グローバル・エイズ・アップデート

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2005年01月

OPEC、UNESCO:アジア中東12ヶ国でエイズプロジェクト開始

 石油輸出国機構 OPEC Organization of the Petroleum Exporting Countriesと国連教育科学文化機関UNESCO United Nations Educational,Scientific and Cultural Organizationによる基金は、「HIV/AIDS危機」を教育によって減少させるプロジェクトを2005年1月から2年間にかけて実施する。若年層に広がる新規HIV感染の抑止を目標に、中東アジアの12ヶ国で行われる。OPEC基金は225万USドルを提供し、情報と教育、省庁への支援、教育計画とカリキュラムの改善に焦点を当てている。 計画の概要は以下の通り;
1. 知識の集約、教育関連の省庁・学校関係者に対するアドボカシー教材開発;
2. 国家、地方レベルでの教育関係者の能力を向上、戦略的計画、カリキュラム開発、教師のトレーニング、モニタリングと評価の質の向上;
3. メディアを通じたHIV/AIDSの予防教育の拡大;
4. UNAIDSと協力し、教育におけるHIV/AIDSのインパクトに対する国際的なモニタリング・評価ツールの強化;
5. 教育現場でHIV/AIDS予防教育拡大
 この共同プロジェクトでは、ウズベキスタンの若者リーダーやベトナムのMSM(男性と性交渉を持つ男性)のピア教育など、各国で現在進行中の草の根活動も支援し、活動を展開させていく予定である。
 OPEC基金のHIV/AIDS特別基金は2001年6月にHIV/AIDS流行拡大に対し、世界規模の活動を行う国際的団体との協力を進めるために設立された。
 プロジェクトが展開される予定である12ヶ国は以下の通り;アフガニスタン、バングラデシュ、カンボジア、中国、ヨルダン、カザフスタン、ラオス、レバノン、シリア、タイ、ウズベキスタン、ベトナム

原文表題:OPEC and UNESCO create AIDS project for twelve countries in Asia and the Arab world
日付:December 28, 2004
出典:UNESCO website
URL:http://portal.unesco.org/en/ev.php-URL_ID=24324&URL_DO=DO_TOPIC&URL_SECTION=201.html

アクション・エイドほか4NGOがIMF政策を批判する報告書発表

 アクション・エイドほか4NGOは2004年9月に、国際通貨基金 IMF International Monetary Fund や世界銀行が最貧国のHIV/AIDS活動を妨げていると非難する報告書「BLOCKING PROGRESS」を発表した。IMFは貸付の際にインフレ率を低くすることと厳しい緊縮財政を貧困国に課しているため、HIV/AIDS対策を含む公共部門支出が圧迫されている。HIV/AIDS対策予算はIMFの条件のため限られている上、IMFの事前承認なしでは他ドナーも貸付ができない。
 マクロ経済の安定性が重要であることは報告書も認めているものの、公共対策費用の削減を通じて、インフレ率の低下を図るのはIMFの先入主だとしている。事実、経済学者の間では、何%のインフレ率が経済成長を妨げるかについては合意が得られていない。
 IMFは政府支出の増加が高インフレを引起こすとしているが、開発途上国では20%程度のインフレは長期的には経済成長に影響がないとされている。ラテンアメリカや韓国、日本でも過去の発展過程に2桁インフレ率があった。
 一方で、IMF財政局次長のピーター・ヘラー Peter Heller は、報告書の批判が論理的なものではないと反論している。IMFの使命はマクロ経済の安定化支援であり、あるレベルを超えるインフレは実経済成長に悪影響を及ぼすと繰り返している。
 報告書はG7に対して、インフレ率に対し柔軟に対応し、最貧国の公共部門の支出増加を認めること、マクロ経済政策の方針決定力を与え、アドバイスだけにとどめること、IMF理事会はHIV/AIDSや保健分野対策を疎かにしないことを提案して締めくくられている。
 なお、アクション・エイドが発表した報告書は 原文表題:Fund irate over NGO claims that it blocks progress on AIDS
日付:22nd November 2004
出典:Brettonwoodsproject website
URL:http://www.brettonwoodsproject.org/article.shtml?cmd%5B126%5D=x-126-82984

タイ:HIV/AIDS教育に子供向けの本を使用

タイの学校、病院、HIV/AIDS治療に関わるヘルス・ケア・ワーカーは、「The Dragon in Brenda's Blood」と題する本を、エイズ教育に活用するために使用している。この本は、HIVに感染している子どもや、彼らの介護者が感染するとはどのようなことか、どのような薬を服用していかなければいけないか、またHIV/AIDSに関連するスティグマとはどのようなものかを理解してもらうために執筆・出版された。
 バンコクやその近郊に居住するHIVに感染している妊婦、母子、その家族を支援するキリスト教系の非営利団体であるサイアム・ケア Siam Care は先日、この本を5000部増刷した。国境なき医師団 Medicines Sans Frontieres もタイの小児HIV/AIDSプログラムに同じテキストを使用している。

原文表題:Book Helps Children With HIV/AIDS, Caregivers Understand Condition, Medication Regimen, Stigma
日付:December 08, 2004
出典:Kaisernetwork website
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv.cfm#27127

マレーシア:政府がARV無料配布

 マレーシアでは、薬の国内生産を可能にすることにより、2005年には、全てのHIV感染者に無料で治療薬が配布できる目処が立ちつつある。この治療薬は、母親や乳児など限られてはいるが、すでに一部では無料で提供されている。HIV/AIDSの多剤併用療法 HAART Highly Active Antiretroviral Therapy に使用する治療薬を無料で配布するという試みは、世界的に見ても希有である。現在、3種のジェネリック薬品は一月あたり290〜525リンギット(日本円で約9570円〜約17325円)であるが、国内で生産すると、200リンギット(約6600円)までコスト削減ができる。政府も援助を決めており、HIV/AIDSと真剣に向き合う姿勢を示している。
 マレーシアでは、2003年の一年間で、6756件の感染が報告された。そのうち4分の3は13〜39歳で、869人の患者が亡くなっている。注射針の回し打ちによる感染はHIV感染者エイズ患者の80%、異性間性行為による感染は13%、母子感染は約0.7%である。
 現在99.8%の正確さで3〜5分でHIV感染がわかるキットがあるが、まだ商用化されておらず、製造する企業を検討している段階である。
 また、政府はHIV感染者・エイズ患者である従業員に対して、解雇などの差別的対応でなく、適切な対応をするように雇用者に呼びかけている。マレーシアの保健大臣は、新規感染者に若年層が増えていることに鑑み、若い世代へのHIV/AIDS教育にも力を入れていくと述べている。

原文表題:Malaysia: Free AIDS drug therapy next year
日付:30 November 2004
出典:pwha-net listserv
URL:http://archives.healthdev.net/pwha-net/msg01032.html

ニューデリーでAPPACHAがHIV/AIDS会議

2004年12月2・3日、「HIV/AIDSに取り組むアジア太平洋人民連合」 APPACHA Asia Pacific Peoples Alliance to Combat HIV/AIDSと「アクション・エイド・インターナショナル」 ActionAid Internationalが主催して、「エイズと・ガバナンスに関するアジア太平洋地域会議」 Asia Pacific Conference on HIV/AIDS and Governance がインドのニューデリーで開催された。
 HIV/AIDS政策とガバナンスのリンケージ強化を目的にした同会議には、オーストラリア、バングラデシュ、カンボジア、インド、ネパール、タイ、ベトナム、フィリピンなど、15の国々から70人が参加した。参加者は各国の状況を報告し、政府や行政システムがHIV/AIDSの感染拡大に十分に対応できていない現実を訴えた。会議では、HIV感染者やエイズ患者、労働組合、健康や人権問題の活動家、立法者、医療専門家、政治家、国際機関などが幅広い分野で連帯することを求めた。またHIV/AIDS問題は、政府のみが関心を払っていればよいことではなく、政治的な問題として、社会に訴えることが重要であり、ウガンダやタイのような政治的な運動が必要であることが確認された。

参考サイト:アクション・エイズホームページhttp://www.actionaid.org/

原文表題:A conference in New Delhi seeks to mobilize a political movement against HIV/AIDS
日付:10 December 2004
出典:MILLENIUM CAMPAIGN WEBSITE
URL:http://www.millenniumcampaign.org/site/apps/nl/content3.asp?c=grKVL2NLE&b=190470&ct=312874

ジャマイカ:同性愛嫌悪がHIVの偏見を助長

 国際NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチ Human Rights Watchは2004年11月16日、同性愛嫌悪homophobia・暴力とジャマイカのHIV/AIDS流行拡大に関する報告書「ジャマイカ:忌まわしき死 Jamaica: Hated to Death」を公表した。報告書は、ジャマイカの主要人権活動家であったブライアン・ウィリアムソン Brian Williamson の殺害から始まる。6月9日、彼の切断された身体が発見された1時間後に、野次馬が現れ、「Battyman! ホモ野郎は殺される。」「ゲイを一度にまとめて犯っちまえ。」と、彼の殺害を狂喜し、祝福したのである。
 この報告書では、ジャマイカにおいてMSM(男性と性行為をする男性:Men who have sex with men)に対する言語的・身体的暴力、殺人などは当たり前 commonplace と報告されている。市民を守るはずの警察も6月18日、暴徒たちと共にゲイであると思われた男性の殺害に加担した。2003年には、ある警官がHIV陽性者PLWHAを同性愛者であるとみなし、「今すぐ立ち去らなければ殺す」と脅すという事件が発生した。エイズ教育を行っているピアグループは、同性愛者を撃ち殺すとの脅迫メールを受け取っている。ジャマイカでは、HIV/AIDSと同性愛は同義語だと捉えられている。
 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ジャマイカに根深く存在するHIV陽性者に対する差別によって、HIV陽性者は適切な医療へのアクセスを受けられていない、と報告している。医者は患者に触ろうとせず、日和見感染症が明らかに発症しているような患者は、差別を恐れ、公共の交通機関を利用できない。ジャマイカの厚生省はHIV/AIDSに対する差別がその流行拡大を促進させる主要因と指摘しているが、その他の省庁はそれに同調していない。同性愛は刑事上での起訴の対象となるため、様々な弊害が出ている。
「ジャマイカ政府が市民の偏見をこのままにし、人権的なHIV/AIDS政策立案を阻害するようであれば、ジャマイカの未来は悲惨なものになるだろう。何千というジャマイカの人々の命が、虐待や、避けられる死に導かれないように…。」と報告書は締めくられている。

原文表題:Anti-gay hate fuels Jamaica HIV crisis
日付:16 November, 2004
出典:Gay.com website
URL:http://www.gay.com/news/article.html?2004/11/16/3

マリ:携帯電話を使ってHIV/AIDSの取り組み

マリでは、HIV/AIDSの感染拡大を抑えるための新たな手段として、携帯電話を使用した取り組みが始まっている。国際的なNGOであるポピュレーション・サービス・インターナショナルPopulation Services International (PSI)は、マリの人々にこの感染症に関しての教育を行うため、携帯の技術を使ったキャンペーンを始めた。地方の携帯電話会社の協力で、PSIが作った健康スローガンが、無料のテキスト・メッセージとして月に2度、各社の顧客35万人に配信される。また、このキャンペーンの一部として、HIV/AIDSとマラリア予防のスローガンが、100万枚以上のプリペイドカードに印刷されることになっており、低収入の顧客の利用が期待されている。「誰でもHIVになる可能性があるが、また誰でもそれを防ぐことができる」「殺虫処理した蚊帳で、マラリアからあなたの家族を守る」といったメッセージは人々の注意を喚起し、予防への意識を促進することになるだろう。PSIは、マリで提示された製品やサービスによって約3200のHIV感染と、7万8千の望まない妊娠を防ぐことができると予測している。

原題:MALI: Using telephones to fight HIV/AIDS
日付:2004年12月7日
出典:IRIN Plus NEWS
URL:http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=4233&SelectRegion=West_Africa&SelectCountry=MALI

エチオピア:PEPFARの協力体制のもとARV薬配布開始

 エチオピアは2005年、米国大統領エイズ救済緊急計画(President's Emergency Plan for AIDS Relief, PEPFAR)から拠出された4300万ドルを使い、1万5千人のHIV感染者に抗レトロウイルス薬(ARV)を無償配布する。これにより20の病院で、これまでARV薬を入手できなかった患者に配布し、以後5年で21万人にARV薬を配布し、2000万人のHIV抗体検査が可能になりそうだ。
 同国政府は2004年9月より患者一人当たり月30ドルでARV薬の販売を開始したが、PEPFAR基金を使うことで、公レトロウイルス薬について、ジェネリック薬ではない、ブランド薬(特許権をもつ多国籍製薬企業が製造・販売する薬)を無料供給する「数少ない」アフリカの国の一つになる。それは、単にARV薬を供給するだけではなく、ヘルスケアのインフラやシステムー人材の確保などーを構築・実施していかなければならないことを意味する。
 米国は更に、エチオピアにおいて、いわゆる「ABCアプローチ」(禁欲(Abstinence), 貞操(Be faithful), コンドーム使用(use Condoms)によるエイズ予防啓発アプローチ)の一環として6000万個のコンドームを配布する。

原文表題:Ethiopia To Begin Distributing Antiretroviral Drugs With PEPFAR Funding
日付:14 Dec 2004
出典:Medilexicon website
URL:http://www.pharma-lexicon.com/medicalnews.php?newsid=17777

女性とエイズ ― 感染者の世話を担う女性たちの声を聞こう

2004年の世界エイズ・デーでは、「女性、少女とHIV/AIDS」Women, girls and HIV/AIDS というテーマのもと、女性や少女の感染可能性の増大、増え続けるエイズ遺児、感染者へのケア、治療、栄養の確保について多くが語られた。その一方で、これまであまり語られてこなかったのが、感染者のケアをしている人たちのニーズと権利である。感染者の世話をしているのは年配の女性や少女がほとんどであり、彼女らは都市の貧困地区や地方の農村の一角で、貧困と差別の中で患者・感染者のケアと看病を担っている。しかしその献身は当たり前のこととのように見なされ、正当な評価を受けていない。
ケニアのスラムに住むある女性は、「時には自分のお金を使って近所で水を買い、1キロ先の患者のもとに届けることもあります。その患者の近所では水はもっと高いからです。患者がいつも欲しがるのは水よりも薬なのですが、私にはどうしようもありません。自分にお金がなくて水も食べ物も買えないときは、患者訪問をやめざるを得ません」と語っていた。
 彼女らの行っていることを地域保健の一環として位置づけると共に、ジェンダー gender (訳者注:社会的につくられた性差)の視点をもってエイズ対策事業を展開し、女性たちの生活向上とエンパワーメントに取り組んでいかなければ、HIV/AIDSの長期的インパクトを減じていくことはできないだろう。感染者の世話を担う人たちの声にもっと耳を傾けるべきだ。

原題:Who Cares for the Care-givers? : Responding to the Voices of Women
日付:2004年12月2日
出典:Pambazuka News
URL:http://www.pambazuka.org/index.php?categoryid=29&page=1

ブッシュ政権:津波復興支援に、アフリカ支援予算を充当?

1月3日月曜日、ブッシュ政権は、昨年末に大きな被害をもたらしたインド洋大津波への緊急援助に、今年度予算から3億5000万ドルを拠出することを表明した。今年度予算からの緊急支出が、今年度他の災害や約束されている開発援助への予算を無視した形式で行われたことに対して、議会から懸念の声が挙がっている。執行管理・予算事務所 the Office of Management and Budgetの広報担当官であるチャド・コルトン氏 Chad Koltonは、すでに確保している180億ドル以上のイラクの復興資金については、戦乱によって手つかずの状態であるにもかかわらず、ブッシュ政権は、津波被害の救済費用をこの資金からではなく、別の資金から回すことになっていると説明した。
 バーモント州選出の上院議員パトリック・J・リーハイ氏 Patrick J. Leahy は、当初は米国が、津波発生直後に1500万ドル、3500万ドルしか支援しないことを非難していた。しかし彼は今、津波への救済資金のために、アフリカの飢餓や、世界で起きている虐殺の予算が削られるのを懸念している。リーハイ氏は、「飢餓や小児疾病の予算を強引に削減して、インドネシアや、スリランカに疾病や下痢で苦しんでいる人々に支払っているのではないか」と懸念している。
 ブッシュ政権は津波救済予算の大枠を米国国際開発庁 USAID において組む予定であるが、3億8400万ドルの予算から3億5000万ドルを津波災害救済に充てるため、今年度の予算をほぼ食い尽くしてしまうことになる。米国国防総省でも1億1500万ドルの緊急救援の予算が組まれているが、今後さらなる津波救済支援が必要になったときに充てられる予定である。
 コルトン氏は、金額はこれで十分だと述べているが、米国の議員の一部は、今回の事態は異例のことであり、これほどまでに大きな災害であれば、今年度の予算からではなく、補正予算を組むべきだと主張している。
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AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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