グローバル・エイズ・アップデート

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2008年12月

2008年12月12日

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第110号(第5巻第9号) 2008年(平成20年)12月12日
Vol.5-No9 (No.110) Date: December 12, 2008

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ウガンダ:オバマ政権の資金援助を受けられるか

アメリカ次期大統領のバラク・オバマ氏は、アフリカ諸国に対するアメリカのエイズ資金を徐々に増加させる意向を示している。HIV/AIDS対策の資金について、オバマ氏は2013年までにUS500億ドルを割り当てることを誓約している。詳細はまだ発表されていないものの、ウガンダはこれまでアメリカのエイズ対策資金の主要な受益者だった。

オバマ氏が、ブッシュ政権の指針をひきつがないものとみられ、資金を処女性の推奨や婚姻の貞節に限定することはないとみられている。彼の選挙キャンペーン用ウェブサイトに掲載されている5ページにわたる文書によると、イデオロギーに関わりなく、HIVの拡大を防ぐことのできるプログラムを支援するとのことである。また、この資金はより多くのHIV陽性者に対する無料の治療や孤児のケア、保健員のトレーニング、病院施設の改善などにも使用される。
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ケニア: ナイロビ スラムの酒場でHIV教育

ケニアの首都ナイロビにあるスラム・コロゴショ地区 Korogocho は、ナイロビでも最も大きなスラムの1つで、1km四方に12万人もの人々が暮らしている。ナイロビ全体の人口は約300万人だが、その半分以上はスラム暮らしだ。最近の調査結果によると、こうしたスラムに住む5歳以上の子どもの病気の中で、HIV/AIDSと結核が死因の約半数を占めており、また、ケニア全体のHIV感染率が7.8%であるのに対し、コロゴチョ地区では14%に昇っている。

ここでは夫を失ったHIV陽性の女性たちのグループが、常連客に向かってHIVのレクチャーをしている。自身の経験に基づきかつ客の気持ちも汲みながら、どうしたらHIVに感染しないですむかを話しているのである。大方は酔っ払って気にも留めていないが、ちゃんと聞いている人もいる。

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南アフリカ:エイズ治療プログラム開始の遅れが数十万死亡例の原因

エイズ・ジャーナルThe Journal of Acquired Immune Deficiency Syndrome(JAIDS)11月号で、アメリカ・ハーバード公衆衛生大学院の研究者らは、2000〜2005年の南アフリカ共和国における330,000件以上ものHIV陽性者死亡例の直接的な原因が、政府の治療プログラム展開の遅延にあったとする推計結果を発表した。今回のデータは、抗レトロウイルス薬治療(ARV)によってどれほどの人数が恩恵を受けられるかという国連エイズ計画(UNAIDS)やWHOの推計と、実際の治療あるいはHIVの母子感染予防(PMTCT)目的でARVを受けた人数とを比較して計算されている。

南アの隣国ボツワナおよびナミビアでも、南アと同様にHIV感染が広がり資源は限られているが、南アで前大統領ターボ・ムベキ氏Thabo Mbeki がHIVとAIDSの関係性を疑問視し、当時の保健相マント・シャバララ=ムシマン氏 Manto Tshabalala-Msimang がARVを「毒」と述べていた頃から、これらの国ではPMTCTやARV治療プログラムを開始し、5年間で治療プログラムを展開することに成功している。今回の発表では、南アが本来、「無理なく実現可能」であったプランにはるかに及ばなかったと結論付けている。
(2005年、PMTCTプログラムの普及率:ボツワナ・ナミビア70%、南ア30%、ARV治療プログラムの普及率:ボツワナ85%、ナミビア71%、南ア23%)
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ナイジェリアで無料HIV感染検査が始まる

11月4日、ナイジェリアのナサラワ州 Nasarawa Stateで500人以上の若者が無料のHIV/AIDS検査を無料で受けた。この特別プログラムは連邦青少年育成省、ミレニアム開発目標(MDG)に関する大統領特別補佐局(OSSAP)、そして「青少年行動協約」Adolescent Action Pact というNGOによって実施された。続きを読む

中国:獄中のエイズ活動家に欧州人権賞

中国における民主化と人権運動の活動家である胡佳 Hu Jia 氏が、ヨーロッパの最も名誉ある、人権確立のための貢献者に贈られる「サハロフ賞」を受賞した。胡氏は中国における人権問題全般のリーダーである一方、エイズ問題や、環境保全についても活動を行ってきた人物である。欧州議会議長のハンス−ガート・ポーテリング Hans-Gert Pöttering 氏は、「胡佳氏は中華人民共和国において人権のために本当の意味で闘っている人物の一人だ。」と話す。続きを読む

中国:少数民族へのアプローチ〜アジア開発銀行が出資したプロジェクト成果

中国民族経済協会 The China Association of Ethnic Economy (CAEE:中国名=中国少数民族经济研究会)は、国内の山岳地帯に住む少数民族を対象にしたエイズ対策プログラムを実施している。本プログラムは2年間の予定で実施され、先日その折り返し点を迎えた。

本プログラムは、アジア開発銀行により資金拠出され、3つのNGOが主導している。CAEEは草の根レベルで活動をしている3団体と協力をしており、中国北西部 甘肃省 Gansu および青海省 Qinghai の山岳地帯に住むチベット族、モンゴル族、フイ族、チアン族を対象にしている。彼らはエイズに関する知識がほとんどないことから、薬物使用、危険な輸血、貧困によりエイズの影響を最も受けやすい人々である。CAEEはキャンペーンの一部として、ポスターとリーフレットを制作、方言を含めた現地語で作られた。これまで、13,400枚のポスターおよび13,000枚のリーフレットがチベット語、モンゴル語、中国語で完成した。
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市民社会の運動が保健システム強化にもたらす意味

2008年10月16日から20日までの5日間、フランスの首都パリにて、「第39回世界労働組合会議 The 39th Union World Conference」が開催され、「保健システム強化(HSS)の重要性」がテーマで行われた。HSSは、結核やエイズなどの問題が指摘されている、公衆衛生の改善が望まれる国において必要不可欠な話題である。しかし、16日、同会議内で開催された「ストップ結核シンポジウム」で、米国に拠点を置く結核・HIV/AIDS問題に関する国際的アドボカシーグループ「治療行動グループ」Treatment Action Group スー・ペレス氏 Sue Perezは、「HSSによって、今までの結核・エイズ対策活動が台無しにならないよう注意する必要がある。たとえば、今まで配分されてきた結核に対する資金が、HSSにシフトするだけでは意味がないのである。HSSが結核対策にどの様な効果をもたらし、また他に何を考慮すべきなのか。」とし指摘し、市民社会が計画段階から介入する必要性を強調した。続きを読む
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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