2009年4月、国際航空税などを財源に安価に治療薬を購入・供給する国際機関である「ユニットエイド」UNITAIDと「クリントン財団HIV/AIDSイニシアティブ」CHAIは子供用を含めた抗HIV薬を製造するジェネリック医薬品会社と交渉し、41種類の製薬価格引下げに成功したことを発表した。国境なき医師団MSFはこの発表を歓迎している。

価格引下げが可能となった製薬の中には抗レトロウイルス薬テノホビルTenofovir〔TDF〕、(ブランド名:ビリアード)も含まれている。2006年、世界保健機関WHOはガイドラインにおいて、深刻な副作用を引き起こす可能性のある抗レトロウイルス薬スダブジンStavudine〔d4t〕(ブランド名:ゼリット)ベースの旧療法を終了し、TDFを含めた、毒性が弱く1日1錠のみ内服すればよい治療法を採用すべきだと提案した。しかしながら、TDFはいまだに高価であることが大きな障害となっており、アクセスが容易ではなかった。MSFの必須医薬品キャンペーンの薬剤師、ジャニス・リー氏 Janice Lee は「最善の治療薬を患者に届けるためこれらの新価格を引き出すことは長い道のりであった。我々はこれからは政府にこの新薬の利用を交渉し、WHOにTDFを含めた製薬を早期に承認するよう働きかける」と述べている。

その他、今回の価格引下げでは混合薬ロピナビル・リトナビルLopinavir/ritonavir〔LPV/r〕(商品名:カレトラ)の価格が患者1人当たり年間500米ドル以下となった。LPV/rは第2世代治療薬としてWHOが推奨するプロテアーゼ阻害剤の1つであり、過去にLPV/rの途上国への流通を制限していた特許権を有するアボット社の製薬よりも安価になったことを意味する。

CHAIがこれらの新価格薬を加盟国70ヶ国に配布することを発表したが、その多くの国ではこれらの薬が特許権によって保護されている。即ち、後発薬は自主的な同意または強制発動権なしでは利用できないため、中国や南アフリカ共和国、コロンビアのような国では後発薬が利用できない。したがって、UNITAIDおよびCHAIはこの障害を取り除く明確な戦略が必要であり、WHOから強制発動権を実施しなければならない各国へ、政策面や技術面のサポートも施す必要があるであろう。

原題:MSF: Price of Generic Aids Drugs Slashed - Patents Prevent Some Countries from Accessing the Cheaper Drugs
日付:20 April 2009
出典:国境なき医師団 必須医薬品キャンペーン 特設サイト
URL:http://www.msfaccess.org/media-room/press-releases/press-release-detail/?tx_ttnews[tt_news]=1543&cHash=48e31422d8