2007年は、米国のHIV/AIDSに関わる直接行動組織として一世を風靡した「アクトアップ」 AIDS Coalition to Unleash Power (ACTUP 力を解放するエイズ連合)の創立20周年にあたる。アクトアップは、1980年代よりHIV陽性者の権利拡大運動の象徴的存在として活動を展開している。

同団体は、1987年、ニューヨークで劇作家ラリー・クレイマー Larry Kramer の演説に触発された人々が集まり結成された。結成から2週間後、ニューヨークの金融街であるウォール街で、当時から高額だったエイズ治療薬やアメリカ食品医薬品局 Food and Drug Administration FDA に対する抗議運動を行った。こうした動きは、米国メディアに広く取り上げられ、アクトアップはサンフランシスコなどの米国国内の各都市で組織され、さらには世界へと広がっていった。

アクトアップは、HIV陽性者、HIV/AIDS研究、そして大手製薬会社の関係を変え、さらにはエイズ患者と医療従事者の関係も変える、重要な功績を残した。アクトアップは米国国立衛生研究所 National Institutes of Health NIH に対して、エイズ研究にもっと投資するよう働きかけ、この結果、エイズの治療薬の認可が加速された。また、アクトアップは政治的にも非常に活動的であり、そのターゲットは共和党レーガン政権、マス・メディア、反同性愛を唱える宗教指導者たちなどに広く及んだ。

アクトアップの結成に関してはさまざまな要因が考えられるが、特にHIV陽性者たちが生き延びたいと願い、友人の命を助けたいという人々の思いが強かった。 アクトアップの設立当時抗レトロウイルス薬はジドブジン一剤しかなく、さらに、高額であったため一部の人たちしか入手できなかった。同団体は新しいエイズ薬開発のために盛んに活動し、その甲斐あって1990年代中ごろには高活性抗レトロウイルス療法 Highly Active highly Antiretroviral Therapy:HAART という画期的な治療法が登場し、確立した。

米国では、副作用の問題がまだ残っていたが、HAART療法により、陽性者の大多数を占めた同性愛者の健康状態が改善された。これに伴い、エイズ運動の主眼は、同性愛者だけではなく、米国内の貧困地域に住む麻薬使用者やアフリカ系アメリカ人などの有色人種、また途上国の貧困なHIV陽性者たちの運動へと移行していった。

アクトアップは80年代から、米国のサンフランシスコ、フィラデルフィアなどの各都市、さらにはパリなどで次々と結成され、各地のアクトアップは、地域の特性を反映してさまざまな分野において活動している。例えば、今年3月29日にサンフランシスコでアクト・アップにより行われたデモは、エイズ患者、お年寄り、低所得者たちを支援する目的で住宅購入支援と万人のためのヘルス・ケアの実現を求めるものだった。

原題:ACT UP turns 20
日付:2007年3月22日
出典:BAY AREA REPORTER
URL:http://www.ebar.com/news/article.php?sec=news&article=1660