グローバル・エイズ・アップデート

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2004年12月

ナイジェリアでエイズと人権に関するワークショップ開催

 ナイジェリアのPrevention AIDS Society (PAS)は先月エイズと人権に関する3日間のワークショップをエキティ州で開催した。このワークショップは政策立案者・地域社会メンバー・エイズと共に生きる人々(People Living With HIV/AIDS: PLWHA)・市民社会各団体・省庁や他の利害関係者の間で活発な議論を期待し、意見交換の機会を提供する目的で開催された。議論のテーマは主に、PLWHAの権利を尊重することと、出産前の女性の強制的なエイズ抗体検査やPLWHAのケア・治療・教育・住居へのアクセスの阻止といった差別的慣行に政策転換の影響を与えることである。これにはカギとなる視点−エイズに関する基本的情報、PLWHAのニーズ、法、人権、不平等・差別等−が取り上げられた。このワークショップは参加者にエイズとPLWHAの人権の関連性に目を向けるものとなった。その上で参加者たちはPLWHAの権利を喚起し、PLWHAの権利をエキティ州の既存の反差別法案に組み込む草案として発展させた。
 次なる段階として、PLWHAの権利についてのラジオ討論会や、人権問題を扱う機関に委託する体制を導入して、権利が阻害されたPLWHAに無料で法律上のサービスの提供などが期待されている。

原題:Prevent AIDS Society workshop on HIV/AIDS and Human Rights
日付:9 Dec 2004
出典:Nigeria-AIDS
URL:http://www.nigeria-aids.org/MsgRead.cfm?ID=4043

第2回HIV/AIDS事業管理ワークショップ

第2回HIV/AIDS事業管理ワークショップ、タイにて開催
(2005年2月7〜18日)

2ND HIV/AIDS PROGRAMME MANAGEMENT WORKSHOP: DELIVERING RESULTS
BANGKOK AND CHIANG MAI, THAILAND
FEBRUARY 7-18, 20

 2005年2月7日から18日にかけて、タイのバンコク及びチェンマイで、「第2回HIV/AIDS事業管理ワークショップ」が開催される。
 HIV/AIDSが深刻な状況にある現在、最も重要なのは、HIV/AIDS事業に携わる者のマネジメント能力である。このワークショップは、自国でHIV/AIDS対策事業に携わっているプログラム・マネジャーらを対象に、事業を効果的に運営していくために必要なスキルを学ぶことがねらい。HIV/AIDSの予防、ケアとサポート、事業管理の各分野の専門家がファシリテーターを務め、理論の学習だけでなく実際に事業実施地の訪問も行う。ワークショップでは、参加者が以下のような点を学べるようプログラムが組まれている。

・HIV/AIDSに対し特に弱い立場にいる人々のための、効果的なHIV/AIDS事業管理のあり方
・HIV/AIDS事業管理における戦略的な思考
・HIV/AIDS事業のあるべき姿とは何か、その判断基準
・持続可能性を高めるための組織強化
・きちんと成果を出せるような事業内容の設定方法
・事業成果のモニタリングと評価手法

 ワークショップは、マレーシアのポピュレーション・プログラム・マネジメント国際委員会(International Council on Management of Population Programmes, ICOMP)、タイ国立チェンマイ大学エイズ教育プログラム(AIDS Educational Program (AEP), Chiang Mai University)、フィリピンのレメディオス・エイズ財団(Remedios AIDS Foundation, RAF)の共催である。
 ICOMPは、過去30年にわたり、HIV/AIDSや性と生殖に関する健康管理の分野で人材開発に取り組む、マレーシアのNGOである。チェンマイ大学AEPは、成人向けHIV/AIDS教育プログラムや、HIV/AIDSに関する参加型学習の普及や人材開発、アジアとアフリカの南々協力などを実施している。RAFはフィリピンのNGOで、1991年以来、HIV/AIDS事業や人材開発に取り組んでおり、フィリピンのみならず地域各国に広いネットワークを持つ。
 このワークショップに関心のある方は、申請書に記入の上、メールあるいは郵送で事務局まで申し込みのこと。締め切りは2005年1月10日。なお、申請書はウェブサイトからダウンロードできる。2004年11月15日までオンライン上で参加申し込みも可能。

申し込み先(ワークショップ事務局):
2nd HIV/AIDS Programme Management Remedios AIDS Foundation,Inc.
Philippines1066 Remedios St., Malate 1004, Manila, Philippines
メールアドレス:reme1066@skyinet.net
ウェブサイト: http://www.remedios.com.ph

問合せ先:
Ms. Bernadette Lesaca
Training Coordinator
Remedios AIDS Foundation, Inc. Philippines

ケニア:HIV感染率が7%に大幅ダウン※

 ケニア政府はケニアにおけるHIV感染率(15-49歳)は2000年の14%から2004年は7%にまで減少し、国民のエイズに対する認識も90%に達していると発表した。エイズ問題が深刻なケニアは、特に全体の10%が母子感染によってHIVに感染した5歳以下の子どもで、2万件もの幼児・子どものHIV感染が報告されている。また、女性感染者数が男性感染者の2倍に及び、15歳〜24歳に至っては4倍である。
 こうした背景を鑑み、政府当局はエイズ問題を国家的惨事と位置づけ、感染抑制のために必要なあらゆる対策を講じると宣言したのである。国家政策として、国家的機関の設立や地域社会における地方委員会の設置、また女性に特に焦点を当てた新戦略的計画(2006-2010)に着手している。さらに、地元の製薬会社がHIV感染者に安価な薬を提供する動きに相俟って抗レトロウイルス薬(ARV)のジェネリック薬タイプの製造・販売を開始すると発表した。これにより一月あたりの治療費が46USドルから33USドルに抑えられることになる。

原題:Kenya: HIV/AIDS prevalence down to seven percent, says gov't
日付:1 Dec 2004
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.irinnews.org/report.asp?ReportID=44435

※タイトルに関して(編集部注)UNAIDS・WHOが2004年11月末に発表したケニアにおける成人の推定感染率は6.7%(低い推定4.7%、高い推定9.6%)である。
これは、同じくUNAIDS・WHOが2001年末に発表した数値(8.0%)より低い。この数字の変化は、実際に感染率が下がったことを示すというよりは、ここ数年、VCT(自発的カウンセリング・検査)の数値を推測値に導入するようになったなど、データの豊富化や推測値の出し方の変化によるものであると考えられる。

ロシア:HIV/AIDS対策、政府の怠慢に危機感

 ロシア政府のHIV/AIDS対策への政治的意思の欠如が露になってきた。政府当局は11月17日米国、欧州およびアジアからの専門家による会議の場で「ロシアでのHIV/AIDSの流行拡大が驚異的なペース拡大しているのに、ARV治療がほとんどなされていないため、エイズに関連した死亡率の上昇が引き起こされている」と報告した。先週、サンクト・ペテルブルグでは数十人の人々がARV治療を求めるデモ行進を行った。ARV治療は、年間1万ドルから1万5,000ドルの費用がかかるが、現在ロシアのHIV感染者らには一銭も支払われていない。1999年以前、ロシアではHIV感染者は2〜3000人が登録されていた。しかしながら、ロシア連邦エイズセンター the Russian Federal AIDS Center 上級研究員ナターリア・ラドナヤ氏 Natalia Ladnaya は、「現在、公式には30万人のHIV陽性者が登録され、専門家らはロシアの人口の約2%(すなわち150万人)がHIV陽性であると推測している。」 このような新規HIV感染者・AIDS患者の近年の増加にもかかわらず、ロシア政府は、HIV/AIDS予防プログラムに年間100万ドル未満しか拠出していない。「2005年、10,000人を治療する資金さえないかもしれない」とナターリア氏は言う。しかし、ロシア当局のエイズに向き合う姿勢なくしては、資金増加が見込まれたとしてもそれでは「不十分 insufficient」だ。エストニア、ターツ大学の University of Tartu エイズ専門家であるアネリ・ウーシュクラ Anneli Uuskula 氏 は「一般市民そしてNGOも共同し、この問題について取り組んでいかなければならない」と付け加えた。


原文表題:Russian Government Lacks Political Will To Combat HIV/AIDS Spread, Experts Say
日付:Nov 19, 2004
出典:Kaisernetwork website
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv.cfm#26824

パキスタン:HIV感染者が治療を求める運動を開始

 パキスタンのHIV感染者・エイズ患者らが、HIV/AIDSの社会の意識向上や、よりよい治療を求める活動を始めた。パキスタンエイズ管理計画the National Aids Control Programmeによると、調査を開始した1990年以来、同国には1897〜2141人のHIV感染者、244人のエイズ患者の存在が公式に報告されている。患者の数は実際にはもっと多いと予測されているが、世間の目を気にして検査を受けていない人が数多くいる。2003年に、5年間で3850万ドルの予算が割り当てられ、非検査の血液や、性産業従事者、注射針の回しうちからの感染リスクを低くするためのプログラムが始まったが、パキスタンの4つあるどの州でもエイズクリニックは未だに機能していない。そのため、エイズ患者は抗レトロウイルス剤 ARV を入手できず、通常の病院でも患者を治療する設備がない、と受入れに消極的である。パキスタンに住む35歳のアミーナ・ビビ Amina Bibi は昨年夫をエイズで亡くした後、エイズへの偏見や差別をなくし、世間の認識を向上させるための活動を始めた一人である。
アラブ首長国連邦へ出稼ぎに行った夫はHIV陽性と診断されたため、3年前に強制送還されたが、妻に何も打ち明けなかったため、アミーナに感染が拡大した。生後6ヶ月の息子も感染が懸念されている。
 彼女ははまず、活動の一環として公立病院にエイズ治療センターを開設し、ARVを提供するよう政府に求めた。パキスタンには性感染症に関して強いスティグマが存在するため、感染を知られるのを恐れる患者は公立病院には行きたがらない。他の病気の治療中にHIV陽性と診断されることもあると性科学者のムザファー・タリーン教授 Dr. Muzaffar Tareenは指摘する。多くのHIV感染者は出稼ぎ労働者で中東の国々に15〜20年滞在し、強制送還させられた人々である。妻のいない間にセックスワーカーと関係を持ち、ビザ更新のために役所に行くと血液検査が義務付けられており、HIV陽性と診断された者は、即刻パキスタンに送還させられる。パキスタンの空港には血液検査設備がないので感染者はそのまま入国し、妻や子供へ感染が広がり、問題はさらに深刻である。

原文表題: AIDS patients in Pakistan launch fight for better treatment
日付: 28 August 2004
出典: BMJ website
URL: http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/329/7464/476-d

WHO:セックスワーカーのためのHIV/AIDS予防ツールキット オンラインで提供

 ドイツ技術協力公社 Deutschen Gesellschaft fur Technische Zusammenarbeit (GTZ)とWHOは、世界のセックスワーカーのネットワークと共に、HIVや他の性感染症を予防するためのオンライン・ツールキットの開発に乗り出した。GTZとWHOはこれまでにもARVやカウンセリングのためのツールキットをウェブ上で提供してきたが、セックスワーカーのためのものはこれが初めて。内容は、セックスワーカー団体やその支援グループが実体験に基づき、「売春宿のピア教育者のネットワーク構築方法」など、具体的なハウツーを文書にして寄せている。また「パプアニューギニアの警察とセックスワーカー」と題するレポートなど、地域を越えた活用が期待できるような分析やデータもある。セックスワーカーがHIV予防サービスにうまくアクセスできないような地域では、HIVの感染率が60-90%と高くなっているというデータがある。一方で、タイやケニアでセックスワーカーやその客に焦点を当てたコンドーム使用促進プログラムなどを実施した結果、HIVと性感染症を劇的に減少させた成功例を踏まえ、より使いやすいセックスワーカーのための予防啓発サービスの提供が待たれてきた。実践的なアドバイスと具体例を盛り込んだ同ツールキットはアクセスも容易なので、高い効果が期待されている。
 なお、現在はオンラインで、また2005年初めにはCD-ROMやハード・コピーでも利用可能になる。
 文中で紹介したセックスワーカーツールキットは、http://www.who.int/hiv/toolkit/sw
 ARVツールキットは、http://www.who.int/hiv/toolkit/arv で閲覧可能。

原文表題 New Online Toolkit on HIV/AIDS Prevention for Sex Workers
出典 AF-AIDS listserv
日付 17 November 2004
URL http://archives.hst.org.za/af-aids/msg01492.html

ヴァージンレコード、HIV/AIDS対策に乗り出す

 音楽分野で世界的に有名な企業であるヴァージンは企業の社会的責任 CSRキャンペーンの立ち上げに意欲的に取り組み、HIV/AIDS対策グローバル企業連合 GBC the Global Business Coalition on HIV/AIDS メンバーとしての存在感をアピールしようとしている。ヴァージンは、GBC と連携を図り、HIV/AIDSの流行拡大対策のための意識向上を目指しいる。同社が経営する小売店メガストア Megastores のようなチャンネルを使ってキャンペーンを前面に打ち出している。ヴァージンの担当責任者であるヴァージン・ユナイト Virgin UniteのCSR局長は、「我々は、自分たちのビジネスと社員がエイズに向き合って欲しい」と語る。ヴァージン・ユナイトは英国国営医療機関 NHS National Health Service やブルーク・アドバイサリー・クリニック Brook Advisory Clinics と若者の性感染症検査の促進事業を協同で行っている。
 GBCは、予防・ケアプログラムの協同実施や、マーケティング、コミュニケーション、流通、ロジスティクスのノウハウを活かし、世界のエイズプログラムの有効性を向上させる役割を担っている。

HIV/AIDS対策グローバル企業連合 http://www.businessfightsaids.org/
ヴァージン http://www.virgin.com/
ヴァージン・ユナイト http://www.virginunite.co.uk/
英国国営医療機関 http://www.nhs.uk/

原文表題:Virgin to launch CSR drive in fight against HIV/AIDS.
日付:October 15, 2004
出典:Global business coalition website http://www.businessfightsaids.org/
URL:http://www.businessfightsaids.org/site/apps/nl/content2.asp?c=nmK0LaP6E&b=239235&ct=280272

在日外国人のHIV/AIDS医療へのアクセスを求めて 国際シンポジウムを実施 〜東京〜

世界エイズデー後最初の週末である12月4・5日、東京の慶応大学三田キャンパスで、国際シンポジウム「HIV/AIDSとともに生きる在日外国人との共生・支援のあり方を考える」が開催された。
 日本では、外国語でのHIV/AIDSに関する情報が十分提供されていないほか、とくに在留資格のない外国人に対するHIV/AIDS医療やケア・サポート、さらに緊急医療などのアクセスも欠如している。これは「日本に於ける『治療へのアクセス』」の課題として焦点化されるべきである。
 このシンポジウムでは、a)在日外国人に対するHIV/AIDS治療やケア・サポートに関する政府の政策に対してどうアドボカシーを進めていくか、b)移民・移住労働者の送り出し国と受け入れ国のNGOがどのように連携して、在日外国人の治療やケア・サポートへのアクセスを保障していくか、という二つの課題がテーマとなった。
 初日の4日には、英国から、在英アフリカ人のHIV/AIDS問題に取り組んでいるイビドゥン・ファコヤさんが参加、外国人移民に対する保健医療制度の日英比較を行った。また、移民送り出し国側から、ウガンダの総合病院「マイルドメイ・センター・ウガンダ」の広報ディレクターであるマーガレット・マワンダ氏、ブラジル・サンパウロのHIV陽性者グループ「命を励ます会」のアラウージョ・リマさん、タイの国立感染症病院の元ソーシャルワーカー、パヤップ・ラトナラソンさんが参加、各国のHIV/AIDS治療やケア・サポートの事情、および帰国した在日外国人のHIV陽性者の抱える問題などについて報告した。
 二日目の5日には、タイ・中南米・アフリカの3つの分科会を開催し、送り出し国と受け入れ国のNGOのネットワーキングの強化について討議した。その上で、総括の全体会において、在日外国人のHIV/AIDS医療に関する提言が採択された。この提言では、政府が自らの責任において、外国人に対する医療通訳の確保、カウンセリング体制の構築、緊急医療の保障、HIV/AIDS医療への包括的なアクセスの保障、予防・検査情報などHIV/AIDSに関わる情報普及への資金供給などを実施すべきとの要求が盛り込まれた。
 このシンポジウムは、送り出し国側と受け入れ国側、日本と他の先進国における在日外国人のHIV/AIDS問題が包括的に討議され、どのような制度改革がなされるべきかに関する緊急提言をまとめることができた点で画期的であった。この成果を引き継ぎ、具体的な行動に移していくことが課題となる。

国境なき医師団:小児用HIV/AIDS治療薬不足に悲観

 11月2日、ジュネーブでWHO、UNICEFが主催した小児エイズサミット a pediatric AIDS summit の開会式前日、国境なき医師団 MSF Medicins sans Frontieresは「エイズ患者の子どもたちに、適当な薬がないために命を落としている。」という声明を発表し、子どものHIV/AIDS治療費が年間1300ドルと、成人の200ドルよりも6倍以上も高額であることを強調した。
 この価格差の背景には小児用エイズ薬の市場規模が小さいことがある。2003年度のHIV感染者、エイズ患者の子どもの数は250万を超え、15歳以下の新規感染者は70万人と推測されており、その88.6%はサハラ砂漠以南アフリカに在住している。多くの国は薬を買えないほどに貧しい。その結果、小児用のチュアブルタイプの錠剤などを生産する製薬企業はほとんどないか、利益回収の見込みがないので、十分な開発資金を投入しようとしていない。
 MSFマラウイで働くコーエン・フレドリクス医師 Dr. Koen Fredrix は、子どもたちは錠剤を飲み込めないため、割って服用しやすいように投与する方法を試みているという。シロップを代用して成人と異なる量を投与するなど、工夫しているがそれが治療を複雑にしてしまう。MSFは2000年12月に子どもにARVを投与する治療を始め、2004年現在ではMSFのARVを服用している13歳以下の患者は5%を占める。MSFは今後も子どもの治療に力を入れていくつもりだが、適切な手段がないため、現場の医師たちの悩みは尽きない。
 MSFはWHO、UNICEFや各国政府に事実の詳細を把握し、小児用エイズ治療薬の市場規模と現状のギャップを埋めるよう迫っている。
 
原題:Lack of AIDS Drugs for Children: A Matter of Life and Death
日付: November 2, 2004
出典: MSF Press Release
URL: http://www.msf.org/content/page.cfm?articleid=C918F074-3067-4CDC-B29BCD2500E8BBF9

ボツワナ:VCT対策見直しへ

 開発途上国でのエイズ治療のアクセス拡大が進むにつれ、自発的カウンセリング・検査 Voluntary Counseling and Testing(以下VCT)の見直しが始まっている。これまでの議論では、HIV検査は自発的なものでなければならず、強制的な mandatory 検査は感染者を差別や偏見にさらすものとされた。しかし実際には、差別を恐れて検査を受けようとしない人が多く、こうしたVCTアプローチは成果を挙げてこなかった。アフリカでは自分のHIV感染の有無を知る人は人口の10%にとどまり、治療拡大の障害となっている。
 そこで、より実際的な検査アプローチが必要との考えから、UNAIDSとWHOは新たなガイドラインを示し、HIV感染率が高くかつ治療の機会がある場所では、病院やクリニックで業務の一環として、全ての患者に対してHIV検査をするよう提案がなされるべきだとしている。また特定の施設では、すべての性感染症患者と妊産婦に対し、こうした検査の提案をすべきとする。
 すでにボツワナ、マラウィ、レソトの三国で、公立病院やクリニックで検査の提案が始まっている。そこでは医療スタッフが患者に対し、検査の長所・短所や、患者には検査を拒否する権利があることを、事前に説明する。ただしVCTで必須とされる15〜30分の個別プレ・カウンセリングのようにしっかりとしたものではない。ボツワナでは、妊産婦検診の際、診察室で検査の提案をする前に、待合室でグループカウンセリングを行い、検査や母子感染防止のARV投与について説明をする試みもなされている。
 こうした動きには異論もある。適切な方法で実施されなかった場合、感染者の権利侵害の口実にされる可能性があると、活動家らは指摘する。ボツワナでは、検査前に医療スタッフから充分な説明がなされていないとの指摘もある。

*関連URL(UNAIDS/WHOによるHIV検査の新たなガイドラインをまとめた記事):
http://www.saiia.org.za/modules.php?op=modload&name=News&file=article&sid=404

原文表題:States, AIDS experts test boundaries of HIV testing
出典:Pambazuka News
原典:eAfrica Volume 2, September 2004, The South African Institute of International Affairs
日付:September 18, 2004
URL:
http://www.saiia.org.za/modules.php?op=modload&name=News&file=article&sid=403
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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