グローバル・エイズ・アップデート

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2006年11月

第57号(第3巻第6号) 2006年(平成18年)11月23日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第57号(第3巻第6号) 2006年(平成18年)11月23日
Vol.3-No.6 (No.57) Date: November 23, 2006

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HIV/AIDSの拡大未だおさまらず:国連合同エイズ計画・WHOが年次報告を発表

【2007年11月21日:グローバル・エイズ・アップデート編集部発】2007年11月21日、国連合同エイズ計画と世界保健機関(WHO)は、2006年末におけるHIV/AIDSの状況に関する年次レポートを発表した。この発表は例年この時期に両国連機関が行っているものである。

 発表によると、2006年末におけるHIV陽性者の人口は世界全体で3950万人、2004年に比べて260万人増加した。HIV陽性者人口は世界の全地域で増加しており、とくに東アジアおよび東欧・中央アジアで増加が顕著である。

 各地域別に見ると、中国のHIV陽性者は2005年末で65万人に上り、その40%は薬物使用による感染である。中国政府はこれに対し、注射針の交換プログラムを18省で開始しているが、まだ成果は充分には現れていない。東南アジアでも、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどで薬物使用による感染が拡大している。一方、東欧・中央アジア(旧ソ連圏)、とくにロシアでは薬物使用による感染が飽和状態で頭打ちとなり、一方、薬物使用者による無防備な性行為を原因とする感染が拡大している。

 サハラ以南アフリカではHIVの拡大はまだ止まっていない。もっとも感染が拡大している南部アフリカ地域で感染率が下がったのはジンバブウェ1国のみである。一方、東アフリカ地域では、軒並み感染率の低下が見られる。しかし、その一方でケニア・タンザニアなどは海岸地方を中心に注射薬物使用による感染の拡大が見られるようになり、一つの懸念材料となっている。

 一方、抗エイズ治療の実施も世界的に広がり、2006年6月段階で途上国で160万人が抗エイズ治療を受けるに至った。サハラ以南アフリカでは現在、治療を受けている人口は100万人を超え、2003年段階の10倍に増大した。東・東南・南アジア地域でも治療へのアクセスは2003年の3倍の23万5000人に拡大している。これにより、累積で200万年分の生命が救われたとこれらの国連機関は述べている。一方、東欧・中央アジアや中東・北アフリカ地域では抗エイズ治療の普及は低レベルにとどまっている。両国連機関は、HIV/AIDSへの治療と予防のバランスの取れた実施をよびかけている。

もうひとつの世界エイズデー:「エイズ・キャンドルライト・メモリアル2007」団体登録を開始

「国際エイズ・キャンドルライト・メモリアル」International AIDS Candlelight Memorial は例年5月第3日曜日に行われている。AIDSにより亡くなった人々の追悼を目的としたこのイベントは世界中で展開されており、「もうひとつの世界エイズデー」とも呼ばれている。
 このイベントは米国の「地球規模保健評議会」 Global Health Council というNGOが統括しているが、この10月下旬より、同団体は2007年度の同イベント実施の国際登録の受付を開始した。

このイベントは、世界中でボランティアが中心となって実施されており、昨年は110カ国で900人以上のボランティアコーディネーターが、友人や学生のグループ、学校、病院、市民団体などのコミュ二ティが参加する行事を企画した。どのような形式のメモリアルとするかは、どのような人々が参加するかによってコーディネータが判断する。世界中で、公園での友人同士の集まりなど小規模なものから、何千人もの人々がキャンドルを持って歌いながら歩くパレードなど大規模なものまで企画されており、コーディネーターには工夫を凝らしたメモリアル行事を企画することが期待されている。

 この行事が最初に行われた1983年は、AIDSの原因もまだ不明な時期であり、行事はAIDSで死亡した人々の追悼とAIDS患者の支援が目的であった。それらが今でもメモリアルの大切な焦点であることに変わりはないが、現在では、AIDSによる死亡者が増加し、地域社会の存続が脅かされるような状況も一部で生じていることから、メモリアル行事はコミュニティのまとまりを強め、地球規模での連帯を促すという点でも大きな役割を果たしている。

原題:2007 International AIDS Candlelight Memorial Registration Form Now Available
出典:http://www.candlelightmemorial.org/

オーストラリア:第4回エイズに関する基礎医学国際会議の開催地に

2007年7月22日より25日の4日間にわたり、「第4回病因・治療・予防に関する国際エイズ会議」 the 4th IAS Conference on HIV Pathogenesis, Treatment and Prevention (主催:国際エイズ学会)が、オーストラリア最大の都市、シドニーで開催される。

 開会宣言には、同国ジョン・ハワード首相、基調講演に、元米国大統領 ビル・クリントンが参加予定。特に基礎科学が焦点となるこの会議は、(1)臨床研究、(2)治療とケア(3)生物医学的予防の3つが主な発表のテーマとなる。

オーストラリアによる国際的HIV/AIDS戦略は、アジア太平洋地域内への対策を強化し、特に新規感染者数を減少させ、エイズによる社会的インパクトを軽減させることを重点化している。同国での開催は、アジア太平洋地域諸国からの積極的な参加を後押しすると考えられる。開催要領は以下の通りである。

○共催:オーストラリアHIV医学会 the Australasian Society for HIV Medicine (ASHM)、国立HIV疫学・臨床研究センター the National Centre in HIV Epidemiology and Clinical Research
○会場: シドニー・コンベンション/エキシビジョン・センター
○プログラム:会議中、以下のような議論が期待されている。
・臨床研究や生物医学的予防・ケアに関する国際的研究や理論の発展。
・資源の限られた地域に対する治療拡大について
・最新のHIV科学とその実用化に合わせ流行地域における文脈から公衆衛生や個々人の健康について

○今後の日程は以下の通り:
2007年2月1日:通常登録終了(以後参加にあたり追徴金がかかる。)
2007年3月7日:参加補助金申請締め切り、抄録提出締め切り

○詳しい情報は、会議についてはこちらから: http://www.ias2007.org/

米国:同性愛者の医師が国務省エイズ対策最高責任者に就任

ライス国務長官は10月10日、同性愛者の医師マーク・ディブルMark Dybul氏が米国国務省の「地球規模エイズ調整官」Global AIDS Coordinatorに正式に就任することを宣言する宣誓式を開催した。この地位は米国国連大使と同列にあたるもので、エイズ対策における大使級の外交官である。

宣誓式に臨席していたブッシュ大統領夫人は、「ディブル氏は今後150億ドルを拠出する『米国大統領エイズ救済緊急計画』Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR)を監督することになる」とした。ブッシュ大統領は今年初め、ディブル氏を同調整官に指名し、米国議会の上院は8月3日に満場一致でその指名を支持した。ディブル氏はAIDS治療と予防策の専門家であり、ブッシュ大統領が前任者のランドール・トバイアスRandall Tobias氏を米国国際開発庁(USAID)の長官に指名して以降は、同調整官代理として従事していた。

この宣誓式において、ディブル氏は自身のドメスティック・パートナー(法的な保護を受ける同性パートナー)であるジェイソン・クレアJason Claire氏が持つ聖書に手を置いて宣誓を行い、ライス長官は宣誓式に同席していたジェイソン・クレア氏の母を「ディブル氏の義理の母」として紹介することで、ディブル氏とクレア氏の関係に公的な認知を与えた。これについて、ゲイの活動家たちはライス長官を再評価する姿勢をとった。その一方、ライス氏はキリスト教保守派などから反感を買うことにもなった。

 宣誓式に同席した共和党員の同性愛者の活動家カール・シューミッドCarl Schmid氏は「ディバル氏の就任は、ブッシュ大統領が世界中のHIV/AIDS問題と真剣に取組む姿勢であること、またその個人の性的指向にかかわらず人材を適材適所にハイチすることがブッシュ大統領の政治方針であることを実証している」と評価している。

原題:Laura Bush attends swearing-in of gay Global AIDS Coordinator
日付:October 13, 2006
出典:Washington Blade website
URL: http://www.washblade.com/2006/10-13/news/national/ceremony.cfm

中国:政府疾病対策センターのセックスワーカー教育に警察が激怒

中国東北部ハルビン市の地元紙は10月16日、セックスワーカー対象のエイズ予防研修で、コンドームが無料配布され、警察当局の怒りを買ったと報じた。

ハルビン市において中国疾病管理センター The Centre for Disease Control(CDC)が行ったこの研修には、50名以上の女性セックスワーカーらが集った。彼女たちは助けを必要とするときは、電話相談等のサービスを使用し、自分たちで問題を抱えこんではいけないと学んだ。しかし、地方警察当局はこの研修内容について違和感を表明した。報道によると、警察当局は以下のように述べた。「今回の研修で、普段は社会的に裏の世界 underground
にいればよかったはずのセックスワーカーらが、表に出てきて自ら『私は売春婦です』と名札をつけ始めた。公的な機関であるCDCがこんな研修をするから、警察としては売春婦に断固たる対処がとれず警察は困惑している。」
 中国では現在65万人のHIV陽性者がおり、そのほとんどが性感染で、麻薬常習による感染がそれに続く。

 同国のおけるエイズへの取り組みは遅れている。政府は近年、HIV対策に真摯に取り組み始めた。しかし、国民のエイズに対する認識は非常に低く、HIV陽性者らは、いまだに差別され侮辱を受けている。セックスワーカーらが、自分のかばんにコンドームを入れていただけで警察に連行される事件も生じている。これはエイズに対する認識の低さ、また差別や偏見によるものだ。

 ハルビンのある警察官は、「エイズ教育はどんな形でも行われるべきではあるが、こうした(セックスワーカーへの)研修は受け入れがたい。」という。同国において売春は1949年の共産主義革命により一時的に駆逐されたが、1980年代の市場経済化により、復活し、現在は大規模に行われている。。

原題: AIDS class for China sex workers angers police
日付: October 16 , 2006
出典: ロイター通信
URL: http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/PEK87605.htm

インド:就職前の若者にHIV抗体検査を義務付ける企業

 近年、インドではコールセンターやその他の企業への就職に際してHIV抗体検査が義務付けられ、HIVに感染していないを証明しなければならなくなりつつある。

 若者は就職に向けてHIV検査を受けるべき、とするキャンペーンが、ミス・ユニバースに選ばれたスレイカ・リベラさん Zuleyka Riveraの音頭により展開されている。この検査は、企業が保険会社と提携して行っているもので、従業員を民間医療保険に加入させる上での前提条件となっている。医療保険加入の前提であるためか、従業員は検査を受けることに抵抗はないようで、一部には、HIV感染予防啓発活動としては前進したという意見もある。

 あるコールセンターの幹部社員であるニティン・バジャジ Nitin Bajajの初仕事は、HIV抗体検査を受けることだったが、彼はそれを特に恐れなかった。彼は「実のところ、当社のこうした決定には感謝している。検査結果が陰性だと分かって、とても自信がついた。そもそも検査を受けることが社会的にタブーだから。」と言う。バジャジ氏に関して言えば、企業のこうした取り組みは、若者にとって、抗体検査への意識付けとなるものであり、検査へのタブー視をうち破る成果を上げたと言える。の壁を打ち破ったといえる。

 また、他の幹部社員ディブヤ・バンブリDyvya Bhambri も、検査を受けることには何の問題も感じなかった。「従業員は、適切な社会保障を受けられるし、企業サイドも従業員の健康状態を把握することができる。これはいいことではないか。」と彼女は言う。

 デリーに本部があるコールセンターのカンプール支社の責任者、ギリッシ・サクデヴァ Girissh Sachdevaは「採用の見込みがある人たちには、血圧や尿検査、検便に加え、HIV抗体検査も同様に受けてもらう。」と言う。検査の義務化により、若者たちは気軽に検査を受けるようになったと報告されている。

 一方、検査で陽性が出たらどうするのだろうか。前述のコールセンターのプロセス・マネージャーのファルハン・アフマド氏 FarhanAhmadは、「結果を本人に告知するかは、企業方針により異なる。大方の場合、検査結果が思わしくなければ、健康面でその仕事に適合しないということで採用を見送る。当社の場合については、検査結果がHIV陽性であれば本人に報告するだろう。」と、話す。また、同社が提携している保険会社の担当者シャクティ・ワハル氏 Shakti Wahalは「保険会社としては、陽性者に対する保障はできない。但し15〜20年の間については、自分の健康状態にきちんと気を配っていれば通常の生活をできるとは思う。」と話している。


※編集部注:雇用にかかわってHIV検査を行い、これを採用の可否を決める判断の基準とすることは国際的には勧められておらず、日本でも旧労働省が1995年に発表した「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」で事業者が採用選考にあたってHIV検査を行うことは不適当であるとの見解を示しています。(参照:http://api-net.jfap.or.jp/mhw/document/doc_02_29.htm)

原題: Testing times for aids awareness
日付: November 1, 2006
出典: The Time of India
URL: http://timesofindia.indiatimes.com/articleshow/284635.cms

台湾:エイズ・ケア・センターが立ち退きの危機

 台湾(中華民国)の台北地方裁判所は10月11日、公衆衛生の理由から、HIV陽性者のケア施設に対し、台北市の文山区にある Wenshan の共同住宅から立ち退くよう判示した。この判決に対し、エイズ活動家らはケア施設のHIV陽性者の支援を表明した。10月12日、行政院衛生署(保健省にあたる)は、判決について遺憾であると表明し、ケア施設関係者が控訴できるよう法的支援をすると発表した。

 施設を運営するハーモニー・ホーム・アソシエーション Harmony Home Association の設立者であるニコール・ヤン Nicole Yangも、判決理由に、ケア施設の居住者が他の住人に心理的な恐怖を与えているとあることから、本判決がHIV陽性者を侮辱し、差別的であり控訴すると話している。

施設は、2005年6月に共同住宅の一室を借りてつくられた。10人以上のHIV陽性者が治療を受けたり入院していたが、それを知った住宅の管理組合が立ち退くように決定し、施設側に通告した。しかし、運営者であるヤン氏は、立ち退きに関して法的根拠はなく、居住・移転の自由を保障する憲法第10条に反するとして通告を拒絶していた。そこで、管理組合が提訴し、今回の判決に至ったのである。

 台北地裁は、憲法は公権力と私人について規定しており、私人間には適用されないと判示している。ヤン氏によると、裁判の過程における調査では、判事から「もっと人の少ないところに施設を移して近隣に恐怖を与えないようにすればどうか」と提案されたという。

 今回の判決は、台湾社会がいかにHIVの感染経路について無知であるかが如実に示されている、とヤン氏は憤慨し、「もっとHIV/AIDSに理解を示してほしい。」と訴えた。

原題:The Department of Health expressed regret over the ruling and said that it would help the facility's organizers to appeal
日付:2006年10月13日
出典:TAIPEI TIMES

アフリカ連合:平和維持部隊に求められるHIV/AIDS対策

 アフリカを拠点とするシンクタンク、安全保障学研究所 Institute for Security Studies (ISS)は、アフリカ連合(AU)が設立を目指している平和維持部隊員にHIV感染予防対策が必要であると発表した。これは、同研究所が支援する学者らによる研究論文「内なる敵:南部アフリカにおける軍隊のの四半世紀にわたるHIV/AIDSとの戦い」”The Enemy Within: Southern African Militaries' Quarter-century Battle with HIV and AIDS”に記載されている。調査は、ボツワナ、スワジランド、ザンビア、ジンバブウェ及びタンザニアの軍隊に関するものである。

UNAIDSは、軍関係者のHIV感染者は平和時の一般人の2〜5倍と高く、戦闘中の兵士間ではさらに高くなると推測している。ジンバブウェ大学University of Zimbabweのレジナルド・マチャバ・ホーヴェ博士 Dr Reginald Matchaba-Hove によると、戦闘員の多くは性的に活発な世代で社会経験も少ないが、高い収入と特権があるため、現地の一般人に対して優越感がある。その結果行きずりの性交渉の機会が多くなるという。

また、HIV陽性の兵士を配属することにより、新たなウィルス変異株の発生とその感染拡大も懸念されている。HIVの遺伝子情報を保管している米国エネルギー省US Department of Energyのロス・アラモス研究所Los Alamos National Laboratoryは、コンゴ民主共和国(DRC)でHIVの新規変異種を検出したと発表した。変異種に感染しているとみられるジンバブエ国籍の兵士がDRCに配属されて、現地で感染を広め、さらにエボラ出血熱など他の感染症とともに変異種を自国に持ち帰っている可能性があるという。

アフリカ南部諸国は世界でもHIVの感染率が高く、軍関係者に関して正確な情報が得られてはいないものの、スワジランドでは兵役候補者の21.5%(2005年)、ジンバブエ兵士の約半数(2002年)がHIV陽性で防衛軍を除隊した後1年間に75%が死亡(2003年)しているというデータが報告されている。アフリカで活動する平和維持部隊にはアフリカ南部諸国の出身者が多く、そのうちHIV陽性者は約20%に及ぶと考えられることから、各国が協力して安価な抗レトロウィルス薬製造のための工場を作り労働人口を守ること、軍はその取組みを支援が急務である。またタブー視され差別の対象となっている同性愛者の存在を認めることも必要である。また、軍の基地内に既婚者用の住居を整備して、配備期間を短縮し、兵士がHIV感染の可能性に無防備な性行為を行わずスポーツや読書などで気分転換ができるよう支援するべきだ、と報告書は指摘している。

原題:Africa: Give Peacekeepers ARVs, New Study Urges
日付:2006年10月4日
出典:all Africa.com
URL:http://allafrica.com/stories/200610040567.html

ガーナ:HIV/AIDS治療センター増設で医療状況改善される。

 西アフリカのガーナ共和国では、2006年になって、HIV/AIDS治療センターの開設が続いている。ガーナ北部では、新たに開設されたタマレTamale公立病院がHIV/AIDS治療を開始した。これまで北部に住むHIV陽性者は、治療を受けるために南部のクマシKumasiにある公立病院まで、1日がかりで通っていた。5USドル治療薬代とさらにその4〜5倍の旅費を負担していたことになる。

 「国際保健アクション」Health Action International (HAI)の昨年度の調査によれば、ガーナにおける2004年のAIDS関連死亡者は33,000人と異常に多かった。その背景には、医療施設への旅費や抗レトロウィルス(ARV)薬の購入費用の負担が大きく、治療を続けられなかったHIV陽性者が多かったことがある。またエイズ発症者は、偏見や差別のために仕事を辞めて家に閉じこもるため、収入がなくなり、周囲に頼るようになるが、周囲の人々が支えきらないと治療薬も買えない。

 しかし、各国際ドナーからの援助金や、キリスト教を中心とした宗教関連団体の支援で状況は変わりつつある。HIV/AIDSの治療センターが増設され、またARV薬による治療も拡大される予定である。ガーナ政府が主導するエイズ管理計画National AIDS Control Programme (NACP)によると、2007年にはガーナ国内の130の地域の小規模病院のうち半分で、治療を必要とする7万1千人のHIV陽性者がARV薬を入手できるようにするという。

HIV/AIDS治療施設の増設は、ガーナ人だけでなく、国境を越えて通院していた近隣のコートジボワールやトーゴのHIV陽性者にとっても朗報である。しかし、一方で、HIV陽性者に対する差別や偏見は根強く、治療施設が自宅近くにできても、近所の人に見られたくないのでわざと遠い病院に行くPLWHAもいるという。根本的なHIV/AIDS問題の解決への道のりは、まだまだ険しそうだ。

原題:Ghana: Increase in HIV/Aids Treatment And Care Centres
日付:2006年10月15日
出典:all Africa.com
URL:http://allafrica.com/stories/200610150032.html
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