グローバル・エイズ・アップデート

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編集部オリジナル記事

アジア太平洋地域における若者へのHIV/エイズ啓発

【2013年11月18日バンコク(タイ)発:グローバル・エイズ・アップデート編集部】タイ王国の首都バンコクにて、11月18日から22日までの5日間、第11回アジア太平洋地域エイズ会議 ICAAP 11が行われた。本会議では、HIV/エイズ対策において核となる特定の人口集団Key Affected Populations (KAPs)にフォーカスした(または主体の)シンポジウムが数多く催された。「若者」Young PeopleはKAPsのうちの一つであり、会議の初日に開かれた若者向けのセッションには、同地域の若者が多く参加した。続きを読む

★もう少しで20周年:横浜エイズ文化フォーラム


【2012年8月3日 横浜(日本)発 グローバル・エイズ・アップデート編集部】1994年以来、毎年8月第1週に横浜市で開催されている「エイズ文化フォーラム」が本年も8月3日〜5日に開催された。日本では、HIV新規感染は継続して漸増傾向にある一方、社会的にはエイズ問題への関心は低下し、エイズに関するイベントも減っている。しかし、「エイズ文化フォーラム」は、現在でも多くのNGOや行政、保健医療関係者の参加によって開催され、横浜の夏の文化・社会的な行事として定着している。
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次号予告:ワシントンDC国際エイズ会議

7月22〜27日、米国のワシントンD.C.で開催された国際エイズ会議に、本メールマガジンの編集責任者・稲場雅紀が参加しました。同会議の詳細については、次号で報告する予定です。

【インタビュー】編集責任者・稲場雅紀 =エイズと国際保健を取り巻く状況:変わったこと、変わらないこと=


★200号発行を達成して

―まずは200号達成の率直な感想をお願いします。

2004年に創刊して以来、途中でやめようと思ったこともありましたが、8年間も続けてこられました。隔週ペースを保って継続してきた、積み重ねの成果と思います。1300人近くの読者の皆様と、毎回翻訳を仕上げてくれるボランティア研究員に感謝です

―メールマガジンを創刊する具体的なきっかけはどういったものでしたか。

創刊当時、国際的なエイズ問題の情報があまりにも国内で紹介されていなかった、ということがあります。されていたとしても、保健医療や援助業界に関わる人の間だけの、偏った情報だったんです。しかしエイズは『医療』的なアプローチや、上からの『開発』のアプローチだけでは解決の付かない課題です。とくに、HIV感染の可能性に最も直面している、男性とセックスする男性MSMやセックスワーカー、移住労働者、薬物使用者などのコミュニティについては、開発関係者や医療従事者が『上から』手を差し伸べるなどといったアプローチでは解決しない。当事者自身が『コミュニティの健康を守る担い手になる』ということが必要で、それには、医療や旧来の『開発』のアプローチでは難しいのです。

 しかし、日本では、途上国でどういうコミュニティがあってどんな取り組みがされているのか、ほとんど伝えられていませんでした。そこで、NGOなど市民社会が、WEBなりメールマガジンなりで情報発信を担う必要性を感じたっていうのが発端です。また、例えば青年海外協力隊のエイズ対策隊員とか、現場でエイズ啓発プロジェクトを行う人から、現地でアクセスできる情報だけでは限界があるので、マクロな視点での最新のエイズ対策の動向や他地域の対策方法も知りたい、というニーズを聞いていたことも、創刊のきっかけになりました。実際カリブ海の島でエイズ対策に取り組んでいるエイズ対策隊員から『参考になっている』旨のコメントを頂いた時は、やりがいを感じました。

―なるほど。ということは、稲場さん独自の案だったのでしょうか。

8年前のある日、起きた時に、ふと発行を思いついたのが最初です。一方で、2002〜04年に行ったアフリカ日本協議会(AJF)の事業の1つである、グローバル・エイズ問題をテーマにした感染症研究会では、AJFの斉藤龍一郎事務局長が色々な情報の翻訳をすでにしていました。そういった翻訳・編集作業をシステム的に行って、外への定期的な情報発信としてシリーズ化したいという声もありましたし

―稲場さん自身が、国際保健事業に取り組み始めたのはいつからですか。

AJFに来る前に勤めていた『動くゲイとレズビアンの会』で、自らゲイという立場で94年からHIV/AIDS予防啓発や、同性愛者の解放運動に関わっていました。グローバル・エイズという分野については、HIV/AIDSをとりまく運動のルーツの1つである、アメリカのゲイ・レズビアンのコミュニティと深い関係がありました。それと、90年代はマレーシア、タイ、インドネシア、インドといったアジア各国での啓発運動が活発になってきた時期です。私は95年にチェンマイで行われたアジア・太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)に出席しましたが、その後、97年のマニラ、99年のクアラ・ルンプールでのICAAPと進むに従って、これらの運動は活発になって行きました。こうした経験から、アジア全体での運動の連携ということを考えるようになったのが契機だったと思います。

アフリカのエイズ問題が焦点化したのは、2000年前後に知的財産権と必須医薬品へのアクセス権が1つの大きな課題として挙がっていたころですね。この課題は、『人々のいのち』と『企業の利益』の矛盾ともいえる課題ですが、日本ではあまりこの問題への関心が広がっておらず、仕事柄『企業の利益』側に立つ人たちはたくさんいても、『人々のいのち』の側にたとうという動きが少なかったのです。そこで、日本の市民社会としてラディカルな運動を日本でも起こしていく必要がありました。そこで、市民社会の受け皿とつくるという意味で、2002年AJFに移りました。そのときAJFの林代表理事の方でも、アフリカだけでなく、途上国全体のエイズ問題に、特にアドボカシーを通じて取り組みたいっていう思いがあった。なので、AJFの一事業として始めようってことになったんです。

―エイズ以外にも感染症全般を扱うのに、タイトルが「グローバル・エイズ・アップデート」なのはなぜでしょう。

最初のころはエイズの話題がほとんどでした。でも、2004年から、世界の三大感染症対策に迅速に資金を拠出する仕組みである『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』(世界基金)の理事会に、先進国NGO代表団のメンバーとして参加するようになり、結核・マラリアの課題にもかなり関心をもつようになりました。実際、知的財産権や治療薬へのアクセス、二重感染問題など、重なる課題が多い感染症については、エイズだけでなく、結核・マラリア、また、顧みられない熱帯病なども扱う必要が出てきたため、より多面的な情報を掲載するようにした、というわけです。

―第100号記念号では、創刊した2004年〜2008年に国際保健をとりまく状況がどう変化したかお伝えしたようで。で、2008年以降今日までについてはどうですか。

ミレニアム開発目標(MDGs)も中間地点が過ぎた頃、08年9月にリーマン・ショック、世界金融危機が起こりました。さらに2011年以降欧州経済危機も重なって、HIV対策への各国の資金拠出が先細りしつつあるのが現状です。全体的な傾向として、特に問題なのは、『HIV/AIDSに分不相応に多額な資金が使われている』『MDG6は、保健分野MDGの中で一番成功しているんだから、ここへのお金は減らして、他の分野に使えば良い』というような風潮が強くなってきていることです。実際には、これだけ頑張っても、HIV治療は必要な人の4割強しか届いておらず、耐性の問題は深刻化しています。三大感染症で言えば、多剤耐性結核なども深刻です。新興国の発展に伴って、大陸間の人口移動が拡大していますが、これと関連した国際的な感染症対策の動きはあまり見えていません。後になって『知らなかった』では遅いのです。

一つ、考えなければならないのは、『エイズばかりにお金が使われている』のではなく、『他の保健課題に十分な資金が投入されていない』ことが問題であるということです。世界基金が途上国に三大感染症対策として拠出した資金は2013年7月までで合計約170億ドルですから、年間平均で約17億ドル(=1360億円)となります。この額で、途上国のマラリア・結核対策費の75%、エイズ対策費の22%を捻出しているわけです。これと比較すると、NHKの年間予算が毎年7000億円近くにのぼります。NHK一つで、世界基金の5倍の資金を使っているわけです。ましてや、世界の軍事費の額と比較したら、国際保健に使われている資金量はごくわずかです。小さなパイを取り合うよりも、人々の健康を守ることに、もっと多くの資金を、という取り組みこそが必要だと思います。

―世界基金も大きく変わっていますね。

そうですね。2011年、この欧州経済危機と相まって、世界基金の拠出先の一部諸国での資金の不正使用などが喧伝され、世界基金は大幅な資金不足となりました。そこで、世界基金の11月の理事会で新規案件募集を14年まで中止すること、G20の上層中所得国(ブラジル、インド、アルゼンチン、トルコ、中国、ロシア)には資金提供を行わないとの決定をしました。

また、これまでの事務局長が辞任し、事務局統括代表として中南米の銀行界で活躍してきたガブリエル・ハラミーヨ氏をおいて『資金受託者の管理』fiduciary control の厳格化を中心とする組織の大改革を開始しました。すでに事務局は、部門配置を大きく変え、より多くの職員が案件の管理にあたる体制に変わっています。新規案件の形成のしかたも、これまでの「ラウンド」制から大きく変わることになっています。この改革について、ドナー国側はいずれも歓迎の意を表し、かなりの額が拠出されました。結果として、新しい形での新規案件募集を2013年に開始することになりそうです。

ただ、一方で、世界基金のあり方が、これまでの『全員参加型』から、一部のドナー国主導の形にかなり変わったという批判もあり、市民社会も難しい対応を迫られています。

―具体的なエイズ対策については、変化がありましたか?

これについても、懸念材料はあります。ここ数年で、予防・検査・治療のいずれについても、コミュニティ・ベースで人々の力を積極的に活用しようというものから、医療ベースのものに大きく変えようという力が強まっています。

予防では、サハラ以南アフリカでの男子亀頭包皮切除のように、個人の行動変容ではなく、HIV感染の可能性を一定程度減らせるであろう外部的処置によって、地域全体での感染リスクを減らし、個人ではなく、国・社会の疾病負荷を軽減していこうというような考え方が強くなっています。検査も、『とにかくHIV陽性者を発見して治療につなげればよい』ということで、これまでのプレ・ポスト・カウンセリングなどを強調する方法から、本人が拒否の意思表示をしなければ検査するという形、さらには自宅でのキットによる検査まで推奨するなどの動きも出てきています。治療も、昨年、HIV治療を早期に開始してウイルス量を下げれば、性的パートナーの感染を96%減らせるという研究が出て、これを契機に、なるべく早い段階で治療を開始するというトレンドになってきています。

これは、国際保健における、最近の『エビデンス・ベース』の考え方の強化とも関係していると思いますが、コミュニティ・レベルでのプライマリー・ヘルス・ケアと人権という要素が退潮し、大きな資金を費やしての『実験』でエビデンスを作りだした上で、医療的なアプローチを主流化していこうという流れは、将来的に大きなリスクを生み出すのではないかと懸念しています。この流れは、今よりもずっと巨大な資金を必要とする可能性がありますので、流れに乗るのであれば、エイズに対する資金が予測可能な形で恒常的に拡大する必要がありますが、その保証はどこにもありません。

―国際保健に関わるイシューも多様化していますね。

そうですね。2007-8年ごろ、いわゆる個別課題対応型の保健アプローチに対して、保健システムを強化するという、包括的なアプローチが強調され、それに向けたイニシアティブが大きく作られようとした時期がありました。その時期に、特に注目されたのが『保健人材』についてです。ところが、その後すぐに世界金融危機が来て欧米の経済が停滞したとたんに、この『保健人材』に関する優先順位は急落しました。その後、『ポリオ』『非感染性慢性疾患』Non-Communicable Diseases、『普遍的保健カバレッジ』Universal Health Coverage などのアジェンダに注目が集まっています。

これらの課題はいずれも重要です。しかし、いずれも、様々な手法をミックスし、長期的に、予測可能な形でコミットすること、また、対策を阻む各種の制度的・社会的な仕組みをうまく変え、政策一貫性 policy coherence を作っていくことが不可欠です。最近の国際保健のトレンドは、減少する資金に対して、資金保有者への売り込みを狙った短期的な政策イニシアティブの乱立という傾向が著しいように思います。現状のトレンドで、非感染性慢性疾患や普遍的保健カバレッジ、保健システム強化といった骨太な課題に本当に取り組めるのかどうか、甚だ疑問です。

―200号以降、GAUではどのように取り組んでいこうと考えていますか?

HIV/AIDSという課題にしっかりとこだわりつつ、この課題との関連で、上記のような包括的な国際保健政策に関わる部分についてもフォローしていければと思っています。あと、もう一点は、『英語の記事翻訳』という限界がありましたが、多言語の記事の翻訳に乗り出す必要があると思っています。ロシア語、フランス語の記事を翻訳してくれるボランティアの方が、すでに参加してくれています。196号でロシア語記事でウクライナのエイズ状況をお伝えしましたが、同国は東欧最大のHIV感染率を記録していることもあって、情報を追っていきたいと思っていたところでした。これからはフランス語、スペイン語、中国語と幅を広げて、中南米や西アフリカの地域の話題も『現地で話される言語』で情報を集めていこうと思っています。

―ありがとうございます、最後に読者へ一言!

エイズや感染症問題を扱うことで、それらをとりまく社会状況全体を知る機会になります。エイズに関する一部のポジティブな評価の情報だけで、『感染症対策は上手くいっている』と軽視すべきではありません。エイズは、世界が国際保健に目を向ける最初のきっかけになりましたし、また、ミレニアム開発目標の創設も、エイズが大きなきっかけになりました。このことを忘れないで欲しいと思います。

2012年6月19日@AJF事務所  聞き手:編集部・和田奈月

◆関連記事
(2011年5月・169号)生活習慣病は、グローバルアジェンダになるか?
http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/51669165.html
(2012年5月・196号)マイクロビサイドに関する国際会議、HIV予防の新たな希望
http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/51758483.html
(2012年6月・198号)世界基金、市民社会チームを廃止
http://blog.livedoor.jp/ajf/archives/51762587.html#more

【GAU200号に寄せて 1】エイズが世界を教えてくれた


(特活)日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス代表理事
長谷川 博史

僕が自分のHIV感染を知ったのは20年前。39歳の時だった。バブル経済全盛の浮かれ気分に流されて、お気楽に生きて来た僕は、それ以来さまざまな問題と対峙することになる。

まず自分の死という問題が目の前に立ち現れた。それまで本気で自分の死について考えて事などなかった。それは、本気で生きる事について考える機会も無かったということだ。「自分が、今、現在、生きている」という単純な事実に気付くまで1年近い時間が必要だった。

次に直面したのがゲイという自らのセクシュアリティの問題だった。何故自分がHIVなどというものに感染し、そのことがどのような社会的意味をもっているのか。性のありようというものが生き方の問題で、ゲイである事も、HIVに感染していることも何ら恥ずべき事ではないという事にたどり着くまで10年以上の年月が必要だった。

その後、僕は神戸で開催される第7回アジア太平洋国際エイズ会議の組織委員会にHIV陽性者として関わる事になる。2002年の4月、初めてアジア太平洋HIV陽性者ネットワーク(APN+)の定期総会に参加するために、バンコクへと出向いた。国内の、しかもゲイのHIV陽性者の自助活動を細々と続けて来た僕がいきなり世界のエイズ問題と向き合わされた瞬間だった。その年の9月、アフリカのウガンダで開催された第11回世界陽性者会議に参加した。同じHIV陽性者でも国や社会の状況によって、治療にアクセスできない困難や、生きる事さえ許されない過酷な現実が横たわっていることに衝撃を受けた。それを教えてくれたのは、同じゲイのHIV陽性者であり、セックスワーカーや薬物利用者であり、貧困の中で戦い続ける女性であり、世界中のHIV陽性者たちだった。

当時は知り合ったばかりの友人の訃報を聞く事も日常的だった。それでも、自分が直面する困難を正面から受け止め、異なる国や地域からの異なる状況のHIV陽性者の困難を理解し、共感し、共有して、常に前向きに戦う人たちと出会う事が出来た。

HIVは社会的基盤が脆弱な人々を襲う病だ。だからこそ、それぞれの立場を偏狭な自分の価値観で裁いてはならない。だからこそ、自分と異なる文化を尊重しなければならない。だからこそ、何があってもHIV陽性者を社会から排除してはならない。男性とセックスをする男性も、薬物利用者も、セックスワーカーも、移住労働者も、女性も、誰も。

エイズという病を自分の問題として見つめ続ければ、それまで見えなかった世界が見えてくる。HIV 陽性であろうとなかろうと…。

*(特活)日本のHIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+)
http://www.janpplus.jp/

【GAU200号に寄せて 3】「大いなる目標として、一層の充実を」


産経新聞特別記者
エイズ&ソサエティ研究会議 事務局長
宮田 一雄

世界のエイズ対策は過去10年、抗レトロウイルス治療(ARV)の普及を大きな課題としてきました。2003年12月に世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画(UNAIDS)が『3by5』計画(2005年までに途上国のHIV陽性者300万人に治療アクセスを確保する計画)を発表し、2005年7月のグレンイーグルズ・サミットではユニバーサルアクセス(HIV予防、治療、ケア、支援のサービスを必要とする人すべてに提供できる状態)の最初のコンセプトが打ち出されています。最近は治療の普及が、HIV感染の拡大を抑えるという予防対策面での成果ももたらしていることが盛んに指摘されるようになりました。

もちろん、これは目覚ましい成果なのですが、一方で最近は《予防としての治療》を強調するあまり、これまでに積み重ねてきた予防のための様々な努力があたかも無駄であったり、効果がなかったりしていたかのような極端な議論を聞くこともないわけではありません。エイズの流行に対応するには、保健分野だけでなく、政治、経済、社会、文化といった様々な領域からのアプローチが必要なのですが、人権だとかセクシャリティーだとかといったややこしい話からは逃れて、病気なんだから医療の問題として科学的なエビデンスに基づいて解決しましょうといった一見、もっともらしい意見もあります。そうした意見に飛びつきたくなるような気分が広がれば、過去10年、やっとの思いで達成してきた成果ですら消えてしまうでしょう。

グローバル・エイズ・アップデートの創刊は2004年だとお聞きしました。ほぼ同じ時期にAIDS & Society研究会議は、HIV/AIDSの流行に対する国際的な対応と国内の対策とのギャップを埋め、より有効な対策の実現を目指したいという考え方から、HATプロジェクトを発足させています。世界の動向を把握できるような文献を出来るだけ日本語に訳して紹介していこうというプロジェクトです。

ほぼ同時期にスタートした2つのプロジェクトは、よきライバルであり、同時によきパートナーでもあるのではないかと思います。もちろん、HATプロジェクトは担当者1人が細々と続けるささやかなプロジェクトなので、グローバル・エイズ・アップデートには質量とも比べるべくもありません。その意味では大いなる目標でもあります。これからも充実した情報を提供していただくようよろしくお願いします。

AIDS & Society研究会議 http://www.asajp.net/index.html
エイズ&ソサエティ研究会議 HATプロジェクト http://asajp.at.webry.info/

【GAU200号に寄せて 2】GAUへの感謝と期待


慶応義塾大学文学部教授・エイズ&ソサエティ研究会議副代表
樽井 正義

アフリカ日本協議会が刊行している『グローバル・エイズ・アップデート』が、2012年7月に200号を数える。地球上のさまざまな場所で、HIVが私たちに提起する多様な問題、それらに関するおびただしい情報の中から、とくに日本の読者に共有が望まれるものを選び、日本語に訳す。編集者の広い視野と優れた洞察、そして翻訳ボランティアの地道な尽力、関係者の貢献に対して心からの感謝を示したい。

2004年10月の創刊号では、「ザンビア政府がARVジェネリックの国内生産を指示」、「アフリカとアジアでセックスワーカーを被験者として行われているARVの予防効果試験の倫理をめぐる議論」、「薬物使用者の間に感染が広がる中央アジア4カ国に対し、日本政府が世銀などと交際協調してHIV対策資金を提供」といった情報が含まれていた。こうしたGAUが伝える情報には2つの特徴がある。

1つは、人びとの、わけても陽性の人びと、流行の影響を受けている人びとの人権と利益を擁護しようとする姿勢である。途上国で同性愛者など不利な立場に置かれている人びとが直面する問題、先進国政府や製薬企業が国際社会で果たすべき支援の責務、そうした人権に配慮する情報が、豊富に、迅速に提供されてきた。

英語で発信される国際情報を、日本語に翻訳して伝えるサービスは、エイズ&ソサエティ研究会議(JASA)の「HATプロジェクト」(HIV/AIDS Translation Project)も行っている。HATプロジェクトが提供するのは、主として国連エイズ合同計画(UNAIDS)、世界エイズ結核マラリア対策基金(GFATM)、国際エイズ学会(IAS)などの報告や声明であり、これもまた日本でHIVに取り組む人が知りたい基本的な情報である。これに対してGAUの情報源は、HIVと保健問題に取り組む国際NGO、報道機関などであり、文字通り、地球上のあらゆるレベル、国際社会、国家、コミュ二ティーで提起される課題について、最新の具体的な情報を伝えようとしている。これがもう1つの特徴である。

このようにGAUは、HATプロジェクトともに、日本で、そして海外でHIVに取り組む日本語読者に有益な国際情報を届けるという貴重な寄与をしている。GAUが伝える地域の情報は、当然ながらアフリカが主流だが、今後は、流行の拡大と対応の遅滞が懸念されるアジアに関しても、より多くの情報が提供されることに期待している。

【GAU200号に寄せて 4】HIV/AIDS事業の道しるべに =ケニアの現場でメルマガを読む=

NPOチャイルドドクター・ジャパン ケニア事務所共同代表
宮田 久也

グローバル・エイズ・アップデートを愛読するようになって6年近くになります。時に、現場で活動している我々にはないグローバルな視点で、また時には、我々よりも患者さんに近い目線で伝える切り口がとても気に入っています。読むようになったきっかけは、在籍するNPOがアフリカでHIV/AIDS事業を始めたことでした。当時は現在ほど情報もなく、プロジェクトを作っていく上で多くの記事を参考にさせて頂きました。現在、プロジェクト開始から6年を経て、プロジェクトに登録中のHIV感染者/エイズ患者は789人、この内514人がARVを開始しています。この間、稲場様とも何度となくアフリカでご教示頂く機会を頂き今日に至っております。

HIV/AIDSという切り口で、7年近くの間に200号を重ねたことは、このトピックが世界規模の問題であり、発見から数十年を経過した現在でも、多くの人間が試行錯誤しながらこの問題に取り組み続けていることを表していると思います。これまでの発行に多くの労力が費やされてきたことは想像に難くありませんが、現場で活動する人間に多くの示唆と気づきを与えてくれているこのグローバル・エイズ・アップデートが、人々の道標として今後も回を重ねていって頂きたいと思っております。ナイロビより感謝まで。

*NPOケニアチャイルド・ドクターのHPはこちら http://www.child-doctor.org/

★世界エイズ・結核・マラリア対策基金、資金不足を理由に第11次新規案件募集を中止。次回の新規案件への拠出機会は2014年に


【2011年12月4日 東京発:グローバル・エイズ・アップデイト編集部】11月21日から22日にかけてガーナの首都アクラで開催された「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(世界基金)第25回理事会で、資金不足を理由に、この8月から行われていた第11回新規案件募集(ラウンド11)の中止が決定された。理由は、世界基金の資金見通しが、欧州を始めとする援助国の拠出の遅れや誓約の見直し、不払いなどにより休息に悪化したため。さらに、次回の新規案件への資金拠出の機会は2014年初頭まで行わないこととなった。
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世界エイズ・結核・マラリア対策基金に関するシンポジウム開催

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グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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号外 2010年(平成22年)8月24日
Out of Number : August 16, 2010

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

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世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)
第3次増資会議向け 緊急シンポジウム

グローバル・エイズ危機は終わっていない
=エイズ・結核・マラリアと闘う世界基金に資金を:市民社会の取り組み=

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おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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