グローバル・エイズ・アップデート

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2007年02月

第63号(第3巻第12号) 2007年(平成18年)2月16日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第63号(第3巻第12号) 2007年(平成18年)2月16日
Vol.3-No.12 (No.63) Date: February 16, 2007

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ユニセフ:子どもへのエイズ対策が1年間で大きな前進

2007年1月16日にユニセフが発表した「子どもとエイズ Children and AIDS」という報告書によると、1年前にユニセフが目標に掲げた、母子間でのHIV感染の予防とHIVに感染した子どもへの治療提供の促進プログラムについて、複数の国でその目標値が達成されたという。

2005年の10月にユニセフとその関連機関が立ち上げた、「子どもたちのために エイズと闘おう Unite for Children,
Unite against AIDS」というプログラムは、母子感染の予防、HIVに感染した子どもへの治療の拡大、若者の新たな感染の予防、遺児をはじめエイズにより困難な状況にある子どもへの支援を4本柱とする、エイズによる子どもへの影響を軽減するための対策アプローチである。「Unite
for Children, Unite against AIDS」は、4分野で各々、次の成果が見られた。

○母子感染の予防
ユニセフでは、母子感染の予防と母親のHIV感染予防を最重要課題に掲げている。というのも、2006年に新たにHIVに感染した15歳未満の子どもの数は53万人に上り、その主な感染原因は母子感染であるとされており、治療をしなければ53万人のうちの約50%が2歳までに死亡すると推計されているからである。ナミビアでは、胎児へのHIV感染を防ぐために抗レトロウイルス薬治療を受けた妊婦は、2004年の6%から2005年には29%に増加、南アフリカでは2004年の22%から2005年には30%に増加した。他方、こうした進歩がある反面、途上国におけるHIVに感染した妊娠中の女性のうち、抗レトロウイルス薬を受け取れているのは、2005年時点で、わずか9%にすぎないのが実情である。

○子どもたちへの治療薬の提供
HIV抗体検査の改良、医療関係者のスキルアップ、治療薬の低価格化や処方の簡素化などにより、HIVに感染した子どもたちへの治療薬の提供は特に進歩を遂げている。ボツワナ、インド、ルワンダ、南アフリカやタイなどの国においては、大人のための治療現場に、子どもたちのための治療を統合することによって、子どもたちへの治療を拡大することができた。なお、子どものための抗レトロウイルス薬価格のこの1年半の間での劇的な低廉化には、米国クリントン財団HIV/AIDSイニシアチブによる取り組みが寄与している。

○若者への感染予防
10代の若年層も感染可能性が高く、プログラムの焦点となっている。若年層の感染者は女性が大多数であり、コートジボアールやケニアにおいては女性の感染者は男性の感染者の5倍ともされている。しかしケニアやマラウィ、ジンバブウェの都市部やボツワナの農村部においては、若者たちが安全なセックス
safe sexを心がけるようになったため、HIV感染率が低下したことが新たに分かった。また世界の70ヶ国以上の国々において、HIV交代検査やHIV/AIDSに関するカウンセリングを受けた若者の人数が4倍以上に増えたことも報告されている。

○遺児をはじめエイズにより困難な状況にある子どもたちへの支援
最後に、エイズ遺児への支援についてであるが、授業料の廃止などにより、エイズ遺児が教育を受ける機会はある程度確保されてきており、エイズ遺児とそうでない子どもの格差も少しずつ改善されてきている。

なお、このユニセフの「子どもとエイズ」という報告書では、子どものデータを地域別、年齢別、性別に整理するとともに、子どもとHIV/AIDSに関する動向を確認できるよう、初めてベースラインを設定している。

原題:Signs of progress and momentum in global response to children and AIDS
日付:16 January 2007
出典:UNICEF
URL: http://www.unicef.org/media/media_38039.html

ペルー:第6回 「社会におけるセクシュアリティと文化研究に関する国際学会」(IASSCS)の開催

2007年6月27日から29日までの間、ペルーの首都リマにおいて、「社会におけるセクシュアリティと文化研究に関する国際学会The International Association for the Study of Sexuality and Culture in Society (IASSCS)」が、ペルー カイエタノ・エレディア大学 Cayetano Heredia University 主催の下、第6回目の会議を開催する。この会議は、1997年にアムステルダムで発足し、その後隔年で世界各国で開催されてきた(99年:英国のマンチェスター、01年:オーストラリアのメルボルン、03年:南アフリカ共和国のジョハネスバーグ、05年:米国のサンフランシスコ)。

セクシュアリティや人権の専門家、活動家らが集まるこの会議では、現在、発表者を募集している(締切は、2007年2月28日)。途上国出身の参加者には、奨学金などの機会も設けられている。

今年の会議では、身体の快楽と福祉 Bodies/Pleasure and Wellbeing、 性的権利とそのための運動 Sexual Rights and Mobilization、性文化、グローバリゼーション、貧困とセクシュアリティなど、変化する世界での性に関する動向に焦点をあてた討議がなされる。会議終了後は、セクシュアリティに関する2週間(7月2日から13日まで)の研修が実施される予定である。

社会におけるセクシュアリティと文化研究国際学会 IASSCS
は、1997年に設立され、特定の社会や文化的背景における、性的アイデンティティや、性的欲求、性体験についての研究を促進するとともに、研究や学問上のコミュニケーションを促し、さらには、世界中の会員ネットワークを生かした研修の機会を提供している。

この会議は、世界中から性に関わる研究者や性的権利に関わる活動家を集め、研究や運動についての意見交換を行い、経験を共有するとともに、若い専門家を刺激し、大学や研究機関の研究能力を高めることによって、特に途上国におけるセクシュアリティ研究の質を高めることを目指している。

詳しい情報はこちらから(英語): www.iasscs.org/2007conference

原題: CALL FOR PAPERS ~ 6th IASSCS INTERNATIONAL CONFERENCE
URL: www.iasscs.org/2007conference

意外?サウディ・アラビアにおける若者のエイズ認識

2006年12月にサウディ・アラビアで発表された、HIV/AIDSに関する試験的な調査の結果では、72%の回答者が高校や大学でHIV/AIDSについて学ぶべきであり、82%は結婚前のHIV感染検査に賛成であると回答していることがわかった。また、75%は安全な性行為についての啓発活動を支持するとしており、同国の若者がHIV/AIDSに高い問題意識を持っていることを窺わせた。

この調査は、キング・アブドゥルアズィーズ大学 King Abdul Aziz University のオマール・アル・ムルシェディ Omar
Al-Murshedi 経済学部教授が、同大学の19歳から23歳までの147人の男子学生を対象に、HIV/AIDSについての知識や態度、およびその社会・経済への影響についての評価を調査したものである。

これまで、サウディ・アラビアは、性について閉鎖的で、HIV/AIDSをはじめとする性感染症や性行為について公に話すことに否定的であると思われてきた。しかし、今回の調査結果は、回答者数が少なく、サウディ・アラビアの現実を正確に表しているとは言いがたいものの、同国の意外な一面を明らかにしたとも言えよう。

興味深い結果として、90%の回答者が「HIV陽性者の数は、現在サウディ・アラビアで公式に発表されている数よりも多いと思う」と回答している。そのうちの34%は政府が故意に数を減らして発表していると考えており、32%は単なる数字の間違いであるとしており、残りの33%は報告されていないケースがはるかに多いと考えていることが分かった。サウディ・アラビア政府保健省は、国内のHIV感染者数は10,120人としており、そのうちの7,804人はサウディ人以外の感染としている。

サウディ・アラビアには、HIV感染率の高い国々からも不法入国やオーバースティの労働者が多数滞在しているとされているが、彼らは抗体検査を受けていない。こうしたことから、回答者の58%がサウディでのHIV感染の増加は、不法滞在者との性的接触によるものであろうと答えている。

他方、「どのグループが最もHIV感染の可能性が高いと思うか。」という質問に対しては、独身の異性愛男性(39%)、妻以外とも性的関係がある既婚男性(31%)、薬物使用者(18%)となり、同性愛者と答えたのは、12%であった。

原題:Survey Provides Insight Into AIDS Awareness Among Youth
日付:2007年1月6日
出典:アラブニュース
URL:http://www.arabnews.com/?page=1§ion=0&article=90668&d=6&m=1&y=2007

インド: ムンバイでセックス・ワーカーのイベントが開催

2007年1月の初旬に、インド南西部の大都市、ムンバイで15,000人のセックス・ワーカーが参加するイベントが開催され、セックス・ワーカーたちは「ボリウッド」のスターたちによるエンターテイメントを楽しんだ。かつて「ボンベイ」と呼ばれていたことの都市のスターたちは、米国ロサンゼルスにある「ハリウッド」とかけて、「ボリウッド」スターと呼ばれる。このイベントは、Atmavishwas(自尊心) と名づけられ、「ハリウッド」のスターである リチャード・ギア氏 Richard Gere によるボリウッド支援を受けて行われた。ギア氏は、エイズ問題への真剣な関心をもって、このステージに立っているとと述べ、「No condom, no sex」というスローガンを繰り返した。このメッセージは力強く、大いに予防を促すものではあるが、実現には多大な文化の変革を必要とするものである。

インドでは、セックス・ワーカーの社会・経済的地位は著しく低く、彼女たちは、売春斡旋業者や警察、パートナー、家族からでさえ、暴行を受けたり、レイプされたり、セックスを強要されたりという恐怖に常にさらされている。

UNAIDSの推計では、インドにおけるHIV陽性者は、500万人以上に上る。このイベントに集まったセックス・ワーカーたちは、セックス・ワーカーへの支援を促す活動を行っているNGO、ファミリー・ヘルス・インターナショナルFamily Health International (FHI)によって集められた。また、このイベントは、アバハンAvahan (サンクスリット語で今こそアクションをという意味)のプロジェクトの一つで、ゲイツ財団の資金援助を受けている。

「アバハン Avahan」は、世界的なコンサルティング会社 マッキンゼー・アンド・カンパニー McKinsey & Company 元コンサルタント アレクサンダー・アソク氏Ashok Alexanderが中心となって運営する活動である。この活動は、HIV感染の可能性が高い行動を取りやすい人々に焦点をあて、コンドームの配布や医療サービス、知識の普及などの感染予防サービスを提供している。このプログラムは、3年間に550都市、76地区において実施されている。プログラムを実施する134の団体は、27万人のセックス・ワーカーと600万人の男性客及び薬物使用者を対象としており、毎月800万個のコンドームを配布している。

さらに、このプロジェクトはHIVの感染予防だけでなく、マイクロ・クレジット(小規模金融)を活用したり、セックス・ワーカーへの暴力を減少させることによって、総合的に彼らの生活の質を向上させることを目指している。こうした活動を通して、この1年間でセックス・ワーカーの意識や態度が画期的に良い方向へと向かっていると、アレクサンダー氏やその同僚たちは話している。

原題:Sex now big in Bollywood
日付:January 17, 2007
出典:Herald Sun
URL: http://www.news.com.au/heraldsun/story/0,21985,21070139-5006029,00.html#

ネパール:性的少数者の権利を認める憲法制定を求めるシンポジウム開催

2007年1月8日に、ネパールの首都カトマンズのマーラホテル Malla Hotel で、「ネパール人の新憲法と性的少数者の基本的人権 Nepal's New Constitution and the Fundamental Rights of Minorities」と題する会議が開催された。この会議では、ネパール史上初めて性的少数者の憲法上の権利について議論された。性について公の場で話題にすることをためらう傾向にあるネパールにおいて、この会議の開催は画期的なことであった。

今回の会議は、男性とセックスをする男性 Male who have sex with Male や男性セックス・ワーカー Male Sex Workers に対する活動を行う「青いダイアモンド協会」 Blue Diamond Society (BDS) が主催した。

BDSは、抜本的な法律による介入なしでは、レズビアンやゲイ、バイセクシュアル、性同一性障害者などの性的少数者のための安全なコミュニティーは実現しないとの考えを強くしていた。今回の会議は、様々な国際的な人権規約を政府に確約させるとともに、性的少数者の人権を保障する条項を盛り込むことは、社会全体の利益となるという意見を憲法起草委員会に訴えることを目指して開催された。

BDSは、性的少数者が憲法上合法化された例として、諸外国の例や見識を紹介するため、法学者や政策提言に関わる学者らを多く会議に招いた。その1人が、南アフリカ共和国の最高裁判事として初めて同性愛者であることを公にした人物として知られる、エドウィン・キャメロン氏 Edwin Cameronである。キャメロン氏は、性的指向による差別を積極的に禁止する、世界初の憲法制定に向けて重要な役割を果たしてきた人物である。「同性愛者をどれだけ受け容れているかは、その社会の平等や正義など社会の寛容性を測る尺度になる。」と話し、憲法は平等の精神の下、差異を認め、あらゆる個人の自由を保障するべきだと訴えた。現在のネパールの状況をみて、彼は各個人の幸福のために法の制定を行う絶好の機会だとしている。

今後、ネパールで性的少数者の権利についてどのように議論が展開されるか分からないが、今回の会議は、ネパールの人々が性的少数者と考えを共有する機会を与えるものであったとは言えるだろう。

原題:South African Justice Edwin Cameron Gives Hope to Nepal's Gays
日付:January 17, 2007
出典:Gay Wired.com
URL: http://www.gaywired.com/article.cfm?section=123&id=12612

中央アフリカ共和国:内戦時のレイプによるHIV感染の拡大

中央アフリカ共和国で2001年から2003年の間に起こった武力衝突の最中に、兵士たちにレイプされ、HIVに感染した4人の女性たちが今、NGOを通じて兵士への法による裁きを訴えている。

アンジェラさんは2002年に第5児の出産直後、戦渦の首都バンギから逃れるためにバスで移動していたところ、突然、隣国コンゴの反政府勢力であるコンゴ解放運動
Mouvement de liberation du Congo- MLC の兵士たちによって、乗っていたバスを止められた。「兵士たちは生まれたばかりの赤ん坊を私から取り上げ、森に投げ捨てた後、幼い子どもたちの目の前で、私を次々とレイプしました。」と、アンジェラさんは語った。時のパタセ大統領は、政府の後ろ盾として隣国コンゴからMLCを呼び寄せ、クーデターを起こして彼を大統領の席から引きずり下ろそうとした前大統領のコリンバ氏 Andre Kolingba に対抗していた。しかし、MLCの兵士たちは首都東部のクワンゴに入りこみ、略奪し、男性を殺し、女性をレイプするという残虐な行為を繰り返していた。

2002年に状況は更に悪化し、当時の参謀長で現在の大統領であるボジゼ氏が勢力を握った頃には、女性だけでなく、レイプの対象は男性にも及んでいた。30歳のブリジッドは父親と兄弟を殺され、父親の遺体のすぐ隣で何人もの兵士にレイプされたという。レイプによるトラウマに苦しむ彼女たちに、HIV陽性という現実が追い討ちをかけている。49歳のマリーは、首都から400キロ離れた村でレイプされ、その6ヶ月後に勇気をふりしぼってHIV抗体検査を受けたところ、陽性であることが判明した。レイプされた後、HIVに感染していることを知り、家族にも見放されたという女性は数多くいる。バンギで働いていたエミリーヌもその一人だ。

上記で紹介した4人の女性たちが所属するのはMLCの兵士たちにレイプされ、夫を殺された元教師、ベルナデット・サヨ Bernadette Sayo 氏によって創設されたOCODEFAD (L'Organisation pour la Compassion et le Developpement des Familles en Detresse)というNGOである。OCODEFADは、レイプの加害者およびその共犯者たちに対して、法による裁きを与えることを目的として活動しているが、そこには、性的暴力者を庇護する刑事免責という壁が立ちはだかっている。サヨ氏は、この刑事免責を強く非難し、このまま加害者たちを放置しておけば、更なる被害者が生まれると訴えている。被害者の証言では加害者のほとんどが兵士たちであり、警察もそのことは確認しているが、法的処置は取られていない。パゴネンジ・ンダカラ家族・社会問題・国家連帯大臣は、「政府は、レイプの加害者である兵士を拘束し、処罰を与え、軍からも追放した」と説明した。しかし、同国の人権団体によれば、2004年には、多くの兵士が一旦軍から追放されたが、政府の尋問中に逃走したり、他の兵士たちの協力を得るなどして刑を逃れているという。

同国では確かに、レイプや家庭内暴力から女性を保護するための法整備は進められているが、その実際の効力には疑問が残るとされている。OCODEFADの女性たちは、法が施行され、加害者に正当な裁きが下る日を待ち望む生存者のために活動を続けているが、HIV感染という現実の問題も立ちはだかっている。弱った体でどうやって生計を立てていくのか、どうやって子どもたちを世話していくかなど。OCODEFADによれば、生き残った350人のレイプ被害者のうち、57人がHIV陽性と診断され、52人がレイプの結果、妊娠して子供を生んでいる。

原題:The Legacy of Rape
日付:January 9, 2007
出典:allafrica.com
URL: http://allafrica.com/stories/200701100002.html

国連機関が警告:「男性割礼はHIV感染予防の万能策ではない」

各国連の保健機関は、米国がアフリカで行った成人男性の亀頭包皮切除(包茎手術=割礼)がHIV感染率を半減させることを示す治験結果に対して、慎重な言い回しで歓迎を表した。その一方、亀頭包皮切除を万能視して、コンドームの使用など他の予防方法を駆逐すべきではないと警告した。

WHO、国連人口基金、ユニセフ、UNAIDS、世界銀行の連名で発表された共同声明は、亀頭包皮切除を施せばHIVに感染しないという誤解を防ぐための適切なガイドラインの作成が必要であり、HIV感染率と亀頭包皮切除の実施率の割合を検討し、文化的・人権的側面と、施術の安全性の確保を考慮すべきであると指摘している。また、治験結果が、亀頭包皮切除が成人男性のHIV感染の可能性を軽減することを示しているとはいえ、HIV感染は亀頭包皮切除を施した男性にも起こりうること、HIVに感染している場合には、セックスをすることによって、セクシュアル・パートナーを感染させる可能性もあるという事実をふまえるべきであるということが提言されている。さらに、男性の亀頭包皮切除を既存の予防策に優先させるべきではなく、安全で継続したコンドームの使用、セクシュアル・パートナー数の削減、性交開始年齢の引き上げ、HIV抗体検査とカウンセリングを含む包括的な予防方法の一つの手段として考えられるべきであると強調している。

米国によるこの治験結果の発表によって、亀頭包皮切除に対する関心が高まり、政府やNGOによる男性の亀頭包皮切除を推進する提案がされるだろうと予想されている。しかし、国連機関の共同声明では、亀頭包皮切除には文化的、人権に関する問題や様々な状況で行われる手続的混乱の可能性、既存の予防行為と戦略の弱体化の可能性、治験の不確実性といったリスク面も考慮するべきであると指摘されている。

各国連の保健機関は、男性の亀頭包皮切除の拡大を決定した各国や各組織を支援するため、権利の観点に基づく、倫理的、臨床的、計画的アプローチという観点から技術的ガイドラインの作成を始めた。同時に、亀頭包皮切除の普及率と容認可能性の検証、カギとなる提供者の特定、費用算定、亀頭包皮切除を施した男性のモニタリング、安全性、性行為への影響などを調査する「迅速な調査ツールキット (rapid assessment toolkits)」の作成にも着手している。

原題:News: Male circumcision should never pre-empt other HIV prevention measures, UN warns
日付:14 December 2006
出典:UN News Service
URL:http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=20977&Cr=hiv&Cr1=aids

UNAIDS:ASEANサミットでエイズの影響について警告

国連合同エイズ計画 UNAIDS は、1月13日、アジア太平洋地域における労働人口に影響を与えているHIV/AIDSが長期にわたる、開発と安全保障に関わる脅威であると東南アジア諸国連合ASEAN 首脳らに警告した。

今回行われたフィリピン・セブ島で行われたASEAN首脳会合における報告書の中で、UNAIDSは、HIV感染予防および治療に関する資金の拡大を含め、エイズの脅威をを抑制する革新的な行動および政策を要求している。

この報告書では、ASEAN地域に住むおよそ160万人が、HIV陽性者であると発表されている。また、域内の流行拡大ステージは未だ初期段階であり、対応の拡大とその継続が必要であると指摘されている。ASEANは、アジア地域の中で最も感染率が高い高い地域であり、安全でない(コンドームをつけないなど)売買春や、注射薬物使用者、MSM(男性とセックスをする男性)が、特に高い感染可能性に直面している。

2006年の新規感染報告数は、18万を越え、11万人がエイズに起因する疾病で亡くなっている。HIV陽性者のうち33%が、15歳以上の女性であり、特に女性に対するケアサポートの必要性なども指摘されている。また若者、セックス・ワーカーとその顧客、ゲイ/MSM、注射薬物使用者といった特定の人口集団を列挙し、HIV感染に脆弱である人々が、HIV対策プログラムによる恩恵を受けられなければ、エイズ対策の前進は見込めないと指摘されている。

ASEANは、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナム、ラオス、カンボジアおよびミャンマー(ビルマ)から構成されているが、その首脳たちは、エイズにまつわるタブー、差別や偏見、感染の拡大についてだけでなく、抗レトロウイルス薬の確保や将来安価に入手できるワクチン開発などにも注力するよう、求められている。

サミット開催後にも、ASEAN首脳らは、特に個別にアプローチを必要とする層への注力を含めて、エイズに対する国家プログラムを重点課題化させ、リーダーシップをとっていくよう期待がかかっている。

原題:UN Warns AIDS Long-term Threat To Development, Security In Asia
日付:January 13th 2007
出典:playfuls website
URL: http://www.playfuls.com/news_10_8812-UN-Warns-AIDS-Long-term-Threat-To-Development-Security-In-Asia.html

イラン:ファッションがHIV感染の加速要因に

イランの首都テヘランのファッション・ショップでは、洋服代の値下げと引き換えに、セックス・ワーカーが店主にセックスをもちかける、というやり取りがよく起こっている。保健教育にかかわる人たちの中には、「最近のこうした傾向は、イランでの性感染によるHIV感染を増加させ、HIV/AIDSへの取り組みを弱体化させている」という意見がある。もともとイランの性慣習に関する社会的規制は厳しいが、最近は主に若者の間で、これらの規制は緩くなってきており、婚前あるいは婚外交渉も一般的になってきているとも言われている。

また、イランでは、HIV/AIDSに関する信頼性の高い情報や研究成果が乏しいことも、HIV/AIDS拡大防止対策が進まない要因である。最近の統計では、イランのHIV陽性者数は13,704人と発表されているが、WHOやイラン保健省は実際のHIV陽性者数を7万〜12万人と推計している。これは、HIVに感染した若者の多くが、不適切な情報のため、あるいは親に知られることを恐れてHIV検査に行かないためであると、専門家は推測している。

ユニセフが一部出資しているボランティア団体「イラン・ポジティブ・ライフ」 Iran Positive Lifeは、店主たちのHIV/AIDSへの意識を高め、それがセックス・ワーカーにも波及することを期待し、毎晩チームを組んでブティックを回り、店員たちにHIV/AIDSの知識レベルを問う活動をしている。そこから得られた情報では、ほとんどの店員は、安全でないセックスによりHIVに感染する可能性があることも、コンドームの使用がHIVへの感染を予防することも知っている。しかし、こうした認識が個人レベルでの性習慣や性行動にまで浸透することは少なく、セックス・ワーカーにまで認識が伝わることはないのが実態である、と専門家は指摘している。

また、イラン・ポジティブ・ライフは、3ヶ月前にピア・エデュケーション・プログラムを立ち上げて以後、ショッピング・センターや公園など、街中で約5,000人の若者に語りかけている。さらに、保健所でのカウンセリング・サービスを開始し、かつて最も感染可能性の高い感染経路とされた薬物使用者間での注射針の回し打ちに代わって、性交渉によるHIV感染がどれほど増えているかを推計しようとしている。

イラン社会では、あからさまな性的メッセージに対する抵抗が強い。そのため、イラン政府の対HIV/AIDS5ヵ年計画も、その啓発キャンペーンが不適切だとして批判を浴びている。一方で、宗教界の受け止め方は明らかに前向きだ。17人のアーヤトッラーAyatollah(シーア派の上級指導者に与えられる称号)に対する最近の調査では、ほぼ全員一致でコンドーム使用を許可しており、若者への性感染症教育についても賛成している。

原題:Fashion factor fuels Iran's Aids fears
日付:Jan 2, 2007
出典:Guardian Unlimited
URL:http://www.iranian.ws/iran_news/publish/article_19920.shtml
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