グローバル・エイズ・アップデート

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2007年06月

第72号(第3巻第21号) 2007年(平成19年)6月21日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第72号(第3巻第21号) 2007年(平成19年)6月21日
Vol.3-No. 21 (No. 72) Date: June 21, 2007

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フィリピンの隠されたHIV感染拡大

フィリピンのビサヤ諸島北部にあるカピス州Capizでは、州政府 によって「HIV/AIDSおよび性感染症予防対策協議会」が設置され、州内の市民間での感染拡大を防ぐために様々な活動を行っている。

カピス州議会議員のヴィンセンテ・ベルメホ Vincente Bermejo 氏は、「不治の病に対する行動宣言 the Declaration of Commitment against the deadly disease」 に基づき、国家の公約を達成するためにこの協議会設置の指揮を取った。また、協議会は様々な啓発普及活動を行ったり、エイズ対策計画を策定したり、これらの計画やプログラムがどの様に実施されているか、モニタリングおよび評価も実施している。5月20日に行われたエイズによる犠牲者のための追悼式では、カピス州民は、協議会を中心に、エイズで亡くなった人たちへの敬意を払うとともに感染者のための援助を実施した。

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中国:僻地の医療体制に遅れ

国際的なNGO団体であるプラン・インターナショナル Plan Internationalの中国事務局である、プラン・チャイナ Plan Chinaの責任者を務めるジェームズ・マレー氏 James Murrayによると、健康保険制度を拡大しようとする中央政府の努力にもかかわらず、中国では国民全体に保健医療へのアクセスが行き渡っていないという。僻地には人口の70%が住んでいるにもかかわらず、それらの地域に支出されている予算は、保健予算全体の20%である。

陝西省の北西部で保健医療のプログラムを行った経験から、僻地では治療だけでなく、予防的医療についても、もっと力を注ぐ必要があると、同氏は指摘している。この地域では、他の地域と同様に、1979年に開始された社会改革により保健制度は劇的な変化を遂げた。コミューンが解体し、人々は医療費を自分で負担しなければならなくなった。中央政府はこの問題を認識しており、僻地の80%をカバーする医療互助システムを作ることを約束した。この新しい仕組みの下では、人々は最初に400元(約52US$)を支払えば、医療サービスを受けることができる。しかし、この額は貧しい人々の支払能力を超えているという。

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韓国: HIV陽性者の死亡事例の3割が自殺という衝撃の事態が明らかに

韓国疾病管理・予防センター Korean Centers for Diseases Control and Prevention (KCDC) は、死亡したHIV陽性者の約3割において、死因が自殺によるものであったという衝撃的な事実を発表した。

KCDCによれば、2007年初頭までに通算で4,755人のHIV陽性事例があり、このうち864人がすでに死亡している。この死亡事例の中で、自殺によるものは258件である。さらに、自殺するHIV陽性者は、過去5年、増加の一途をたどり、2002年は18人、2005年は26人、そして昨年は33名となっている。

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韓国:人気テレビドラマはエイズへの偏見をなくせるか

韓国では最近、HIV陽性者の若い少女を取り上げたテレビドラマが人気を集めている。このテレビ番組は、「Thank You」というタイトルで今年3月に放送を開始以降、視聴率が順調に伸び18.5%に達している。番組は、5月にも引き続き放映されており、プロデューサーは番組の趣旨について「偏見や差別、ステレオタイプから引き起こされる暴力について描きたかった」と説明している。番組のホームページは、HIV/AIDSに関する実際の情報を掲載して、視聴者のHIV/AIDSに対する理解を促している。
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カーボ・ヴェルデ:観光がHIVの拡大を招く?

アフリカ大陸の西側、セネガルの沖合に位置する人口50万人の島嶼国、カーボ・ヴォルデ共和国には、白い砂浜や美しい火山の風景を求めて、世界各国から多くの観光客がやってくる。しかし、専門家は観光客の増加に伴いHIV/AIDS拡大の危険性が高まっていると指摘する。

アフリカ大陸の近隣諸国とは違い、この国のみのHIV感染率は人口の1%にも満たない。2005年の統計によると、国全体でのHIV新規感染者は223人で、主要な観光地であるサル島でのHIV陽性者人口は16人に留まっている。しかしながら、毎年約16万人もの観光客が訪れるこの島では、必然的にセックスワーカーや麻薬使用者による性的接触が増加しており、統計には現れない形でHIV蔓延の危険性が高まっているのだ。
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ルワンダ:女性への暴力に対処する国家警察と国連機関の連携

ルワンダの国家警察本部は、国連女性開発基金(UNIFEM)および国連開発計画(UNDP)の支援を受けて、「ジェンダーに基づく暴力対策局(ジェンダー・デスク)」 Gender Based Violence Desk Offices(GBV Offices)を設置した。これは、特別な訓練を受けた警察官たちが、「性とジェンダーに関わる暴力」SGBV-Sex and Gender-Based Violence」の被害を受けた女性たちの対応にあたるための機関である。大量虐殺や集団的な性暴力の記憶に苦しむルワンダで、人権保護の観点から、法的な執行力を高め、女性を守ろうとする画期的な取り組みである。地方警察当局では、女性への暴力排除に向けた地域社会への啓発活動も実施している。

ジェンダー・デスクは、2005年5月にUNFEMとUNDPが共同で支援する事業として開始された。同事業では、捜査官に対して、被害者の心のケアや保護のための訓練が実施されるとともに、事件に迅速に対応できるようにUNIFEMとUNDPからバイクが支給されている。さらに、女性への暴力の根本原因を訴えるキャンペーンの一環として、セミナーを開催したり、メディアを通じて啓発活動を行ったりしている。

ジェンダー・デスクは、ルワンダ国内に次第に浸透し、国内の暴行事件の減少と、ルワンダ国内でのデータの収集にも貢献している。2006年1月から2007年3月までに寄せられた通報は317件に上り、その多くは、家庭内での夫から妻への暴力について、隣近所の住民が通報したものだった。他にも、夫によるレイプ、言葉や心理的な暴力、財産権の侵害、養育権の剥奪など、通報の内容は多岐にわたる。2006年に1,777件のレイプ事件が起訴され、このうち803の件が有罪判決を受けた。ジェンダー・デスクは、これらの事件を調査し、法廷で有益な証拠となる情報を提供している。
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「開かれた社会」財団(Open Society Institute):レポート・脆弱なコミュニティのための司法確立を目指して

アフリカ東部のケニアでは、人権侵害によって、社会的に立場の弱い人々へのHIV感染が拡大している。人身売買、児童に対する性的虐待、家庭内暴力、強姦、早婚といった人権侵害は、HIV感染可能性を高め、コミュニティ内の感染拡大の度合いや生存にかかわる安全保障の状況を反映する「指標」にもなっているといえる。

こうした問題に取り組むため、「開かれた社会」財団(Open Society Institute, OSI)が、「脆弱なコミュニティへの正義の保障:ケニア」Ensuring Justice for Vulnerable Communities in Kenyaというレポートを発表した。ヘッジ・ファンドの著名な経営者として成功したジョージ・ソロス氏の財団であるOSIは、HIV/AIDSに関する市民社会のアドボカシー活動に積極的に資金を投入している。このレポートは、NGO代表、当事者であるHIV陽性者、法律専門家、政府関係者、海外の援助関係者などのインタビューによって構成されている。レポートは、社会的に脆弱性を抱えるコミュニティ内の法的サービスを通じ、当事者らの司法システムへのアクセスを確立することを目指して作成された。続きを読む

南アフリカ:慢性的な治療薬不足の原因は行政の予算不足

南アフリカ共和国の東ケープ州、カルー台地に位置するグラーフレイネ Graaff-Reinetは、観光地としての名声の一方で、HIV/AIDS治療院での抗レトロウィルス(ARVs)薬の支給が著しく遅れているため、多くの人が亡くなっているという。グラーフレイネの葬儀屋は、毎月約120人を埋葬しており、100人近い子どもが親を亡くしていると話す。

南アフリカ共和国政府のノジズウェ・マジャラ=ルートリッジ保健副大臣Nozizwe Madlala-Routledgeによると、直ちに治療を始めなければならないのに、治療薬の不足などで待機せざるを得ない人が全国で35000人に上るという。
ある患者は、「治療を受けるために、私自身もソーシャル・ワーカーに詳しく検査されたり、何度も面接や会議に参加させられた。それでも治療は受けられず、再度会議に参加するよう言われただけだった。」と語気を強めて話した。しかし、治療薬の待機者名簿から外されるのを恐れているためか、名前を明かさなかった。

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インド: 治療薬へのアクセスの遅れ

世界保健機関(WHO)と国連児童基金(UNICEF)、国連エイズ合同計画(UNAIDS)が公表した最近のレポートによると、抗レトロウイルス薬を必要とするインド国内のHIV陽性者のうち、実際に薬を受け取れているのはわずか15%であるという。つまり、HIVへの感染で免疫システムにダメージを受けている人のうちの、ほんの一握りの人しか治療薬を処方されていないことになる。母子感染の予防のために薬を受け取っている、HIV陽性の女性の割合はさらに低く、3%に過ぎない。

インド全土には570万人のHIV陽性者がいると推計されており、インドは世界で最大の感染者数を抱えている。しかし、先のレポートでは、他のHIV感染率の高い国に比して、インドでの治療薬の提供は遅れを取っていると報告されている。南アフリカでは、治療を必要としているHIV感染者のうちの32%の人が抗レトロウイルス薬を受け取っており、ケニアでは44%、ナイジェリアでは26%の感染者に薬を提供している。

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おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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