2000年に南アフリカ・ダーバンで開催された世界AIDS会議はHIV/AIDS感染拡大の危機に世界規模で取り組むという大きな転換点となった。それから9年後の2009年7月19日〜22日に第5回国際エイズ学会HIV病理学・治療に関する国際会議が南アフリカ・ケープタウンで開催された。9年ぶりに南アで開催された、HIVの病理学及び治療に関する国際会議は、HIV対策のこれまでの進展を振り返るきっかけとなった。
会議は治療計画の進展や早期治療開始による効果、予防目的の抗レトロウイルス療法など科学的トピックが含まれており、AIDS予防プログラムが結核やマラリア・性感染症にも効果があるという点で注目を集めた。現在の国際保健政策の流れの中では、1つの病気に的を絞ったプログラムでは対象が限られてしまい、途上国の人々の健康改善を持続的に達成できないと批判されている。一方、世界エイズ・結核・マラリア対策基金や「ワクチンと予防接種のための世界連盟」(GAVIアライアンス)The Global Alliance for Vaccines and Immunization(GAVI Alliance)などの活動は、受益国がHIV/AIDS問題に取り組むだけでなく、医療制度の強化や社会的不平等問題改善の手助けにもなっている。

このような成功の反面、この9年は未達成の目標があるのも見落としてはならない。WHOの「3by5プログラム」は2005年までに300万人に抗レトロウイルス薬を提供することを目標にしていたが、実際は130万人にしか配布できなかった。また、2010年は普遍的アクセス(Universal Access)の期限だが、300万人は薬が得られるが、700万人は得られないと推定する。

治療プログラム拡大には資金が重用だ。HIV/AIDSプログラムは過去10年間で約40倍に増加し、2007年に100億ドルを費やしている。世界基金に提示された年間要求額は、2007年は5〜10億ドル、2008年は27.5億ドルに増加した。2010年は更に増加するだろう。しかし、経済不況により世界基金は資金不足に直面している。国際社会はHIV/AIDS感染予防や治療を継続するために低資金で成果のある手法を探す必要がある。

我々は現状の資金にあった目標の見直しを検討している。その目標値はこれまでの経験から、多くの人々に希望を与える現実的なものでなければならないと考える。

原題:Safeguarding the future of HIV/AIDS initiatives
出典:The Lancet
日付:2009/9
URL:http://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(09)70208-7/fulltext