1996年以降、アフリカ中央部のコンゴ民主共和国(コンゴ・キンシャサ。コンゴ共和国(=コンゴ・ブラザビル)ではない)は全土が内戦に巻き込まれ、現在でも、東部では内紛が続いている。その中でレイプは武器の1つとして相変わらず行われ続け、国連人口基金が2月に発表したデータによると、東部地域では2009年、8000人もの女性がレイプされたということだ。
コンゴ民主共和国は、国連の平和維持軍(PKF)の最も大きな活動先ともなっているが、PKF自体が性的暴行に関与したこともあり、その権威は失墜し、混乱助長の原因ともなっている。正確な被害総数は被害者が偏見や報復を恐れて告白しようとしないため不明だが、推測では10万件とも、実数はそれ以上とも言われている。

こうしたレイプが広まっていることは、傷害や予期せぬ妊娠、社会的孤立やPTSDといった問題に加え、HIV/AIDSの問題も引き起こす。コンゴ民主共和国の戦闘員の60%がHIV陽性であり、このため彼らが女性を暴行すれば、HIVを撒き散らすことになるのである。

コンドームをしないセックスでは、女性は男性の2〜4倍もHIVに感染しやすいといわれており、また無理やり性交することにより膣に傷が生じればなおさらHIVが入ってきやすくなってしまう。この地域で性的暴行の影響に関する具体的な科学的調査が行われたことはないが、レイプの被害女性をサポートする団体からの報告では、医療ケアを求めてくる人の最大20%がHIV抗体検査陽性とのことだ。

暴力がHIV/AIDS問題を悪化させるのと同じく、暴力はHIV問題対策のためのインフラもだめにしてしまう。コンゴ民主共和国全体でのHIV感染率は4.5%にすぎないが、HIV/AIDSによる死亡率は特に高く、これは国じゅうが貧困状態で適切な治療が受けられないためだという。コンゴ民主共和国国内のHIV感染者数は1500万〜3000万人と推定されているが、そのうち1.5万人だけしか治療が受けられていない。

コンゴ民主共和国政府は、性的暴力とHIVの問題対策として、2006年にレイプ被害者が加害者を告訴できる法律を施行したほか、HIVを国の成長・貧困削減戦略の5本柱の1つとして掲げることとしたが、こうした美辞麗句と実際の政府の行動には著しい差が存在している。
例えば、国としてのAIDSプログラム資金の98%が国際的ドナーからの寄付で賄われているため不安定であったり、政府としてARV治療を無料で行うと謳っているにも関わらず、実際には必要とする人の10%にしか提供できていなかったりすることがこれにあたる。

さらに、HIVケアの提供先が、首都キンシャサやルブンバシといった大都市に集中していることも問題となっている。HIV/AIDSの影響を強く受けている地域は、検査も治療も受けられないまま放っておかれているのである。

コンゴ民主共和国国内の内紛は、HIV/AIDS問題を悪化させ、HIV/AIDSに対する政府の対策をも制限してきている。官民問わず社会のあらゆるセクターにおいての安定を求めることは、平和の回復を求めることにつながり、さらにそれは、コンゴ民主共和国国民の安全・健康・福祉について政府が強く関わることへのニーズにもつながっている。

原題:Congo-Kinshasa: Sexual Violence Exacerbates National Aids Epidemic
Allyn Gaestel
出典:all Africa.com
日付:2010/2/10
URL:http://allafrica.com/stories/201002120779.html