2009年11月27日、カリブ海の島嶼国トリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインで開催された英連邦諸国首脳会議の場で、市民団体が参加諸国に対し、植民地時代のままの差別的な法制度、とくに同性愛男性間の性交渉を罰する法律の廃止を訴えた。これらの市民団体は、「ポート・オブ・スペイン市民社会声明」を発表、英連邦諸国に対し、同性愛者や性産業従事者、薬物使用者のように社会の主流から取り残され脆弱な立場にある人々が、有効なHIV感染予防策やAIDS治療・ケアにアクセスできなくなってしまうような不適切な法制度を新設しないこと、また、これらの人々を差別・排除する可能性のある既存の法制度を積極的に廃止していくことを呼びかけた。さらに、これらの市民団体は英連邦諸国に対して、HIV陽性者サポートの一環として、2011年までの反差別法制定を求めた。
全部で53ある英連邦諸国のうち、同性愛男性やその他の性的マイノリティを罰する法律を廃止したのは、たった6カ国だけである。それどころか、近年、東アフリカのウガンダでは、国会が反同性愛法案 Anti-Homosexuality Bill を審議している。この法案ではHIV陽性の同性愛男性が性行為を持った場合に死刑を科すことができるようになっており、さらには、同性間性交渉や同性愛の存在を公衆に明らかにすることも処罰対象となっている。

以前、国連事務総長アフリカHIV/AIDS問題特別代表を務めたスティーブン・ルイス氏Stephen Lewis は、「もし英連邦諸国がこのウガンダの法案に対して何も対応しなければ、カリブ海諸国での同性愛禁止法の継続維持や新規制定の動きに拍車をかけることになり、さらにはより上位の連邦諸国の原則も壊れてしまうことになるだろう」と語る。ルイス氏は、同性愛を罰することは、同性愛者がHIV感染予防策やAIDS治療にアクセスしにくくなることにつながると強く訴える一方、こうした法制度の廃止は実現可能だとも期待を寄せている。たとえば旧スペイン領・ポルトガル領のラテン・アメリカ諸国のほとんどでは、現在までに反同性愛法が廃止されており、これによりHIV感染予防対策がうまく機能している。またインドの最高裁判所で2009年7月に、植民地時代から続いた男性間性交渉禁止法が廃止されている。

イギリスの人権活動家ピーター・タッチェル氏 Peter Tatchell によれば、「この20年間、歴代の英連邦諸国首脳らは、程度の差こそあれ、みな同性愛者への差別や暴力へ立ち向かうことに、組織的に継続的に失敗しつづけている」「同性間性交渉は、ウガンダ・バングラデシュ・ガイアナ・シエラレオネでは最高で終身刑、マレーシアでは懲役20年および鞭打ち刑、ナイジェリア・ケニア・マラウイ・パプアニューギニアでは懲役14年に、またナイジェリアの12州にはシャリーア(イスラーム法)が施行されており、そこでは同性間性行為を行ったものを死刑にする規定が含まれている。」

英連邦諸国の大半はアフリカとカリブ海沿岸にあり、この2つの地域が、世界で最もHIV感染率の高い地域となっている。

原題:Commonwealth states must repeal discriminatory, anti-gay laws
出典:aids map
日付:2009/11/27
URL:http://www.aidsmap.com/en/news/0E37E5C4-6302-40D8-AC49-D6967A5AA316.asp