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ジェンダー関連

グローバルファンド、人権やジェンダー平等の視点では前進

【2018年6月12日】途上国の三大感染症対策に資金を供給する国際機関、グローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)の第39回理事会は東欧・マケドニアの首都スコピエでこの5月に開催されたが、そこでは、同機関の2017〜2022年の戦略目標の進捗状況等について討議された。戦略目標において、「第3の目標」として指定された「人権の保護とジェンダーの平等推進」については、どのような討議がなされたのだろうか。解説していこう。

A)女性のためのプログラムの拡大
「コミュニティ・権利およびジェンダー」Community, Rights and Gender CRG戦略イニシアティブのもと、優先度の高い13か国に対して、思春期の少女や若い女性のHIV発生削減の取組に充てられてきた。このイニシアティブは、南部アフリカエイズ信託基金 SafAIDS、東アフリカ諸国エイズ・サービス組織ネットワーク連合 EANNASOにより実施されている。このうち、11ヶ国において1億ドル以上の支援が行われた。課題は技術支援の不足であったが、主要な関係者が一堂に会して、思春期の少女や若い女性の課題に関する研究グループが組織され、調整や実施の課題に関する洗い出しが行われた。グローバルファンドは包括的なモニタリング・評価の計画を打ち出し、主要な技術パートナーとともに、次なる目標の設定に向けたデータの洗い出しなどを実施している。

B)年齢とジェンダーによる不平等の是正
グローバルファンドは、結核の治療などへのアクセスに関して、ジェンダーに基づく障害を分析するための枠組を構築してきた。世界規模での傾向やプログラム支援に関する調査は2019年の第1四半期に完了する見込みとなっている。課題は、結核のプログラムを計画する際にジェンダーの調査がきちんと行われていないことである。グローバルファンドは、地域パートナーを通じて重要性の発信を行う予定である。

C)人権推進への障害を取り除くプログラムの拡充
主要な課題は中所得国以上の所得の国にある。中所得国では、HIVの予算のうち19%が、HIV感染が集中している「カギとなる人口集団」key populationsに対して使われたが、人権問題への障壁の除去に充てられたのはわずかに2%であった。また上位中所得国6か国については、鍵となる人口集団に関する報告が5か国からあったのに対し、人権問題に関する報告がなされたのは3か国のみであった。人権問題への取組みの遅れの原因は、人権問題の取り組みに資金を充てる政策方針がないところからきていると考えられる。今回の基礎調査の結果は、人権問題への取り組みに資金を充てることを促進するための効果的な政策を議論するために使われる予定だ。

D)人権問題に関わる政策の集約
現在、人権問題への包括的な政策、人権に関する申し立ての手続き、人権に関わる危機へのアプローチの3つ取り組みの実行に向けた調整が行われており、2018年の第2四半期に完了する見込みである。

E)鍵となる人口への効果的な取り組みへの支援
焦点となっているのは、結核とマラリアの影響を受ける地域への支援である。現在は、国レベルで行われている取り組みを地域レベルにまで落とし込むことが重要と位置づけられた。グローバルファンドも、市民社会の参加を支援するために政策や実施の一部を見直した。

F)分野横断的な考察
2017年末に多くの財政支援要請が提出されたが、同じ2017年の最終四半期には、実際の訓練が実施されることはなかった。しかし、その間に支援へのアクセスに関する人権問題の解決に向けたワークショップが立ち上げられ、2018年1月に実施された。このことは前進と考えられる。
最後に、HIVプログラムの実施や投資計画に関する作業が技術パートナーにより行われている。彼らは、今回グローバルファンドの報告で提言された提案を効果的に実行に移すための重要な役割を果たすだろう。

*過去の関連記事:グローバルファンド、1500万ドルをコミュニティ、ジェンダー関係の戦略投資に拠出決定(2016年11月29日)

原題:Global Fund makes steady progress on Human Rights and Gender Equity, amid implementation challenges
出典:Aidspan
日付:2018/06/12
URL:http://www.aidspan.org/node/4639

グローバルファンド、保健分野国際機関のジェンダー平等促進政策の評価で高い水準をマーク

【2018年4月3日】国際機関のジェンダーに対する取り組みを評価する独立したイニシアティブである「国際保健50/50」Global Health 50/50が発表した調査結果によると、グローバルファンドはジェンダー平等を推進する取り組みにおいて、世界の保健機関の上位9位に選出された。調査対象となった140の国際機関のうち、ジェンダー平等の理念をプログラムや戦略に盛り込んでいたのはわずか40%であった。

調査では、6つの項目によって各機関のジェンダー平等推進への取り組みが評価対象だった。
1. ジェンダー平等の公約についての公式声明
2. 企業理念におけるジェンダーの定義と国際基準との一貫性
3. ジェンダー平等政策の実施状況
4. 男女別に集計されたデータの公表
5. 職場におけるジェンダー平等を推進する方針と実行
6. 機関運営や上層部の人事におけるジェンダー比率

グローバルファンドは、「機関運営や上層部の人事におけるジェンダー比率」以外の項目で高評価を得た。また、トランスジェンダーの人びとのニーズに対応している数少ない機関の1つだった。

グローバルファンドのほかに上位にランクインした機関には、GAVIワクチンアライアンス(旧:ワクチンと予防接種のための世界同盟The Global Alliance for Vaccines and Immunization:GAVI)、国連合同エイズ計画 UNAIDS、セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルSave the Children InternationalやBRAC(バングラディシュ復興支援委員会Bangladesh Rural Advancement Committee: BRAC)が含まれる。全体的にみると、国際的な保健機関の職員の半数以上(67%)が女性であるにも関わらず、意思決定権は男性の手に委ねられることがわかった。

また、以下に調査結果の概要を示す。
・国際的に認められた基準に沿ってジェンダー平等について定義している機関は三分の一以下だった。
・プログラムや戦略の資料にジェンダーについて言及していたのは、わずか40%だった。
・三分の二の機関は、プログラム評価のデータを男女別に分析していない。
・機関上層部の男女比が平等であったのは、たったの20%だった。

原題:Global Fund gets high marks in study of efforts of global health organizations to promote gender equality
出典:Aidspan
日付:2018/4/3
URL:http://www.aidspan.org/gfo_article/global-fund-gets-high-marks-study-efforts-global-health-organizations-promote-gender

(スイス)グローバルファンド、# Me Tooを契機に、セクシュアル・ハラスメントに関する規定を見直しへ

【2018年4月 3日】ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの「ジェンダーと国際保健センター」のプロジェクトである「国際保健50/50プロジェクト」が刊行した国際保健におけるジェンダー平等に関する報告書「国際保健50/50報告書」において、グローバルファンドは、ジェンダーの問題を政策やプログラムに組み込んだことで好評価を得た。一方、この報告書で比較的高評価を得た国連合同エイズ計画 UNAIDS、赤十字やオックスファムなどは、シニアスタッフによる性的違法行為に関する調査の対象となった。

UNAIDSとグローバルファンドはともに、ジェンダーに対するポリシーがあるか否かという観点から、同報告書で9位以内の高い成績を得た機関である。しかし、UNAIDSはルイス・ローレス(Luis Loures)副事務局長が性的暴行の廉で告発されたにもかかわらず、その申し立てへの対応が不適切であったことから非難の的となっている。

UNAIDSのようなハイスコアの組織が、職場でのセクシュアル・ハラスメントへの対応が不適切とみなされるような状況において、グローバルファンドはどのようにセクシュアル・ハラスメントの問題に対応しているのだろうか。この記事では、グローバルファンドのセクシュアル・ハラスメント政策および処罰の手順について調べた。

現在のポリシー
グローバルファンドには、セクシュアル・ハラスメントを含むハラスメントやいじめの防止のために作成された従業員用ハンドブックと従業員行動規範がある。また、従業員行動規範、理事行動規範ではいかなる種類のハラスメントや差別も禁じているが、セクシュアル・ハラスメントについては詳細な記載がない。

処罰手順
ハラスメントの被害者は人事部、倫理部門、オンブズマン、福利厚生部門を通じて是正を求めることができる。いじめやハラスメントの申し立てを行った従業員は解決に向けて公式、および非公式の会合を持ち、ハラスメントの目撃者も同じチャネルを利用することができる。

処罰の決定
従業員ハンドブックはハラスメントを違法行為とし、そのような行為は、書面での警告、給与の停止、解雇または即時解雇といった様々な方法で罰せられる。解雇もしくは即時解雇の場合は、最終決定のために事務局長へ上がる。

権利に関する規定を策定することは、安全な文化を保証することにもつながる。グローバルファンドのセス・ファイソン(Seth Faison)広報責任者は、「規定はセクシュアル・ハラスメント防止に必要な要素であるが、最終的な解決は、行動を起こし、加害者に責任をとらせる文化のもとにある」と述べている。

既定のレビュー計画
本年2月にピーター・サンズ(Peter Sands)次期事務局長はグローバルファンドスタッフに対して、倫理部門と人事部長とともに現有の規約を見直し、状況に合わせてアップデートされ改善されているか検討することを発表した。この見直しにはスタッフとの討論会を含み、従業員ハンドブックと従業員行動規範の改定に繋がる。この見直しはグローバルファンドの行動規範にセクシュアル・ハラスメントに関する規定が組み入れられる契機となるだろう。

原題:#MeToo Prompts Global Fund Review of Harassment Policies
出典 aidspan
日付:2018年4月3日
URL: http://www.aidspan.org/gfo_article/metoo-prompts-global-fund-review-harassment-policies
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