【ジュネーブ発5月8日=グローバル・エイズ・アップデイト編集部】世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)の第19回理事会が、5月5〜6日の二日間、スイスのジュネーブで開催された。通常、世界基金理事会は年に2回、春はジュネーブ、秋は途上国で開催される。今回の理事会で主要課題となったのは、(1)世界基金の資金不足に対応するワーキング・グループの設置、(2)理事会議長選であった。
世界基金は3年を一単位とする増資期間を設けているが、2008-2010年の資金ニーズはもともと、150-180億ドルとされていた。しかし、2007年に開催された一連の増資会議では、97億ドルの誓約しか得られず、それ以降、意味ある新たな資金拠出誓約は行われていない。一方、世界基金の資金ニーズは、途上国側の案件形成能力の増大によって予測どおりの伸びを示し、現在の資金ニーズ予測は、2008-2010年の3年間で130-190億ドルの資金が必要になるというものである。その結果、世界基金はおよそ50億ドル(40-90億ドル)の資金不足に見舞われている。このままでは、世界基金は2009年および2010年の新規案件募集、および、援助効果増大の観点から導入された「国家戦略への拠出」(NSA)枠に充てる資金が枯渇する可能性が高い。

これに関して、本理事会では、この資金不足が「需要と供給のミスマッチ」にあるとの分析のもとに、いかに需要と供給のミスマッチを解消するかについて検討する「資金需要・供給ワーキング・グループ」が理事会議長の下に設置されることとなった。このワーキング・グループの共同議長には、実施ブロック側 Implementers Blockに属する先進国NGO議席からオランダのピーター・ヴァン・ルイヘン氏 Peter Van Rooijenと資金拠出ブロック側 Donor Blockに属する「ポイント・セブン」議席(北欧、アイルランドなどODAがGDPの0.7%を越えている国で構成される議席)からノルウェーのシグルン・モグデル氏 Sigrun Mogadel が選出。その他、資金拠出ブロック、実施ブロック側ともに4名の委員を選出して、いかに資金不足を解消するかという問題に取り組むこととなった。

一方、理事会議長選挙であるが、議長の任期は2年、過去2年間は、議長を資金拠出ブロックの「民間セクター」議席からラジャ・グプタ氏(マッキンゼー名誉顧問)、副議長を実施ブロックの「途上国NGO」議席からエリザベス・マタカ氏(ザンビア全国エイズネットワークZNAN議長)が務めてきた。今回の改選では、議長を実施ブロック側、副議長を資金拠出ブロック側が務めることとなっている。これについて、副議長についてはカナダのアーネスト・ローヴィンショーン氏 Ernest Loevinsohn のみの立候補となった。

一方、議長については、東・南アフリカ議席からテドロス・アダノム=ゲブレイェスス・エチオピア民主連邦共和国保健大臣 Tedros Adhanom Gebreyesusが出馬。これについて、西・中央アフリカ議席からババトゥンデ・オソティメヒン・ナイジェリア連邦共和国保健大臣 Babatunde Osotimehin が立候補の意向を示した。オソティメヒン氏の立候補については、西・中央アフリカ議席の現在の理事であるブルキナ・ファソのセイドゥー・ブーダ保健大臣 Seydou Bouda がこれを認めず、テドロス・エチオピア保健大臣を支持する意向を表明。一方、エチオピアは昨年10月に予算の10%以上を海外資金に依存するNGOの活動を制限する極めて厳しいNGO管理法令が可決されたことや、国内でNGOが弾圧されている状況から、実施ブロック側の3つの市民社会議席はいずれも、テドロス氏の議長に就任した場合に市民社会と世界基金のパートナーシップに支障が出るのではないかとの懸念を表明、強い難色を示した。結局、実施ブロック側からコンセンサスを得た候補を出すことが出来なかったことから、議長選は7月以降に延期、それまで現議長のグプタ氏、副議長のマタカ氏が継続して務めることとなった。

それ以外に、今回の理事会では、医薬品の安価な調達等について検討する「市場ダイナミクスに関する臨時委員会」の設置と、案件の管理に関わる「ポートフォリオ委員会」の再編、性的少数者の世界基金へのアクセスを拡大するための「性的指向およびジェンダー自認に関する戦略」 Sexual Orientation and Gender Identity Strategy の採択、HIV/AIDSに関する世界基金の役割に関する討議などが行われた。