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(スイス)ジョンソン&ジョンソンは結核薬ベダキリンの貧困層へのアクセスを保証すべき

【2018年9月17日ジュネーブ発】国境なき医師団 MEDECINE SANS FRONTIERES : MSF は、大手の開発系製薬企業「ジョンソン&ジョンソン」(J&J)に対し、抗結核薬ベタキリン Bedaquiline について、MSFが展開する臨床試験への供与、超多剤耐性結核患者への重点的な利用、MSF事業の多剤耐性結核への恒常的な活用を呼び掛けてきた。今回、MSFはJ&Jに対し、すべての国がベタキリンを使用し世界規模で多剤耐性結核へ対処できるよう、患者が購入可能な金額で持続的に供給するよう要請した。

ベタキリンは近年開発された新しい抗結核薬の一つで、J&Jが製品化し、同社が知的財産権を保有している。2013年にWHOによって多剤耐性結核治療への使用が認められ、今年8月にはこれまでに使用実績をもとにベタキリンが多剤耐性結核治療における主要治療薬として使用できるようWHO治療ガイドラインが改正された。これにより、ベタキリンを適用できる患者数が大幅に増加することになったため、国家結核プログラムにおいてベタキリン使用を拡大する方向となる。現在、ベタキリンを使用できる患者は全世界で25,000名のみであるが、現在進行中の研究では短期間の利用でも大きな効果があることが実証されつつある。しかし、一方で結核高蔓延国の患者におけるベタキリンの使用はJ&Jと米国国際開発庁USAIDの寄付プログラムまたはJ&Jと関連パートナーによる価格交渉に左右されており、現状では非常に高額な治療薬となっている。

ベタキリンは成人向け多剤耐性結核治療薬の1つとして2012年に米国食品医薬局 Food and Drug Administration : FDA、2013年に欧州医薬局 European Medicines Agency : EMA によって承認された。いずれもさらなる治験・承認が必要な状態での承認であったが、約半世紀を経て承認された新しい結核薬であったため、これまで治療が難しかった結核への治療に希望を持たせるものであった。そのため、さらなる臨床治験を推進するには多額の費用が必要であり、MSFを含め多くの団体がベタキリン開発に資金提供してきた。ところが、J&Jは、ベタキリンのための熱帯病優先レビューバウチャー(対象となる熱帯病の新薬承認を取得することで自社の他の新薬の承認申請時における優先審査を保証する制度 Priority Review Voucher : PRV によって多額の利益を得ていながら、薬の購入価格を下げようとはせず薬を必要としている人のベタキリンへのアクセスを妨げている状態が続いている。

そこで、MSFはJ&Jに以下のことを要求したい。第1に各国でベタキリンが主要多剤耐性結核治療薬として登録できるよう働きかけてもらいたい。その上で、ベタキリンの価格を下げて、各製薬企業が特許権に関係なくベタキリンを供給できる包括的なライセンスを発行してほしい。そうすることにより1企業が治療薬を独占的に使用することもなくなりより多くの人々による治療薬へのアクセスが可能となる。

最後に、治療薬の中断などによる薬剤耐性を減らすためにも薬局などが6か月を超えてベタキリンを供給できるような体制を提供してほしい。

原題:Open Letter to J&J Regarding Affordable Access to Bedaquiline
出典:Medecine Sans Frontiers
日付:2018/9/17
URL:https://www.doctorswithoutborders.org/sites/default/files/2018-09/MSF_Letter_to_JJ_17Sept2018.pdf

(南スーダン)緊急人道支援におけるエイズ対策の重要性についてUNAIDSが意識啓発

【2018年6月15日】国連合同エイズ計画 UNAIDSのミシェル・シディベ事務局長 Michel Sidibe は6月、東アフリカの内陸部に位置する南スーダン共和国を訪問した。中央アフリカ共和国とエチオピアに隣接する同国は、紛争により、700万人が人道的支援を必要としているが、シディベ氏は、このうち500万の人々がHIV感染予防と治療サービスを含むヘルスサービスへのアクセスを必要としているということをメッセージとして発信した。シディベ氏は、「我々は皆、南スーダンが課題に直面していることを理解している。しかし、この訪問の間、私は強く心が揺さぶられた。難題にも関わらず、現場の人々が協力すれば、あらゆることが可能になると考える」と述べた。

2016年、南スーダンでは約20万人の人々がHIVに感染しているが、そのうち10%の人々しかHIV治療にアクセスできていない。特に、HIVとともに生きる0−14歳の子どもにおいては、HIV治療が必要な子どものうち、たった5%しか治療を受けられていない。

南スーダンに滞在中、シディベ氏は保健省、教育省および南スーダン国家エイズ委員会と教育部門とで健康福祉に関する覚書を締結し、UNAIDSが推奨する「ファースト・トラック」Fast Track(迅速対応)アプローチと、アフリカ東部の青少年の包括的なセクシュアリティ教育と性的・生殖医療サービスに関する閣僚のコミットメントに沿った戦略を開発し実施することに合意した。

AIDS対策の結果を促進させるため、南スーダンの副大統領であるジェームス・ワニ・イッガ氏 James Wani Iggaは、国家のAIDS対策の実行フレームワークのモニタリングと評価を提供する「2018-2022年 南スーダンHIVとAIDSに関する国家戦略計画」を発表した。

イッガ副大統領は、「HIV関連のスティグマは、しばしば差別や人の権利の侵害を引き起こし、HIV陽性者の福祉に影響する。セックスワーカーや、男性とセックスする男性 Men who have sex with men(MSM)などの、既にスティグマを受けているグループに対する差別、迫害にもつながり、状況を悪化させる可能性がある」と述べた。

イッガ氏とシディベ氏は、南スーダンでHIVに対処するために、どのように多くのことを協力して実施するかという点について、またエイズ対策が南スーダンでどのように強くしなやかに展開され、権利を保護し、暴力からの自由を促進し平和で安定した南スーダンの国家建設に資することができるかについて討議した。

原題:South Sudan: Raising the Profile of HIV in Humanitarian Contexts
出典 :UNAIDS
日付:2018年6月15日
URL:http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2018/june/south-sudan-raising-the-profile-of-hiv-in-humanitarian-contexts

(マラウイ)HIV陽性者が木造の小屋でARTや結核のサービスを受ける

【2018年2月19日 (リロングウェ)発】南部アフリカの内陸国マラウイの北部、マラウイ湖沿いの町カロンガ Karongaの若者団体である「カチラ若者計画」(Kachila Youth Initiative: KAYI)が、近隣地区であるムパタMpataとルペンベLupembeの保健センターの当局者を批判している。HIV陽性者に対して、保健センターの廊下伝いにある木の小屋で抗レトロウイルス治療薬の提供や結核のサービスを提供していたためである。KAYIの事務局長であるウィリアム・マチョナ・ヌグウィラ氏William Matchona Ngwiraによると、同組織がカロンガのカポロ、ルペンベ、ムパタのヘルスセンターとカロンガ県病院を調査したところ、ムパタとルペンベではこのような誰にでもわかるようなオープンな場所で抗レトロウイルス治療や結核のサービスを提供していた。その結果これらのサービスを受ける患者がスティグマや差別に晒されるリスクがある。この2つのヘルスセンターは患者のプライバシーを守るため新しい部屋を作るよう求められた。ある抗レトロウイルス治療サービスを受ける患者は医療従事者が診察の際に患者の名前を呼ぶことに対しても非難をした。続きを読む
おすすめ(AJF関係者の本)
AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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