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(スイス)グローバルファンドの第6次資金援助は保健システムへの投資拡大が必要=技術審査パネル

【2019年1月14日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)で案件の審査等を行う独立した機関である技術審査委員会は、第5次増資期間(2017年〜19年)における保健システムに関する投資に関する報告書を発表した。報告書は、グローバルファンドが保健システム関連の戦略目標を達成しようとする場合、第6次増資期間(2020〜2022年)に保健システムへのさらなる投資が求められるだろうとしている。

以下は9項目のハイレベル問題の概要と技術審査委員会による勧告の要約である。なお、スペースの関係上、3(保健人材)と4(統合サービス提供)は別号で取り上げる。
1. 健康管理情報システム
 相補性の不明確な複数のシステムを使用している国があること、事業運営の改善にデータが有効活用されていないことが課題である。申請者は類似したシステムを並行導入せず、事務局はデータの有効活用のためにガイダンスを更新することが推奨される。
2. 調達・供給管理
 人的能力・財源の不足、事業指標の不適切な運用から、在庫切れや低品質が散見される。地区レベルより下位で供給問題を解決する動きが見られないため、グローバルファンドの各国への案件の形成や実施を行う代表機関である「国別調整メカニズム」(CCM)とパートナーの連携方法を定める必要がある。新技術を活用した保健システムの整備も課題である。
5. コミュニティ・システムとその対応
コミュニティにおける保健対応や能力強化への資金拠出を行う「コミュニティ・システム事業」はスケールに乏しく、雇用、資金、活動評価に課題がある。コミュニティ・ヘルス・ワーカーは責任が限定的で身分も不安定であるため、公的な認証と信頼性の高い報酬案を提示する必要がある。持続可能な資金供給を行う仕組みもないため、三大感染症対策についてグローバルファンドの資金から国内資金への移行の対象となっている国はサステナビリティ・プランを提示するべきである。また、評価基準は活動単位の指標に偏重していることから、事務局は適切な指標を示す必要がある。
6. 民間セクターの関与と官民連携
 官民連携の重要性は認識されているものの、活用や資金拠出の方法は不明確である。民間施設で提供されているケアの質は懸念事項であり、サービスや業績の質を監督するための仕組みづくりに関する情報は不足している。申請者には戦略的計画を、事務局には官民連携に関するガイダンスを作成することが推奨される。
7. ガバナンス、リーダーシップ、説明責任
 リーダーシップの確立、ガバナンスの強化に対する投資が限定的である。女性や市民の代表者などがガバナンスに参加するための介入提案が見られない。グローバルファンドと申請者は、管理監督を評価・追跡するための基準を設けるべきである。申請者は予算循環等を申請書に明記するべきである。
8. 保健セクター融資および財務管理
 国家保健財政戦略の立案に向けた活動が見られず、効果的な資金フローや財務管理が重視されていない。国内予算の支出割合は100%を大幅に下回っており、公的資金を使い切れていない。申請者は財政データを提示するべきである。グローバルファンドは、すべての融資対象国で持続可能な財政システムを促進するべきである。
9. 事業の実施管理
 移行が近い国の中に、外部組織の支援に依存し続けている国がある。公的セクターへの投資が不十分な国は管理能力に乏しく、移行後にサービスを維持できない可能性がある。事業は国のシステムを強化するかたちで実施するべきであり、事業の平行実施が必要な場合、グローバルファンドは申請者に説明を求めるべきである。

原題:Funding requests to the Global Fund in next allocation period will need to scale up investments in RSSH, TRP says
出典:Aidspan
日付:2019/1/14
URL:http://www.aidspan.org/node/4819

(スイス)インドとアジア太平洋の市民社会、グローバルファンド第6次増資に照準を定める

【2019年1月30日ジュネーブ(スイス)発】2019年2月7〜8日、インドの首都ニューデリーにおいて、途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)が、2020-22年の「第6次増資期間」に向けた増資のための事前準備会合を開催した。これまで、グローバルファンドの増資準備会合はグローバルファンドに資金を供給している先進国で開催されており、案件実施国(途上国)での増資準備会合の開催は初めてである。増資準備会合は、本年10月にフランスで開催される増資誓約会合に向けたキャンペーンの幕開けを彩るものである。この事前ミーティング開催の目的は、資金供給国・供給者、およびパートナーに対し、投資計画を共有し、ターゲットとなる増資が達成されたときグローバルファンドに期待される効果について討議する機会を提供することである。

インドやアジア太平洋で三大感染症に取り組む市民社会団体 Civil Society Organizations:CSOs のネットワークとしてグローバルファンドの増資等への支援に取り組む「グローバルファンド活動者ネットワーク アジア太平洋」(global Fund Advocates Network Asia Pacific: GFAN AP)および、GFAN APを母体としてインドの市民社会の連携を担っているインド・ワーキング・グループIndia Working Group:IWGは、今回の事前会合に向けて2019年1月16から17日にニューデリーで、コミュニティと市民社会の計画立案会合 Communities and Civil Society Planning Meeting を開催した。このミーティングの目的は、インド国内のCSOsや各コミュニティの代表者らが、地域的かつ世界規模に共同戦略化を可能とするためのサポート、および彼らの共同作業を生み出すことであった。つまり、2019年10月にフランス・リヨンで開催される第6次増資の誓約会合に向けて、「十分に資金を持つグローバルファンド」(fully funded Global Fund)を実現することを目的として掲げるよう主張するということである。インド・ワーキング・グループにとって、2月の事前準備会合は、強固かつ持続可能な保健システムを構築する機会、HIV・結核・マラリアの対策に注目を集める機会であり、さらに増額された国内の資金をこれら3つの感染症に充てるよう主張している。

2019年1月17日発行の市民社会団体によるニュースリリースでは、「国際社会は、インド政府が、グローバルファンドに十分な資金調達をもたらすためのさらなるリーダーシップが取れるのか注目している」とし、資金提供国、民間企業、民間財団、富裕層を含めた資金提供者側を集結させることによって、インド政府に対する第6次増資額を上げるよう促そうとしている。また、市民社会団体は、インド政府に対して、2016年に行われた第5次増資での成約額である2000万ドルを増額し、少なくとも4000万ドルの拠出を誓約することを要求している。さらに、「第6次増額への推進力、リーダーシップ、およびグローバルヘルスに向けたインドの関与、連帯を示すため、増資への誓約は早期になされるべき」と主張した。

インドのHIV国家戦略計画National Strategic Plan for HIVにおける2017から2022年度の予算は47億ドルである。かつ、同期間、この予算とは別の国内予算の増額として、結核対策プログラムの増額、マラリア国家対策プランに15億ドルの増額がなされている。

しかし、市民社会団体は「このような増額にも関わらず、インドの結核対策プログラムも、マラリア国家対策プランも、いまだ軌道に乗っていない。インドにおける保健医療分野への公的資金は、GDP比1.2%程度にとどまる。この比率は、インドと同じ規模の国家予算を持つ国々と比較して非常に低い額である。インド政府の、保健医療分野についての優先順位が低いことは、医療費の個人負担が大きく、医療にかかることによる経済的リスクからの保護が最低レベルにあることを意味する」と述べている。

インドでHIV対策を展開する市民社会団体の代表格である「インドHIV/AIDS同盟」 The India HIV/AIDS Alliance のソナル・メータ Sonal Mehta 最高経営責任者は、インド政府は、ただちに保健医療分野への支出をGDP比1.2%から2.5%に増額すべきであり(インド政府は、2025年までにGDP比2.5%を達成することを目標にしている)、HIV、結核およびマラリア対策に十分対応できるよう、インド各州のへ保健医療分野の支出について、予算全体の8%以上に増額することを要求している。

原題:CSOs in India and the Asia-Pacific region focus on the preparatory meeting for the Global Fund’s Sixth Replenishment
日付:2019/1/30
URL: http://www.aidspan.org/gfo_article/csos-india-and-asia-pacific-region-focus-preparatory-meeting-global-fund’s-sixth

(スイス)持続可能な開発目標(SDGs)はエイズ対策に吉と出るか凶と出るか?国際エイズ会議で熱い討論

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(スイス)持続可能な開発目標(SDGs)はエイズ対策に吉と出るか凶と出るか?国際エイズ会議で熱い討論
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【2018年11月1日ジュネーブ(スイス)発】オランダの首都アムステルダムで7月23から27日まで開催されていた国際エイズ会議で、24日、熱い討論が行われた。「持続可能な開発目標」(SDGs)を含む「2030アジェンダ」はエイズ対策にとって脅威となるか、それとも良い機会を提供するか、がそのテーマであった。

「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、一般には、17の目標と169のターゲットを持つ「持続可能な開発目標」(SDGs)として知られている。2015年9月25日に国連の特別サミットで制定されたこの目標は、2030年までに「誰一人取り残さない」方法で貧困をなくし、持続可能な開発を実現することを掲げており、一般には、世界の共通目標を形成した偉大な達成として理解されている。

以前、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のアジア太平洋地域事務所長を務めたインドのプラサーダ・ラオ氏は、SDGsを支持する立場から発言した。氏は、エイズ対策はこれまで単独で行われてきたが、SDGsの時代には、栄養、貧困、平等その他さまざまな課題とともに取り組む必要があると主張。また、SDGsは高いレベルの政治的目標であり、政府に実施や説明に関する責任を持たせるという要素があると述べた。ラオ氏を支援する立場から発言したデューク大学のマイケル・マーソン氏は、SDGsが「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」を掲げたことを付け加え、2030年までにエイズをなくすというSDGsの目標を達成するには、マルチセクトラルな取り組みをしていかなければならないと述べた。氏によれば、「統合」という言葉は、エイズ対策の30年間の歴史に欠けていたものだという。

一方、SDGsがエイズ対策にとって脅威となりうるという立場から発言したのが、ウクライナ共和国保健省「保健センター」のヴォロディ・クルピタ氏 Volody Kurpitaとその同僚のクリスティーン・ステグリング氏 Christine Stegling である。クルピタ氏は、SDGsは目標として大きすぎ、実現しないだろうと述べた。氏によれば、実際、採択から3年たったのに現場では何も起こっていない。氏によれば、169ものターゲットは各国が実施するには多すぎ、対応できない。クルピタ氏は、エイズ対策において重要な、「対策の鍵となる人口集団」Key population について、SDGsに明記されていないことを問題にした。「SDGsは目標と目標の間の関係も定義していない。そのことにより、<統合>はますます難しくなっている」と氏は述べる。

クルピタ氏の同僚のステグリング氏は、SDGsがあまりに広範なのでエイズ対策の比重が小さくなる危険性を指摘した。政府はSDGsの進捗に関する把握に苦慮しており、HIV対策の進捗に気が回らない。ステグリング氏は、このままいくと、コミュニティを基盤とする組織が「取り残される」危険性を指摘した。そもそも、HIV陽性者の半分は世界中に散らばる「対策の鍵となる人口集団」にあたる人々であり、SDGsに注力すればするほど、この人々への注目が薄くなるのではないかと氏は危惧する。

議論が会場に開かれたとき、特に、アフリカの市民社会組織から同様の懸念が示された。アフリカ諸国の政府は「男性とセックスをする男性」(MSM)を含む「対策の鍵となる人口集団」を犯罪化する動きを止めておらず、SDGsはこれを止めるのに何の有効性を持っていないとの指摘があった。実際にこうした犯罪化を止められないのなら、何のためのSDGsなのかという主張である。

一方、会場にいる多くの人々はSDGsを支持した。SDGsを支持する側は、SDGsは市民社会組織にとって、国内・国際の両面で政府に責任を取らせるための有効な武器として機能するという。また、SDGsの目標やターゲットの多くは関連しあっており、統合的な解決を求めるものとなっているという。実際、これまでの数十年のエイズ対策の取り組みは、エイズ単独でなされることが多く、コミュニティの複雑な課題の解決に対して、十分に有効に機能してこなかった。SDGsをうまく活用すればこの問題は解決しうるというのである。

熱の入った議論ののち、参加者にSDGsへの支持・不支持を問う投票がなされた。結果は真っ二つに分かれた。支持する立場は、SDGsは地球規模感染症への挑戦を包括的に行うものであることを強調。一方、反対する立場は、SDGsでは特に「対策の鍵となる人口集団」は取り残される危険性がある、と表明した。

最後にパネルディスカッションの議長を務めた国連開発計画(UNDP)のマンディープ・ダリワル氏 Mandeep Dhaliwal はまとめとして、「SDGsはHIVとの闘いの多様で複雑な課題にアプローチすることを意図している。これらの課題は、政府、市民社会、民間セクターの連携なくして取り組めない。一方で、HIV陽性者や影響を受けた人々が持つ『取り残される』という懸念は軽く見てよいものではなく、しっかりと対応されなければならない」と取り纏めた。世界の人々のHIVへの取り組みは、今日でも人々を揺り動かす力を持っているが、SDGs時代には、協力と連携を深めることも重要である。

原題:Agenda 2030: Threat or opportunity for HIV response
出典:Key Correspondents
日付:2018/11/1
URL:http://www.keycorrespondents.org/agenda-2030-threat-or-opportunity-for-hiv-response/

(スイス)薬物使用とHIV/AIDS:地域による取り組みの在り方

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(スイス)薬物使用とHIV/AIDS:地域による取り組みの在り方
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【2018年10月22日ジュネーブ(スイス)発】薬物使用者 People who inject drugs:PWID におけるHIV陽性率は高いが、HIVケアと薬物治療を利用することに大きな問題を抱えている。薬物使用者は地域ごとにその特徴が異なることから、予防としてのHIV治療に関する介入戦略を開発し効果的に実行するためには、彼らにおいて特徴的なHIV感染と病気の進行経過について理解することが必要不可欠である。

そこで、HIVの研究者らは薬物使用者を対象としたHIV予防治療改善を目的とした二重ランダム化比較試験であるHIV予防治験ネットワーク HIV Prevention Trials Network:HPTN 074 に参加している薬物使用者を対象とした基礎データを分析した。その内訳は、インドネシア258人、ウクライナ457人、ベトナム439人であり、またHIV陽性者は502人、HIV陰性の薬物使用者は652人であり、彼らを対象に社会人口的背景やHIV薬物治療利用歴、薬物使用歴や危険を伴う性行動等のリスク要因についてその地域差を検討した。

その結果、分析対象者の87%は男性で、女性の80%以上がウクライナ出身者であり、対象者全体の平均年齢は34歳であった。主な使用薬物は、ウクライナでは違法に製造されたメサドン、インドネシアとベトナムではヘロインであり、いずれの国も複数の仲間とともに薬物を利用していたが、ウクライナでは最も高くその平均は5人であった。アルコール利用障害特定テスト(AUDIT-C)による危険なアルコール利用はウクライナで最も高く57.4%、ベトナムでは26.4%と低かった。最近1か月間での複数のパートナーとの性行為や金品または薬物の授受による性行為を含む性感染症の感染可能性の高い性行動についてはいずれの国でもほとんど報告されなかった。

以上より、上記3か国でのリスク要因の違いは認められ、とくにウクライナ在住の薬物使用者に対して感染リスク低減に向けた対策が急務であることが判明した。この様に、薬物使用者においては各地域のHIV感染リスク要因を考慮した治療及び予防対策が必要である。

原題:Regional Differences Between People Who Inject Drugs In An HIV Prevention Trial Integrating Treatment And Prevention (HPTN 074): A Baseline Analysis
出典:International AIDS Society
日付:2018/10/22
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jia2.25195

(スイス)グローバルファンド理事会、増資会議に向けて体制整える

【2018年11月15日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、2030年までにエイズ・結核・マラリアの終息、保健システムの強化、「SDGs 3:すべての人に健康と福祉を」の達成に向けた行動を積極的に展開することを決定した。

グローバルファンドのピーター・サンズ Peter Sands 事務局長は、グローバルファンドの役割について、次の5つの根本的な要素を指摘した。

グローバルファンドは、
1. 持続可能な開発目標を達成する上で重要かつ置き換え不可能な役割を果たしている
2. さらなる健康上の安全を可能にしている
3. ジェンダー不平等の最も困難な問題に取り組む強力なパートナーである
4. 健康にかかわる人権上の障壁を含む、健康格差の克服に向けて独自の役割を果たしている
5. 命を救い、地球規模感染症を終息させるという最終目標を実現させるために、一貫して成果を出している

サンズ氏は、「私たちは、既存の手段ではSDGsゴール3の感染症に関する目標を達成することはできません。より多くの資源の活用、さらなる革新とよりよい実施が必要です。また、私たちの目標を達成するには、皆からの新たなエネルギーと決意が必要です。」と述べ、「グローバルファンドは、SDGs達成のため複数のステークホルダーとともに協力してきた。世界規模の健康に関する課題を解決するため、より大きなパートナーシップが不可欠です。」と続けた。

グローバルファンド理事会は、増資期間の到来に伴い、民間セクターの参画と革新的資金に関するアプローチを改訂した。また、もともと官民パートナーシップとして発足されたグローバルファンドとして、

民間セクターへの増資に向けて体制を整えることを支持し、また革新的な解決と代替的な資金調達メカニズムによる民間セクターとさらなるパートナーシップ構築を期待している、とした。

2019年5月、グローバルファンド理事会のアイーダ・クルトビッチ議長 Aida Kurtovic 、およびジョン・サイモン副会長 John Simon の2年間の任期終了を控え、理事会は新たなリーダーシップに向けて選考プロセスを開始した。

さらに、グローバルファンドの戦略目標の枠組みと主要業績評価指標を見直し、戦略目標と目的、世界および地域の疾病動向の監視、案件への資金拠出と業績の見通しについて概説した。

人権に関する特別セッションでは、主に脆弱な人々が直面している医療サービスへのアクセスに対する複数の障害について検討した。コスタリカ、南アフリカ、ウクライナから参加した活動家たちは、健康の権利を守るための彼らの仕事の最前線での個人的な経験を共有してセッションを活気づけた。健康に対する人権の障壁は依然として多くの国で深刻であるが、グローバルファンドとしては、人権の要求をコア・プログラミングに組み込む一歩を踏み出した。

原題:Global Fund Strengthens Efforts toward Ending Epidemics
出典:The Global Fund
日付:2018/11/15
URL:https://www.theglobalfund.org/en/news/2018-11-15-global-fund-strengthens-efforts-toward-ending-epidemics/

グローバルファンド、経済危機のヴェネズエラのエイズ治療薬確保に500万ドルを拠出

【2018年10月2日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症対策に資金を拠出する国際機関、「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、深刻な経済危機に直面し、これが国民の保健上の危機をもたらしている南米のヴェネズエラにおいて、HIV陽性者への治療を提供できるよう、500万ドルを例外的に拠出することを決定した。上位中所得国であるヴェネズエラは、従来の基準ではグローバルファンドの支援対象外であり、今回初めて援助を受ける。

拠出金500万ドルのうち490万ドルが抗レトロウイルス治療薬 Anti-retroviral drug : ARV購入のため、世界保健機関 WHOの米州(北・中・南米大陸)事務所である汎米保健機関 Pan American Health Organization : PAHOの「戦略基金」へ支払われる。これは、ARVを調達するために他の支援者から受け取った資金を補填するためである。

残りの10万ドルは、ARV供給過程のモニタリングに使用され、国連合同エイズ計画(UNAIDS)を経由してヴェネズエラの市民社会組織(CSOs)に支払われる。

ヴェネズエラへの人道的支援を求めてきた市民社会やその他の組織は、今回の例外的な資金拠出に対し、肯定的な反応を示している。

原題:Global Fund will 'donate' $5 million to Venezuela to provide treatment for HIV
出典:AIDSPAN
日付:2018/10/02
URL:http://www.aidspan.org/node/4737

各国はグローバルファンドの案件形成にむけ、より正確なデータが必要

【2018年10月2日ジュネーブ(スイス)発】途上国の世界三大感染症対策に資金を拠出する国際機関「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)は、エイズ、結核、およびマラリア対策の目標の達成に向けて必要な資金を明示し、グローバルファンドから支出される資金の分配を含め、各国の出資額とドナーからの支援額を明示する必要がある。エイズ、結核、およびマラリア対策に必要な資金額と、各国の出資額および援助機関からの推定支援額には差がみられ、多くの国が、本来必要な資金額を確保して対策を行っているわけではないというおkとがわかる。では、必要な資金額はいかに算出されるのだろうか。

例として、HIV対策に必要な資金の算出シミュレーションを確認してみる。まず、国は国家保健戦略に沿う目標を定める。専門家チームが現状の人口動態、HIV感染(例:各年齢層における感染率や流行)、予防と治療コストに関するデータを収集する。次に、専門家たちは数理モデルを用いて、年齢グループとジェンダ―ごとに将来人口、HIV感染率、およびHIV陽性者の数を推定する。さらに、これらの推定をもとに、今後の医療用品コストがいかに変動するか推測しながら必要資源の見積もり額を出す。ケニアの場合、開発パートナーは2013年のデータをもとに、2019年のHIV陽性者数を87万1000人から140万人へ増加すると推測した。

グローバルファンドに関する独立した報道機関である「エイズパン」AIDSPANの定期発行い 「グローバル・ファンド・オブザーバー」 Global Fund Observer は最近、流行が最も深刻なアフリカ23カ国※における2015-2017年のエイズ、結核、およびマラリア対策における各国の出資額、およびドナーからの支援額の差を示した。例えば、モザンビークにおける2015-2017年のHIV対策では、国(政府)の出資額が全体の3%と低い数値を示した。これは、同国のエイズ対策の多くが、国際機関や各援助国の資金で行われていることを示す。一方、ケニアでは48%であった。

一方、。国別にみたHIV対策への政府の投資額にも類似したギャップがみられ、モザンビークでは4%、コートジボワールでは49%であった。今後は、出資先のニーズに対応できるよう、各国の出資額、およびドナーからの支援額を含め、正確な情報をもとに資金を分配することが必要である。

※グローバルファンドからの資金2/3は、これらの国に割り当てられている

原題:Countries need better data for accurate forecasting of funding gaps in Global Fund grants
出典:Aidspan
日付:2018/10/2
URL:http://www.aidspan.org/gfo_article/countries-need-better-data-accurate-forecasting-funding-gaps-global-fund-grants

(スイス)グローバルファンド2018年成果報告書、命を救われた人の数が増加

【2018年9月17日ジュネーブ(スイス)発】途上国の三大感染症に資金を供給する国際機関である「グローバルファンド」(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の2018年成果報告書によると、2017年末時点で、グローバルファンドのパートナーシップは、支援した保健プログラムによって2,700万人の命を救った。同報告書においてグローバルファンドは、HIVの母子感染を防ぐために69万6千人の妊婦が投薬を受け、7,910万件のHIV検査が行われたと報告した。また、2017年のグローバルファンドによる投資の27%が保健システムの強化に使用されたことも明らかにした。

報告書と同じ日にオンラインで公開された方法に関する別のノートで、グローバルファンドは、「各国が挙げた成果について、グローバルファンドのおかげだなどとは言わない」と述べた。 パートナーと合意したように、グローバルファンドは国際的な資金提供者の触媒効果を認めている。成果への貢献を明確に把握するために、グローバルファンドが投資する国の資金調達状況について、より詳細なデータを収集し、報告している。

以下は、2018年報告書のハイライトである。
 エイズの死亡者数は2000年と比較して半減している。その期間にマラリアの死亡率は60%低下した。結核死亡者数は2005年以来37%減少している。
 グローバルファンドは、HIVに対する国際的な資金の20%を、結核に対しては65%、マラリアに対しては57%を拠出している。
 多くの国で新規HIV感染は、鍵となる人口集団や青年、若い女性の間で極めて高いままである。現在の状況では、2020年までに世界で新規感染を50万人に減らすという目標に達することはない。
 グローバルファンドは2017〜2019年にキーとなる人口集団への予防介入の割当を前年度比で約30%増加させた。

また同報告書の中で、HIV、TBおよびマラリアの流行を終息させるため、保健医療システムへの投資を増加させ官民パートナーシップモデルを推進するなどの解決策のいくつかを説明している。

グローバルファンドのピーター・サンズ事務局長 Peter Sandsは、同報告書の発表時「この報告書の数字は、我々がどれほどのことを成し遂げたか示している。 にもかかわらず、我々はまだHIV、結核、マラリアからコミュニティを解放する見通しをまだしっかりと把握していない」と述べた。

原題:Results for the Global Fund Partnership in 2017 Reveal Large Increases in Lives Saved and People Treated for HIV, TB and Malaria
出典 :aidspan
日付:2018年9月17日
URL: http://www.aidspan.org/node/4724

(スイス)ジョンソン&ジョンソンは結核薬ベダキリンの貧困層へのアクセスを保証すべき

【2018年9月17日ジュネーブ発】国境なき医師団 MEDECINE SANS FRONTIERES : MSF は、大手の開発系製薬企業「ジョンソン&ジョンソン」(J&J)に対し、抗結核薬ベタキリン Bedaquiline について、MSFが展開する臨床試験への供与、超多剤耐性結核患者への重点的な利用、MSF事業の多剤耐性結核への恒常的な活用を呼び掛けてきた。今回、MSFはJ&Jに対し、すべての国がベタキリンを使用し世界規模で多剤耐性結核へ対処できるよう、患者が購入可能な金額で持続的に供給するよう要請した。

ベタキリンは近年開発された新しい抗結核薬の一つで、J&Jが製品化し、同社が知的財産権を保有している。2013年にWHOによって多剤耐性結核治療への使用が認められ、今年8月にはこれまでに使用実績をもとにベタキリンが多剤耐性結核治療における主要治療薬として使用できるようWHO治療ガイドラインが改正された。これにより、ベタキリンを適用できる患者数が大幅に増加することになったため、国家結核プログラムにおいてベタキリン使用を拡大する方向となる。現在、ベタキリンを使用できる患者は全世界で25,000名のみであるが、現在進行中の研究では短期間の利用でも大きな効果があることが実証されつつある。しかし、一方で結核高蔓延国の患者におけるベタキリンの使用はJ&Jと米国国際開発庁USAIDの寄付プログラムまたはJ&Jと関連パートナーによる価格交渉に左右されており、現状では非常に高額な治療薬となっている。

ベタキリンは成人向け多剤耐性結核治療薬の1つとして2012年に米国食品医薬局 Food and Drug Administration : FDA、2013年に欧州医薬局 European Medicines Agency : EMA によって承認された。いずれもさらなる治験・承認が必要な状態での承認であったが、約半世紀を経て承認された新しい結核薬であったため、これまで治療が難しかった結核への治療に希望を持たせるものであった。そのため、さらなる臨床治験を推進するには多額の費用が必要であり、MSFを含め多くの団体がベタキリン開発に資金提供してきた。ところが、J&Jは、ベタキリンのための熱帯病優先レビューバウチャー(対象となる熱帯病の新薬承認を取得することで自社の他の新薬の承認申請時における優先審査を保証する制度 Priority Review Voucher : PRV によって多額の利益を得ていながら、薬の購入価格を下げようとはせず薬を必要としている人のベタキリンへのアクセスを妨げている状態が続いている。

そこで、MSFはJ&Jに以下のことを要求したい。第1に各国でベタキリンが主要多剤耐性結核治療薬として登録できるよう働きかけてもらいたい。その上で、ベタキリンの価格を下げて、各製薬企業が特許権に関係なくベタキリンを供給できる包括的なライセンスを発行してほしい。そうすることにより1企業が治療薬を独占的に使用することもなくなりより多くの人々による治療薬へのアクセスが可能となる。

最後に、治療薬の中断などによる薬剤耐性を減らすためにも薬局などが6か月を超えてベタキリンを供給できるような体制を提供してほしい。

原題:Open Letter to J&J Regarding Affordable Access to Bedaquiline
出典:Medecine Sans Frontiers
日付:2018/9/17
URL:https://www.doctorswithoutborders.org/sites/default/files/2018-09/MSF_Letter_to_JJ_17Sept2018.pdf
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AJF代表・林達雄著作。治療薬アクセス問題を患者の側から描き、真の国際協力とは何かを問う、HIV/AIDS関係者必読の一冊
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