グローバル・エイズ・アップデート

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2005年04月

アフリカ:インド改正特許法問題でデモ

ケニアのHIV感染者のグループは、3月18日、首都ナイロビにおいて、インドの改正特許法に関連したデモを行った。
 デモの参加者たちは、ナイロビ中心部のハランベー通りをインド高等弁務官事務所(大使館)に向けて行進し、インドの改正特許法に対する修正案を提出した。新しい法案によって、インドからアフリカを含む途上国へのジェネリック薬供給が断たれる恐れがある。参加者達は新法案によって、多くの患者の命が危険にさらされることを訴えている。同じ日、同趣旨の同趣旨のデモがウガンダのカンパラ、タンザニアのダルエスサラームでも行われた。
 インドは、WTOの知的所有権に関わる協定であるTRIPs協定の免除期間の終了(2005年1月1日)に伴い、特許法を改正した。結果、医薬品に特許が付与されるため、これまでのようにジェネリック薬を生産できなくなると懸念されている。その結果、薬価の高騰は必至で、購入が難しくなると参加者たちは述べた。
 インド政府は、世界貿易機関(WTO) の決議を支持した上で公衆衛生の向上を歓迎すると表明しているが、実際に施行された改正特許法は患者の医薬品アクセスを困難にしている。

原題:Aids Patients in Demo Over Drugs Patent Bill
日付:March 19, 2005
出典:The Standard website
URL:http://www.eastandard.net/archives/cl/hm_news/news.php?articleid=15790

国境なき医師団:インド政府は、改正特許法協議を

 国際NGO「国境なき医師団」(MSF)は、途上国のHIV感染者・エイズ患者(PLWHA)のため、今後もインド政府が安価なエイズ治療薬の製造を保障するように訴えている。
 インドは、TRIPs協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)の猶予期間の終了(2005年1月1日)にあわせて、医薬品にも特許権を付与するように特許法を改正した。これに対し「インドの改正特許法は、途上国のPLWHAの治療のあり方を根本から変えてしまうか、あるいはその供給自体を阻止してしまう可能性もある」と、MSF・必須医薬品キャンペーンのディレクター、エレン・トゥーン氏 Ellen 't Hoen は言う。
 インドは、過去数年間に渡り、途上国で使用されている安価なジェネリック薬の主要な供給源としての役割を果たしてきた。現在途上国において抗レトロウィルス治療を受けている70万の患者の約50%がインド製のジェネリック薬を使用、MSFが27カ国、2万5千人の患者に投与する医薬品の70%もインド製である。
 これまで、WTOでは特許権の保護に関して途上国と先進国の間で激しい議論が繰り広げられてきたが、その際にもインドは、公衆の健康維持の側面から先進国に対抗するリーダー的存在でもあった。
 そのインドが、医薬品に20年の特許権保護を義務づけるWTOに対して正義に基づく対処をしなかった場合、その評判は地に落ちることは必至である。インド製の安価な医薬品を使用している何百万という世界中の人々の命が、特許法に関するインドの方針に委ねられている。HIV/AIDS治療のケースは、その事実を顕著に示している。
 以前は、治療にかかるコストは年間1万米ドル以上だった。ジェネリック薬が広範囲に渡って利用可能になった2001年以降、価格は1/40の250米ドルまでに下がった。安価なインド製医薬品は、三種混合薬治療を可能にし、途上国のHIV/AIDS治療を変革した。しかし、今回の特許法改正で医薬品に特許権が認められたため、今後インドは特許権が付与された医薬品のジェネリック薬を製造できなくなる。
 「WTO加盟国は公衆衛生の向上と、全ての人々が医薬品アクセス権利を支持する」とWTO加盟各国は2001年にドーハ宣言(TRIPs協定と公衆衛生に関する特別宣言)を採択した。MSFはインド政府関係者に対し、ドーハ宣言を名実ともに実現させるべく、今後の特許法改革に十分な協議をするように求めている。「これまでインドは特許権保護の議論の場でつねに国際的なリーダーシップを発揮してきた。今後も、今後も同様の役割を発揮してくれるように望む」とトゥーン氏は話す。

原題:Are sources of affordable generic medicines drying up?
日付:15 March 2005
出典:MSF(国境なき医師団)インターナショナル ウェブサイト
URL:
http://www.msf.org/countries/page.cfm?articleid=97B29752-3F4D-4B5E-B6861FE7BB4F076E

2006年の国連エイズ特別総会「コミットメント宣言」見直しに向けて「世界エイズ・キャンペーン」始動

【パリ2005年4月15日・グローバル・エイズ・アップデート編集部】

 2005年4月12日・13日の二日間、ベルギーの首都ブリュッセルで、国際的なアドボカシー・ネットワークである「世界エイズ・キャンペーン」 World AIDS Campaign の第1回国際ミーティング First International Meeting が開催された。
 「キャンペーン強化のための検証と計画」 Reviewing and Planning to Strengthen Campaigns と題された国際ミーティングには、欧州および中南米を中心に、国連合同エイズ計画 UNAIDS のスタッフやエイズにかかわる市民活動家など合計42名が参加した。サハラ以南アフリカからはケニアおよびジンバブウェから、中近東・北アフリカからはモロッコ出身の活動家が参加した。また、東欧・旧ソ連圏からはウクライナの患者・感染者ネットワークの活動家が2名参加した。
 「世界エイズ・キャンペーン」は、2001年に開催された国連エイズ特別総会で採択された「コミットメント宣言」 Declaration on Committment を各国が誠実に履行することを求めるキャンペーンを、各国の市民社会が連合して展開することを目的に設立された国際的なネットワークである。もともとはUNAIDSの内部に設立されていたが、国連の一組織であるUNAIDSの内部にあっては独立した自由なキャンペーンが展開できないことから、UNAIDSから分離し、独立した国際的ネットワークとして昨年、新たに発足したものである。
 2日間のミーティングでは、各国でこれまで行われ成功したHIV/AIDSに関するキャンペーン(各国の政府の政策を変えるためのアドボカシーや、途上国のHIV/AIDS問題に関する世論の喚起のためのメディア・キャンペーンなど)の実践例が紹介され、どのように効率的・実践的にキャンペーンを展開するかが話し合われた。また、「世界エイズキャンペーン」は独立したネットワークとしての歴史や経験がまだ浅いことから、このネットワークをどのような性格のものにするか、また、今後「コミットメント宣言」の履行を求める国際的なキャンペーンをどのように展開していくかについての方針が話し合われた。
 2006年3月には、各国政府が「コミットメント宣言」の履行状況に関するレポートを提出することが義務付けられており、9月には「コミットメント宣言」の履行状況の検証のための国連の特別総会が開催される。「世界エイズ・キャンペーン」はこれに向けて国際的な市民社会の連携と協力に基づくキャンペーンを展開していく予定である。「コミットメント宣言」は、エイズに関する政治的指導力の発揮と、各省庁・セクターが連携してのエイズ対策(マルチ・セクトラル・アプローチ)を求めているが、日本には残念ながらマルチ・セクトラル・アプローチのための機構が作られていない。「コミットメント宣言」の忠実な履行に向けた政府の努力と、市民社会のアドボカシーの強化が求められるところである。

○出典:「グローバル・エイズ・アップデート」編集部
○日時:2005年4月15日

米国:PEPFARで、ザンビアに資金拠出

米国政府は、大統領エイズ救済緊急計画 President's Emergency Plan for AIDS Relief PEPFAR の枠内で、ザンビアのHIV/AIDS対策のために2005年に8,400万ドルを拠出する。PEPFARはHIV/AIDS・結核・マラリア対策を必要とする15ヶ国に5年間で150億ドルを資金提供するプログラムである。米国大使館主任政治・経済担当官キャシー・ダナイ Cathy Dhanani は、PEPFARが2006年、ザンビアの国家HIV/AIDS予防・治療プログラムのために1億ドル以上の追加拠出を行う予定であると語った。また、HIV/AIDSは国の発展にとって「最大の脅威」であると付け加えた。
 ダナイ氏は一方で、ザンビアは米国政府の「ミレニアム・チャレンジ・アカウント」(MCA)による援助を受ける資格を得る入り口にようやく辿り着いたばかりだとも述べている。MCAは、途上国の経済および政治改革を援助するための米国政府のプログラムである。
 またダナイ氏は、ザンビアが世界銀行の重債務貧困国(HIPCs)イニシアティブ HIPCs Initiative の完了点に達した場合には、アメリカ政府はザンビアの負債の5億ドルを免除すると述べた。

(編集部注)以下のウェブサイトに、米国政府の包括的な途上国援助枠組みの一つである「ミレニアム・チャレンジ・アカウント」に関する公式な説明があります。
 http://www.mca.gov/
 http://www.mca.gov/about_us/overview/index.shtml
 また、世界銀行の重債務貧困国(HIPCs)イニシアティブについての概説が以下のウェブサイトにありますので参考までにご覧下さい。
 http://dakis.fasid.or.jp/report/information/hipcs.html

原題:PEPFAR To Contribute $84M in 2005 To Fight HIV/AIDS in Zambia
日付:Apr 06, 2005
出典:Kaiser DAily News
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?hint=1&DR_ID=29152

世界基金: ジンバブウェに1,030万ドル拠出

世界エイズ・結核・マラリア対策基金 The Global Fund To Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria GFATM は、ジンバブウェにおける感染症の予防・治療とケアのために、2年間1,030万ドルの拠出を承認した。
 「協定調印は間近であるが、いくらか検討すべき実務上のがある」と、GFATMの広報担当ヨン・リーデン氏 Jon Lidenは話した。リーデン氏は、プログラムの2年間が成功すれば、その後3年間、1,400万ドルの資金が追加的に供与される可能性もあるとも述べている。
 ジンバブウェの保健・児童福祉大臣Minister of Health and Child Welfare デイヴィッド・パリレニャトワ David Parirenyatwa 氏は1,030万ドルの資金の大部分をHIV/AIDSの治療と防止対策、中でも抗レトロウイルス薬(ARV薬)の購入と配布に充てる予定だと話す。ジンバブエは2002年にもGFATMに2,300万ドルの資金援助を申請し、HIV/AIDS・結核・マラリア予防治療プログラムの拡大に用いた。GFATMは1,700万ドルの資金拠出を承認したが、実際に政府は500万ドルのみを受け取った。GFATMは昨年、ジンバブエの5年間で、2億1,800万ドルのHIV/AIDSプログラムの申請を、実務上の問題があるとして拒否していた。
 大臣は、同国の各地方でARV薬を配布するプログラムのための拠出金が、実際には政治的な理由により縮小されたと述べた。
 GFATM事務局長のリチャード・フィーチャム Richard Feachem は、2004年7月に開催された第15回国際エイズ会議で、委員会が資金拠出を検討する際には、政治的側面からも考慮することになっており、「ジンバブウェには幅広い問題がある。きちんと機能していないルートを通して支援をしても、ジンバブウェの人々を助けることにはならない」と述べた。
 ジンバブウェの人口のうち、成人(15-49歳)の約26%はHIV感染者であり、平均寿命は1990年の52歳から37歳へと急激に短くなっている。

原題:Global Fund Approves $10.3M HIV/AIDS Grant for Zimbabwe; Technical Details Remain
日付:Apr 06, 2005
出典:Kaiser Daily News
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv.cfm#29152

世界銀行:アフリカ大湖地域 エイズ対策へ2,000万ドル支援

 世界銀行は、アフリカ大湖地域6カ国(ブルンジ・コンゴ民主共和国・ケニア・ルワンダ・タンザニア・ウガンダ)のHIV/AIDSの流行さらなる拡大を予防するため、アフリカ大湖地域HIV/AIDSイニシアチブ the Great Lakes Initiative on HIV/AIDS (GLIA) に2千万ドルを供与すると発表した。この地域には推定6百万人のHIV感染者・エイズ患者がおり、また3百万人が、エイズ遺児など脆弱な状況に晒されている。この支援金は、予防・ケア・治療プログラムに支援され、難民、移民、長距離ドライバーなどの最も感染率の高いグループと、大湖地域を行き来する人々を対象にしている。この新しいプロジェクトは、地元の人的・経済的資源を生かし、活動自体をモニタリング・評価していく。
 
2千万ドルの内訳は以下のようになっている;

・8百万ドル:650万人の難民、国内避難民への
 国連難民高等弁務官事務所 UNHCR のエイズ対策
・3百万ドル:長距離ドライバーなどへのHIV/AIDS関連ネットワーク活動
・3百万ドル:大湖地域での情報共有システム体制構築、人材育成活動評価、 試験的プロジェクトなど地域の保健体制支援
・6百万ドル:経営管理・キャパシティ強化支援

 世銀は、6ヶ国の政府はエイズ対策のため、各国で調和を取りながら、プログラムや政策を実施しなければならないと指摘する。GLIAによって、国境を越えた協力体制・知識の共有が行われることによって、国家をまたいだ大きな成功が期待されている。

原題:GREAT LAKES: World Bank grants region $20 million to fight HIV/AIDS
日付:18 March 2005
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/report.asp?ReportID=46187&SelectRegion=Great_Lakes&SelectCountry=GREAT%20LAKES

ローマ教皇死去:アフリカのエイズ活動家らが批判的コメント

 4月3日(日本時間)のローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の死去に際し、アフリカのエイズ活動家らがコメントを発表した。教皇は、1988年には「コンドームの使用はこれまでも、そしてこれからも合法にはなりえない」と発言。今年の3月11日にも「結婚への忠誠が唯一のHIV/AIDS対策」であると、コンドーム使用に反対していた。一方で、教皇はHIV感染者・エイズ患者やエイズ遺児の救済を求めるなど、HIV/AIDSに理解も示していた。
 こうし教皇の態度について、エイズ活動家らは、「コンドーム使用を禁止したり、女性のエンパワーメントに消極だった。HIV/AIDSの流行拡大を後押しした」と手厳しく批判する。アドボカシー活動に力をいれている、国際NGOアクトアップ・パリ ACT UP/Paris のスタッフであるハリル・エルーアルディギ Khalil Elouardighi は、「私たちは800万人のエイズで亡くなったカトリック信者を悼み、1千万人のHIV感染者を心から案じています。」とコメントした。また、南アフリカ共和国のHIV感染者団体「治療行動キャンペーン」 Treatment Action Campaign のネイサン・ゲフィン Nathan Geffin は「新しい教皇がコンドームの使用や避妊に関して、守旧的でない、進歩的なアプローチをとることを切に希望します」と述べた。

原題:AIDS Advocates Call Late Pope's Opposition to Condom Use Obstacle in Fight Against Disease
日付:Tuesday, April 05, 2005
出典:Kaiser network website
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv_recent_rep.cfm?dr_cat=1&show=yes&dr_DateTime=05-Apr-05#29121

アフリカ:耐性結核によって、HIV/AIDS問題が深刻化

編集部注)3月26日は、世界結核デーでした。今回アフリカにおける結核の状況を皆さんにご紹介し、結核がHIV/AIDS問題にどのように関わっているのかをご周知いただければと思います。

 アフリカでは、結核が深刻な問題として取り上げられている。特に多剤耐性結核菌によって、多くの人が治療が困難な状態に陥っている。この治療には、長期の時間がかかることに加え、HIV/AIDSの流行が、多剤耐性結核の流行を促進している。
 例えば南アでは、多剤耐性結核は結核患者全体の約2%に過ぎない。しかし、早急に対策を立てないと、制御不能な状況に陥ると、南アフリカ医学研究評議会 South Africa's Medical Research Council のK・ウェイヤー K.Weyer 医師は言う。結核は、咳やくしゃみで感染する呼吸器系の感染症で、世界では年間200万人が、結核で死亡している。結核は治療費などの問題もあり、貧困と強く結びついており、アフリカでは、世界の結核患者の4分の1が集中している。WHOが11年前に提唱した効果的な結核治療法、直接監視下短期化学療法 Directory Observed Treatment Short-Course DOTSは、少なくとも2ヶ月、可能であれば6ヶ月間、ヘルスワーカーの監視下で結核患者が内服薬を飲むという方法である。
 アフリカでこのDOTSを実施する上で問題なのは、HIV/AIDSの流行によって、保健医療セクターで人材不足になっているということである。何百万人もいる結核患者の内服状況を直接監視するのは、非常に困難だ。治療を開始するため、数ヶ月で体調が回復するので、その時点で多くの結核患者が内服治療を中断してしまい、薬剤耐性菌が出現してしまう。一度、薬剤耐性菌が出現すると、少なくとも4ヶ月の入院投薬と、14〜18ヶ月の内服治療の継続が必要になる。治療費は通常の結核治療の100倍必要で、治療の成功率は低い。
 アフリカでDOTSを完了できるのは、結核患者全体の3分の1に過ぎない。内戦や政情不安の状況下、または、遊牧生活を送る人々に対しては、WHO提唱のDOTSを聖書のように固守するよりは、状況に応じ、最適な方法を探る柔軟な対応が必要であると、「国境なき医師団」のスーダンの結核プロジェクトの責任者ケース・ケウス Kees Keus医師は言う。
 アフリカにおける結核患者の75%は、HIVにも感染している。この二つの感染症は強く結びついているにも関わらず、各国政府の結核対策に対する動きは鈍い。結核の治療の困難さに加えて、HIV/AIDSにまつわるスティグマが結核に及ぶことへの恐れが、対策の遅れの一因になっている。結核は、今までスティグマの対象ではなかった。しかし、最近は結核へもスティグマが及び始めたと言う。
 このような困難の中、南アフリカ政府は結核とHIV/AIDS対策の統合へと動き始めたが、実行段階での問題点は山積みである。さらに結核対策を効果的に実施していくためには、ヘルスセクター全体の強化が必要であるという点で一致している。第一次医療のシステムを強化していくことが重要だ。

原文:AFRICA: HIV complicates fight against TB
日付:March 23, 2005
出典:IRIN Plus News website
URL: http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=4623&SelectRegion=Southern_Africa

モザンビーク:エイズ国家非常事態宣言を発令 5ヶ年計画を議会提出へ

 モザンビーク政府は3月22日、深刻化するHIV/AIDS問題に関して国家非常事態を発令し、その対策のため、5ヶ年計画を議会に提出した。モザンビークでは15歳から49歳までの人口の感染率が14.9%、HIV感染者数は約140万人で、その6割が女性と推定されている。計画では、現在毎日500人と言われる新規感染者数を、2009年までに350人に、さらに2014年までに150人に減らすことを目標に掲げている。また、HIV/AIDSに関する情報を公用語のポルトガル語だけでなく地元の言語でも提供し、学校での教材にも導入すること、さらにコンドームの配布とそのシステム強化、輸血感染を防ぐための医療機関のセキュリティ対策などが、計画の中で言及されている。
 治療については、現在モザンビークで抗レトロウイルス治療を受けている感染者は約6千人にとどまるが、2009年までにこれを15万人に拡大することを目指す。またHIV感染者への差別を禁じる法的措置も強化されるべきだとしている。

原題:Government Programme: Aids A 'National Emergency'
日付:2005年3月22日
出典:Pambazuka News / AllAfrica.com
URL:http://allafrica.com/stories/printable/200503220626.html

ウガンダ:ABCのCはいらない?

 3月30日、国際的な人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、米国が資金拠出をしている「禁欲重視型HIV/AIDS予防プログラム "abstinence-only" programs 」が、ウガンダにおけるHIV/AIDS対策の脅威となっていると発表をした。同日発表された報告書によると、ウガンダの小学校の教科書はコンドーム、セーファーセックス、結婚におけるHIV感染のリスクなどの項目が削除された。また、中学校の一部教科書には、「ラテックス製コンドームには、HIVが通過できる小さな穴が開いている」との記述がなされている。同NGOの研究員で、報告書の執筆者でもあるジョナサン・コーエン氏 Jonathan Cohen は、このようなHIV/AIDS予防プログラムは、「他の予防プログラムを補完するものであるべきで、排撃するものであってはならない」と警告している。
 ウガンダは、過去10年間でHIV感染率を15%から10%に下落させた。ABC政策(禁欲 Abstinence, 貞操 Be faithful and コンドーム使用 use Condoms)が、その大きな成功の要因だと見る専門家も多い。しかし同NGOは今回の報告書において、ウガンダにおける対HIV政策の成功の要因として、コンドーム使用(特に、若者世代に対して)が過小評価されてきたのではないかと疑問を呈している。教師たちは、2004年11月から始まった「ABモデル」政策施行のため、学校内でコンドームに関する議論は避けるようにと、米国側から制限されている。ムセベニ大統領も、コンドームはウガンダ人には不適切だと、正式にコメントした。この影響でコンドーム輸入が制限され、在庫不足が生じた。その後、輸入制限は解除されたが、キリスト教聖職者たちの中には、ウガンダ人は貞操を守るべきだと述べるものもいる。
 米国政府は、大統領エイズ救済緊急計画 PEPFAR の一環として、800万ドルの予算をウガンダの「貞操を重視したHIV/AIDSプログラム」に計上している。ウガンダの大統領夫人が主催するナショナル・ユース・フォーラムは、「貞操を重視したHIV予防プログラム」を実行しており、PRPFARからも資金を得ている。「貞操を重視したHIV予防プログラム」は、公衆衛生に対するイデオロギーの勝利だと、コーエン氏は言う。1990年代初期に、セクシュアリティに対して率直な政策を採用してHIV/AIDS対策に成功したウガンダは、「貞操のみ」への政策を転換しつつある。この転換は、エイズ対策に成功したという名誉を維持していく上で脅威となるだろうと懸念が強まっている。

原文:Uganda: 'Abstinence-Only' Programs Hijack AIDS Success Story
日付:March 30, 2005
出典:Human Rights Watch website
URL:http://www.hrw.org/english/docs/2005/03/30/uganda10380.htm
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AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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