グローバル・エイズ・アップデート

世界のHIV/AIDS情報を日本語で配信中!

2019年01月

第352号(第19巻第5号)2019年(平成31年)1月6日

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
グローバル・エイズ・アップデート
GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
第352号(第19巻第5号)2019年(平成31年)1月6日
No.352(Vol.19-No.5) Date:2019/1/6
■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
----------------------
★「第352号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・(スイス)持続可能な開発目標(SDGs)はエイズ対策に吉と出るか凶と出るか?国際エイズ会議で熱い討論
・(スイス)薬物使用とHIV/AIDS:地域による取り組みの在り方
・(スイス)グローバルファンド 理事会、増資会議に向けて体制整える

●アフリカの地域別記事
・(ナイジェリア)UNAIDS報告-推定940万人がHIV陽性者であることに気づいていない
・(ウガンダ)抗レトロウイルス治療薬(ARV)注射薬の臨床試験を開始-
・(マラウイ)オプションB+実施後におけるHIV早期母子感染およびリスク要因の関連:横断分析

------------------------------------ Vol.19 No.5---

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
・電話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
・http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
・http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いします。

(スイス)持続可能な開発目標(SDGs)はエイズ対策に吉と出るか凶と出るか?国際エイズ会議で熱い討論

-----------------------------------------
(スイス)持続可能な開発目標(SDGs)はエイズ対策に吉と出るか凶と出るか?国際エイズ会議で熱い討論
-----------------------------------------
【2018年11月1日ジュネーブ(スイス)発】オランダの首都アムステルダムで7月23から27日まで開催されていた国際エイズ会議で、24日、熱い討論が行われた。「持続可能な開発目標」(SDGs)を含む「2030アジェンダ」はエイズ対策にとって脅威となるか、それとも良い機会を提供するか、がそのテーマであった。

「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、一般には、17の目標と169のターゲットを持つ「持続可能な開発目標」(SDGs)として知られている。2015年9月25日に国連の特別サミットで制定されたこの目標は、2030年までに「誰一人取り残さない」方法で貧困をなくし、持続可能な開発を実現することを掲げており、一般には、世界の共通目標を形成した偉大な達成として理解されている。

以前、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のアジア太平洋地域事務所長を務めたインドのプラサーダ・ラオ氏は、SDGsを支持する立場から発言した。氏は、エイズ対策はこれまで単独で行われてきたが、SDGsの時代には、栄養、貧困、平等その他さまざまな課題とともに取り組む必要があると主張。また、SDGsは高いレベルの政治的目標であり、政府に実施や説明に関する責任を持たせるという要素があると述べた。ラオ氏を支援する立場から発言したデューク大学のマイケル・マーソン氏は、SDGsが「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」を掲げたことを付け加え、2030年までにエイズをなくすというSDGsの目標を達成するには、マルチセクトラルな取り組みをしていかなければならないと述べた。氏によれば、「統合」という言葉は、エイズ対策の30年間の歴史に欠けていたものだという。

一方、SDGsがエイズ対策にとって脅威となりうるという立場から発言したのが、ウクライナ共和国保健省「保健センター」のヴォロディ・クルピタ氏 Volody Kurpitaとその同僚のクリスティーン・ステグリング氏 Christine Stegling である。クルピタ氏は、SDGsは目標として大きすぎ、実現しないだろうと述べた。氏によれば、実際、採択から3年たったのに現場では何も起こっていない。氏によれば、169ものターゲットは各国が実施するには多すぎ、対応できない。クルピタ氏は、エイズ対策において重要な、「対策の鍵となる人口集団」Key population について、SDGsに明記されていないことを問題にした。「SDGsは目標と目標の間の関係も定義していない。そのことにより、<統合>はますます難しくなっている」と氏は述べる。

クルピタ氏の同僚のステグリング氏は、SDGsがあまりに広範なのでエイズ対策の比重が小さくなる危険性を指摘した。政府はSDGsの進捗に関する把握に苦慮しており、HIV対策の進捗に気が回らない。ステグリング氏は、このままいくと、コミュニティを基盤とする組織が「取り残される」危険性を指摘した。そもそも、HIV陽性者の半分は世界中に散らばる「対策の鍵となる人口集団」にあたる人々であり、SDGsに注力すればするほど、この人々への注目が薄くなるのではないかと氏は危惧する。

議論が会場に開かれたとき、特に、アフリカの市民社会組織から同様の懸念が示された。アフリカ諸国の政府は「男性とセックスをする男性」(MSM)を含む「対策の鍵となる人口集団」を犯罪化する動きを止めておらず、SDGsはこれを止めるのに何の有効性を持っていないとの指摘があった。実際にこうした犯罪化を止められないのなら、何のためのSDGsなのかという主張である。

一方、会場にいる多くの人々はSDGsを支持した。SDGsを支持する側は、SDGsは市民社会組織にとって、国内・国際の両面で政府に責任を取らせるための有効な武器として機能するという。また、SDGsの目標やターゲットの多くは関連しあっており、統合的な解決を求めるものとなっているという。実際、これまでの数十年のエイズ対策の取り組みは、エイズ単独でなされることが多く、コミュニティの複雑な課題の解決に対して、十分に有効に機能してこなかった。SDGsをうまく活用すればこの問題は解決しうるというのである。

熱の入った議論ののち、参加者にSDGsへの支持・不支持を問う投票がなされた。結果は真っ二つに分かれた。支持する立場は、SDGsは地球規模感染症への挑戦を包括的に行うものであることを強調。一方、反対する立場は、SDGsでは特に「対策の鍵となる人口集団」は取り残される危険性がある、と表明した。

最後にパネルディスカッションの議長を務めた国連開発計画(UNDP)のマンディープ・ダリワル氏 Mandeep Dhaliwal はまとめとして、「SDGsはHIVとの闘いの多様で複雑な課題にアプローチすることを意図している。これらの課題は、政府、市民社会、民間セクターの連携なくして取り組めない。一方で、HIV陽性者や影響を受けた人々が持つ『取り残される』という懸念は軽く見てよいものではなく、しっかりと対応されなければならない」と取り纏めた。世界の人々のHIVへの取り組みは、今日でも人々を揺り動かす力を持っているが、SDGs時代には、協力と連携を深めることも重要である。

原題:Agenda 2030: Threat or opportunity for HIV response
出典:Key Correspondents
日付:2018/11/1
URL:http://www.keycorrespondents.org/agenda-2030-threat-or-opportunity-for-hiv-response/

(スイス)薬物使用とHIV/AIDS:地域による取り組みの在り方

-----------------------------------------
(スイス)薬物使用とHIV/AIDS:地域による取り組みの在り方
-----------------------------------------
【2018年10月22日ジュネーブ(スイス)発】薬物使用者 People who inject drugs:PWID におけるHIV陽性率は高いが、HIVケアと薬物治療を利用することに大きな問題を抱えている。薬物使用者は地域ごとにその特徴が異なることから、予防としてのHIV治療に関する介入戦略を開発し効果的に実行するためには、彼らにおいて特徴的なHIV感染と病気の進行経過について理解することが必要不可欠である。

そこで、HIVの研究者らは薬物使用者を対象としたHIV予防治療改善を目的とした二重ランダム化比較試験であるHIV予防治験ネットワーク HIV Prevention Trials Network:HPTN 074 に参加している薬物使用者を対象とした基礎データを分析した。その内訳は、インドネシア258人、ウクライナ457人、ベトナム439人であり、またHIV陽性者は502人、HIV陰性の薬物使用者は652人であり、彼らを対象に社会人口的背景やHIV薬物治療利用歴、薬物使用歴や危険を伴う性行動等のリスク要因についてその地域差を検討した。

その結果、分析対象者の87%は男性で、女性の80%以上がウクライナ出身者であり、対象者全体の平均年齢は34歳であった。主な使用薬物は、ウクライナでは違法に製造されたメサドン、インドネシアとベトナムではヘロインであり、いずれの国も複数の仲間とともに薬物を利用していたが、ウクライナでは最も高くその平均は5人であった。アルコール利用障害特定テスト(AUDIT-C)による危険なアルコール利用はウクライナで最も高く57.4%、ベトナムでは26.4%と低かった。最近1か月間での複数のパートナーとの性行為や金品または薬物の授受による性行為を含む性感染症の感染可能性の高い性行動についてはいずれの国でもほとんど報告されなかった。

以上より、上記3か国でのリスク要因の違いは認められ、とくにウクライナ在住の薬物使用者に対して感染リスク低減に向けた対策が急務であることが判明した。この様に、薬物使用者においては各地域のHIV感染リスク要因を考慮した治療及び予防対策が必要である。

原題:Regional Differences Between People Who Inject Drugs In An HIV Prevention Trial Integrating Treatment And Prevention (HPTN 074): A Baseline Analysis
出典:International AIDS Society
日付:2018/10/22
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jia2.25195

(スイス)グローバルファンド理事会、増資会議に向けて体制整える

【2018年11月15日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、2030年までにエイズ・結核・マラリアの終息、保健システムの強化、「SDGs 3:すべての人に健康と福祉を」の達成に向けた行動を積極的に展開することを決定した。

グローバルファンドのピーター・サンズ Peter Sands 事務局長は、グローバルファンドの役割について、次の5つの根本的な要素を指摘した。

グローバルファンドは、
1. 持続可能な開発目標を達成する上で重要かつ置き換え不可能な役割を果たしている
2. さらなる健康上の安全を可能にしている
3. ジェンダー不平等の最も困難な問題に取り組む強力なパートナーである
4. 健康にかかわる人権上の障壁を含む、健康格差の克服に向けて独自の役割を果たしている
5. 命を救い、地球規模感染症を終息させるという最終目標を実現させるために、一貫して成果を出している

サンズ氏は、「私たちは、既存の手段ではSDGsゴール3の感染症に関する目標を達成することはできません。より多くの資源の活用、さらなる革新とよりよい実施が必要です。また、私たちの目標を達成するには、皆からの新たなエネルギーと決意が必要です。」と述べ、「グローバルファンドは、SDGs達成のため複数のステークホルダーとともに協力してきた。世界規模の健康に関する課題を解決するため、より大きなパートナーシップが不可欠です。」と続けた。

グローバルファンド理事会は、増資期間の到来に伴い、民間セクターの参画と革新的資金に関するアプローチを改訂した。また、もともと官民パートナーシップとして発足されたグローバルファンドとして、

民間セクターへの増資に向けて体制を整えることを支持し、また革新的な解決と代替的な資金調達メカニズムによる民間セクターとさらなるパートナーシップ構築を期待している、とした。

2019年5月、グローバルファンド理事会のアイーダ・クルトビッチ議長 Aida Kurtovic 、およびジョン・サイモン副会長 John Simon の2年間の任期終了を控え、理事会は新たなリーダーシップに向けて選考プロセスを開始した。

さらに、グローバルファンドの戦略目標の枠組みと主要業績評価指標を見直し、戦略目標と目的、世界および地域の疾病動向の監視、案件への資金拠出と業績の見通しについて概説した。

人権に関する特別セッションでは、主に脆弱な人々が直面している医療サービスへのアクセスに対する複数の障害について検討した。コスタリカ、南アフリカ、ウクライナから参加した活動家たちは、健康の権利を守るための彼らの仕事の最前線での個人的な経験を共有してセッションを活気づけた。健康に対する人権の障壁は依然として多くの国で深刻であるが、グローバルファンドとしては、人権の要求をコア・プログラミングに組み込む一歩を踏み出した。

原題:Global Fund Strengthens Efforts toward Ending Epidemics
出典:The Global Fund
日付:2018/11/15
URL:https://www.theglobalfund.org/en/news/2018-11-15-global-fund-strengthens-efforts-toward-ending-epidemics/

(ナイジェリア)UNAIDS報告-推定940万人がHIV陽性者であることに気づいていない

【2018年11月23日ナイジェリア発】国連合同エイズ計画 UNAIDSが発行した 『知識は力 Knowledge is Power 』という新しい報告書によると、世界のHIV陽性者のうち940万人が、自身がHIVに感染していることに気づいていないという。一方、陽性者の75%にあたる2700万人は自身がHIVに感染していることを認知しているとされる。報告は、現在HIV陽性に気づいていない940万人や、ウイルス量が検出限界以下まで制御しきれていない1940万人への対策強化を呼びかけた。

UNAIDSによる新たな報告書は、HIV検査や治療を強化することで、より多くのHIV陽性者へ到達できると示している。

健康を保ち、他者への感染を予防するには、継続的な抗レトロウイルス治療で、HIVを検出限界以下に持ち込むか、非常に低い水準まで抑え込む必要がある。UNAIDSのミシェル・ シディベ事務局長 Michel Sidibe によると、ウイルス量を効率的に管理するためには、12ヶ月ごとにウイルス量検査をする必要があるという。ウイルス量検査は、HIV治療の経過観察の最適の方法であり、治療が効果的であることや、ウイルスをしっかり制御し人々を健康的に生き永らえさせているということを示すものであるという。

ウイルス量検査の普及度合いは地域差が大きく、ある地域ではウイルス量検査がHIV治療に標準的に組み込まれていて簡単に受けることができるが、別の地域では国内にウイルス量検査機械が1つしかないということもあるという。シディベ事務局長は、「HIV検査とウイルス量検査は、ロンドンでも、アフリカ南東部マラウイ共和国の首都、最貧国の一つであるリロングウェでも、全てのHIV陽性者が例外なく同じようにアクセスできるべきである」と強調した。

また同報告書は、HIV検査への最大の障害は、差別と偏見であると示した。女性・男性・若者や鍵となる人口集団 key populationに関する研究によると、HIV関連の医療サービスを利用しているところを見られることに対する恐れや、陽性だった場合、家族や友達、性的パートナーや地域の人々に知れ渡ることに対する恐怖が、検査を含めたHIV関連サービス利用の妨げとなっているという。

UNAIDS は、HIV検査は基本的人権のひとつであるとしており、国連のHIV/AIDS 関連機関は世界に対し、HIV検査に対する障害をなくすよう呼びかけている。障害をなくすとは、HIV関する差別や偏見をなくすこと、HIV検査や治療の匿名性を確保すること、一番必要としている人たちへ届けるためHIV検査戦略を最大限に展開すること、などが含まれる。また、別の医療サービスとの連携することや、HIV検査や治療を妨害する法的障害をなくすこと、低・中所得国へウイルス量検査を普及させること、新生児に対するHIV早期診断を徹底することなども挙げられる。

上記の方法を実践することで、HIV陽性者やHIVに影響を受けている人々が、必要としている命を救う医療サービス(=HIV関連サービス)を利用できることを保証し、大いに推進することができると明らかにした。

原題: Nigeria: 9.4 Million People Living With HIV Unaware - UNAIDS Report
出典:All Africa (PREMIUM TIMES)
日付:2018/11/23
URL: https://allafrica.com/stories/201811230135.html

(ウガンダ)抗レトロウイルス治療薬(ARV)注射薬の臨床試験を開始

【 2018年11月20 日カンパラ(ウガンダ)発】東アフリカに位置するウガンダでは、暴露前予防内服 Pre-Exposure Prophylaxis:PrEP における、注射型の抗レトロウイルス薬の試験的投薬のための参加者となる女性たちの募集を開始した。これは、ケニア、マラウィ、ボツワナ、ジンバブウェ、南アフリカ、およびスワジランドの6ヶ国でも実施される5年間の大規模試験の一部である。ウガンダを含めた7か国から合計3,200人が募集された。

同試験は、二重盲検的に実施され、参加者は実験群、および対照群に分けられ、実験群は注射型の抗レトロウイルス薬カボテグラビル cabotegravirが投与され、もう一方の対照群はプラセボ(偽薬)が投与される。

参加者は、初めの2か月の間は毎月1回注射を受け、その後は2か月おきに1回の注射を受けることになる。この調査に参加した女性たちには、募集時から試験終了時まで妊娠せず健康であることが求められた。

HIV予防臨床試験ネットワーク HIV Prevention Trial Network:HPTN の一部であり、HPTN084として知られるフェーズ3の臨床試験では、カボテグラビルが2か月間毎月投与され、その安全性や、個人がHIV感染リスクに暴露されたときのリスクを減少できるかどうかについて評価された。

もし、この薬が安全かつ効果的であることが示されれば、現在の使用されている毎日服薬する必要のあるツルバダ Truvada の代りに、カボテグラビルはPrEPの選択肢になりうる。

国際エイズワクチン推進構想(IAVI)の研究員であり、医師のアマンダ・ワニャナ氏Dr. Amanda Wanyana は、本試験の一つが実施されることになるウガンダ・ウイルスリサーチ研究所において、「南アフリカ共和国においては、この試験はHIV陰性者の中から、ゲイを含む感染可能性の高いグループに対して実施されるが、ウガンダやケニアではHIV陰性者の中でも生産年齢人口である18歳から45歳までの健康な女性を対象とすることになる。」と述べた。

原題:Uganda: Clinical Trial of Injectable ARV Drug Starts in Uganda
出典:The East African
日付:2018/11/20
URL: https://allafrica.com/stories/201811200385.html

(マラウイ)妊婦への生涯にわたる抗レトロウイルス治療提供によるHIV早期母子感染予防の効果およびリスク要因の関連:横断分析

【2018年 11月 19日リロングウェ(マラウイ)発】南部アフリカの内陸国マラウイでは、HIVの母子感染予防 PMTCT: Prevention of Mother to Child Transmission プログラムのうち、HIVに感染した妊婦に、その免疫の状況を測るCD4値の如何に関わらず、生涯にわたる抗レトロウイルス治療 ART: anti-Retroviral Therapyを提供する「オプションBプラス」 Option B+という取り組みを実施してきた。このプログラムから得られるデータからは、妊婦が抗レトロウイルス治療を受ける割合が高いことが示唆されている。 マラウイ保健省は、PMTCTプログラムの全国評価を行い、妊産婦におけるARTの受診率と母子感染予防の有効性に関する全国的なデータを入手した。 ここでは、4〜12週齢の乳児のデータを提示する。

本研究では、多段階のクラスターデザインを用いて、マラウイでHIVに暴露された乳児およびその母親のサンプルを募集した。 2014年10月16日から2016年5月17日まで、10地区と4地域のサンプリングゾーンから選択した54の保健施設で、4〜26週齢の乳児を対象にワクチン接種または外来の病院に通院しているすべての母親のHIV検査を実施した。 HIVに感染していると特定された母親と乳児はコホートに登録された。 スクリーニング時に4〜12週齢の乳児のサブセットのみ加重MTCT率を計算し、それにより妊娠初期から出産、授乳初期までの母子感染予防に関するデータを取得した。 妊産婦および乳児の人口統計およびHIVサービス、ART、およびマタニティクリニックの利用に関するデータを収集した。 HIVに曝露された乳児を検査し、乳児のHIV状態との関連を評価した。

結果は以下のとおりである。まず、33,980人の母親(保護者)と4〜26週齢の乳児のペアのうち3,542人(10.4%)がHIV陽性であることを確認した。そのうち2,530人(2514人の母親と16人の保護者)はスクリーニング時に4〜12週齢の乳児がいた(双子の32人を含む)。HIV感染状況に関する情報が入手できなかったため、25人の乳児を分析から除外した。 91.3%(95%信頼区間 85.6〜96.9)の母親が妊娠中からARTを服用していた。 MTCT率は全体で3.7%であり、その幅は、妊娠前からARTを開始した女性が1.4%であったのに対し、現在もARTを服用していない女性が19.9%である。多変量ロジスティック回帰分析では、早期の母子感染のオッズは、妊娠前からARTを服用していた母親より、産後にARTを開始した母親および妊娠中にHIVステータスが不明でARTを服用していない母親で高かった。HIVに曝露された乳児のうち、98.0%がネビラピンを受けたと母親から報告され、試験時にHIVケアクリニックに登録されていた乳児は、わずか45.6%であった。

これらのデータは、マラウイのARTサービスの地方分権化がARTの適用範囲を拡大し、早期の母子感染予防を低下させることを示唆している。 しかし、HIVに曝露された乳児のためのサービスは、最善とはいえないままである。

原題:National estimates and risk factors associated with early mother-to-child transmission of HIV after implementation of option B+: a cross-sectional analysis
出典 :THE LANCET HIV
日付:2018年11月19日
URL: https://doi.org/10.1016/S2352-3018(18)30316-3
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
Categories
Archives
発行者:AJF

アフリカ日本協議会

  • ライブドアブログ