ニュージーランドのオークランドで10月25日、環太平洋地域エイズ会議 Pan Pacific Regional HIV/AIDS Conferenceの開会式が行われた。会議では、HIV/AIDS治療薬の普及が要求された。多くの太平洋諸国は抗レトロウイルス(ARV)薬を入手するべく努力しているが、先進国であるはずのニュージーランドは薬の供給をあえて遅らせているようにすら見えると、参加者の一人は語っている。
 ニュージーランドでは現在、欧米諸国で新薬が開発されても、薬が認可されるまで2〜5年間は治療に使用することができない。その間に亡くなる人も少なくないという。
 一方、太平洋諸島エイズ財団 The Pacific Island's AIDS Foundationのアイリーン・マラチ氏 Irene Malachi は、バヌアツからニューカレドニア島のヌーメアまで毎月治療のため自費で通っている。彼女は、HIV陽性であることを公表したために地元で差別にさらされることになり、さらに、薬が入手できないために苦しんでいる、と会議でスピーチした。
 メルボルン大学のHIVワクチン研究所 University of Melbourne's HIV Vaccine Research Laboratory の所長は、エイズワクチンが近い将来開発されるのではないかという期待に対して、否定的なコメントを行った。付け加えて、最善の予防策はコンドームを使用した予防と殺菌した針の使用、母子感染の防止であると何度も繰り返し主張した。
 最新のワクチン治験は失敗に終わっている。今後二つの治験が予定されているが、2007年まで結果は出ない。もし成功したとしても、人々は薬の認可までさらに何年も待たなければならないのだ。

原題:Demand for access to HIV treatments in NZ and Pacific
出典:New Zealand Aids Foundation
URL: http://www.nzaf.org.nz/articles.php?id=499