アフリカでは、薬剤全般に耐性を持つ広範囲多剤耐性結核(Extensively drug-resistant tuberculosis:XDR-TB)の出現と、医療従事者がアフリカを離れ欧米へと移住していく「頭脳流出」が新たな問題として浮上している。

XDR-TBに感染すると、第一選択薬と第二選択薬の中の少なくとも二種類に対して耐性を持つため、既存の薬物療法での治療は事実上不可能である。HIV陽性者は、免疫機能が低下しているため、結核などの感染症にかかりやすい。通常であれば、結核は病院の処方による抗生物質を服用して治療することが可能であるが、XDR-TBではそうはいかない。薬への耐性があるかどうかを知らずにXDR-TBの治療に従来の治療薬を用いると、患者を死に至らしめる危険性もあるという。2004年には、世界で第一選択薬のうち2種類の薬剤に耐性を持つ結核への感染者が約40万人以上といわれていたが、現在では3種類の薬剤に耐性があるXDR-TBの感染者がすでに28カ国で見つかっている。

WHOのラビリオーネRaviglione医師は、アフリカでの結核の感染拡大を抑えるには、よりよい医療施設と基本的な医療処置が必要であると訴える。こうしたアフリカ諸国の需要を満たすとともに第二選択薬を供給してゆくには、1年度の予算を決めて資金配分をしていく世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)の資金援助では間に合わないため、米国連邦議会での3億ドルの緊急支援法案の成立が必要とされている。
このように短期的に迅速な対応が必要なXDR-TBに対して、アフリカの医療従事者が欧米へ流出していく問題は、中長期的な視点で対策をする必要がある。リチャード・ダービンRichard Durbin上院議員、ジョン・ケリー John Kerry 上院議員らは、アフリカでの頭脳流出に歯止めをかけるため、労働条件の改善や保健関係者への研修や雇用を実施できるよう、3年間で600万ドルの支援を行うための法案を提出した。たとえこの法案が成立しなくても、ブッシュ政権は、アフリカの各国政府に保健・医療分野の人材や施設の拡充を促す予定だという。

原題:New burdens for Africa
日付:March 15, 2007
出典:International Herald Tribune
URL:http://www.iht.com/articles/2007/03/15/opinion/edaids.php