グローバル・エイズ・アップデート

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2006年07月

低賃金で医療従事者不足が深刻化するケニア

 4月7日の世界保健デーに向けて国際社会が準備を進める最中、東部アフリカの国、ケニアでは医療従事者の低賃金問題が論じられている。

ケニア医師会 Kenyan Medical Association (KMA)のステファン・オチエル会長 Stephen Ochiel は、「公共サービスに従事する医師・医療従事者の賃金はとても少なく、それだけでは生活していけないので、兼職せざるを得ない。フルタイムの勤務はできない。私立病院では、公営医療機関の10倍高い賃金が支払われている」と言う。例えば、研修医は、月に121USドルしか稼ぐことができない。

農村部では事態がより深刻で、大部分の人が貧しく、民間医療サービスに支払いができず、医師が開業することができない。その結果、地方では著しい医療従事者不足に陥っている。

低賃金を理由に医師たちは海外に移住しており、米国、カナダ、英国、オーストラリアや条件の良いアフリカ南部に飛ぶ。公式数値はないが、その数は相当数とみられる。

また、雇用の凍結が事態をより複雑化させている。求職中の看護師は6,000人いるが、予算の制約上雇用できていない。しかし、今週の始めにムワイ・キバキ大統領 Mwai Kibaki が医療従事者不足を改善するため今年の6月末までに3,200人を雇用することを発表。保健省の統計では、ケニアは現在人口10万人当り医師1人、看護師49人で、WHOが推奨する5,000人に1人の医療専門家の基準を大幅に下回っている。

KMAによれば、医療スタッフを留めておくには、低賃金の改善だけでなく、報奨制度が必要であるという。とりわけ農村地区では、最少の設備で夜通し働くことを期待されるなど、苛酷な条件下で働かなければならず、住宅手当や困難手当 hardship allowance などの報奨制度がないと医療スタッフは定着しない。その他に正常に稼動する設備と十分な薬剤供給も不可欠であるとの指摘もある。

今年の世界保健デーのテーマは「健康のため、ともに働こう モWorking together for health」である。このテーマは世界的な保健医療従事者不足を浮き彫りにし、医療関係者をひきつけてその職に留まらせるための最善策を明らかにするために選ばれたものである。

原題:Kenyan Medics Deplore Low Pay, Scarce Incentives
日付:April 5, 2006
出典:Inter Press Service News Agency website
URL:http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=32785

ケニア: HIV陽性の15歳の少年を親戚が殺害


2006年4月初旬、ケニアのニェリ Nyeri地域の村に住むHIV陽性のイサイ・ガクヨ少年(15歳)が、後見人である26歳の叔父の手によって殺害された。事件はケニアのHIV陽性者に衝撃を与えた。

ニェリの警察の調べによると、イサイ君は両親と祖母を相次いでエイズで亡くした後、2年前から叔父と一緒に暮していた。イサイ君は自らもHIVに感染しており、病状が悪化したため、ケニアのNGO「エイズと共に生きるケニア女性のネットワーク」Kenya Network of Women living with Aids (KENWA)が運営する救援センターに入院していたが、その後回復し、叔父の希望により再度引き取られた。叔父は4月初頭のある日、暖炉に火をいれようとしたイサイ君に対して、突然凶暴な態度に出ると、頭を鋤で突いて放置した。イサイ君は近所の人の手で病院に運ばれたが、間もなく息を引き取った。

葬儀には、KANWAのエグゼクティブ・ディレクターを務めるアスンタ・ワグラAsunta Wagura氏や政府関係者も参列し、イサイ君を見送り、犯人の早期逮捕を訴えた。ワグラ氏は、「今でもケニアにHIV陽性者に対して偏見を持つ人がいるというのは恥ずべきことである。ケニアでは、エイズで親を亡くして孤児となり、搾取や差別に苦しむ子どもたちが増えている」と訴えている。

子どもを含むHIV/AIDSと共に生きる人々の多くが、烙印を押され、差別に苦しみ、また殺されることさえある。HIV/AIDSは他の病気のように医学的なアプローチだけでは解決できない。イサイ少年は、いわばHIV/AIDSよりももっと致命的な病によって殺されたのである。この事件によって、HIV陽性の親を持つ多くの子どもたちは、将来に対する恐怖や不安をより強く抱くようになるかもしれない。また、HIV陽性の子どもたちは、自分は家族の負担となっていて、生き続けるべきではないのかもしれないと考えかねない。HIV陽性の親にとっても、自分の死後の子どもの行く末についての不安がますます募ることになった。

この事件を受け、汎アフリカHIV陽性者ネットワーク Network of Pan-African People
living with HIV/AIDS (NAP+) やポリシー・プロジェクト・ケニアなどのNGOは、2006年4月13日、首都ナイロビやケニア各地において、エイズで親を亡くした子どもたちの権利保護を訴えるためのデモを実施した。社会には生前のイサイ少年のような状況にある子どもが数多くおり、彼らは生き、愛され、守られる権利を持っているのである。

原題:Police hunt for boy’s killer
日付:April 14, 2006
出典:eastandard.net
URL:http://www.eastandard.net/hm_news/news.php?articleid=1143950982

米国大統領エイズ救済緊急計画:予防政策に早急な改善が必要

2003年1月に、ジョージ・ブッシュ米国大統領が世界の最貧国に対する新しいHIV/AIDS支援基金である「米国大統領エイズ救済緊急計画」 The President's Emergency Plan for
AIDS Relief (PEPFAR) の創設を発表してから3年が経つ。この緊急計画では2004年から2008年の間に150億ドルを確保する予定である。エイズ問題の最も深刻なアフリカの12カ国、ハイチ、ガイアナおよびベトナムに90億ドル、その他105カ国に対して二国間援助で50億ドルが提供される。また、世界エイズ・結核・マラリア対策基金への10億ドルの援助も予定されており、全体で約200万人のHIV感染者に対して治療とケアを提供することを計画している。更にこの計画は、2010年までに700万ケースの新しい感染を防止することを目標に掲げている。

PEPFARの予防戦略はABCアプローチと呼ばれており、禁欲Abstain、貞操Be Faithful、コンドームCondomsの3つを柱としているが、コンドームよりも、禁欲や貞操により重きをおいている。このことは各方面からの批判を招いており、米会計検査院 US Government Accountability Office は、禁欲と貞操の戦略を推進するにあたって、他の重要なプログラムの予算が削られることになってしまう、と述べている。会計検査院はさらに、この理想一辺倒の戦略を実行するにあたり、現場は困難に直面していると指摘した。

PEPFARは、予防にあてられる合計20億ドルの資金の3分の1を禁欲・貞節の推進にあてるというルール(33%ルール)を打ち出している。このルールは場合によると他のエイズ予防活動の妨げとなるかもしれない。例えば、スワジランド、モザンビーク、南アフリカの地方などでは、妊娠している女性の感染率が高いので、母子感染の予防に33%ルールを超えた資金の割り当てが必要である。

PEPFARの運営にあたっている地球規模エイズ調整官事務局 The Office of the Global
AIDS Coordinator (OGAC) は、資金提供の際の条件についてガイドラインを策定したが、それによると、コンドームに関する情報の提供は、セックスワーカーや、HIV感染可能性の高い成人のみに限定され、14才以下の子どもには許されていない。またガイドラインにはあいまいな部分があり、現場の混乱を招いている。OGACはガイドラインをもう少し明確化しようとしているが、本当に必要なのは、政策を180度転換することだと思われる。新たな感染を防ぐために、コンドーム教育は欠かすことができない。

PEPFARはあくまで“緊急”計画のはずである。家族や友人がエイズにより亡くなるという経験をしたヘルスワーカーが、このような理想主義的な方針に適応するのに、四苦八苦するようなことがあってはならない。禁欲と貞節を提唱するための6億ドルもの資金投入が、果たして税金の有効な使い道といえるのかどうか、合衆国議会がもう一度問い直すことが望まれる。禁欲と貞節だけでなく、コンドーム使用が強調されれば、より多くの人命が救われるはずである。

原題:HIV prevention policy needs an urgent cure
日付:April 2006
出典:The Lancet
URL:http://www.globalaidsalliance.org/mediaclips/Lancet_April_15_2006.cfm

中東地域のHIV/AIDS対策の「モデル国家」イラン

中東諸国において、イランは意外なことに、HIV対策のモデル国家といわれている。この国では、エイズ活動家らがセックスや薬物使用に関して率直に話せる一方で、イスラームの価値観を守るアーヤトッラーayatollahs(シーア派イスラームの高位法学者)が政治権力を掌握している。その微妙な均衡が、この国を「モデル国家」にしているのである。

イランの宗教的な考えと最先端の研究を合わせたHIV対策がアフガニスタン・イラク・レバノン・パキスタン・スーダン・シリアおよび他のイスラーム諸国に広まっている。イランのエイズ研究の第一人者である、アッラー・アラエイ博士 Dr. Araah Alaei は、「アラブ首長国連邦にいる同僚に、『君らは、イラン人より頭が固いよなぁ。』と言ったというエピソードがあるんです。イランは世界中で唯一、法律により頭にスカーフをかぶることを義務付けられ、イスラームを国教とする政府の下で、飲酒も禁じられている。その国でHIV感染予防プログラムが実行されているのに、『なぜあなたの国ではできないのか?』」と語っている。イランは飲酒で逮捕されれば厳しく罰せられるが、ヘロイン常用者はメタドンによる代替薬物治療が受けられる。イランの医療従事者らは、セックス・ワーカーらがHIV感染予防できるようにとコンドームを配布し、全国営の保健所/診療所では、HIV抗体検査、カウンセリングや治療は無料である。

国が資金補助をする雑誌では、毎月コラムの中で、HIV陽性のイラン人を取り上げ始めた。また、昨年はレッドリボン郵便切手を販売。そして今年、イランは3,000万ドルの資金をHIV感染予防に拠出する。イランでは悪名高い刑務所でさえHIV対策プログラムがある。

UNAIDSのイラン国別調整官である ハミッド・セタイェシュ博士 Dr. Hamid Setayesh は、「現在イランの刑務所におけるHIV対策プログラムは地域のみならず世界一である」と自負する。「刑務所の中でコンドームが配られている」。

しかしこういった努力とは裏腹に、HIV陽性者は偏見や孤独を味わっている事実もある。政府が報告したHIV陽性者は1万2,000人であるが、医療従事者らは、実際には7万人近いHIV陽性者がいると予測している。多くのHIV陽性のイラン人が、自らの感染を伝えたことで家族から追放されたり、仕事を失う恐れから感染を伝えることができないでいたりする、ということも、半面の事実である。

原題:IRAN: "Iran's Anti-HIV Program Serves as a Model"
日付:April 14, 2006
出典:The Body website
URL:http://www.thebody.com/cdc/news_updates_archive/2006/apr17_06/iran_hiv.html

ウクライナ: 世銀による結核・HIV/AIDS対策プロジェクトが凍結

世界銀行は4月12日、東欧・ウクライナ共和国における結核・HIV/AIDS流行拡大防止を目的とした6,000万ドルのプロジェクトに関して、ウクライナ政府が計画を実行せず、資金配分もしていないことから、本プロジェクトの一時凍結を発表した。

世銀ウクライナ事務所の広報官 アンナ・ホンチャリュク氏 Anna Honcharyuk によれば、世界銀行は、プロジェクトの実行のために、4年間で合計6000万ドルにおよぶ資金拠出をしたが、同政府はその2%を使ったにすぎない。「世界銀行は、ウクライナとその隣国で増大する結核・HIV/AIDSの拡大を懸念して資金拠出を決めたが、残念ながら政府が適切な対策を取らなかったので、このような一時凍結措置を取った。」と、世界銀行のウクライナ・ベラルーシ・モルドバ担当ディレクターのポール・バーミンガム Paul Bermingham は語った。  

プロジェクトは、医薬品提供、医療従事者の研修、その他の結核・HIV感染防止対策への資金供給を目的としていた。静脈注射薬物使用者、セックス・ワーカーや獄中者など、高いHIV感染リスク行動を取りやすい人口集団を特定し、世銀の6,000万ドルの補助金と同国家予算から配分された1,640万ドル、合計7,640万ドルの資金を活用して対策を行う予定であった。

この措置にもかかわらず、世銀は今後もウクライナの結核・HIV/AIDSの管理対策を支援することを目指しており、このプロジェクトを早期かつ効率的に実行するため、その再構築に向けてウクライナと協力し合うことを希望している。同国保健省広報官によれば、同国保健相が、世銀スタッフと会談後に声明を発表する予定とのこと。

原題:World Bank Suspends $60M Project To Fight TB, HIV/AIDS in Ukraine
日付:April 13, 2006
出典:Kaisernetwork.org Daily News
URL:http://kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?DR_ID=36638

5月7日 世界エイズ遺児デー: 世界中が記念祭などを開催

世界に何百万というエイズ遺児、いかなる理由であれ片親や両親をなくした子どもたち、HIV感染可能性が高いケアが必要な vulnerable 子どもたちに想いをよせるための「世界エイズ遺児デー World AIDS Orphans Day」の祭典が世界37ヶ国の207の市町村で行われ、各市町村の首長が賛辞を送った。

今回で5回目となるこの「世界エイズ遺児デー」は、HIV陽性である遺児やエイズに関係する疾病で片親または両親をなくしたり、HIV/AIDSの影響を受けている子どもを支援する米国・スイスのNGOであるフランソワ・グザヴィエ・バグノード医療人権センター Francois-Xavier Bagnoud の理事長アルビナ・ドゥ・ボワールヴレイ Albina du Boisrouvray によって始められた。

この記念日に、米国では40以上の市長が参加した。各市長は、2005年11月ブッシュ大統領が署名をし、発効した『途上国の孤児・脆弱な環境におかれる子どもたち支援法 the Assistance for Orphans and Other Vulnerable Children in Developing Countries Act(OVC Act)』 の完全履行に力を入れるべきだと強調した。OVC支援法は特にエイズなどの疾病、貧困やその他紛争などによって、生活するために困難な状況を強いられている子どもを支援する目的で制定された。

OVC支援法は、人道的、宗教系、市民アドボカシーらによって構成される「子どものための世界行動 Global Action for Children GAC」という連合によって支持されている。こうした動きは、デモやロビー活動などいよって広がりを見せ、ラジオやテレビなどで人々に呼びかけている。

2006年の「世界エイズ遺児デー」のテーマは、「2001年に採択された『HIV/AIDSに関するコミットメント宣言』の履行を政府に対して求めること」であった。

編集部注: 『途上国の孤児・脆弱な環境におかれる子どもたち支援法 the Assistance
for Orphans and Other Vulnerable Children in Developing Countries(OVC Act)』については、グローバル・エイズ・アップデイトで取り上げ、女優のアンジェリーナ・ジョリー氏が大きく支援を表明していることでも知られています。詳しい記事はこちらから
http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/50380071.html

原題:Mark the Day: May 7, World AIDS Orphans Day; Tens of Thousands to
Commemorate Day Around the World
日付:April 20, 2006
出典:U.S. Newswire website
URL:http://releases.usnewswire.com/GetRelease.asp?id=64248

市民社会が国連HIV/AIDS対策レビュー総会にあわせて「世界エイズ行動週間」を実施

世界各国の市民団体が、2006年5月29日から開催された国連HIV/AIDS対策レビュー総会にあわせ、5月20日から26日の1週間、「世界エイズ行動週間」(Global AIDS Week of Action)を実施した。行動週間の期間中、多くの市民社会が結集し、会議に参加する政治家に圧力をかけ、市民の声を反映するよう呼びかけを行った。市民社会が同活動週間を通じて訴えようとしたのは、各国政府のエイズへの取組みを単に批判するだけでなく、今も増え続けるHIV感染者やエイズ患者に力を与え、意味のある役割を与えるべきであること、そしてHIV/AIDS関連事業への市民社会の参加を増やし、透明性を確保していくことであった。

市民社会では、以下のような方法で行動週間へ参加するよう呼びかけが行われた。

○レターキャンペーン:大統領、首相、保健大臣、外務大臣、国連大使などに手紙を書く、または自国の国家エイズ計画や保健省と接触して、政府が2001年に結んだ公約を遵守し、より強化するように要請する。
○コミュニティリーダー:地域コミュニティのリーダーに働きかけ、「HIV/AIDSに関するコミットメント宣言」に対する声明を出すよう要請する。
○エイズ啓発活動:祈祷集会などを通じて、HIV/AIDSと共に生きる人々を招き啓発活動を行う。また募金が集まった場合は、HIV/AIDSと共に生きる人々のために使う。
○在住の地域または首都にて集会、デモ、抗議活動、行進を実施する(実施の際には、地方紙への掲載、署名、スローガン、Tシャツなどを準備しておく)。

行動を起こす際には、コミットメント宣言や国別報告書のレビューを行い、自分の国でどんなHIV/AIDS関連事業が有効あるいは失敗だったか、予防や治療のためにどのような政策がとられたか、また自国におけるエイズの優先課題が何であるかを考え、またその情報を政府関係者と共有するように努めるよう呼びかけがなされた。市民社会が作成した国別報告書のシャドーレポートは、http://ungasshiv.org/より入手可能である。

原題:Global AIDS Week of Action: One week that can change the next five years
日付:April 11, 2006
出典:eforums listserv
URL:http://eforums.healthdev.org/read/messages?id=11071

第47号 2006年(平成18年)7月8日

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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 第47号 2006年(平成18年)7月8日
  Vol.2 -No.24 Date: July 8, 2006

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

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モザンビーク:政府とドナーが援助効率化のために共同基金を設立

2006年4月3日、南部アフリカ・モザンビーク共和国の首都マプートで、モザンビーク政府と7つの国際機関およびドナー国政府が、共同でHIV/AIDS対策のための基金を立ち上げる協定を交わした。協定に参加しているドナーは、スウェーデン、イギリス、カナダ、アイルランド、デンマーク、世界銀行、世界エイズ・結核・マラリア対策基金である。

協定によると、ドナーはこの共同基金を通じて援助金を拠出し、モザンビークの国家エイズ委員会(CNCS)が、年間運営計画に沿って基金の運営を行うことになる。資金運用の決定権は国家エイズ委員会にあり、ドナーは特定の事業に資金を使うよう求めたり、二国間協定を結んで個別に条件をつけたりすることはできない。事業の視察、分析、その他様々な手続きなどもドナーが共同で行い、重複が起きないよう努めることや、汚職防止の条項なども協定に盛り込まれている。共通基金の設立により、ドナーに対して一括で対応できるようになるため、国家エイズ委員会側の事務的負担は大幅に軽減される。

エイズ国家委員会の議長でもあるモザンビークのルイザ・ディアス・ディオゴ首相Luisa Dias Diogoは、世界エイズ・結核・マラリア対策基金が共同基金を通じて資金を拠出するのは、モザンビークが初めてであると指摘した。またユニセフのモザンビーク事務所代表は、効率的かつ調和的なエイズ対策を行うための重要なステップであると評価している。

原題:Mozambique: Government And Donors Set Up Common Fund Against Aids
日付:April 3, 2006
出典:AllAfrica.com
URL: http://allafrica.com/stories/200604030449.html

ザンビア:債務免除で地方での受診料無料化を実現

ザンビア政府は2006年4月、地方における公的医療の受診料制度(User Fees)を廃止することを発表した。受信料制度は、数百万人にのぼる低所得層が医療ケアを受ける上で大きな壁となっていた。

貧困の根絶を推進する英国の非営利団体オックスファムによれば、今回のザンビアの政策は、昨年7月のグレンイーグルズ・サミットにて合意がなされた40億円の債務免除と、外国からの援助の増加によって可能になった。オックスファムのディレクター、バーバラ・ストッキング氏 Barbara Stocking は、「これはG8の決定が人々の生活向上につながった初めての例だ。『貧困を過去のものに(Make Poverty History)』キャンペーンに携わる人々はこれを誇りに思うべきだ」と語る。

ザンビアは1990年代、国際通貨基金(IMF)や世界銀行からの圧力により、受診料制度を導入したが、最もケアを必要とする低所得の人々を排除することにつながるという批判があった。特に、地方に住む若い女性のために家族が受診料や治療費を払うことは稀である
ため、これらの人々が医療サービスを受けることは困難になっている。
ザンビアの次なる課題は、慢性的な医療従事者不足の解消である。ザンビアでは、医師の数が国民1万4000人あたりたった1人となっている。医療人材の確保と育成への投資が必要である。『貧困を過去のものに』キャンペーン担当者は、給料や待遇の悪さが人材流出を招いたと説明する。2006年の世界保健機関の報告書では、世界の疾病の24%がアフリカに集中しているにも関わらず、アフリカの医療従事者は世界全体の3%に満たない。現在、ザンビアでの医療従事者数は、必要数の半分にも満たないという。

ザンビアのキャンペーン団体G-CAP(Global Call to Action against Poverty)の代表ヘンリー・マルモ氏Henry Malumoは、「私たちは、地方での受診料廃止を推進してきたが、都市部でも同じ政策がとられることを要求する。ザンビアは医師や看護師の労働環境改善や医薬品の普及のために、さらなる資金援助を必要としている」と述べた。オックスファムのストッキング氏は、受診料制度を設置していない国はサハラ以南アフリカ30カ国のうち3カ国のみであることを挙げ、「ザンビアはさらなる努力が必要であるが、受診料制度廃止は大きな一歩である。他のアフリカ諸国もザンビアに続くことを願っている」と述べた。

原題:Zambia scraps healthcare fees for poor rural people
日付:April 9, 2006
出典:People’s Health Movement website
URL:http://www.phmovement.org/en/node/153
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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