【2013年7月15日 シドニー(オーストラリア)発】4月30日に発表された「HIVのスクリーニング:米国予防医療作業部会による勧告声明」Screening for HIV: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement は、米国において「エイズのない世代」AIDS-free generationを生み出していくうえで、さらなる大胆な措置を示した。革新的な方法でHIV検査をより手軽に受けやすくする新たな試みや、抗レトロウイルス治療の早期開始などと共に、健康対策とウイルス感染予防に向けて、この作業部会の勧告は、米国におけるHIV発生率を大いに減少させる可能性がある。

豪州ではHIV予防に関して、少なくともゲイコミュニティーにおいては、どのようなセックスにも「毎回コンドームを使おう」と表現されていた昔から大きく進歩してきた。

「セロ=ソーティング」Sero-Sorting、つまり、コンドームを使わないセックスをする場合には、陽性者同士、もしくは陰性者同士でやること、また、「戦略的ポジショニング」Strategic Positioning つまり、HIV陰性の人がアナルセックスで挿入側になるなどの予防方法は今や必須である。抗レトロウイルス薬による暴露後予防と暴露前予防は、コンドームの使用を増やし、個人のリスクの少ない行動を促すことができるだろう。米国の声明は、臨床医たちに15〜64歳の全ての若者と大人への検査を求めている。これは通常の研究室でのHIV検査により実施され、病院で、もしくは地域に基づいた形で行われる。

医薬品行政局によって2012年に承認された簡易検査は、現在豪州の各地で実施されている。だが問題は、豪州は米国の声明に従って全ての若者と大人に対して検査すべきであるかということだ。英国の場合、HIV行動計画では、妊産婦診療、性の健康に関する外来、妊娠中絶外来に通う患者や結核、肝炎、リンパ種を罹っている患者には、「オプト・アウト」(拒否しない人にはHIV検査を行う)という形でHIV検査を勧めている。

それは豪州よりもHIV検査の拡大において先を行っているものである。つまり、英国では、一般診療の全ての新しい患者と全国でもHIV感染率が高い地域にある病院の入院に際し、「オプト・アウト」方式により検査を勧めている(例えば、15〜59歳1000人中、HIV感染者が2名以上いる地域)。これらの取り組みは、患者に受け入れられると同時に費用効果があることを示した。一方、エコノミスト紙の最近の記事では、HIVのほとんどがまだ診断されておらず、比較的手の届く抗レトロウイルス治療が受けられるインドで、全ての人に検査を実施することは費用効果があるとされた。豪州では、2011年には、ビクトリア州が国内で最もHIVであると診断された人が多く、10万人あたり5.7人だった。

一般的に、豪州でのHIV診断率は過去10年で増え続けており、感染に気付いていないHIV陽性者は全体の20%であると推測されている。では豪州はアメリカに従い、全ての若者と大人にHIV検査を推奨すべきであろうか。豪州の医療レベルを考慮すると、感染に気付いていない人々の数を減少させ、早期抗レトロウイルス治療を提供し、そしてこれ以上のHIV感染を減らすことができるかもしれない。しかし、課題は残る。オプト・アウト方式の検査は、患者や医者たちに受け入れられるだろうか。そしてもちろん、HIV患者数が比較的少ない豪州で費用効果はあるのか。これらの問いに対する答えを探す時が来た。

原題:Should We Screen for HIV?
出典:Medical Journal of Australia, Issue 26
日付:2013/7/15
URL:https://www.mja.com.au/insight/2013/26/darren-russell-should-we-screen-hiv