【2013年7月8日】世界保健機関 WHO は6月30日、新たなHIV治療ガイドラインを発表した。このガイドラインでは、成人のHIV陽性者の免疫量を示すCD4の数値が500個/mm?以下になった時に抗レトロウイルス治療を開始するよう促している。早期治療は合併症のリスクを減少させて予後を良好にするとともに、ウイルス量を減らし他者への感染を防止する。また、ウイルス量やCD4リンパ球の測定といった経過観察を受けやすくするよう提案した。これより治療の失敗を早期に発見できるからだ。さらに、HIV陽性の5歳未満の子ども、全ての妊婦、HIV陽性の授乳中の女性、HIV陰性のパートナーを持つHIV陽性者も治療を受けるよう求めている。


実現には、真の政治的意思が求められる。ガイドラインによって抗レトロウイルス治療の対象者は1500万人から2600万人に増加したが、実際に治療を受けているのは970万人にとどまる。一方、多くの国では、トランスジェンダー、セックスワーカー、同性愛者、薬物使用者が差別され、予防や治療を受けられずにいる。ウイルス量やCD4の測定といった経過観察は、発展途上国ではコスト高や器具の不足によりほとんど行われていない。

アフリカ連合は、2001年、政府の予算の15%を保健分野に割り当てるというアブジャ宣言を採択したが、この宣言を達成したアフリカ諸国はわずか数か国であること、世界基金が今後3年間のために50億ドルの追加資金を調達するのに大変な苦労をしていることを考えると、新ガイドラインの実施は困難を伴うだろう。

資金問題に加え、医薬品の知的財産権が治療への普遍的なアクセスを阻害している。ジェネリック薬の登場により、第一、第二選択薬の費用は下がったが、第三選択薬の費用は特許によって貧しい国には手の届かない額となっている。しかし、患者が増えるほど、第一選択薬に対する耐性も増加する。WHO、UNAIDS、UNDPは、HIV薬へのアクセスを改善するためにTRIPS協定の柔軟性の利用を勧める提言を行った。そうすれば、後発発展途上国はより安価なジェネリック薬を特許に関係なく輸入することができるからだ。

まもなく世界貿易機関 WTO の「2003年8月30日の決議」から10年を迎える。この決議によって、自国で薬の生産能力を持たない国が特許のあるジェネリック薬を輸入する仕組みが提供されたが、この10年間で1度しか使われていない。今こそ状況を精査し、途上国が必要な薬を輸入しやすくするための仕組み作りを行うことが必要だ。

原題:WHO shows the way, governments must follow
出典:Act Up-Paris
日付:2013/07/08
URL:http://www.actupparis.org/spip.php?article5201