【2017年10月3日発】グローバルファンドとともに、世界のエイズ対策の資金供給や実施の根幹の一つを成している「米国大統領エイズ救済緊急計画」 PEPFAR は、9月19日に米国政府のレックス・ティラーソン国務長官 Rex Tillersonが発表した新戦略のもと、2020年までにHIVの流行を管理下に置くことができる可能性の高い13カ国へ「資金拠出を集中」する予定だ。ただし国務省によると、現在治療を受けている人々は今後も治療を受け続けることができ、PEPFARは50カ国以上でプログラムを継続する見込みだ。13ヵ国というのは、ケニア、ザンビア、タンザニア、ウガンダ、ジンバブウェ、マラウイ、レソト、コートジボワール、ボツワナ、ナミビア、スワジランド、ハイチ、ルワンダである。国務省は、「流行を管理下に置く時点」について、具体的にはこれを「HIV新規感染よりもエイズによる死亡が上回った時点」と定義している。

ロイター通信の記事によると、レソト、スワジランド、マラウイ、ザンビア、ジンバブウェの5つの対象国はすでに「HIV流行を管理下に置く」状況に近づいている。これは、疾病管理予防センター、コロンビア大学、地方自治体および非政府機関からの全国調査に基づいている。

この新戦略は2017年から2020年までである。しかし、米国の2018会計年度(2017年10月1日から2018年9月30日まで)の開始時に始動する見込みだ。また、新戦略はPEPFAR予算の規模が不確実ななか打ち出される。というのも、トランプ政権はPEPFAR予算を、現行の年間約60億ドルから10億ドル削減するよう提案している。しかし最近、上院歳出委員会が、予算を60億ドルのまま維持するよう投票した。 現段階において、12ページの戦略文書では詳細は不明だ。例えば、PEPFARの予算のうち、どれくらい多くのPEPFAR予算を13の優先国に配分するか、また他のPEPFAR諸国への予算をどれだけ削減するかについて説明していない。

米国のエイズ対策に関するアドボカシー・直接行動NGOである「保健への地球規模アクセス・プロジェクト」Health Global Access Project (Health GAP )は、この新戦略に批判的だ。新しいリリースの中で、「新戦略は13ヵ国の流行コントロールに向けた対策を推し進めているが、その一方で『優先国』ではない37ヵ国への対策は失速している。そのため、何百万人ものHIV感染者を取り残すこととなる」と述べている。

同団体のエイシア・ラッセル代表理事 Asia Russellは、「今日発表された新戦略は、政策立案者が片手を背中に縛り付けながら策定したかのようなエイズ対策だ。」と述べ、 「野心的な戦略であれば…モザンビークや南スーダン、コンゴ民主共和国、西アフリカの他地域など、疾病負荷が大きく、最もニーズが高い国々を対象とし、すべての国においてエイズを終わらせるために積極的に綿密な計画を立てるでしょう。」とさらに付け加えた。

グローバルファンドは、PEPFARが資金拠出をしている全ての国にも資金拠出をしている。 PEPFARが援助対象とする全50カ国には、2017-2019年の間のグローバルファンドの配分が通知されており、 PEPFARの定めた13の優先国のうち、ボツワナを除くすべてが既に資金拠出要求を提出している。また、その他の37カ国のうちほとんどが、すでに提案書を送っている。

グローバルファンドのセス・フェゾン・コミュニケーション部長 Seth Faisonは、「PEPFARの新戦略とどのように調整していくか、すでに取り組みをはじめている。」とAidspanに語った。