ブカヴ BUKAVU、コンゴ民主共和国 (12月2日)「キャンディー・トライアル」とは、コンゴ民主共和国東部の戦争で老いたブカヴで国境なき医師団がエイズ患者に対して行っているプロジクトの名前だ。これはエイズ患者に薬による治療を施す前に、毎朝2個、晩1個正しく摂取することが出来るかをキャンディーで試験するものである。こうした小規模のプロジェクトは電気・水・設備が不足した、いわゆる「低資源環境」(low-resource setting)の環境下で行われる。しかし紛争のくすぶる地域での効果は抜群なのだ。
 コンゴ民主共和国におけるこのプロジェクトは、患者の履行が非常に高く、青年層が新規に登録している。小さな取り組みで大きな成果を挙げている同プロジェクトは、アフリカにおけるエイズ治療は大規模で行わなければならないという従来の考え方とは異なり、新鮮だ。
 コンゴ民主共和国では、政府がエイズ教育や感染防止・治療に費やす予算がほとんどないのが現状である。また、人々が自身の感染を知っていても、治療の手だてが無ければHIV抗体検査さえ受けようとしないことからも分かるように、教育だけでなく治療は不可欠である。その点、たとえ紛争地域であってもARV(抗レトロウイルス薬)による治療を施す同プロジェクトは、地元の保健
ケアシステムの構築とその安定化の一助になっている。同時にエイズと向き合う生活も目指している。
 このブカヴのクリニックは、コンゴ民主共和国のHIV感染状況にとって、一筋の光明である。国連は、同国のHIV感染者・AIDS患者は1600万人で、毎年10万人もの人が亡くなっていると推測している。6年にわたる戦争は名目上終わりを告げ、来年には暫定政府による選挙が控えているが、平和プロセスへの国際的支援は乏しい。国内でも、医師や看護師への給料未払いや病院の破壊など
問題が山積みで、感染率が飛躍的に増大しているにもかかわず、国家としての対策が滞っているのが現状である。

原文表題:Congo's astonishing can-do clinic for AIDS
日付:02-DEC-04
出典:Scripps Howard News Service
URL:http://www.shns.com/shns/g_index2.cfm?action=detail&pk=CONGO-12-02-04