【2018年9月14日】抗ウイルス薬の発展は、HIV陽性者の状況を大きく改善してきた。にもかかわらず、世界に67万人いるとされる50歳以上のHIV陽性者に対する効果的な治療方法は、未だに見つかっていない。高齢のHIV陽性者 Pepople living with HIV : PLWH は、HIV陰性の同世代の人と比べると、様々な症状を起こすリスクが高い。例えば、認知症やうつ、孤独感をはじめ、医学的、社会的に多くの問題を抱える。HIVに感染した事実や性別に基づく固定観念などは社会的不名誉の要因となるが、これらに加え、年齢に基づく差別もPLWHを孤立させる原因となる。限られた予算の中ですべて世代のHIV患者への効果的なケアを提供する一方、PLWHへの効果的な対策を見つけることが、今必要となっている。

PLWHへの治療に関する主な問題は、治療の偏在である。首都など一部の地域に薬や治療の手段が集中する一方、他の地域では治療へのアクセスが不足している。その原因は、資源の不足や患者の貧困、治療を受けることへの社会的不名誉などである。

PLWHへの一次的治療は、身体的なケアと精神的ケアの双方をカバーし、長期的なニーズに応えうるものでなければならないが、その取り組みのひとつとして、自らが高齢者である専門家によるコンサルティングがある。専門家が単独ないしはチームで、その他の医療サービスや地域組織を結びつきアドバイスを行う。この取り組みの強みは、専門家が高齢者のことをきちんと理解できる点である。一方、外部からのアドバイスであるため、治療の実行に関する主導権が握れない点が弱点である。

さらに、代謝性合併症など、併存疾患を抱えるPLWHに対する代謝促進プログラムから生まれた取り組みがある。この取り組みの長所は、筋肉の低下など加齢に伴う疾患を考慮して治療できる点である。一方で、併存疾患の治療に焦点を絞ることで視野が狭まり、心理社会的側面を無視してしまう可能性がある点に注意が必要だ。

当初PLWHへの取り組みは、医学的アプローチの外側で主導されてきたが、今日では医学的プログラムも広まってきている。一部の取り組みでは、特定の地域における高齢世代の集団に焦点を当て、その地域の人口に特有の加齢に伴う問題への手がかりを得るとともに、治療のための正確なPLWHのスクリーニングの実施につながっている。

医学的根拠に基づいたPLWHへの取り組みは必要不可欠であり、各国の政府などは、PLWHへの一次治療の発展を促進する支援を行う義務がある。資源が豊富な地域と少ない地域とのつながりが増えれば、疾患への治療方法などの共有により、より多くのPLWHが健康管理に携われる環境を整えることが可能になるだろう。HIVがグローバルヘルスの一部としてとらえられるべきだと言われているように、HIVへのケアも、グローバルな視点で包括的に行われなければならないのだ。

原題:Older people with HIV are an essential part of the continuum of HIV care
出典:Journal of the International AIDS Society
日付:2018/01/06
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/jia2.25188