2009年7月8日―10日 イタリア中部ラクイラで行われたG8サミット(主要国首脳会議)で各国首脳らは、世界で貧困に苦しむ人々にとって必要な保健分野に関する拠出の拡大や途上国の財政不均衡問題について話し合った。現在の世界経済危機は、途上国への対外投資を減少させ、物価が下がり、輸出を滞らせる原因となっている。
40年前の1969年、元カナダ首相であったピアソン氏による「ピアソン報告」で各国政府の目標となり、2005年にメキシコ・モントレーの国連開発資金会議で再確認された「0.7%目標」(GDPの0.7%をODA 政府開発援助にあてる)はいまだにまったく達成の目処が立っていない。保健分野への支援不足は、待ったなしの深刻な問題である。20万人の子どもたちが死に、抗レトロウイルス薬の不足のため、170万人のHIV陽性者が、日和見感染症で命を落とすのではないかと推測されている。

英国、ノルウェー、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの首相らは、「ミレニアム開発目標」にかかげられた保健に関する3つの目標を達成するには、国際社会は、少なくとも1年に450億米ドルを国際保健分野に拠出しなければならないと発表している。革新的資金メカニズムとして注目されている「国際為替取引税 currency transaction levy 」の導入は、世界の通貨取引市場の0.005%の税収のみで、毎年400〜600億ドルを国際開発分野に充当できる。英国の国際NGOであるアクション・エイド ActionAid やオックスファム・ブリテンOxfam GBも、英国政府へ「通貨取引税」を導入し、それらの税収を途上国支援に利用してほしいと要求している。

【2009年7月31日東京発=グローバル・エイズ・アップデイト編集部】日本においても、「通貨取引税」に向けた議論は深まりを見せている。日本総研会長の寺島実郎氏を座長とする「国際連帯税推進協議会」が設立され、外務・財務・環境の3省の関係部局担当者や、この問題に関心を持つ国会議員などが、国際連帯税の実現に向けて日本が役割を果たせないかどうか検討している。7月30日にも、参議院議員会館の会議室で、第4回目の協議会が開催され、NGOや各省庁の代表者、研究者、国際機関関係者らが、超党派の議員とともに、連帯税の創設に向けて討議した。

原題:Currency trading tax to help global poor
日付:Tuesday 7 July 2009
出典:The Guardian
URL:http://www.guardian.co.uk/world/2009/jul/07/letters-g8-italy