グローバル・エイズ・アップデート

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2018年11月

第350号(第19巻第3号)2018年(平成30年)11月17日

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グローバル・エイズ・アップデート
GLOBAL AIDS UPDATE
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第350号(第19巻第3号)2018年(平成30年)11月17日
No.350(Vol.19-No.3) Date:2018/11/17
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★「第350号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・(スイス)グローバルファンド2018年成果報告書、命を救われた人の数が増加
・(スイス)ジョンソン&ジョンソンは結核薬ベダキリンの貧困層へのアクセスを保証すべき

●アフリカの地域別記事
・(ジンバブウェ)「エイズ終息」への取り組み、世界から認知される
・(ルワンダ)キガリ市、今後5年間でHIV感染者を減らす

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◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
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(スイス)グローバルファンド2018年成果報告書、命を救われた人の数が増加

【2018年9月17日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症に資金を供給する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の2018年成果報告書によると、2017年末時点で、グローバルファンドのパートナーシップは、支援した保健プログラムによって2,700万人の命を救った。同報告書においてグローバルファンドは、HIVの母子感染を防ぐために69万6千人の妊婦が投薬を受け、7,910万件のHIV検査が行われたと報告した。また、2017年のグローバルファンドによる投資の27%が保健システムの強化に使用されたことも明らかにした。

報告書と同じ日にオンラインで公開された方法に関する別のノートで、グローバルファンドは、「各国が挙げた成果について、グローバルファンドのおかげだなどとは言わない」と述べた。 パートナーと合意したように、グローバルファンドは国際的な資金提供者の触媒効果を認めている。成果への貢献を明確に把握するために、グローバルファンドが投資する国の資金調達状況について、より詳細なデータを収集し、報告している。

以下は、2018年報告書のハイライトである。
 エイズの死亡者数は2000年と比較して半減している。その期間にマラリアの死亡率は60%低下した。結核死亡者数は2005年以来37%減少している。
 グローバルファンドは、HIVに対する国際的な資金の20%を、結核に対しては65%、マラリアに対しては57%を拠出している。
 多くの国で新規HIV感染は、鍵となる人口集団や青年、若い女性の間で極めて高いままである。現在の状況では、2020年までに世界で新規感染を50万人に減らすという目標に達することはない。
 グローバルファンドは2017〜2019年にキーとなる人口集団への予防介入の割当を前年度比で約30%増加させた。

また同報告書の中で、HIV、TBおよびマラリアの流行を終息させるため、保健医療システムへの投資を増加させ官民パートナーシップモデルを推進するなどの解決策のいくつかを説明している。

グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長 Peter Sandsは、同報告書の発表時「この報告書の数字は、我々がどれほどのことを成し遂げたか示している。 にもかかわらず、我々はまだHIV、結核、マラリアからコミュニティを解放する見通しをまだしっかりと把握していない」と述べた。

原題:Results for the Global Fund Partnership in 2017 Reveal Large Increases in Lives Saved and People Treated for HIV, TB and Malaria
出典 :aidspan
日付:2018年9月17日
URL: http://www.aidspan.org/node/4724

(スイス)ジョンソン&ジョンソンは結核薬ベダキリンの貧困層へのアクセスを保証すべき

【2018年9月17日ジュネーブ発】国境なき医師団 MEDECINE SANS FRONTIERES : MSF は、大手の開発系製薬企業「ジョンソン&ジョンソン」(J&J)に対し、抗結核薬ベタキリン Bedaquiline について、MSFが展開する臨床試験への供与、超多剤耐性結核患者への重点的な利用、MSF事業の多剤耐性結核への恒常的な活用を呼び掛けてきた。今回、MSFはJ&Jに対し、すべての国がベタキリンを使用し世界規模で多剤耐性結核へ対処できるよう、患者が購入可能な金額で持続的に供給するよう要請した。

ベタキリンは近年開発された新しい抗結核薬の一つで、J&Jが製品化し、同社が知的財産権を保有している。2013年にWHOによって多剤耐性結核治療への使用が認められ、今年8月にはこれまでに使用実績をもとにベタキリンが多剤耐性結核治療における主要治療薬として使用できるようWHO治療ガイドラインが改正された。これにより、ベタキリンを適用できる患者数が大幅に増加することになったため、国家結核プログラムにおいてベタキリン使用を拡大する方向となる。現在、ベタキリンを使用できる患者は全世界で25,000名のみであるが、現在進行中の研究では短期間の利用でも大きな効果があることが実証されつつある。しかし、一方で結核高蔓延国の患者におけるベタキリンの使用はJ&Jと米国国際開発庁USAIDの寄付プログラムまたはJ&Jと関連パートナーによる価格交渉に左右されており、現状では非常に高額な治療薬となっている。

ベタキリンは成人向け多剤耐性結核治療薬の1つとして2012年に米国食品医薬局 Food and Drug Administration : FDA、2013年に欧州医薬局 European Medicines Agency : EMA によって承認された。いずれもさらなる治験・承認が必要な状態での承認であったが、約半世紀を経て承認された新しい結核薬であったため、これまで治療が難しかった結核への治療に希望を持たせるものであった。そのため、さらなる臨床治験を推進するには多額の費用が必要であり、MSFを含め多くの団体がベタキリン開発に資金提供してきた。ところが、J&Jは、ベタキリンのための熱帯病優先レビューバウチャー(対象となる熱帯病の新薬承認を取得することで自社の他の新薬の承認申請時における優先審査を保証する制度 Priority Review Voucher : PRV によって多額の利益を得ていながら、薬の購入価格を下げようとはせず薬を必要としている人のベタキリンへのアクセスを妨げている状態が続いている。

そこで、MSFはJ&Jに以下のことを要求したい。第1に各国でベタキリンが主要多剤耐性結核治療薬として登録できるよう働きかけてもらいたい。その上で、ベタキリンの価格を下げて、各製薬企業が特許権に関係なくベタキリンを供給できる包括的なライセンスを発行してほしい。そうすることにより1企業が治療薬を独占的に使用することもなくなりより多くの人々による治療薬へのアクセスが可能となる。

最後に、治療薬の中断などによる薬剤耐性を減らすためにも薬局などが6か月を超えてベタキリンを供給できるような体制を提供してほしい。

原題:Open Letter to J&J Regarding Affordable Access to Bedaquiline
出典:Medecine Sans Frontiers
日付:2018/9/17
URL:https://www.doctorswithoutborders.org/sites/default/files/2018-09/MSF_Letter_to_JJ_17Sept2018.pdf

(ジンバブウェ)「エイズ終息」への取り組み、世界から認知される

【2018年9月19日ハラレ(ジンバブウェ)発】国際保健への投資で有名な世界最大の財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と米国のワシントン大学保健統計・評価研究所 Institute for Health Metrics and Evaluation が発表した報告書「ゴールキーパーズ:データの背景にあるストーリー2018」によれば、南部アフリカの内陸国の一つであるジンバブウェは、これから5年間で現在のHIVへの取り組みの努力の拡大と新たな予防方法を組み合わせれば、今後10年以内に、15歳から29歳までの新規HIV感染を現在の3分の1に減らすことができるという。

ジンバブウェは子ども・若者の人口が多く、この人口を健康に保てれば、同国は飛躍的な経済成長が期待できる。ジンバブウェの人口の半分以上が25歳以下だが、この人口の大部分は、25歳になるまでに新たにHIVに感染する可能性を持つ。

HIVへの介入は3つのステージがある。検査によって人々は自分のHIV感染の有無を知ることができる。HIV陽性と判定された人々はどう治療につながるか。そして、治療が成功してウイルス量を検出可能値以下に下げることができるか。一方、予防については、現在のところ、コンドームを使った感染予防、男性の亀頭包皮切除、暴露前予防内服 Pre-exposure prophylaxis : PrEP がある。今後中長期で期待されるのは、より効果の長いPrEPと、70%の予防効果のあるワクチンである。

ジンバブウェのHIVの中長期シナリオは、現在のジンバブウェのHIVへの取り組みをどの程度スケールアップできるかということと、あらたな予防方法の開発スピードおよび効果的な組み合わせをどのように追求できるかで、「ゲートキーパー」報告書には、3つのシナリオが示されている。

(シナリオ1)ジンバブウェの現在のHIVへの取り組みは一定の効果を生み出している。この努力を続けることで、効果的にHIVを減少させることはできるが、減少スピードは遅く、2050年になっても毎年1万6千件のHIV感染が生じるであろう。

(シナリオ2)ジンバブウェが既存の取り組みを効果的に拡大し、現在の予防方法を効果的に組み合わせれば、2050年には新規感染を毎年5000件にまで減らすことができるであろう。

(シナリオ3)ジンバブウェが既存の取り組みを効果的に拡大し、さらに、長期的に効果のあるPrEPやワクチンなど、新規に開発される予防方法を効果的に組み合わせられれば、HIVはしっかりと管理された状況にもっていくことができるであろう。

この報告書を出したビル・ゲイツ氏は、ジャーナリストたちを招いた電話会議において、「ジンバブウェは既存のHIVプログラムが効果的に機能している国であると認識している。この報告書で示されたことが効果を持つのは、多くの人々が検査を受け、エイズ治療が適切に行われる場合である。若い世代にメッセージを届け、プログラムをその世代においてきちんと機能させることが重要だ」と述べた。

原題:Zimbabwe: Zim's Impressive Efforts to End HIV Get Recognition
出典:The Herald (Zimbabwe)
日付:2018年9月19日
URL:https://www.herald.co.zw/zims-impressive-efforts-to-end-hiv-get-recognition/

(ルワンダ)キガリ市、今後5年間で新規HIV感染者減少を目指す

【2018年9月21日キガリ(ルワンダ)発】東アフリカの内陸国、ルワンダの首都であるキガリ市は、新HIV戦略計画において2015年最終調査時と比較し、2020年の調査では6.3%の罹患率の減少を見込んでいる。

2015年の調査では、セックスワーカーの2人に1人がHIV/AIDSに関する情報を持っておらず、市内の55パーセントがHIVに感染していることが明らかになった。

キガリ市社会問題担当のパトリシア・ムホンゲルワ副市長 Patricia Muhongerwa は、「私たちは開発パートナーたちと、HIVと闘うための5年間の戦略的計画とその具体的な活動を示しました。私たちが、キャンペーン活動にもっと力を入れれば、新規HIV罹患率が減少すると願っています。」と述べ、「新規HIV感染を制限するためには、売春を確認する必要があります。それを達成する唯一の方法は、セックスワーカーにアプローチし、彼らと深い議論をすることです。」と続けた。

ルワンダ・バイオメディカル・センター Rwanda Biomedical Centre HIV国家戦略・運用計画のムハンマド・セマクレ 戦略アドバイザー Muhammed Semakure は、「キガリ市役所は、新規HIV感染を予防するための様々なプログラムを持っている」と述べた。

「まず、抗レトロウイルス治療薬 Anti-retroviral drug : ARV を早期に服用するために、人々の状況を知る手助けをする努力をします。今のところ、私たちは、検査のために公共施設に行くことを恐れる人々のために、自己検査の新しい戦略を持っています。そして、HIV陽性と診断された人々の性交渉相手ができるだけ早期にHIVの状態を知る助けとなるようなプログラムがあります。」、また、「コンドーム簡易販売プログラム the program of condom Kiosks を始める時、設置場所としていくつかのホットスポットを選んだ。新HIV戦略的計画の目的は、必要とされるすべての場所に設置することである。」と彼は述べた。

UNAIDSのベツル・ヴォルデセマヤト カントリーディレクター Betru Woldesemayatは、ルワンダの強力なリーダーシップと、2030年までにエイズの終息を目指す「ファースト・トラック」のアジェンダを推進するコミットメントを賞賛しました。

「ファースト・トラック都市イニシアチブ」の目的は、国と都市が2020年までに90-90-90の世界的治療目標に達する具体的な行動をとるよう促すことである。この90-90-90は、HIV陽性者の90%が自分の感染状況を知り、その90%がHIV治療にアクセスし、その90%において、HIVのウイルス量が検出可能値以下に下がるという状況を意味する。都市化率が高いことは、HIV感染の機会だけでなく、多くの課題が伴う。キガリ市でHIV予防と治療サービスを迅速に追跡すれば、費用対効果の高い方法で多数の人々に届く可能性がある」と彼は語った。

原題:Rwanda: City of Kigali Seeks to Reduce HIV Prevalence in the Next Five Years
出典:The New Times RWANDA’S LEADING DAILY
日付:2018年9月21日
URL:https://www.newtimes.co.rw/news/city-kigali-seeks-reduce-hiv-prevalence-next-five-years
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