2009年4月30日、世界銀行は、内部委員会による同機関のエイズプロジェクトについて評価をまとめ、同プロジェクトの大半が、この10年間で成果を挙げていないことを発表した。

報告によれば、世界銀行が融資するエイズプロジェクトの、アフリカを以外の10案件のうち7案件、アフリカで融資する10案件のうち8案件が十分な成果を挙げていないという。主な理由として、政策遂行能力がまだ十分でない途上国の官僚たちにとって、プロジェクトが複雑すぎること、複数のNGO、政府機関といった援助機関を調整することの難しさを挙げている。
評価の対象となった保健・栄養・人口セクター担当局長ジュリアン・シュワイツァー Julian Schweitzer 氏は、報告書の評価に同意し、「融資の対象国や我々の能力を超えた高い目標を持ちすぎた。」と述べている。

保健・栄養・人口対策への融資額は、1997年以降10年間で170億米ドル(約1億7,000万円)の拠出で、とくにエイズ対策への融資は2008年の10億米ドル(約1,000億円)から2009年には30億米ドル(約3,000億円)と3倍になり、評価が分かれている。

1997年から2006年までに、世界銀行が感染症対策に融資する6割近くはエイズ対策向けである一方、マラリア、結核、ハンセン病といった他の感染症では、マラリアが3%、結核が2%と少ない融資額で大きな成果を挙げている。こうした感染症対策については、10案件のうち9案件は、充分な成果を挙げている。

同報告書はエイズ対策予算に多額の資金が配分され、他の予算が減少したことによって、家族計画や栄養不良改善の援助が後退していると報告。報告書の主著者マーサ・アインスワース Martha Ainsworth 氏は、「最貧国において家族計画は、分娩時の死亡率を下げる上、非常に重要な概念である。誰も、アフリカの高い合計特殊出生率を下げることに関心を向けていないことは、重大な問題である。」と話す。

同報告書では、今回のエイズプロジェクトに対する改善策として、調整すべき援助機関数を減らすこと、プロジェクトを簡潔かつ現実的な目標に取り組むことを指摘した。

しかし、先のシュワイツァー氏は、プロジェクト管理では、援助機関と受け入れ国の調整こそが重要であり、いい結果を生み出す要素であると指摘しながら、「健康問題は複雑である。プロジェクトを単純なものにすること自体が、簡単にはいかない。」と話す。

原題:Report Says Bank’s AIDS Efforts Are Failing
日付:May 1, 2009
出典:NY Times
URL:http://www.nytimes.com/2009/05/01/world/africa/01africa.html