【2018年2月6日】世界の大部分では、出産後、胎盤は破棄され、新生児と母親のケアに重点がおかれる。しかし研究者らは、胎盤に多くの重要な細胞が含まれており、研究によって新生児の発達に関する重要な知見を得ることができるのではないかと考え始めている。
受精後、数週間のうちに胎盤が発達し胎児は成長を開始する。妊娠期間中、胎児の成長に伴い胎盤も高度に分化した器官となる。胎盤は、胎児に酸素、水、栄養を供給し、二酸化炭素を含む老廃物を除去するという重要な役割を果たす。また、母子間のホルモン(プロゲステロンやエストロゲン)のルートとして作用する。

しかし、HIV陽性の妊婦の胎盤がどのように発達するかは、今も明らかになっていない。サハラ以南アフリカにおける複数の研究では、母親になる人がHIVに感染していた場合、死産、早産、妊娠期間に対し胎児が小さく生まれるなどの問題に直面する可能性が有意に高いことが示されている。研究者らは、分娩時や新生児の健康にHIVが与える影響を詳しく知るため、胎盤について研究を開始している。

次のステップ
胎盤の役割を調べる一つの方法はその細胞を研究することだ。胎盤に含まれる多様な細胞集団は妊娠中、重要な役割を果たす。その一つは制御性T細胞と呼ばれる細胞集団だ。通常、妊娠中はこれらの細胞数が増加し、母親の血液を通じて胎盤に移動して胎児を保護していることが示唆されている。HIV感染した母親の胎盤に関する研究では、感染していない母親に比べこれらの細胞数が安定して増加しないことが示されている。このことは、胎児が保護されにくいことを意味している。

二つ目のアプローチは、胎盤の実際の構造とサイズを評価することだ。HIV陽性の母親の胎盤は通常よりわずかに小さかったり、炎症や血液と酸素の供給をブロックする病変があることもわかっている。こうしたことが新生児が妊娠期間に比べ小さいことの背景にあるかもしれない。

課題
胎盤の研究にはいくつかの限界がある。一つ目は、多くの場合HIVへの感染が判明した時点ですぐに治療が開始されることだ。これにより様々な変化がHIVウイルスによるものなのか、母親が受けた治療レジメンによるものなのか結論付けることがとても難しい。

二つ目は、胎盤の研究はコストが高く、時間のかかる研究であることだ。

三つ目は、胎児の安全性を損なうことなしに研究をすることは難しいことだ。特に妊娠初期や出生後に比べ妊娠第二期に行われる研究はほとんどない。

これらの限界にも関わらず、胎盤はとても興味深い器官である。HIV感染、非感染の母親の胎盤を研究することで、研究者らは子宮の中で起こっている出来事の情報を得ることができるのかもしれない。

原題:How the Placenta can Shed Light on HIV Mothers and Their Babies
出典 THE CONVERSATION
日付:2018年2月6日
URL: https://theconversation.com/how-the-placenta-can-shed-light-on-hiv-mothers-and-their-babies-90971