に重要なので、世界は他にもいまたくさんの問題を抱えているからといった理由で力を緩めることは許されません。人類の歴史の中で、HIV/エイズの流行ほど大きな脅威はありません。もっと差し迫っているように見える問題のために、HIV/エイズに対する関心が低下したり、そらされたりしてはいけないのです。HIV/エイズとの闘いに投入できるエネルギーと資源のすべてを傾けて対応しなければ、歴史は厳しく私たちを裁くことになるでしょう。

 昨日の夜、私たちは46664キャンペーンを紹介しました。アパルトヘイト体制がいかにして私たちを囚人番号に変え、そのことで人間性を奪おうとしていたかについて語りました。希望をしっかりと持ち、世界は私たちのことを忘れていないのだという確固とした認識に支えられて、私は生き続けることができました。私たちは昨夜、あなたに、ということはつまり世界中のすべての人々に、HIV/エイズに苦しむ何百万もの人たちのことを忘れないでほしい、その人たちを単なる数字に変えないでほしいと訴えました。私たちは決して私たち自身の責任を忘れてはならないのです。

 昨夜、私たちはまた、資金提供者に対し、エイズとの闘いの資金を実体として大きく増やすように求めました。これは政府だけでなく、民間の企業、財団にもお願いしたい。世界のすべての人が対象です。どんな金額でも、世界を変えるのに小さすぎるということはありません。私たちは世界エイズ・結核・マラリア対策基金がいかに重要であるかを強調しました。世界の127カ国に資金を提供しています。私たちは官民のパートナーシップを必要としています。それは世界基金の方針でもあります。この基金をいま、資金面で支えることは私たちすべてにとっての大切な課題です。

 私は46664キャンペーンの一部として、各国に包括的なHIV/エイズの予防とケアのプログラムを作るよう求めてきました。この中には何百万もの人々の生命を救うのに必要な抗レトロウイルス治療の提供もきわめて重要な課題として含まれています。私たちは難民、移住労働者、薬物注射使用者、囚人、セックスワーカーら社会から排除されがちな人々が必要しているものについて強調しました。かつての囚人番号46664として、私の心の中には基本的な人権の保障を拒否されたすべての人たちのための特別な場所があります。私たちは各国に対し、不公正な差別に苦しんでいる人たちの人権を守るために必要な政策の変更を求めています。

 最後に私たちはHIV/エイズと闘うためにはリーダーシップが極めて重要であることを強調しました。政治のリーダーシップだけでなく、社会のすべての分野のリーダーシップについて語ったのです。私たちはこの会議が新たにリーダーシップ・プログラムを導入したことを喜んでいます。もっと多くの指導者たちが、この危機に対応するために人々を動かし、勇気付ける準備を始めようとしています。

 明後日、7月18日は私の86歳の誕生日です。社会のすべての分野の指導者がエイズと闘うために本当に必要な、そして緊急の行動を起こす決意を新たにすることを知るなら、それに勝る素晴らしい誕生日の贈り物は私にはありません。何が必要なのかはもう分かっています。欠けているのは意思です。あなたが立ち上がることで、私が早く引退生活をすごせるようにしてください。
 ありがとう。

第15回国際エイズ会議 リーダーシッププログラム 声明

グラサ・マシェル1(リーダーシップ・プログラム主宰者)
第15回国際エイズ会議 タイ・バンコク、2004年7月16日
(翻訳:HAT(HIV/AIDS文献翻訳)プロジェクト)
 バンコクの第15回国際エイズ会議リーダーシップ・プログラムには、HIVに感染して生きる人、男性とセックスをする男性、薬物注射使用者、若者のリーダー、エイズプログラム、政府、NGO/CBO、企業、宗教界、科学者、軍人、働く世界の指導者が一堂に会した。これは私たちの約束の声明である。今日、私たちリーダーは、エイズによって死亡した何千万もの人、そしてHIVに感染している何千万もの人を思い出す。この人たちこそが無視と社会的排除、差別、迫害、拒絶に対して闘い続けてきた最初のリーダーである。私たちはエイズの流行と闘う第一のリーダーであるHIVに感染した人たちに敬意を表する。ほとんどの人は知られることもなく、その闘いも静かで、目立たなかった。

 2004年になってもHIVに感染している人が3800万人もおり、20年前と同じ闘いを闘わなければならないことを私たちは恥じる。予防と治療には何が有効なのか、私たちはこの点に関し、すでに多くを学んでいるのに、流行は地球上の全地域で拡大している。

 私たちは新たな感染から人々を守る努力が十分ではなかったことを認める。必要な人すべてに必要な治療とケアを受けることが経済的にできるようにするための努力は十分ではなかった。私たちはスティグマや不必要な犯罪者扱い、差別などと十分に闘ってこなかったし、何千万もの若者と成人の感染のリスクと感染を促す要因を減らしていく努力も十分にはしてこなかった。

 私たちはまた、感染した人、影響を受けた人のエイズ対策への参加に成功してこなかったことを残念に思う。

 十分な情報、教育、予防手段、技術、治療、ケア、支援の提供に失敗してきたことも認める。私たちがすべての人に対し、人権に対する配慮と平等と機会、そして感染した人の力になり、行動を助けるような環境を確保する能力を欠いていたことが、流行の拡大を助けた。

 私たちすべてのレベル、すべての分野のリーダーは今日、HIVに感染して生きる人、影響を受けている人の生活の質を改善し、これ以上の感染を防ぐことを約束する。私たちは集団としても個人としても以下の戦略と行動に責任を持つ。


・支援のための政策と立法
・予防、ケア、治療、影響緩和のプログラムの拡充
・資金および人材の確保
・他のリーダーへの働きかけ
・これまでに行った約束の実現
 世界は愛とケアを必要しており、私たちはスティグマや不必要な犯罪者扱い、差別をなくすために、社会の一人一人の態度を変化させていくよう努力することを約束する。政府、企業、社会、労働界のリーダーはそれぞれの分野だけでなく、国際機関や資金提供者と協力し、世界エイズキャンペーンなどの仕組みを通じて努力を続けていくことを約束する。さらに私たちはUNAIDSとそのパートナーによって示された「3つのワン」の原則を確認し、実現に力を入れることを約束する。私たちは広範な省庁横断、分野横断の対策を強化していくことを約束する。

 HIV/エイズ対策がしばしば特定の価値判断を基準にして進められていることを私たちは憂慮している。私たちは人権の尊重と科学的に明らかにされた事実を踏まえ、エビデンス(根拠)に基づく介入を行うことを約束する。

 私たちは子供、若者、女性、セックスワーカー、薬物注射使用者、男性とセックスする男性、移住生活者、難民・避難民など、社会的に弱い立場のすべての人々の脅威や苦しみを認識し、この人たちがHIVに感染しやすくなるような社会的条件を減らすことに努めなければならない。

 世界は国連エイズ特別総会のコミットメント宣言をはじめ、HIV/エイズの流行に立ち向かうために特別の対策を取ることを約束したさまざまな宣言に同意してきた。私たちのリーダーシップ声明は、世界の指導者たちによるこれらの宣言を支持し、政府、企業、社会、国際組織に対し、責任を持って約束を実現させるよう求める。

 ここに集まった多様な社会や集団のリーダーである私たちは、私たち自身のそれぞれのリーダーシップ・コミットメント宣言をまとめた。これらの約束はバンコク・リーダーシップ声明の一部をなすものであり、世界がこの声明に特別の関心を払うことを私たちは望んでいる。各集団の宣言はその集団のリーダーたちの動機付けと行動の指針になるだろう。それぞれの集団は責任を持って約束を実現させるための仕組みを作ることを約束した。

 事態の緊急性を認識し、私たちは直ちに行動を開始するとともに、トロントの第16回国際エイズ会議でその進展状況を報告することを約束する。


1 グラサ・マシェル氏はアフリカを代表する女性活動家・人権活動家であり、ネルソン・マンデラ・南アフリカ共和国前大統領の夫人で、故サモラ・マシェル・モザンビーク人民共和国前大統領夫人である。

ケニアのジェネリック製薬企業、ケニアのジェネリック製薬企業、

 ケニアの企業であるコスモス社 Cosmos Ltd. が、特許を所有するイギリスの巨大製薬会社、グラクソ・スミスクライン(GSK)から認可を受け、3種類の重要なジェネリック薬品の製造を始めた。このことにより、ケニアの200万人近いHIV感染者が、命を救う薬を安価に手に入れることができる可能性がでてきた。
 コスモス社はラミブジン、ジドブジンおよびこの2種類の薬の混合薬であるコンビビルの計3種類のジェネリック薬品の製造を開始する。
 GSKはその3種の薬品の特許を所得し、ケニアでの製造と販売の全ての権利を所有しており、ローカルレベルで使用される薬の商標に関し2企業が合意に達し次第、製造が開始するものと思われる。
 薬の現地製造は、薬のラベルの投薬量などの説明が、英語とスワヒリ語の両方で表記され、服薬方法を改善できるという利点がある。そして、HIV感染者により重要なのは、ジェネリック抗レトロウイルス薬の現地製造により、医療費の負担が減少することである。輸入した抗レトロウイルス薬に依存するという現在のシステムは、外国為替変動や輸送の混乱などの煽りを受けやすい。現地製造により、命を救う薬が工場から患者へ、より確実に流れていくことに、多くの人が期待をかけている。

原文表題:Kenyan Firm Cleared to Make HIV Drugs
日付:September 22, 2004
出典:Allafrica.Com, The Nation
URL: http://allafrica.com/stories/200409220244.htm

IMF・世銀年次総会・G7蔵相会議−最貧国の債務、帳消しに至らず

 11月1〜3日に開催されたIMF・世銀年次総会およびG7蔵相会議では、イラク債務問題と絡めて最貧国のIMF・世銀への債務の帳消しが討議される予定だった。しかし、実際の会議では、最貧国に対する債務軽減に関する合意は得られなかった。
 債務削減に熱心だったのは米国および英国政府だった。とくに英国政府は最貧国が世銀やアフリカ開発銀行に対して負っている債務の返済を免除すべきとの提案をし、他国にも同様に債権放棄をするよう求めた。また、英国政府は、IMFが保有している金を再評価することによって資金を調達して債務軽減の支払いにあてることを提案した。しかし、他国は英国の呼びかけに慎重な姿勢を示し、会議では合意に至らなかった。
 IMF・世銀年次総会・G7蔵相会議で貧困国の債務帳消しに関する合意が得られなかったことに関して、最貧国の債務帳消しを求める市民社会組織であるジュビリー・USAは、強い遺憾の意を表した。同団体は、債務帳消しが実現しなかったことは貧困国で暮らす人々の生活にまで深刻な影響が及ぶと批判している。ジュビリー・USAは、G7が債務帳消しに対応できず、G7各国の意見が対立して、どのように最貧国の債務をカバーするかに関する交渉が泥沼化しているのは非常に恥ずべきことである、と指摘し、「債務危機がどれほど人間生活に影響を及ぼすかを考慮し、事態改善のために一刻も早い行動を起こしてほしい」と求めた。
 
原文表題: IMF failing to agree on debt plan
日付: Sunday, 3 October, 2004
出典: BBC website
URL: http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/3711078.stm

原文表題: G7 Ministers Fail to Take Action on Poor Country DebtCancellation
日付: Sunday, 3 October, 2004
出典: Jubilee USA Website
URL:http://www.jubileeusa.org/jubilee.cgi?path=/press_room&page=october1_failure.html

アフリカの聴覚障害をもつ女性HIV感染者/AIDS患者国際会議、ワシントンで来年6月開

 「アフリカの聴覚障害を持つHIV感染者・AIDS患者国際会議」International Conference on Deaf Women and HIV/AIDS in Africa が、2005年6月10日から12日まで、米国ワシントンDCにあるギャローデット大学ケロッグセンターで開催される。ギャローデット大学 Gallaudet Universityとハワード大学Howard Universityがこの会議を講演する。各大学は後援を来年2月11日までに承諾する予定だ。HIV/AIDSと闘うすべてのアフリカ人グループに対する認識を高めることを目的とした本会議は、特に聴覚障害を持つ女性のHIV感染者・AIDS患者との相互理解の推進に焦点をあてている。参加者は聴覚障害者団体、米国その他諸国の学術団体をはじめ、政府、非政府組織そして公的および民間保健組織の代表者を含む。各参加者は自国で政府や非政府組織などと共に聴覚障害のエイズ女性患者のケアのために活動することが期待されている。

原文表題: International Conference on Deaf Women and HIV/AIDS in Africa
日付: Fri, 24 September 2004
出典: Kaiser network Daily HIV/AIDS report
URL: http://www.afronets.org/archive/200409/msg00102.php

中国:HIV感染範囲特定の全国的調査ヘ

 中華人民共和国の保健省広報官マオ・クナン氏Mao Qunanによれば、同国はHIV感染の地域範囲を特定するために1990年代の売血者の全国調査を計画しているという。90年代初めから半ばに集められた、安全確認を怠った安全でない血液の収集が、中国の地方農民たちの間でのHIV感染を助長してしまった事実に基づいている。中国のいくつかの村では20%の住民がHIVに感染しているという。
 政府は今年7月、HIV陽性者数調査のため、河南省の18都市、35郡で100万人以上を対象とした調査を始めた。現在84万人がHIV陽性で8万人がエイズを発病していると予測している。しかしながら、国連は、中国政府がきちんとした対応をしていなかった場合、少なくとも100万人以上が中国全土で感染していると見込んでいる。マオ氏は「中国のHIV感染状況は深刻であり、1995年前後の売血行為がそれを助長してしまった」と話している中国政府は8月に売血禁止法を成立させている。

原文表題: China To Launch Nationwide Survey of People Who Sold Their Blood To
Determine Extent of HIV/AIDS Epidemic
日付:  Oct 14, 2004
出典: Kaiser network Daily HIV/AIDS report
URL: http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?hint=1&DR_ID=26229

ザンビア:外資製薬企業にARV製造に関し強制実施権を付与

 9月22日、ザンビアのディパク・パテル Dipak Patel 通産相は、イタリアの製薬企業ファルコ PHARCO に、抗レトロウイルス薬の三剤混合薬であるノルマビル Normavir 30 および Normavir 40製造に関する強制実施権を付与したと発表した。ザンビアの国内市場で供給されていないラミブジン、スタブジン、ネビラピンの多剤混合薬であるノルマビル製造計画はファルコから提出されていた。
 付与された強制実施権に基づき、製造された多剤混合薬はザンビア国内でのみ販売され、製造者のファルコは、毎会計年度ごとに総販売額の2.5%を超えない額を特許権使用料として支払うことになる。ファルコは来年始めにも製造を開始する。
 通産相によると、特許法第41条の規定により、現在のエイズ危機がもたらした国家非常事態が収まり次第、compulsory licenseは無効となる。また、通産省官房デヴィッドソン・チリパムシ Davidson Chilipamushi書記官は、2009年まで強制実施権が継続されることを示唆した。
 ファルコのジョヴァンニ・レオナルヂ Giovanni Leonardi 支社長は、3ヶ月間、調査研究を行って製造を開始すると語った。ザンビアは、アフリカの中でも最もエイズの影響を受けている国の一つで、90万人以上がHIVに感染している。エイズ発症者の数は、調査されていない。2003年末までのエイズによる死亡者は 83万人を超え、おおよそ75万人の子どもたちが後に残されている。

原文表題:Pharco Granted License to Make ARVs
日付:September 23, 2004
出典:Allafrica.com (The Times of Zambia Ndora)
URL:http://allafrica.com/stories/200409230415.html

シェラ・レオネのレズビアン活動家が暗殺される

 9月29日、西アフリカの国シェラ・レオネで活発に活動を行っていた同性愛者の活動家、ファニャン・エディ氏Fannyann Eddy が、「シェラ・レオネ・レスビアン・ゲイ協会」 SLLAGA Sierra Leone Lesbian and Gay Association のオフィスで殺害されているのが発見された。殺害の残忍の手口から、事件は同性愛嫌悪 homophobia に基づく憎悪犯罪 hate crimeであると推測されている。多くの活動家や、国際人権組織、援助機関が、この訃報に接してエディ氏への追悼の意を述べている。世界銀行アフリカ地域上級アドバイザー the senior advisor on the Africa regionであるハンス・ビンスワンガー氏 Hans Binswanger による報告によると、シェラ・レオネの勇気あるレズビアンの活動家で、SLLAGAの創立者でもあったエディ氏は、先週水曜日(9月29日)の夜から木曜日(30日)の朝にかけて残酷に殺害されたという。犯人がSLLAGAのオフィスに侵入した際、エディ氏以外には誰もオフィスにはいなかった。犯人はエディ氏を強姦し、頭部を鋭利な刃物で刺したうえ、彼女の首の骨を折ったと報告されている。この残忍な事件に接し、シェラ・レオネのレスビアン・ゲイ・コミュニティは深い衝撃を受け、身をこわばらせている。エディ氏は、ジンバブウェのレズビアン・ゲイの団体である「ジンバブウェのゲイとレズビアン」GALZ: Gays and Lesbians in Zimbabwe で同性愛者の社会運動の方法を学び、シェラ・レオネの同性愛者、バイセクシュアル、トランスジェンダーの組織化に多大な貢献をなし、シェラ・レオネにおける同性愛者の市民権獲得のために積極的に活動していた。

原文表題:Activist Murdered
日付:2004年10月4日
出典:Behind the Mask
URL:http://www.mask.org.za/sections/AfricaPerCountry/ABC/sierra%20leone/sierra%20leone_6.htm
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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