グローバル・エイズ・アップデート

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2007年09月

第78号(第4巻第2号) 2007年(平成19年)9月14日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第78号(第4巻第2号) 2007年(平成19年)9月14日
Vol.4-No. 2(No. 78) Date: September 14, 2007

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新薬紹介:セルゼントリー(マラビロック)ファイザー製薬

8月6日、米国食品医薬局(FDA)はファイザー製薬のエイズ新薬、セルゼントリー Selzentry (一般名:マラビロック maraviroc )錠剤を認可した。セルゼントリーは、白血球へのHIV侵入経路であるCCR5受容体(レセプター)を遮断する初の抗HIV薬であり、FDAが2003年に「フュジオン阻害剤」(皮下注射融合阻害剤:”fusion inhibitor" HIVがT細胞に入ることを阻害する薬)として、認可して以来の新薬となった。

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ネパールの拘置所から 不当に逮捕されるセックス・ワーカー

ネパールでセックス・ワーカーの逮捕が問題になっている。ネパールには売春を禁止する法律は存在しないにもかかわらず、セックス・ワーカーの逮捕は日常的に行われており、彼女たちはただ単に通りを歩いていただけで、「公序良俗違反」として収監されるのである。

セックス・ワーカーを逮捕し、収監した警察官の1人タパン・クマール・ダハル: Tapan Kumar Dahal氏は、「彼女たちは不道徳な行動をとり、周りの人々に迷惑を及ぼしていたため、逮捕した。警察の仕事は街の安全と衛生を保つことであって、売春婦たちの面倒をみることではない。」という。しかし、なにが公共の迷惑となり、街の安全と衛生を保つためには具体的にをなにをするかということは明確ではない。

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中国国内のエイズへの偏見をなくすために国連と政府などが商業メディア企業と協力

8月2日、北京において、国連や商業メディア企業、中国政府から75人の関係者が北京に集まり、「中国国内のエイズへの偏見をなくしていくために、官民のパートナーシップはどのように、革新的で持続的な対策を行えるのか」をテーマとして、真剣な議論が交わされた。この会議は国連開発計画 United Nations Development Programme(UNDP)、国連教育科学文化機関 United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization(UNESCO)、国連児童基金 United Nations Children’s Fund(UNICEF)、国連合同エイズ計画 United Nations Joint Programme on HIV/AIDS(UNAIDS)の共同主催で、中国全国人口家族計画協会 National Population and Family Planning Commission(NPFPC)とMTVチャイナ、アーロン・ダイヤモンド・エイズ研究センターの協賛によって開催されたものである。
 
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アフリカ:HIV感染率の低下は予防が成功したためとは限らない

国連合同エイズ計画(UNAIDS)の推計によると、近年、とくに東部アフリカ地域などで、HIV陽性者人口や陽性率の低下が見られるようになっている。これについて、アフリカ諸国の政府や国際援助機関の関係者は、自分たちの予防介入が成功しているため同地域におけるHIV感染が弱まってきていると言う。しかし、HIV感染率の裏に隠れている事情は不明瞭である。HIV感染拡大から25年間で、各地域の疫学的動向を把握することはできたが、疫学の専門家たちは「誰もサハラ以南のアフリカの感染が深刻である本当の理由を知らず、それを知らずに感染率の増減を説明することは難しい」と述べる。

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保健上の悪影響が懸念される東部・南部アフリカ諸国と欧州連合の経済連携協定締結

現在、東部・南部アフリカ諸国と欧州連合(EU)との間での経済連携協定(EPA)の締結が検討されている。このEPA締結が与える公衆保健上の影響について、南部アフリカ地域貧困ネットワーク(SARPN)が以下のような分析を行っている。

経済連携協定(EPA)は、EUと、かつて欧州諸国の植民地であったアフリカ・カリブ海・太平洋諸国(ACP)の77カ国との間で2000年6月に締結されたコトヌー協定(CPA: Cotonou Partnership Agreement)に基づいて導入されようとしている。コトヌー協定は、2020年までの20年間の有効期間を持つ。EPAの締結は、これまでEUとACP諸国の間でとられてきた優遇的な関税措置が、WTOの規定する「無差別原則」に反するとみなされたことを受け、東部・南部アフリカ諸国について、コトヌー協定を、互恵的自由貿易協定へと移行するものである。従来の特恵的関税規則は2007年12月末日まで有効とされ、以降はEPAに置き換えられる。EPAの締結に向けての交渉は2002年から開始された。

EPAは、開発問題、市場アクセス、農業、漁業、サービス、および貿易関連事項という6つの分野を扱う。加えて、EPAには、相互協力の制度や枠組み、紛争解決にかかる条項も含まれている。

○EPAの保健分野への影響
 EPAは貿易や投資などの経済的側面が多く取り上げられるが、保健分野への影響も懸念されている。EPAの締結によって、EUからESA諸国(東部・南部アフリカ諸国)への輸入について、ESA諸国がかけていた関税が引き下げられるため、関税収入が激減し、ESA諸国の歳入が約4億7,300万ドル減少するとも言われている。歳入の減少は保健などの公共サービスを圧迫することとなる。アフリカ諸国では、国家予算の15%を保健分野に充てるとしたアブジャ宣言などの、保健分野により重点を置くための政策目標が掲げられているが、EPAを締結すると、ESA諸国の政府収入が減少し、これらの実現が遠のくことになりかねない。

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モーリシャス政府がHIV陽性の外国人の国内在留と結婚を容認

アフリカ東海岸沖にある島国、モーリシャス共和国政府は、8月11日朝、首都ポートルイスで、 HIV陽性の外国人を強制送還する規定を含む市民法the Civil Status Act と移民法 the Immigration Actについて、この適用を停止し、HIV陽性の外国人に、モーリシャスへの在留とモーリシャス人との結婚を許可することを決定したとの声明を発表した。この声明にはナヴィン・チャンドラ・ラングーラム首相Navin Chandra Ramgoolam が自ら署名を行った。

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ナイジェリア:女性向けのHIV/AIDSネットワーク形成が進行中

ナイジェリアでは、全国のHIV/AIDS行政に携わる「国家エイズ管理機関」 National Agency for the Control of AIDS(NACA)による「ナイジェリアHIV/AIDS女性連合」 Coalition of Women on HIV/AIDS in Nigeria (COWHAN)の結成が、HIV感染拡大の波を止める重要な戦略として急務となっている。

HIV感染の拡大に関して、女性が男性よりも強く影響を受ける傾向にあることは、データが証明している。最近の統計によれば、2005年のナイジェリア国内のHIV陽性者率は4.4%で、以前と比べて減少傾向にあるものの、うち女性の割合は50%を超える。その原因として、女性の社会的または経済的な立場の弱さが指摘されている。

現在、ナイジェリアでは女性たちが団体を組織して、ジェンダー問題や、家庭内暴力、財産権や相続権の不平等、といった社会的問題の解決に取り組む動きが目立っている。こうした問題は、女性に対するHIV/AIDS啓発活動にも役立ちそうだが、これらの団体の活動は、横のネットワークが形成されていないため、現時点ではうまく連携ができていない。統一されれば、HIV/AIDS対策に目覚ましい効果を挙げるだろうと推測される。

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ケニア:市民社会がHIV/AIDS法の早期施行を求める

ケニアでは2006年12月にHIV/AIDS予防・管理法 HIV/AIDS Prevention and Control Actが公布されたものの、8ヶ月経った現在も施行されていない。NGOやHIV/AIDS活動家から、一日も早い施行を求める声が高まっている。

この法律は、HIV/AIDSに関する保健サービスを受ける権利や守秘義務が守られる権利、研究・開発の促進、同法律への違反事案について審理するエイズ法廷の設置にいたるまで幅広く規定している。一方、この法律では「故意に、かつ無責任に」他者をHIV感染の可能性にさらすことを犯罪化し、7700米ドルの罰金、もしくは7年の禁固刑を定めている。

8月17日にケニアの首都ナイロビで開かれたフォーラムにおいて、ケニアエイズNGO連合 Kenya AIDS NGOs Consortiumの事務局長アラン・ラギ Allan Ragiは、「(同法が)未だに施行されていない以上、私たちはその実現に向けて行動を起こすつもりです。」と話した。

同法の第一項は、保健省大臣が承認した日に法律が施行されると規定している。同法の規定の趣旨が実際に機能している部分もあるが、法的な拘束力はない。

ケニア国家人権委員会 Kenya National Commission on Human Rightsの委員であるウィンフレッド・リチュマ氏 Winfred Lichumaは、「この法律は、法的な問題、人権そしてHIVの政策を盛り込んでいて評価できる法律だと思う。ただ、施行されなければ意味がない。」と話した。

リチュマ氏は、施行されていないための不都合の例として、現在ナイロビで審理中の裁判を挙げた。その裁判では、従業員がHIV感染を理由に雇用主から差別を受けたとして訴えを起こしている。「もしガイドラインが整い、法律が施行されていれば、この裁判はもっと簡単に片がつくはず」、とリチュマは期待をこめる。

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第77号(第4巻第1号) 2007年(平成19年)9月1日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第77号(第4巻第1号) 2007年(平成19年)9月1日
Vol.4-No. 1(No. 77) Date: September 1, 2007

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