国際NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチ Human Rights Watchは2004年11月16日、同性愛嫌悪homophobia・暴力とジャマイカのHIV/AIDS流行拡大に関する報告書「ジャマイカ:忌まわしき死 Jamaica: Hated to Death」を公表した。報告書は、ジャマイカの主要人権活動家であったブライアン・ウィリアムソン Brian Williamson の殺害から始まる。6月9日、彼の切断された身体が発見された1時間後に、野次馬が現れ、「Battyman! ホモ野郎は殺される。」「ゲイを一度にまとめて犯っちまえ。」と、彼の殺害を狂喜し、祝福したのである。
 この報告書では、ジャマイカにおいてMSM(男性と性行為をする男性:Men who have sex with men)に対する言語的・身体的暴力、殺人などは当たり前 commonplace と報告されている。市民を守るはずの警察も6月18日、暴徒たちと共にゲイであると思われた男性の殺害に加担した。2003年には、ある警官がHIV陽性者PLWHAを同性愛者であるとみなし、「今すぐ立ち去らなければ殺す」と脅すという事件が発生した。エイズ教育を行っているピアグループは、同性愛者を撃ち殺すとの脅迫メールを受け取っている。ジャマイカでは、HIV/AIDSと同性愛は同義語だと捉えられている。
 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ジャマイカに根深く存在するHIV陽性者に対する差別によって、HIV陽性者は適切な医療へのアクセスを受けられていない、と報告している。医者は患者に触ろうとせず、日和見感染症が明らかに発症しているような患者は、差別を恐れ、公共の交通機関を利用できない。ジャマイカの厚生省はHIV/AIDSに対する差別がその流行拡大を促進させる主要因と指摘しているが、その他の省庁はそれに同調していない。同性愛は刑事上での起訴の対象となるため、様々な弊害が出ている。
「ジャマイカ政府が市民の偏見をこのままにし、人権的なHIV/AIDS政策立案を阻害するようであれば、ジャマイカの未来は悲惨なものになるだろう。何千というジャマイカの人々の命が、虐待や、避けられる死に導かれないように…。」と報告書は締めくられている。

原文表題:Anti-gay hate fuels Jamaica HIV crisis
日付:16 November, 2004
出典:Gay.com website
URL:http://www.gay.com/news/article.html?2004/11/16/3