グローバル・エイズ・アップデート

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2007年04月

第68号(第3巻第17号) 2007年(平成19年)4月28日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第68号(第3巻第17号) 2007年(平成19年)4月28日
Vol.3-No. 17 (No. 68) Date: April 28th, 2007

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次の世代へ:子どもとHIV/AIDSアドボカシー・サミット決議

2007年3月13日から15日にかけて、ベルギーの首都ブリュッセルで、「子どもとHIV/AIDSアドボカシー・サミット Children and HIV/AIDS Advocacy Summit 」が開催された。このサミットには、世界各国から40人の活動家や専門家らが一堂に会し、子どもたちからエイズの影響を軽減させるための議論が行われた。世界の子どもたちは、エイズの感染拡大によって、生命や人権を脅かされているにもかかわらず、未だに国内外の政策から見放されている。参加者は、こうした子どもたちの置かれている困難な事態を変えるべきである、という意見で一致した。

今回のサミットでは、政策を変えるための枠組みを定義し、若者とともに積極的に活動し、より多くの人たちと協力関係を築き、かつ世界中のより多くの関係者に、エイズの影響を受けている子どもたちの声を届ける必要があることを確認した。そして、こうして協働してゆくことで、エイズに影響されない世代を作ることは、早急かつ現実的な達成目標となる、としている。
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プロダクト『レッド』キャンペーンの費用対効果が問題視される

プロダクト『レッド』(PRODUCT)Redキャンペーンの第一号であるレッドTシャツがロンドンのGAPで発売されてから1年が経った。それに引き続き行われた著名人達による大々的なイベントの数々によって、このキャンペーンはかなりの寄付金を集めたと思われていることだろう。だが、その総額は全世界で1800万ドルに留まっている。プロダクト『レッド』キャンペーンとは、世界のトップ企業が、自社の人気商品を赤色に染めて販売し、その収益の一部を世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)に寄付するという、民間資金の動員のための世界的キャンペーンである。

ある統計によると、アップル社やGAPなどは総額で1億ドルを同キャンペーンに出資したとみられ、その中でもGAPは四半期で780万ドルを同キャンペーンの宣伝に費やしたとされる。巨額のキャンペーン費用と集まった寄付総額の間に広がる大きな隔たりは、非営利活動を監視する団体の間で、大きな関心を呼んでいる。

プロダクト『レッド』キャンペーンから資金を受けている、世界基金の元事務局長のリチャード・フィーチャム Richard Feachem 氏は、2006年12月時点で、「クリスマスの終わりまでには寄付金は1億ドルを超えるだろう」と語っていたが、現状を見ると、キャンペーンが予想どおりの成功を納めているとは言い難い。こうした状況について、世界基金の民間協力部門を率いるラジェッシュ・アナンダン氏Rajesh Anandanは、「こういったキャンペーンは開始時に多額の費用を必要とするのが普通であって、レッド・リボン・キャンペーンは期待していた成果を上げている。」と話し、同キャンペーンの成果を援護する。
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MSF、アボット社のタイにおける新薬の販売停止を非難

国際的NGOである国境なき医師団(MSF)は3月15日、アボット・ラボラトリーズ社 Abbott Laboratories がタイでの新薬の販売停止を決定したことを非難する声明を発表した。シカゴを本拠とする多国籍の製薬会社であるアボット社は、タイ政府が強制実施権を発動したことに対応して、販売停止という強硬策をとったと説明している。MSFは、必須医薬品へのアクセスを改善する目的での強制実施権の発動は国際法を遵守したものであると指摘し、同社に販売を求めている。
アボット社がタイでの販売を拒んでいるのは、商品名「カレトラ」として販売するエイズ治療薬、ロピナビル/リトナビル lopinavir/ritonavir (LPV/r)錠剤の新配合剤である。この医薬品は、第一選択薬に耐性ができて効かなくなってしまったHIV陽性者の治療に不可欠であり、必要とする人が急増している。アボット社は、冷蔵を必要とする従来のタイプの配合剤をアメリカでは既に販売していない。タイでは旧配合剤を販売し続ける意向であるが、熱帯気候のこの国では非実用的である。

2006年11月以降、タイ政府はエイズ治療薬のエファビレンツ efavirenz、ロピナビル/リトナビル配合剤など3種類の医薬品に強制実施権を付与した。WHOのマーガレット・チャン Margaret Chan 事務局長と、UNAIDSのピーター・ピオット Peter Piot 事務局長は、WTOのTRIPS協定が規定する強制実施権は、強硬的な措置に思われるが、公衆衛生のために各国政府が踏み切ることを支持する発言をしている。MSFは、WHO、UNAIDS、各国政府やその他の国際機関に対し、アボット社の動きを非難するよう呼びかけている。
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アルバニア共和国:刑務所内でメタドン代替薬物療法の実施が始まる

エイズや薬物の問題に取り組んでいる、アルバニアのNGO団体のアクション・プラス Aksion Plus が、刑務所に収監されている10人の受刑者に対して、初めてメタドン代替薬物療法(*編集部注)を行った。

アクション・プラスはこの3年間に、アルバニアの首都ティラナで120人の薬物使用者に対して、メタドン代替薬物療法プログラムを行ってきた。こうした成果が実り、刑務所内でも代替療法を実施する必要性が認められるに至った。現在までに、刑務所スタッフへの治療薬の使用法やメタドン代替薬物療法のトレーニングを終えて、刑務所内での最初の患者への代替治療が始まっている。
現在、代替療法の実施数を増やすための交渉も進行中である。また、アクション・プラスは、新たに逮捕された薬物使用者で治療を必要とする者の施術を行うために、ティラナの警察署に緊急用メタドンを常備した。

将来的には、別のメタドン治療プログラムをスタートさせることが計画されている。さらにその先には、よりよい治療を提供できる最新設備を備えた、新しい治療センターをオープンさせるという計画も立てられている。
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中国:軟禁されたエイズ活動家が正義を求めて

 9歳の娘をエイズで亡くした母親のリー・シジェさん Li Xigeは、2006年7月から中国中央部の河南省の自宅で軟禁されている。リーさんは、血液売買の促進によってHIV感染を拡大させたにもかかわらず、その責任をとろうとしない政府に対して、女性の自助グループを組織して北京へと抗議に向かおうとしたところ、「群集を扇動して政府施設を襲撃しようとした」という罪で自宅に軟禁されることとなった。彼女は「当局は、私に黙っていて欲しいようだが、私にはそのようなつもりはない。当局は国民が亡くなり、HIV感染を流行させ、対策を何も行わなかった責任を取るべきである」と主張する。

1990年代に河南省では血液売買によってHIV感染が拡大したが、政府による無料の抗HIV薬の配布などにより状況は改善している。河南省の共産党幹部は「エイズ患者とその家族は十分な治療を受けたため生活状況は改善され、当局に感謝している」と昨年11月に地元紙で述べている。しかし、リーさんは薬は十分ではないと言い、仲間とともに「説明責任を十分に果たした」と言う役人をさらに追及する構えだ。
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南アフリカ共和国、新政策の制定でエイズとの闘いに新たな一歩を進む

南アフリカ政府は、2007年3月14日に、国内での新たなHIV陽性者数を半減させることを目指した5年間の計画を発表した。同国では、若年層の性行動の変容が進んでおらず、現在、世界で最もHIV感染率の高い国の一つとなっている。南アフリカ政府は、多くの人が自主的にHIVテストを受けたがらない要因となっている、スティグマや差別の問題に取り組むとしている。現在、HIV陽性者の80%に治療とケアを提供できるような治療体制の準備を進めているという。

2005年の統計では、南アフリカには554万人のHIV/AIDS感染者がおり、このうちの40%は女性の感染者であり、同国の成人感染率は19%にも達する。政府が新しく出した報告書は、「あまりにも多くの人がHIVに感染しており、現在もまだあまりに多くの人が感染しつつある。HIVが個人や家庭に与える影響は計り知れない。」との見解を示している。また、同報告書は、関係機関の調整不足や明確な目標と調査の欠如などにより、エイズが南アフリカの若者の主要な死亡原因となり、この7年の間に死亡率が79%も増加したと、述べている。

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エチオピア:都市菜園プロジェクト、HIVで苦しむ人々の支えに

エチオピアの12歳の少女ウォイニシェ・ウジュラさん Woinishe Wujuraは、エイズに苦しむ女性や子どもたちが運営する畑での作業に一生懸命である。HIV感染率が3.5%のエチオピアでは、2005年時点で、約132万人がHIV陽性者と推定され、そのうちの55%にあたる73万人が女性である。「Gordeme」と呼ばれるこの菜園は、2004年に始まったエチオピアの都市菜園プロジェクトの一つで、エチオピア内にいくつか点在し、合計約1万人の女性と子どもによって運営されている。

米国国際開発庁USAIDのセイヨム・ディジェネ博士Dr Seyoum Dejeneは「このプログラムはエチオピアのHIV/AIDS対策の中で最も成功しているものとなった。十分な栄養源はHIV/AIDSのケアのために不可欠な要素のひとつで、この菜園に参加する人々にとって、新鮮な野菜を確実に入手できる唯一の場所だ。」と語る。

エチオピアは慢性的に厳しい食糧事情にあり、国民の半数は一日を1ドル以下という、貧困ライン以下の生活を強いられている。HIVに感染している 32歳のシングルマザーのワルキネシュ・アリさんWarkinesh Aliは、「この菜園に来るまで私の家では野菜などほとんど食べられなかった。私達は、ここでの作業を通じて、より健康でいられるし、病気のことを忘れられる。」と話す。菜園に参加できるのは、彼女のように貧困に苦しむ女性や子どもである。面接を受けて選ばれると、一定の農地と道具が与えられ、基本的な農業訓練を受けることができる。実際に菜園では、赤レタスやレタス、フダンソウ、ケール、かぶ、ビート根、トウモロコシ、人参、ニンニク、玉ねぎ、じゃがいもなどが育てられている。
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アフリカに新たな試練:耐性結核と頭脳流出−各国は現状に合わせた支援を

アフリカでは、薬剤全般に耐性を持つ広範囲多剤耐性結核(Extensively drug-resistant tuberculosis:XDR-TB)の出現と、医療従事者がアフリカを離れ欧米へと移住していく「頭脳流出」が新たな問題として浮上している。

XDR-TBに感染すると、第一選択薬と第二選択薬の中の少なくとも二種類に対して耐性を持つため、既存の薬物療法での治療は事実上不可能である。HIV陽性者は、免疫機能が低下しているため、結核などの感染症にかかりやすい。通常であれば、結核は病院の処方による抗生物質を服用して治療することが可能であるが、XDR-TBではそうはいかない。薬への耐性があるかどうかを知らずにXDR-TBの治療に従来の治療薬を用いると、患者を死に至らしめる危険性もあるという。2004年には、世界で第一選択薬のうち2種類の薬剤に耐性を持つ結核への感染者が約40万人以上といわれていたが、現在では3種類の薬剤に耐性があるXDR-TBの感染者がすでに28カ国で見つかっている。

WHOのラビリオーネRaviglione医師は、アフリカでの結核の感染拡大を抑えるには、よりよい医療施設と基本的な医療処置が必要であると訴える。こうしたアフリカ諸国の需要を満たすとともに第二選択薬を供給してゆくには、1年度の予算を決めて資金配分をしていく世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)の資金援助では間に合わないため、米国連邦議会での3億ドルの緊急支援法案の成立が必要とされている。
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第67号(第3巻第16号) 2007年(平成19年)4月13日

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グローバル・エイズ・アップデイト
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第67号(第3巻第16号) 2007年(平成19年)4月13日
Vol.3-No.16 (No.67) Date: 13th Apirl , 2007

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