グローバル・エイズ・アップデート

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2007年11月

第83号(第4巻第7号) 2007年(平成19年)11月23日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第83号(第4巻第7号) 2007年(平成19年)11月23日
Vol.4-No. 7(No. 83) Date: November 23, 2007

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UNAIDS:事務局長が子どもたちや若者のHIV感染に注目

国連合同エイズ計画Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS)のピーター・ピオット事務局長Peter Piotは、9月30日、アメリカ合衆国東部のボストンにあるハーバード医学学校での会合において、性的虐待や近親相姦、若年期の性行為を通じた子どものHIV感染対策を実施するよう主張した。ピオット氏は多くのプログラムがHIV陽性の妊娠女性および若年層を対象としており、現在も増加傾向にあると述べた。しかし、ピオット氏は「実は若年層の感染は母子感染よりもずっと多いのに、この事実が無視され、覆い隠されてさえいる。」と指摘している。
ピオット氏は、最近のHIV/AIDSについて、「女性化が進んでいる。」と表現したが、実際に、女性は現在HIV感染者の約半数を占め、全世界では48%、アフリカでは60%を占めている。 女性は教育や財産権、性関係において性的な不平等があるために、虐待をうけたり望まないセックスに従事したりする傾向にある。

UNAIDSは「女性とエイズ世界連合」Global Coalition on Women and AIDSと協力して十分な教育、財産権の確保、暴力の阻止などを含む女性の権利を保護する政策や法律を成立するよう、各国の指導者たちに呼びかけている。

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HIV陽性の女性には、集中的な産後ヘルスケアが重要

10月1日付のエイズ専門誌「エイズ・ジャーナル」誌Journal of Acquired Immune Deficiency Syndromes(JAIDS)に掲載された研究発表によると、HIV陽性の女性は、出産後の2年間に様々な感染症にかかる可能性が高いということが明らかになった。

全世界のHIV感染者のうち60%が女性で占められているにも関わらず、女性特有のHIV問題についての研究が、今までほとんど行われていなかった。今回の研究は、出産可能な年代の女性がHIVの影響を強く受けているサブサハラ・アフリカ地域で、HIV陽性女性がかかる疾患のパターンを調査することにより、より効果的な母性保健maternal healthの改善策を模索する目的で行われた。

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ドイツ:「債務を保健へ」Debt2Healthイニシアティブ、最初のケースが実現

9月25日、ドイツ政府はインドネシア政府との間で、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(世界基金)が提唱する新たな資金メカニズムである「債務を保健へ」Debt2Healthイニシアティブの実施に合意した。これは、世界の三大感染症であるエイズ、結核、マラリアとの戦いに新たな道を切り拓くことになりそうだ。

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インド: ラージャスターン州で、HIV陽性の女性の親権を認めない判決

9月28日、インド北西部 ラージャスターン州 Rajasthan ジャイプール裁判所 Jaipur はあるHIV陽性者の女性に対して、自分の8歳の娘に対する親権拒絶する判決を下した。

インドの人権団体「市民的権利のための人民連合」the People’s Union for Civil Liberties(PUCL)のラージャスターン州代表カヴィタ・スリヴァスタヴ氏 Kavita Srivastav によると、この女性は、1990年代後半、ラージャスターン出身の兵士と結婚をした。この兵士はHIV陽性であったが、彼女はそれと知らずに結婚したという。彼女の夫は、4年前に亡くなった。

その後、夫の家族が、彼女と娘に対し差別や暴行、虐待をしたため、彼女は実家に戻り、ラージャスターン州都ジャイプール裁判所に娘の親権を求め、訴訟を起こした。しかし、裁判官は、彼女がHIV陽性であるため、娘の世話ができないという理由で、原告の主張を棄却した。これに対して、PUCLは判決の差し止めを求めてじゃ異プールの上訴裁判所に上訴した。上訴裁判所は下級審の判決の執行を差し止め、口頭弁論を開始することに同意した。

原題:Indian Court Denies HIV-positive Woman Custody of Daughter
日付:29 September 2007
出典:advocate.com ウェブサイト
URL:http://www.advocate.com/news_detail_ektid49447.asp

ニュージーランド:マオリ人政党「白人ゲイだけでなく我々にも適切なエイズ対策を」

マオリ人はニュージーランドの人口のおよそ14%を占める先住民族であるが、最近マオリ人の間でHIV感染が急激に拡大している。

ニュージーランド・エイズ疫学グループthe New Zealand AIDS Epidemiology Groupの調査結果によれば、2007年前半には、ニュージーランドのHIV新規感染数にしめるマオリ人の割合が、前年の6.4%から11.4%へと急上昇した。ニュージーランド議会でマオリ人を代表している「マオリ党」 The Maori Partyの保健問題担当であるタリアナ・トゥリア氏Tariana Turiaは、マオリ人に対するHIV対策が白人のゲイなどへの対策と比べ、不十分であると主張している。

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スワジランド:地方のクリニックがHIV陽性者のライフライン

南部アフリカの小国スワジランドでは、UNAIDSの統計によると、成人の3人に1人がHIVに感染しており、世界でもHIV感染率が最も高い国の1つである。

こうした状況の中で、地方のクリニックがHIV陽性者のケア・診療に大きな役割を担っている。スワジランドの商業の中心都市マンジニから北へ20分のところにある、シゴンベニ・クリニックSigombeni Clinicである。ここは赤十字社が経営母体となり、11名の看護師が、プライマリー・ヘルスケアや子どものケア、家族計画、そしてHIV/AIDSプログラムを行っている。さらに毎週火曜日には、専門医が首都の国立病院などから診察に来ている。

多くのスワジランド人はHIV検査を受けたことがないが、このクリニックではHIV検査だけではなく、治療が受けられる。実際に多くの陽性者が回復していることが評判を呼び、この10年で、HIV/AIDS陽性で通院する人の数は他のどの病気の患者数よりも多くなるほどに増えたという。現在1日にクリニックへ通院する患者のうち、およそ20人がごく一般的な病気であるのに対し、HIV/AIDS陽性者は約40人である。

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ウガンダ:政府がエイズ治療薬の製造を開始

10月8日、ウガンダ共和国のヨウェリ・ムセベニ大統領 Yoweri Museveniは、抗レトロウィルス薬(ARV)の3剤併用薬を製造する工場の操業を承認した。これまで、南アフリカにもARV薬の生産工場があったが、多剤併用薬を製造する工場は、アフリカではこれが初めてである。

この新工場は、ウガンダのクオリティ化学工業Quality Chemical Industries (QCI)とインドの製薬会社シプラCiplaとの共同事業で建設された。工場ではラミブジン、スタブジン、ネビラピンの三剤混合薬であるトリオミューン Triomuneが製造される予定である。現在、ウガンダでARV治療 を受けている8万人のうち4分の3がトリオミューンを服用している。

今回の工場設立は、インドの特許法改定によりARV薬のジェネリック薬の輸出が不可能になる可能性があるため、ウガンダにおけるARV薬の流通を守る必要があることから実現した。

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第82号(第4巻第6号) 2007年(平成19年)11月7日

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グローバル・エイズ・アップデイト
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第82号(第4巻第6号) 2007年(平成19年)11月7日
Vol.4-No. 6(No. 82) Date: November 7, 2007

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メルク社のエイズ・ワクチン臨床試験の中止

米国の大手製薬企業であるメルク社は、9月21日に、開発中のエイズワクチンに予防効果がない上に、治験中に感染した治験ボランティアの症状を和らげる効果がないため、臨床試験を中止したと発表した。本ワクチンは現段階の臨床試験まで進んだ最初の新ワクチンであり、最も有望視されていたことから、メルク社の副社長マーク・D・フェインバーグ博士 Dr. Mark D. Feinberg らは試験の失敗に落胆している。しかし、共同研究者である、米国の国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・S・ファウシ博士 Dr. Anthony S. Fauci は結論づけるにはまだ早いと述べている。

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