グローバル・エイズ・アップデート

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2008年05月

米国のエイズ援助500億ドルに増加=市民社会の評価は?

米国下院は対エイズ予算の27%増額、総額500億ドルの拠出を承認決議した。今年7月に開催されるG8サミットの際、他国のさらなる援助を喚起するためにも、上院での早期の承認が望まれる。

米国政府が当初打ち出したHIV/AIDS対策に関する支援額は既に年間60億ドル、5年間で300億ドルに達するものであった。しかしながら、今後も援助がこの水準に留まることは、米国の支持する、「2010年までのHIV/AIDS治療・ケア・予防のための普遍的アクセスの実現」という国際目標の達成を困難にするということが指摘されていた。今回、下院で承認された総額500億ドルのうち、130億ドルはマラリアや結核の予防策にも使われるなど、包括的なアプローチに力が入れられる予定である。エイズ対策が複合的な要素をはらんでいる以上、個別に対処するよりも明らかに早く結果が得られるだろう。この包括的アプローチの最も重要な一例が、医師や医療スタッフの育成である。訓練された医者や医療スタッフが充実することで、アフリカ諸国は今後の援助をさらに有効活用できるようになるはずだ。

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中国:政府当局が非合法な売血の実体を公表

2008年4月2日、中華人民共和国政府は、中国南部の広東省広州で地方政府機関が非合法売血に関与していたことを明らかにした。中国では、保健省副大臣 マー・シャオウェイMa Xiaoweiが、血液収集法 collection regulations の違反を理由に、血液を備蓄する「血液銀行」を、2007年中に、4,915ヶ所閉鎖したと、その前の週に発表したばかりであった。今回の発表では、広州市内の血液銀行で働く警備員が、その売血計画に関与した疑いで解雇された。警備員は、血液を必要とする人と非合法売血組織との仲介していた。彼らは、輸血が必要な人々へ、血小板を売りつけていた。

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中国:2007年度HIV陽性者数推計、2006年比で45%増

中華人民共和国保健省は2008年2月22日、2007年のHIV陽性者数は、2006年と比較して45%増加したと発表した。政府は、2007年11月時点で中国国内のHIV陽性者数は70万人と発表した。これは、以前に発表していた65万人より上方修正をした結果となる。2月25日、中国当局は、2007年末までに報告されたHIV陽性者数は223,501人と発表しているが、実際はさらに多くのHIV陽性者がいると推定している計算になる。

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 タイの市民社会、政府の「第2次麻薬戦争」に反対の声明

タイでは、政府の麻薬政策?に対し、不安の声があがっている。発端となったのは、内務大臣のチャレム氏 Chalerm が、「前政権の麻薬政策を再び行う」と発言をしたためである。タイは、タクシン・チナワット元首相の下で2003年から行われた「麻薬戦争」と呼ばれる強硬な政策下で薬物売人とされた2,800人以上が司法権管轄外で殺害され、国内外から厳しい非難を受けていた。

今年2月にタイ国内外のNGOが集まったNGO月例フォーラムでは、市民社会の代表が政府に対して、タクシン政権のような強硬策を自制し、世界で実績のある麻薬患者をも包括した対策の実施を求めた。もし、また過去のような強硬策が再び打ち出されれば、薬物使用者たちは社会のさらなる暗部へと追いやられ、彼らが必要とするサービスへのアクセスも今以上に困難になるのは確実である。薬物使用者へのエイズ対策も不十分となり、彼らの中でHIV感染はさらに拡大することになるだろう。そうなれば薬物取締という名のもと再び多くの命が奪われる結果になりかねない。

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ウガンダ:抗ウイルス薬の独自生産を開始

ウガンダで、初めて国内生産された抗レトロウイルス薬(ARV)が6月に同国保健省に提供される予定だ。この薬の生産によってARVの価格は年間15ドルから9ドルに、さらには2ドルに下がる見込みである。

これらの薬は、ウガンダのクオリティー・ケミカル・インダストリーズ Quality Chemical Industries LTD (QCIL)社とインドのジェネリック専門の製薬会社シプラ Cipla 社が、3000万米ドルの費用をかけて、ウガンダの首都カンパラに設立した工場において生産された。QCILは1997年に設立されたウガンダの製薬会社であり、シプラ社もアフリカの20ヶ国以上で広く知られた大手企業である。カンパラにあるこの工場は、昨年10月に建設が始まり、主にARVと抗マラリア薬を生産している。約300人を直接雇用、2,000人を間接雇用し、年間3,500億ドルの利益が見込まれている。

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アフリカ:スティグマと闘う「私をみて」キャンペーン

時には、ハウス音楽。夕食やお酒。時には、映画やはじめてのデートについて。そしてたまにはHIVのことも考えよう…。アメリカの団体「国際希望の声」 Hope’s Voice Internationalが、HIV感染予防を訴える「Does HIV look like me?(HIVは私のように見えますか?)」キャンペーンをカンボジア、南アフリカ共和国、スワジランドなどの国々で開始した。このキャンペーンは、若いHIV陽性者の顔を広告媒体に使うことにより、人々の間でエイズ問題をもっと身近に捉え、スティグマや偏見を減らそうという狙いだ。
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ケニア:政府がHIV感染予防のための男子割礼に取り組む

2008年4月、ケニア政府はHIV感染予防プログラムの一環として、男子亀頭包皮切除(男子割礼) male circumcisionに取り組み始めた。これは2006年に南アフリカ共和国とケニア、ウガンダの3ヶ国で実施された、ランダム化比較対照試験の結果を受けたものである。試験では、割礼によって男性のHIV感染が半数以上減少するという結果が得られた。

新政策では、男性を対象とした亀頭包皮切除が、文化上・安全上最適な方法で年齢に関係なく行われるという。この政策による国内の医療施設の強化も期待されているが、ケニア国家エイズ対策委員会 National AIDS Control Council(NACC) 広報部長のピーター・ムーティ Peter Mutie によれば、この取り組みには既存の医療施設を使用し、2008年半ばまでに着手したいという。

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チャド:生命を脅かすのはHIV/AIDSだけではない

チャド共和国は、中央アフリカ共和国の北に位置するアフリカ中北部の国である。この国の南部に位置するダナマジ地域 Danamadji で、HIV陽性者が病院に行くなら、牛車を利用するしかない。しかしそれでは、病院に到着するまで1日半かかるうえ、途中で象に襲われる危険と隣り合わせである。

HIV陽性者支援の輪は、政府や支援者のサポートにより、次第に拡大している。しかし130万平方キロメートルもの広さを持つチャドでは、遠隔地に住む人々の多くは、いまだその恩恵を受けられていない。

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おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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