【2月25日発】ウガンダ共和国政府によれば、財政危機により、母子感染予防(PMTCT)療法の改善が難航しているという。

世界保健機構 WHOは2010年、有効性がほぼ同じPMTCT療法を2案提案した。オプションAは、ウガンダが現在採用しているシステムに非常に良く似ており、CD4値が350以上の母親に対し、妊娠14週目から分娩時、産後一週間まで、抗レトロウイルス薬(ARV)一剤 single doseを投与するものだ。CD4値が350以下の妊婦についても、母子の健康のために、ARV薬の服用を始めるよう推奨している。

オプションBは、「産後一週間」までを対象とするオプションAと異なり、妊娠14週目から授乳の終了一週間後まで、三剤混合薬を服用するもので、期間は最大一年に及ぶ。医療従事者や母親にとってはオプションAよりも単純な方法であるため、ウガンダ政府はオプションBへの移行を計画していたのだが、HIV対策費が削減されてしまった今、この案の実施は困難だ。

「この国にはオプションBに必要なARV薬がないため、すぐに移行することができません。オプションAに必要なARV薬しか手に入らず、使用しなければ使用期限が過ぎてしまいます。」ウガンダ保健省のPMTCTコーディネーター、ゴッドフリー・エシル氏Godfrey Esiruは話す。WHOの推奨する2案のうち、オプションBの方がより費用を必要とするが、完璧に治療が行われれば、2年以内にHIV感染を2%にまで減少させることが可能となる見込みだ。

ウガンダでは、1年に140万人の女性が妊娠するといわれている。HIVに感染している妊婦のうち、CD4値が350以上の女性は40%、母子感染の発生率は75%だ。政府によれば、オプションBへ移行した場合、即座に治療が必要となる人数が8万人増加するという。

国内全土の32,990名にARV薬を提供している、ウガンダ最大のARV薬供給団体であるNGO「エイズ支援機構」TASOは、オプションBに移行した場合、新たに20,000人への治療薬の提供が必要になるとしている。

「対象となる患者が大幅に増えると思われます。援助がない限り、実現は不可能です。」TASO医療プログラムの中央・南西エリア代表、イサイア・カランジ医師Isaiah Kalanziは話す。

何万人もの女性がPMTCT治療を確実に受けられるようにするということは、同時に国や自治体レベルで、国内の1,100以上の公共医療機関がPMTCT治療に必要な物資を保有する必要があるということになる。

エシル氏は次のように話す。「我々の課題は、ARV薬を確実に入手することです。また、妊婦と関わるすべての医療従事者へのトレーニングが必要になります。」

さらに、医療機関で子供を産むウガンダ人女性は半分以下であり、より多くの女性がPMTCT治療を受けられるよう、政府は情報公開とコミュニティの仕組みをステップアップしていく必要があるだろう。
財政面や物資面での深刻な制約にも関わらず、政府は今後のオプションBの採用に向け、準備を進めていくことを決定した。「難しい判断ですが、2つのパイロットで今年ロールアウトを開始します。」保健省のHIVプログラム代表、ザイナブ・アコル氏Zainabu Akolは話す。

アコル氏によれば、国境なき医師団M!)decins Sans Fronti!)resとカトリック救援サービスCatholic Relief servicesの2団体からの資金提供により、このプログラムのパイロットを行うという。

エシル氏によれば、ウガンダではすべての治療について、まずは2011年末までにオプションAへ移行し、リソース不足が解消されれば、2012年までにオプションBへ移行する予定だとしている。

「リソースという意味では完璧ではないかもしれませんが、HIVの母子感染を減らすよう、前に進まなければなりません。」HIVに感染した4000人以上の子供たちを診ている、バイラー・ウガンダBaylor-Ugandaの代表であり、小児科医でもあるアディ・ケキティンワ氏はそのように話す。

原題:Uganda:Cash crunch delays shift to WHO-recommended PMTCT regimen
出典:IRIN Plus News
日付:February 25, 2011
URL:http://allafrica.com/stories/201102281466.html